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Amazonで売っている激安Androidタブレットはどこまで使い物になるのか?ゲームやYouTube視聴で検証してみた
2023年8月10日 06:25
Amazonで「Android タブレット」と検索すると、安価な製品が多数表示される。価格帯はさまざまだが、「おすすめ」で表示される製品の価格帯は大体3万円以下。中には1万円を下回るデバイスも存在し、価格という点では非常に魅力的だ。
しかし、それら激安Androidタブレットがどこまで使い物になるのか、それが気がかりでポチる勇気が出ない方も多いことだろう。そこで今回、9,900円で販売されていた8型Androidタブレット「TECLAST P80T」を編集部で購入した。この記事では、本製品の品質、処理能力、使い勝手などについてレビューしていこう。
なお、非常に安価な製品に対して、ミドル/ハイエンドモデルと比較して無慈悲に批評したくはない。試用した感想は正直にお伝えするが、購入に値するかどうかは皆さん自身でご判断いただきたい。
物理メモリは4GB、仮想メモリを合わせて8GBを確保可能
「TECLAST P80T」はOSに「Android 12」、SoCに「Allwinner A133」を採用。メモリは4GB、ストレージは64GBを搭載している。本製品には「Memory Extension」という機能が用意されており、ストレージの一部を利用して4GB(物理メモリ)+4GB(Memory Extensionで確保した仮想メモリ)という構成で使用可能だ。また最大1TBのmicroSDメモリカードを装着することで、アプリ、ファイル、メディアを保存できるストレージとして拡張できる。
ディスプレイは8型HD IPS液晶(1,280×800ドット、189ppi、光沢)を搭載。サウンド機能はステレオスピーカーとマイクが内蔵。カメラはリアに190万画素(F2.0、LEDフラッシュ)、フロントに30万画素(F2.0)が採用されている。
インターフェイスはUSB Type-C、microSDメモリカードスロット(最大1TB)、3.5mmヘッドフォン端子を用意。ワイヤレス通信はWi-Fi 5、Bluetooth 5.0をサポートしている。
本体サイズは実測211×126×9.7mm、重量は328g。バッテリは4,000mAhを内蔵している。バッテリ駆動時間については「長時間継続使用が可能」と記載されているが、具体的な数値は非公表だ。
記事執筆時点で製品名の「TECLAST P80T」でAmazonを検索すると、複数の商品ページが表示された。販売元は「Teclast Authorized Store」、「TECLAST日本公式ショップ」、「TECLAST 公式ストア」などが存在している。本製品を購入する際には、Primeマークの付いた商品を選ぼう。
また、到着したら早めに動作や仕様を確認し、不具合があったり、仕様の異なる商品だったらすぐに交換や返品の手続きを行なおう。
TECLAST P80Tのスペック | |
---|---|
OS | Android 12 |
SoC | Allwinner A133 |
CPU | Arm Cortex-A53(1.8GHz)×4 |
GPU | PowerVR Rogue GE8300 |
メモリ | 4GB(Memory Extension機能使用時4GB+4GB) |
ストレージ | 64GB(最大1TBのmicroSDメモリカードを装着可能) |
ディスプレイ | 8型HD IPS液晶 (1,280×800ドット、189ppi、光沢) |
サウンド | ステレオスピーカー、マイク |
リアカメラ | 190万画素、F2.0、LEDフラッシュ |
フロントカメラ | 30万画素、F2.0 |
インターフェイス | USB Type-C、microSDメモリカードスロット(最大1TB)、3.5mmヘッドフォン端子 |
ワイヤレス通信 | Wi-Fi 5、Bluetooth 5.0 |
バッテリ | 4,000mAh |
バッテリ駆動時間 | 非公表(販売サイトには「長時間継続使用が可能」と記載) |
セキュリティ | スワイプ、パターン、PIN、パスワード |
防水防塵 | なし |
サイズ | 実測211×126×9.7mm |
重量 | 328g |
カラー | ブルー |
価格 | 参考価格1万3,000円、特選タイムセール価格9,900円 |
激安Androidタブレットのパフォーマンスをベンチマークと動画でチェック
まず「TECLAST P80T」がどの程度の処理能力を持っているのか、ベンチマークを実施してみた。結果は、「AnTuTu Benchmark V10」の総合スコアは83118、「Geekbench 6」のMulti-Core Scoreは343、Single-Core Scoreは158、「3DMark」のSling Shot Extremeは243となった。
しかし、「AnTuTu Benchmark V10」のGPUスコアが0となっており、なんらかのエラーが発生している可能性が高い。そのため「AnTuTu Benchmark V9」でも計測してみたが、今度は80%の時点でフリーズしてしまった。そのため、今回のAnTuTu Benchmarkのスコアはあくまでも参考に留めてほしい。
ちなみに、「Snapdragon 8 Gen 2」を搭載する「ROG Phone 7 Ultimate」の「Geekbench 6」のスコアは、Multi-Core Scoreが5,782、Single-Core Scoreが2,060だ。ということは「TECLAST P80T」は「ROG Phone 7 Ultimate」に対して、Multi-Core Scoreは約6%相当、Single-Core Scoreは約8%相当ということになる。
「ROG Phone 7 Ultimate」では価格に差がありすぎるので、比較的価格帯の近いAmazonの「Fire 7タブレット(第12世代)」(8,980円)でもベンチマークを実施したが、「AnTuTu Benchmark V10」と「Geekbench 6」は動作しなかった。
しかし幸いなことに、「3DMark」のSling Shot Extremeは正常に動作し、680というスコアを確認できた。つまり「TECLAST P80T」の3Dグラフィックス性能は、「Fire 7タブレット(第12世代)」の約36%相当ということになる。
3Dグラフィックス性能は「Fire 7タブレット(第12世代)」のほうが上だが、「TECLAST P80T」には「GMS(Google Mobile Service)」が搭載されており、「Playストア」からアプリケーションを入手できるというアドバンテージがある。
FireタブレットにGMSをインストールする非公式な手段はあるが、やや難易度は高いし、永続的に利用できる保証はない。
デバイスとしての完成度や性能についてはFireタブレットのほうが優れているが、アプリの使いやすさという点では「TECLAST P80T」に軍配が上がる。
ベンチマークのスコアを見ても、正直筆者自身もどのぐらいの動作速度なのかピンとこない。そこで今回はブラウジング、YouTube動画の再生、「Kindle」アプリでページめくり、ゲーム「原神」をプレイしているところを動画撮影してみたので、ぜひご覧いただきたい。
なお最初にお伝えしておくが、「原神」はデータのロードと、おそらくデータの展開にかなりの時間がかかった。その待ち時間もリアルな情報なので、今回は早送りなどの編集は加えていない。待てない方は「進行状況バー」をスライドさせて、任意の場所からご覧いただきたい。
どのぐらいの動作スピードであれば許容できるのかは人によって異なる。筆者自身はブラウジング、YouTube動画の再生、「Kindle」アプリでの読書は許容範囲だ。メイン端末としては正直厳しいが、「寝モバ」用のタブレットであれば全然ありだ。
ただし、「原神」をプレイするのは辛い。起動後のデータロードに約6分26秒というのはさすがに待ちきれない。操作感についても遅延が大きく、フレーム落ちも多かった。それでも一応動いてしまうところはすごいなと思うが、「TECLAST P80T」で「原神」クラスのゲームを動作させるのは「縛りプレイ」と言わざるを得ない。
「TECLAST P80T」でプレイするなら、「アングリーバード」や「クロッシーロード」などのカジュアルなゲームがよいだろう。
なおバッテリ駆動時間については、ディスプレイ輝度、スピーカー音量ともに100%に設定してYouTube動画を連続再生したところ、2時間経過した時点のバッテリ残量は47%であった。単純計算でバッテリ残量0%までであれば、3時間46分動作することになる。
ディスプレイ画質、スピーカーの音質、カメラ画質は?
ここでは「品質」について見ていこう。
まずディスプレイ画質については、いい意味で予想を裏切られた。IPS液晶を搭載しているおかげか、9,900円のタブレットとは思えないほど綺麗に見えるというのが正直な感想だ。元画像と比べると、赤の発色がかなり異なっている。しかし、映像、画像コンテンツを鑑賞するなら、それほど気にならないと思う。
「TECLAST P80T」で一番気になったのはサウンド面。本製品にはステレオスピーカーが縦持ちした状態での本体下部に内蔵されているため、横持ちした際には左右のどちらかに2つのスピーカーが位置することになる。
また、縦持ちしても左右スピーカーの位置が近いので、ステレオ感はほとんど得られない。本製品でステレオサウンドを楽しみたいのなら、イヤフォンや外部スピーカーが必須だ。
カメラ画質については、リアカメラ(190万画素、F2.0、LEDフラッシュ)は意外と綺麗に撮影できるが、フロントカメラ(30万画素、F2.0)は少々辛い。画質が悪いというよりも、画角が狭いので、相当離れなければどアップの画像、映像となってしまう。
今回約80cmの距離から自撮りしてみたが、本記事に掲載するのをためらうぐらいの写真となってしまった。よほど親しい間柄でなければ、この画角の映像でビデオ通話するのは罰ゲームだと心底思う。
3万円以下、3~6万円、6万円以上でどのような選択肢が存在するのか?
最後に、Androidタブレットでは価格帯ごとにどのような選択肢が存在するのか表にまとめてみた。
今回はAndroid 12以降を搭載する新しめのタブレットの中から、3万円以下、3~6万円、6万円以上の3クラスで4製品ずつセレクトしてみたが、「TECLAST P80T」のメモリ4GB、ストレージ64GBというスペックはかなりがんばっていることが分かる。
もちろん、これらの機種と「TECLAST P80T」を単純に比較することはできないが、Androdタブレットの購入を検討する際の参考にしてほしい。
なお、価格は記事執筆時点の直販価格、またはプレスリリースに掲載された希望小売価格を掲載している。
メーカー名 | 価格 | OS | SoC | メモリ | ストレージ | ディスプレイ |
---|---|---|---|---|---|---|
FFF FFF-TAB10B0 | 1万円 | Android 12 Go | Rockchip RK3566 | 2GB | 32GB | 10.1型(1,280×800ドット) |
AIWA aiwa tab AB8 | 2万800円 | Android 12 | MediaTek MT8183 | 4GB | 64GB | 8型(1,280×800ドット) |
AIWA aiwa tab AB10L | 2万2,800円 | Android 13 | MediaTek MT8766 | 3GB | 32GB | 10.1型(1,280×800ドット) |
NEC LAVIE Tab T8(PC-TAB08H04) | 2万9,480円 | Android 12 | MediaTek A22 | 4GB | 64GB | 8型(1,280×800ドット) |
メーカー名 | 価格 | OS | SoC | メモリ | ストレージ | ディスプレイ |
---|---|---|---|---|---|---|
TCL TCL TAB 11 | 3万3,800円 | Android 13 | MediaTek Helio P60T | 4GB | 128GB | 10.95型(2,000×1,200ドット) |
レノボ Lenovo Tab P11 Gen 2 | 3万9,820円 | Android 12L | MediaTek Helio G99 | 4GB | 128GB | 11.5型(2,000×1,200ドット) |
レノボ Lenovo Tab P12 | 4万9,830円 | Android 13 | MediaTek Dimensity 7050 | 8GB | 128GB | 12.7型(2,944×1,840ドット) |
Samsung Galaxy Tab S6 Lite | 5万6,798円 | Android 13 | Snapdragon 720G | 4GB | 64GB | 10.4型(2,000×1,200ドット) |
メーカー名 | 価格 | OS | SoC | メモリ | ストレージ | ディスプレイ |
---|---|---|---|---|---|---|
シャープ/ドコモ dtab d-51C | 6万5,230円 | Android 12 | Snapdragon 695 | 4GB | 64GB | 10.1型(1,920×1,200ドット) |
NEC LAVIE Tab T11(PC-TAB11Q01) | 7万9,860円 | Android 12 | MediaTek Kompanio 1300T | 8GB | 256GB | 11.2型有機EL(2,560×1,536ドット) |
Samsung Galaxy Tab S8+ | 10万7,328円 | Android 12 | Snapdragon 8 Gen 1 | 8GB | 128GB | 12.4型有機EL(2,800×1,752ドット、120Hz) |
Samsung Galaxy Tab S8 Ultra | 15万1,040円 | Android 12 | Snapdragon 8 Gen 1 | 12GB | 256GB | 14.6型有機EL(2,960×1,848ドット、120Hz) |
ラフに扱えるサブタブレットとして1台欲しい
9,900円で販売されている「TECLAST P80T」は、予想していたよりも「普通」に使える。もちろん一般的な用途でも動作が「快適」とは言えない。ましてや、いま人気のゲームをプレイするのは現実的ではない。
しかしディスプレイは十分綺麗だし、ブラウジング、動画、電子書籍などの用途であれば十分こなせる。個人的には仕事用にはミドルクラス以上のタブレットを迷わず選択する。ただ、TECLAST P80Tはラフに扱えるプライベート用のサブタブレットとしては、比較的気軽に手を出しやすい、コスパに優れた製品と言える。