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シリーズではじめてGeForceを搭載しコスパを高めた日本HP「Z1 Entry Tower G5」。その信頼性、性能をプロが検証

日本HP「HP Z1 Entry Tower G5」

 「HP Z1 Entry Tower G5」は、Zシリーズとしてはじめて、GPUにQuadroではなくGeForceを採用して、低価格化を図ったミニタワー型ハイパフォーマンスデスクトップPC。コストパフォーマンスを追求しつつも、長年培ってきた本格ワークステーションのノウハウを活かした設計が特徴だ。

 今回HPより同シリーズの上位にあたる「パフォーマンスモデル」(税別274,000円~)を借用し、評価した。本記事では通常の使い勝手、メンテナンス性、性能チェックに加えて、実際に本製品を試用した3D CGテクニカルコンサルタントの宋明信氏によるレポートもお届けする。

第9世代Core、NVIDIA GeForce RTX 2070を採用

 HP Z1 Entry Tower G5は、CPUにIntelの第9世代Coreプロセッサー、GPUにNVIDIA GeForce RTX 2070が採用されている。標準構成モデルとしては、Core i7-9700/16GBメモリ/256GB PCIe NVMe SSD/1TB HDD/DVDスーパーマルチドライブを搭載する「スタンダードモデル」(同248,000円~)、Core i9-9900K/32GBメモリ/512GB PCIe NVMe SSD/2TB HDD/DVDスーパーマルチドライブを搭載する「パフォーマンスモデル」(同274,000円~)の2モデルがラインナップされている。

 記事執筆時点では台数限定で、スタンダードモデルにVRゴーグル「HP Reverb Virtual Reality Headset - Pro Edition」をセットにした「VRスターターパックキャンペーン」(同300,000円~)、27型フルWQHDディスプレイ「HP Z27n G2プロフェッショナル液晶モニター」をセットにした「これであなたもクリエイターキャンペーンモデル」(同298,000円~)も用意されている。

 本製品はOS、CPU、GPU、メモリ、ストレージ、光学ドライブなどハードウェア構成はカスタマイズできない。購入時に選べるのはオフィスソフト、ディスプレイの追加、本体やディスプレイの保証レベル・期間の変更だけだ。ただ、詳しくは後述するが、「HP Z1 Entry Tower G5」はメモリ、ストレージの換装、増設が容易なので、ハードウェアをカスタマイズをしたいというユーザーは、購入後でも簡単に実現可能だ。

【表1】HP Z1 Entry Tower G5のスペック
製品名スタンド―ドモデルパフォーマンスモデル
OSWindows 10 Pro
CPUCore i7-9700(3.00~4.70GHz、8コア16スレッド)Core i9-9900K(3.60~5.00GHz、8コア16スレッド)
GPUIntel UHD Graphics 630(350MHz~1.20GHz)、NVIDIA GeForce RTX 2070(8GB GDDR6)
メモリDDR4-2666 SDRAM 16GBDDR4-2666 SDRAM 32GB
ストレージ256GB PCIe NVMe SSD、1TB SATA HDD512GB PCIe NVMe SSD、2TB SATA HDD
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ
ディスプレイオプション
通信Gigabit Ethernet、IEEE 802.11a/b/g/n/a/ac/ax、Bluetooth 5
インターフェイスUSB 3.0 Type-C×1(前面×1)、USB 3.1 Type-A×4(前面×2、背面×2)、USB 3.0 Type-A(背面×2)、USB 2.0×4(前面×2、背面×2)、 DisplayPort×2、HDMI×1、USB Type-C×1、DVI-D×1
本体サイズ154×370×365mm(幅×奥行き×高さ)
重量約9.86kg
セキュリティHP BIOSphere Gen4、HP Sure Start Gen4、HP Sure Sense、HP Sure Click、HP Sure Run、HP Sure Recover、HP Client Security Suite Gen4、HP WorkWise、HP Secure Erase(NIST準拠)、TPM 2.0 セキュリティチップ、スマートカバーロック、セキュリティロックケーブル用スロット
ビジネス統合アプリオプション
同梱品USBスリムスタンダードキーボード (日本語版109A キーボード)、USBオプティカルスクロールマウス、電源コード、アース付3-2極変換アダプタ、説明書類、リカバリディスク
カラーブラック
税別直販価格248,000円~274,000円~

【1月25日】製品の価格が値下げされたので、記事も修正しました。

バランスよく前面と背面にインターフェイスを配置

 ミニタワー型のPCケースはHPの独自設計。本体サイズは154×370×365mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約9.86kg。デスクの上に置いてもディスプレイの高さより低く収まるコンパクトサイズだ。

 インターフェイスはUSB 3.1 Type-C×1(前面×1)、USB 3.1 Type-A×4(前面×2、背面×2)、USB 3.0 Type-A(背面×2)、USB 2.0×4(前面×2、背面×2)、 DisplayPort×2、HDMI×1、USB Type-C×1、DVI-D×1と豊富に用意されている。最大10Gbpsのデータ転送速度を備えるUSB 3.1 Type-Aが前面と背面にそれぞれ2つずつバランスよく配置されている点は、外付けストレージを接続するさいに使い勝手がいい。

 同梱品は本体以外に、USBスリムスタンダードキーボード(日本語版109A キーボード)、USBオプティカルスクロールマウス、電源コード、アース付3-2極変換アダプタ、説明書類、リカバリディスクと充実している。キーボードとマウスが同梱されているので、ディスプレイさえ用意すればすぐに使いはじめられるのはうれしい配慮だ。

本体前面。フロントパネルのみ強化プラスチック製だ
本体背面。独自設計の筐体だけに背面の金属パネルに端子が直接配置されている
本体右側面
本体左側面。両側面に吸気口は存在しない
左上から5インチハーフハイトベイ、スリムオプティカルドライブベイ、電源ボタン、オーディオ入出力端子、ヘッドフォン端子、USB 2.0(チャージ対応)、USB 2.0、USB 3.1 Type-A×2、USB 3.0 Type-C
DVDライターのトレイはWindowsの「エクスプローラー」から開く仕様。開閉ボタンは用意されていない
左上から、オーディオ出力端子、オーディオ入力端子、DisplayPort×2(ビデオカード搭載時使用不可)、USB 2.0×2、RJ-45ポート、USB 3.1 Type-A×2、USB 3.0 Type-A×2、USB Type-C、DisplayPort、HDMI、DisplayPort
パッケージには本体以外に、USBスリムスタンダードキーボード(日本語版109A キーボード)、USBオプティカルスクロールマウス、電源コード、アース付3-2極変換アダプタ、説明書類、リカバリディスクが同梱されている
USBスリムスタンダードキーボード(日本語版109A キーボード)。剛性が高く同梱品らしからぬ打鍵感を実現している
USBオプティカルスクロールマウス
日本HPの直販サイトで同時購入可能な「HP Z27 4K UHDプロフェッショナル液晶モニター」(同98,000円)。今回の検証用にお借りした。3辺狭額縁ベゼルを採用することで省スペースに設置可能。また最大65W給電対応のUSB Type-C端子も用意されている

ツールレスの高いメンテナンス性、マザーとGPUはオリジナル設計

 HP Z1 Entry Tower G5の内部を確認するためにケースを開いたときに唸らされたのがメンテナンス性の高さ。側面パネルを外して、メモリを増設したり、ビデオカードを交換するのであればドライバーは一切不要。スライダーをずらしたり、ツマミを押すだけでマザーボードが完全に露出する。

 またミニタワー型のデスクトップPCはコンパクトさと引き換えに内部パーツにアクセスしにくいことが多いが、本製品は前面側に配置されているドライブスロットがブロックごと大きく右に開く。筆者は手の長さ20cmとかなり手が大きめだが、どのパーツにもスムーズにアクセスできた。

 マザーボードとビデオカードがHPの独自設計という点も高く評価したい。3D CGや映像制作、ゲーム開発、VR用途などプロフェッショナル向けのデスクトップPCであるHP Z1 Entry Tower G5は、高い処理能力と同じぐらい、安定して動作することが重要だ。マザーボードとビデオカードという主要パーツがオリジナル設計となっていることで、万が一の障害の際にも最短でサポートを受けられる点は、プロフェッショナルユーザーにとって見逃せないポイントだ。

本体背面の黒いスライダーをずらせば、左側面の金属パネルを取り外せる
つぎに前面パネルを3つのツメを引いて右開きに取り外す
あとは緑のツマミを下に押せば、前面側に配置されているドライブスロットをブロックごと大きく右に開ける
マザーボードは自社開発。2箇所切り欠いたような特殊な形状をしており、前面の電源ボタン、USB端子などもマザーボード上に実装されている
メモリはSK Hynix製「HMA82GU6CJR8N-VK」(16GB)が2枚刺さっている。CPUクーラーはドライブスロットを避けるためにCPU真上から左にオフセットした、HP独自設計のパーツが使われている
Samsung製512GB PCIe NVMe SSD「MZVLB512HAJQ-000H1」は、マザーボード外側にはみ出すかたちでM.2スロットに装着されている。一般的なマザーボードではあまり見かけない装着方法だが、放熱という点では理に適った設計だ。なおM.2スロットは3基用意されている
ビデオカードはネジ止めされていない。左側のツマミを引いて固定用の金属パーツを取り外したうえで……
端子部の白いパーツを上から押せばビデオカードを取り外せる
HP Z1 Entry Tower G5に搭載されているビデオカードは「NVIDIA GeForce RTX 2070」
背面を見るとHPのオリジナル設計であることがわかる。プロダクトナンバーは「L58311-001」。単体では販売されていない
3.5インチベイは2基用意(内1基は使用済み)
スリムラインベイ(DVDライターが占有)、5インチベイ、2.5インチベイが用意
電源は容量500Wの「DPS-500AB-32 A」が搭載されている

GeForceを搭載した狙いと今後の展開を担当者に訊く

 ここまでの製品概要を踏まえたうえで、日本HPのワークステーションビジネス担当者の大橋秀樹氏にインタビューを行なった。聞き手には3D CGテクニカルコンサルタントの宋明信氏にも参加いただいている。

日本HPの大橋秀樹氏(左)と3D CGテクニカルコンサルタントの宋明信氏(右)

編集部 まずは本製品の特長と狙いをお聞かせください。

大橋氏 業務用の3D向けマシンと言えば、GPUにQuadro搭載というのがこれまでの常識でしたが、ここ数年GeForce搭載機のお問い合わせを多くいただくようになりました。しかしHPでM&E(Media & Entertainment)のマーケットに向けた製品はQuadroマシンしかなかったんですね。GeForceマシンはゲーミング、家庭向けだけでした。クリエイターのマーケットは、ワークステーション製品でカバーするべきということで、今回はじめてZ1という製品でGeForceを搭載しました。これが最大の特徴です。

宋氏 2つの理由でGeForceのニーズが高まってきたと思います。1つは価格面。Xeonプロセッサー自体の価格がここ4~5年ですごく上がっていて、昔みたいにデュアルXeon、64GBメモリ、Quadroという構成でマシンを組むと軽く200万円を超えてしまう。クリエイター全員にこのような環境はなかなか与えられません。もう1つは4~5年前からVRやヘッドマウントディスプレイが出てきていますが、各デバイスメーカーさんが検証で使っているのは、じつはQuadroじゃなくてGeForceベースのマシンが多いんです。その意味で、開発機もGeForceであるほうが、互換性検証がやりやすいケースも増えています。

編集部 同価格帯の他社製品との違いについてお話しください。

大橋氏 ツールレス設計の筐体を採用している点ですね。主要なパーツをドライバー等の工具無しで簡単に交換、増設できる設計になっています。この価格帯の製品をクリエイターさんが購入すると、のちのちメモリやストレージを増設したい、カードを追加したいというニーズがあると思います。ユーザーさん自身が増設、追加するときにも便利ですし、オンサイトサポートのさいにもパーツを簡単に交換できるメリットがあります。マザーボードを取り外す前までは、ツールなしではめ込み式のパーツを取り外せますよ。

 ローコストな製品ではこのような設計は省略したくなる部分なのですが、ワークステーションと同様にツールレス設計にこだわりました。また冷却面もワークステーションと同様に設計しています。電源、GPU、CPUがパーツとしては大きな熱源ですが、それが熱かぶりしないように配置しています。3DレンダリングするとGPUもずっとフル稼働するので、最高性能を維持できるようにレイアウトしているわけです。

 また、弊社製品はお客様が後付けでメモリやビデオカードを増設したり、交換した場合も、元からついているパーツについては保証は残ります。ですので、安心して末永くお使いいただけます。

宋氏 企業さんで30台入れましょうということになったときに、オンサイトサポートなど保守がしっかりしている点は安心感がありますね。

編集部 本製品をどのようなユーザーに訴求したいと考えていますか。

大橋氏 まず、いままでお話ししたとおりM&E業界、そしてVR業界の方ですね。建築や製造などのいわゆる3D CADの世界はQuadroマシンが標準機としてずっと使われてきていて、システム管理の面やアプリの認証などの観点からも、Quadroが使われ続けると思います。しかしVRはそこからワークフローが離れています。設計よりもデザインという上流工程の人が使うので、Quadroじゃないと駄目ということにはならないんですね。

宋氏 制作側の話ではないのですが、不動産系の会社さんがVRのコンテンツを作って、それをギャラリーに配置するときに、1台では駄目でバックアップ機が2台か3台必要になるんです。なにかあったときにすぐ交換できないとお客さんが見られなくなってしまいますから。そのような会社さんは大量にマシンが必要になりますが、あまり高い製品をたくさんは買えません。すると、このぐらいのスペックがちょうどいいんです。保守もついていますし。じっさい、いまは昔ほどQuadroに固執しているお客さんは少ないですね。

編集部 宋さんから見て、今回のマシンについて要望はありますか。

宋氏 かなり良いスペックなので注文は少ないですが、あえて挙げるなら、電源が750~800Wぐらいほしいです。GPUを増設するためにはそのぐらいの電源が必要です。ちょっと大きくなるでしょうが。あと、ゲーミング用ノートPCだと外にGPUユニットをつけられますが、そういった周辺機器が用意されているとVRをやっている人は喜びますね。普段は本体だけで使っていて、GPUレンダリングなどでより性能が必要なときにGPUを増やせられる仕組みがあると、すごく魅力的です。デイジーチェーンで2台とか3台とかGPUユニットをつなげられれば、Xeon、Quadroの最高スペックよりもパフォーマンスが出ますよね。

大橋氏 レンダリングだけに特化するならそうですね。本製品はざっくり30万円ぐらいの価格帯なので、2台だと60万円。Xeonのハイエンドだと60万円には収まりません。

宋氏 収まらないですよね。今後オプションでそういった周辺機器が用意されたら、すごく魅力的になると思います。

編集部 本製品のサポート体制についてお聞かせください。

大橋氏 標準で3年間の保証がついています。休日訪問修理、翌日訪問修理にも対応しています。壊れないにこしたことはないのですが、万が一土曜日に壊れたとしても最短翌日の日曜日に修理が可能です。

宋氏 土日でも翌日2~3時間で修理してもらえるわけですね。

大橋氏 メーカーがオンサイト修理を提供していても、コールセンターが平日しかやっていなくて、土曜日に壊れた場合は、月曜日にお電話いただいて火曜日に行きますというところが多いと思います。しかし、日本HPでは土曜日に電話をいただければ、ご都合がよろしければ翌日の日曜日にお伺いいたします。電話である程度どんな症状なのかお伺いして、あたりをつけてから修理担当者がパーツを持参してお伺いするので、すぐに修理が可能です。また、保証期間は有償になりますが最長で5年間まで延長が可能です。GeForce搭載で3年~5年の訪問修理をつけているのはほかにはなかなかないので、安⼼してお使いいただけると思います。

編集部 今後のZシリーズの展開や取り組みについて教えてください。

大橋氏 今回、ZシリーズにGeForceを搭載するというのはHPとしてはチャレンジングな取り組みでした。GeForceを搭載したマシンは、M&Eの業界、VRの業界で必要になってきているので、これ1台で終わらせずに今後もしっかり続けて、ほかのラインナップにも広げていきたいと考えています。あと、Zシリーズは製造業、建設業などの大企業さんには使っていただいてきましたが、これからスタートアップしていく企業様や、個人のクリエイターさん、学生さんにはまだHPを認知していただいていないので、もっと幅広く周知していきたいと思っています。

宋氏 映像関係でGPUを使うソフトはどんどん増えています。8Kとかやろうとすると一番上のZ8クラスを選ぶ人は普通にいると思いますが、ポストプロダクションの前だったらZ1で全然問題なく使えると思います。ストレージの拡張ベイもたくさん空いているし、M.2 SSDもあと1つ入れられるからRAIDも組めますし。そうすればハイエンドと遜色ないと感じますね。

HP Z1 Entry Tower G5のベンチマーク結果

 今回は編集部にて下記の構成の「パフォーマンスモデル」でベンチマークを実施した。

【表2】ベンチマ-ク結果
PCMark 10 v2.0.2144
PCMark 10 Score6618
Essentials9242
App Start-up Score10775
Video Conferencing Score8019
Web Browsing Score9137
Productivity8514
Spreadsheets Score10877
Writing Score6665
Digital Content Creation9999
Photo Editing Score12144
Rendering and Visualization Score12796
Video Editting Score6435
3DMark v2.10.6799
Time Spy8722
Fire Strike Ultra5372
Fire Strike Extreme10268
Fire Strike19568
Night Raid50312
Sky Diver46710
Cloud Gate49705
Ice Storm Extreme181978
Ice Storm194499
CINEBENCH R20.060
CPU4293 pts
CPU(Single Core)486 pts
SPECviewperf 13
3dsmax-06192.61
catia-05109.74
creo-02177.88
maya-05267.55
medical-0254.04
showcase-02113.42
snx-0315.66
sw-0482.55
SSDをCrystalDiskMark 7.0.0で計測
1M Q8T1 シーケンシャルリード3287.783 MB/s
1M Q8T1 シーケンシャルライト1932.093 MB/s
1M Q1T1 シーケンシャルリード1486.462 MB/s
1M Q1T1 シーケンシャルライト1681.974 MB/s
4K Q32T16 ランダムリ-ド1118.198 MB/s
4K Q32T16 ランダムライト1891.610 MB/s
4K Q1T1 ランダムリ-ド21.731 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト117.773 MB/s
HDDをCrystalDiskMark 7.0.0で計測
1M Q8T1 シーケンシャルリード227.548 MB/s
1M Q8T1 シーケンシャルライト218.530 MB/s
1M Q1T1 シーケンシャルリード229.857 MB/s
1M Q1T1 シーケンシャルライト225.248 MB/s
4K Q32T16 ランダムリ-ド2.053 MB/s
4K Q32T16 ランダムライト1.540 MB/s
4K Q1T1 ランダムリ-ド0.746 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト1.576 MB/s
Adobe Lightroom Classic CCで100枚のRAW画像を現像
7,952×5,304ドット、カラ- - 自然3分51秒10
Adobe Premiere Pro CCで実時間5分の4K動画を書き出し
3,840×2,160ドット、30fps3分23秒03

 HP Z1 Entry Tower G5のパフォーマンスモデルは、Core i9-9900KとGeForce RTX 2070を組み合わせているだけに、ベンチマークスコアは好成績を記録している。PCMark 10の総合スコアでは「4K gaming PC」の参考スコア「5005」の約1.32倍に相当する「6618」、3DMarkのTime Spyでは「4K gaming PC」の参考スコア「6733」の約1.30倍に相当する「8722」を叩き出している。また「Adobe Premiere Pro CC」などの実際のアプリケーションでも、5分の4K動画の書き出しを実時間よりも大幅に早い3分23秒03で処理を終えた。

3D CGテクニカルコンサルタントの宋明信氏による評価

 編集部での評価に加え、今回は、宋氏に本製品で3ds Max 2020 Update 3とV-Ray Next for 3dsMaxを使ってレイトレーシングの性能を検証してもらった。GeForce RTXシリーズはGPUとしてはじめてレイトレーシングのハードウェアアクセラレーションに対応。当初はゲームから対応がはじまったが、いまでは3ds MaxなどCADやCG系アプリでも対応が進んできている。

 今回、総ポリゴン数1,016,954ポリゴン、総オブジェクト数59、総ライト数11というデータを用い、CPUのみの場合と、GeForce RTXのアクセラレーションを使った場合でレイトレーシングのレンダリングを行なった。結果は、CPUの場合1時間13分だったものが、GPUでは46分で終了した。

3ds Maxでのテストシーンのレイトレーシングレンダリング結果

 最後に宋氏から総評もいただいた。以下は宋氏のコメント。

 HP Z1 Entry Tower G5はすごくいい構成だと思います。じつはいま家で使っているマシンとCPU、GPU、メモリがまったく同じ構成なんです。デザインもいいですね。とくに本製品はコンパクト。他社さんで同じ構成だとケースがもっと大きいですよね。前面にポートが多いのもじつにいいです。4つのType-Aに加えて、Type-Cが1つあるのは使い勝手がよいでしょう。Type-Aが2つくらいだとつらいことがあります。

 メンテナンス性もよさそうですね。5インチが1ベイ、2.5インチが1ベイ、3.5インチが1ベイ、そしてM.2も1基空いているから拡張性は十分。お客さんから大事なデータを預かる場合もありますが、それらは安全に保管しなければなりません。そのようなときも数千円で2~3TBのHDDをつなげば、ミラーリングで安全に保管できます。M.2 SSDをぶら下げるように装着できて、エアーで強制的に冷却する設計も安心です。ツールレスでメンテナンスできるので、そういった作業も楽ですしね。

 3ds Max 2020の検証結果ですが、今回のデータは100万ポリゴンですが、メモリの使用量が6GB、仮想メモリの使用量が10GBと表示されています。プレビューで動かしてみると、100万ポリゴンのデータで60fps出ているので性能はまったく問題ないですね。

 V-Ray Next for 3dsMaxでのレイトレーシングレンダリング時間はCPUのみで約1時間13分、GPUを使うと約46分。こちらも十分な性能です。HP Z1 Entry Tower G5はプロフェッショナルユーザーの高い要求に応えるだけのパフォーマンスを備えていると言えます。