特集

通話、ゲーム、動画視聴!格安10型タブレットのお得感をチェック

「TECLAST M50HD」(Amazon実売価格1万7,900円)

 「夢とディスプレイはデカい方がいい」という言いまわしが実際にあるかどうかは不明だが、少なくとも動画配信など映像を楽しむ際には1インチでもデカいディスプレイの方が嬉しいのは事実だろう。最近ではスマートフォンの画面では満足できず、自宅などでタブレットを使用して動画を楽しむ層も増えている。

 こうした用途で使用される1万円以下の激安タブレットと言うと8型モデルが主流だが、実は10型ディスプレイ搭載製品も2万円未満で割安の製品は多く、どちらを選べば幸せになれるのかは悩ましいところだ。

 一方で、格安のタブレット製品を選んだ場合、近年は動画を満足に楽しめない場合がある。というのも、Netflixなど、有料の動画視聴サービスの一部では、タブレット本体が備える著作権保護の機能に応じて再生可能な画質を制限する仕組みを採用しているからだ。

 Androidタブレットの場合、Googleの開発したデジタルコンテンツの保護技術「Widevine」のレベルに応じて画質が変化する。具体的にはL1~L3までが用意されており、Androidタブレットで高品質の映像を満喫するには最高レベルのL1が必要となる。

 そこで今回は安価に購入できる10型タブレットとして、TECLASTの10.1型Androidタブレット「TECLAST M50HD」を紹介したい。Widevine L1に対応し、Amazonでの直販価格は2万4,900円ながら、現在は7,000円オフクーポンの適用により17,900円で購入可能だ。なお、価格履歴をチェックしてみると、セール価格の時はクーポンが使えない代わりに本体価格自体が1万7,900円に設定されるようなので、実売価格1万7,900円と考えていいだろう。

10型タブレットの魅力は大きな画面と高パフォーマンス

 「TECLAST M50HD」は10.1型、解像度1,920×1,200ドットのIPS液晶ディスプレイを採用するAndroidタブレット端末だ。IPSということで視野角も広く、ごろ寝しながら映像を見たりするような場面でもかなり快適に映像が楽しめる品質は確保できている印象だ。

 同社の8型ディスプレイ搭載Androidタブレット「TECLAST P80T」がタイムセール価格で大体1万円前後で購入できることを考えると、本製品は大体7,000円ほど割高となるが、そのメリットはかなり多いように思う。

 もちろんディスプレイが10型、解像度1,920×1,200ドットとなることで、映像の解像感が高まるのは言うまでもなく、動画視聴や電子書籍の閲覧、Webサイト閲覧などにおいて恩恵があることは間違いない。また、内蔵SoCがより強化され、内蔵メモリやストレージも増えているため、パフォーマンスもかなり向上しているのもメリットと言える。

本体前面。解像度1,920×1,200ドット、10.1型のIPS液晶ディスプレイを備える。額縁はやや広め
本体背面には二眼のリアカメラを備えるほか、ロゴや技適マーク、製品型番などが書かれている
内蔵メモリは物理8GBだが、仮想メモリ機能「Memory Extension」で8GBが標準で確保されており、出荷時は16GBに設定されている

 SoCにはCortex-A75(1.6GHz駆動)2コア+Cortex-A55(1.6GHz駆動)6コア、GPUにMali-G57を備える「UNISOC T606」を搭載、物理メモリは内蔵8GBだが、TECLAST製品でよく見かける仮想メモリ機能「Memory Extension」がデフォルトでオンになっており、こちらと合わせることで“メモリ16GB”を謳う。

 ストレージは128GBだが、microSDカードスロットを備える点は魅力の1つと言える。OSはAndroid 13、無線LANはIEEE802.11acまで対応するほか、4G LTEデータ通信にも対応する。通信規格がいずれも1世代前の規格なのは残念なところだが、フルHD解像度の動画視聴の用途であれば問題はないだろう。

 本体サイズは238.4×157.7×7.8mm、重量は435g、バッテリ容量は6,000mAh。インターフェイスは横置時の天面部に電源ボタンとボリュームボタン、両側面にはそれぞれスピーカーを内蔵するステレオ構成になっているほか、右側面にはSIMカードスロットと充電用のUSB Type-C端子、右下部の角に3.5㎜イヤフォンジャックを備える。

 カメラは背面1,300万画素のほか、30万画素の補助カメラも備えた2眼仕様の「AIデュアルカメラ」、前面は500 万画素で、顔認証機能も利用できる。付属品は充電用のUSBケーブルとACアダプタ、SIMスロットを開けるピンやマニュアルのみと最小限の構成となっている。

付属品はUSBケーブルとACアダプタ、SIMピンのみとシンプル
横置き時の本体天面部には電源スイッチとボリュームボタン、端にはマイク穴も用意
底面部には清々しいほどに何もない
右側面にはSIMスロット(microSDカードスロット兼用)、スピーカー、充電用のUSB Type-C端子、下の方の角には3.5㎜イヤフォンジャックを備える
左側面にはスピーカーのみ
重量は実測で438g

 見た目については本体表面にはメタリック風味の塗装が施されており、ぱっと見では悪くないが、ディスプレイの額縁部はかなり広めで、やや古めなデザインの印象を受けた。持った時の感触は軽く、取り回しやすそうな作りになっている反面、プラスチックの触感がややチープな印象も受ける。価格が価格なので、ここは我慢するしかない。

SIMスロットにmicroSDカードが収納できる。容量は最大1TBまで対応
角部にイヤフォンジャックを備えるのであまり目立たない点は高評価
右側がメインの1,300万画素カメラで左側が補助の30万画素カメラのデュアルカメラで、同社製品情報によると「AIデュアルカメラ」としている
カメラ設定には英語表記が多く見られる

 「TECLAST M50HD」にはSIMスロットが内蔵されており、データ通信や音声通話が利用できる。タブレットとしては異例とも言える「電話アプリ」も用意されており、電話を試してみたところ、ヘッドセットを繋げない状態ではスピーカーから音が鳴った。家では問題ないだろうが、外出先で電話を受けるならヘッドセットは必須だ。

 4Gデータ通信には対応しているが、eSIMについては非対応のようで、今回試しにPovo 2.0の契約を試みたが、モバイルデータ通信の設定項目にeSIMに関する項目がなかったため、利用できなかった。このためモバイル通信は物理的なSIMを使う必要がある点には注意が必要だ。

 また、今回はGoogle Meetsによる会議機能を使ってマイクやスピーカーによる通話機能をチェックしてみた。本体天面部にマイク穴を備えており、USB充電端子のある方を下向きにして手持ちでタブレットを持って声を出した場合でも、問題なくこちらの音声を拾うことができた。

 スピーカーから出力されるのみとなる。そのため、出先などで通話をしたい場合には、本体に備えるイヤフォンジャックに有線ヘッドセットを接続して利用するか、Bluetooth接続のヘッドセットなどを使う必要がある。

ネットワーク設定を開いても、eSIMの設定を行なう項目がないため、モバイルデータ通信を行なうには、物理的なSIMカードが必要となる
「Google Meets」アプリを使った音声通話を試してみたところ。マイクもスピーカーも本体内蔵の物を使用することで単体でも通話が行なえる。ただし、スピーカーからダイレクトに相手からの音声が出力されるため、外出先などではヘッドセットを使用するのがいいだろう

フルHD解像度の映像配信に対応!

 続いては最注目のNetflixによる映像視聴についてチェックしてみた。先ずはNetflixヘルプページをチェックして、「TECLAST M50HD」が対応製品に含まれるかをチェックしてみたが、ここには残念ながら記載なし。

 次にNetflixアプリの設定をチェックする。Netflixアプリにログインし、メニューの「アプリ設定」を開き、「診断」項目にある「再生仕様」をチェックしてみると、デジタル著作権項目には「Widevine」にL1が表示されているほか、「最大再生解像度」はきちんとFull HDとなっているのが確認できた。つまりNetflixとして公式にはサポートしていないデバイスだが、ハードウェア上はフルHD解像度による映像再生が可能な環境であることが分かる。なお、HDR(ハイダイナミックレンジ)には非対応となっている。

 では実際のコンテンツがフルHDで再生されているかについてだが、これが分からない。というのもPCのブラウザ版であれば、再生情報を画面に表示する隠しコマンド(Ctrl+Alt+Shift+D or Q)で解像度などが表示できるが、Androidアプリの場合は再生中の詳細情報を表示する機能がないためだ。そのため、以降はあくまでも筆者の目で比較したざっくり所感になってしまう点は予めご了承願いたい。

 ということで、PCのブラウザを使用した映像視聴(裏コマンドでフルHD解像度なのは確認済み)と「TECLAST M50HD」上のNetflixアプリを使用した映像視聴を目視でざっと比較してみたが、「TECLAST M50HD」側の映像もきちんとフルHD解像度で表示されているように感じられた。

 パフォーマンスについても動画再生時に特にコマ落ちや映像の乱れはなく、快適に映像を楽しむことができたので、映像視聴がメインなら十分に使える印象だ。

Netflixのプラン一覧。現在は最も安い「広告つきスタンダード」を選択した場合もフルHD解像度の映像が楽しめるようになっている
Netflixアプリの「再生仕様」を確認すると「デジタル著作権管理」の「Widevine」がL1になっているほか、「最大再生解像度」が「Full HD」になっていた。なお、「HDR機能」は残念ながら「なし」だった
PCのブラウザ版で動画を再生しながら隠しコマンド(Ctrl+Alt+Shift+D or Q)を入れることで、再生中の映像情報の詳細が表示される。解像度は1,920×1,080ドットなのが確認できたがAndroidアプリにはこの機能がなくて確認できず

 同様にAmazon Prime Videoについてもチェックしてみた。まずはヘルプページを確認してみたが、具体的なデバイスに関する記述はなく、ストリーミング画質については「Ultra HDまで」と記載があるのみだ。そこで実際にAmazon Prime Videoアプリをインストールして再生してみたが、再生自体は問題なく行なえた。画質の設定については、設定項目にある「ストリーミング品質」を「最高画質」に変更することで、こちらも1080pのフルHD解像度で映像を楽しむことができた。

設定変更は右上のアイコンから設定メニューを開き、「ストリーミング品質」を「最高画質」にすればOKだ
再生中に左下の情報をチェックすると、1080pと表示されており、フルHD解像度で再生されているのが分かる

 このあたりは、1,280×800ドットクラスの解像度を持つ1万円前後の8型タブレットと差別化できる部分だと思われる。

画質設定を工夫すれば「原神」もプレイ可能

 最後に「TECLAST M50HD」の処理能力について、簡単に各種ベンチマークを実施した。結果は「AnTuTu Benchmark V10」の総合スコアは248,380、「Geekbench 6」のスコアはSingle-Coreが378でMulti-Coreが1,413、「3DMark」のスコアは「Wild Life Extreme」が109、「Wild life」が423、「Sling Shot Extreme」が958、「Sling Shot」は1,431、「PCMark」の「Work 3.0」が7,155、「Storage 2.0」が17,165となった。

「AnTuTu Benchmark V10」の総合スコアは248,380
「Geekbench 6」の結果
「3DMark」の「Wild Life Extreme」は109とかなり厳しめ
「Wild Life」は423
「Sling Shot Extreme」が958
「Sling Shot」は1,431
「PCMark」の「Work 3.0」は7,155
「Storage 2.0」は17,165とかなり善戦している

 ベンチマークのスコアとしてみると、全体的にGPUのスコアが弱いため、ゲームプレイでの利用には向いていないというのが正直な感想だ。

 試しにスマートフォン向けの2Dシューティング「アズールレーン」をインストールして実行してみたが、画面を見ていると、その動きはややもっさりしており、キャラクターを選択するような画面操作であっても、読み込みに時間がかかるなど、かなりもたついた動作となっていた。

 もちろん自動周回するようなゲームといった、こちらの操作が不要な場面で使う分には問題はないので、日々の任務やレベリング、金稼ぎなど、オート設定による周回作業で使う用途でなら十分実用になる。

 ほかにも比較的カジュアルなタイトルを遊んだり、昔ながらのタイトルを継続して遊ぶための端末としてなら十分に活用できるだろう。

2Dシューティング「アズールレーン」を起動してみたが、動作はかなりもっさりで手動操作で遊ぶ場合はあまりおススメできない。自動周回なら放置でいいので活用は可能だ
「CPU-Z」の「Soc」タブ
メモリ容量やディスプレイ情報などは「DEVICE」タブで確認できる
OS情報は「SYSTEM」タブから確認が可能

 実際のパフォーマンスの比較としては、こちらの記事で紹介している「TECLAST P80T」の動画と同じシチュエーションを再現して同じように動画撮影したものをご確認頂きたい。

 実際の動画を見てみると、Webサイト閲覧時の画像展開はかなり速く、実用的なパフォーマンスが発揮できていると感じられた。また、「Kindle」アプリによる電子書籍閲覧、YouTube動画再生なども快適だ。

 ゲームについては「原神」も追加でプレイしてみた。データロード時の読み込みに多少の時間がかかっている印象のほか、操作時などに多少のもたつきはあったが、なかなか快適にプレイできた点については驚きだ。ただし、画質の設定については「最低品質」がデフォルトとなっており、画質を上げてみると明らかにフレームレートがが低下しており、高解像度でのゲームプレイにはまだまだ難があるという印象だ。

ブラウザで動作テスト
YouTubeで動作テスト(TECLAST M50HD)
Kindleアプリで動作テスト
原神で動作テスト(TECLAST M50HD)

Webブラウジングや動画視聴に最適

 以上、TECLAST M50HDをベースに1万円台後半のタブレットをざっくりとチェックしてみたが、Widevine L1対応のフルHD対応モデルとして見ると、そのコスパはかなり高いと言える。

 ちなみに実際にAmazonで10.1型タブレットを検索してみると、解像度が低かったり、Widevine対応の情報が書かれていなかったり、価格が割高だったりするため、購入時はこうしたスペックをよくチェックして購入すれば「ハズレ」を引くことを避けられる。

 より幅広い用途を考える場合は、5万円前後で購入できる第9世代のiPadを選択する方が確実だが、コスパ重視の動画専用機の1台として考えるなら、1万円台後半のタブレットも、有力候補の1つとして考えてもいいのではないだろうか。