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東芝PC事業の社員も入居する? シャープの単身者向け社員寮「誠意館」をみる

シャープの単身者向け社員寮「誠意館」

 シャープは、大阪府堺市の本社エリアに、単身者および独身者向けの社員寮「シャープ堺匠寮 誠意館」が完成したのにあわせて、2018年6月20日、シャープの戴正呉会長兼社長などが参加し、開所式を行なうとともに、内部の様子を公開した。7月1日から入居を開始する予定だ。

 シャープでは、大阪市阿倍野区の地下鉄西田辺駅の旧本社の近くに、早春寮があり、単身赴任をしている戴会長兼社長も同寮に入居しているが、「早春寮は、もう50年を経過しており、耐震面などが心配である」(戴会長兼社長)といった背景があるほか、現在の本社からは交通の便が悪く、通勤面でも課題があったことから、新たな寮を建設した。

 同社が新たに社員寮を建設したのは、1997年以来、21年ぶりのことになるという。

 誠意館は、シャープの本社があるグリーンフロント堺の入口横にあり、本社には徒歩で通うことができる位置だ。建設した場所は、もともとシャープの敷地であり、今後、創意館と呼ぶ新たな寮を、誠意館の隣接地に建設することも予定しているという。

 「経営信条の『誠意と創意』を新たな寮の名称とした。社員は、毎日、経営信条を意識しながら生活することになる」(戴会長兼社長)という。

 一方で、西田辺の旧本社エリアでは、NTT都市開発から買い戻した大阪での創業地に、スマートホームの建設を計画しているが、「早春寮は、スマートホームが完成してから改築する」とした。

 誠意館に戴会長兼社長が入居するかどうかは未定だという。シャープは、2018年10月に、東芝でPC事業を行う東芝クライアントソリューションを買収する予定だが、「もし、PC事業の関係者が、本社エリアで勤務し、単身赴任することになれば、誠意館に入居する可能性もある」(シャープ関係者)という。

テープカットを行う(右から)シャープの呂旭東取締役、シャープの野村勝明副社長、シャープの戴正呉会長兼社長、清水建設の池田耕二取締役専務執行役員

 6月20日午後3時から行なわれた開所式では、シャープの戴会長兼社長のほか、野村勝明副社長、呂旭東取締役、設計および施工を担当した清水建設 関西支社長の池田耕二取締役専務執行役員が参加。除幕式やテープカットを行なった。

 挨拶したシャープの野村副社長は、「寮名は、当社の創業の精神を今後も大切にしていこうという思いを込めたものにした。この寮での生活者はもとより、社員一同、創業の精神を忘れることなく、引き続き業務に邁進することを誓い合いたい。ステークホルダーへの期待に応えてこそ、社員への福利厚生面での充実が図れる。こうした好循環を確実なものにしていく決意を強くした」と語った。

 また、清水建設の池田耕二取締役専務執行役員は、「シャープが、早川電機工業時代だった1953年に、西田辺のテレビ工場の新築工事を請けおって以来、日本国内、世界各地の拠点において、長年に渡りお世話になってきた。グリーンフロント堺の建設では、当社初のビッグプロジェクトを請け負った。

 今回の計画は、本社を堺に移転したことにともない、単身者の利便性を高めるために建設した施設であり、大切なプロジェクトを施工させてもらった。また、建設に当たっては、工業専用地域での住宅の建設という困難を乗り越えるために、諸官庁との協業などでシャープの協力を得て、設計および申請に必要な期間を短縮できた。そして、無事故、無災害で開所式を迎えることができた」などと挨拶した。

除幕式の様子
挨拶するシャープの野村勝明副社長
挨拶する清水建設の池田耕二取締役専務執行役員

 では、シャープ堺匠寮 誠意館の様子を写真とともに紹介しよう。

 シャープ堺匠寮 誠意館は、6,218平方mの敷地に、鉄筋コンクリート構造の6階建ての寮として建設。建築面積は1,476平方m、延床面積は6,151平方m。

 社員向けには190室を用意。本社や堺事業所などに勤務する独身者や単身赴任者が対象であり、シャープ以外のグリーンフロント堺への進出企業の社員は対象外だ。8月末までに約150人が入居する予定だという。

 3~6階が男性専用、2階が女性専用としており、各部屋ともに1ルームの間取りとなっている。1部屋あたりの面積は約17平方mで、ユニットバスのほか、机、ベッド、クローゼットが最初から設置されている。机は、戴会長兼社長の要望で、当初の予定よりも、使いやすいものが導入されたという。

誠意館の玄関の様子
壁面にはシャープのロゴがある
玄関を出ると、目の前がグリーンフロント堺の入口となる
誠意館の目の前の空き地に創意館が建設されることになる
誠意館の裏には公園が設置されている
この公園は「たくみの広場」と呼ばれている
ソーラー・LED照明灯も設置されている
一階の入口の様子
廊下の様子。全部で200室が用意されている
一般の部屋の入口
一般の部屋はワンルームになっている
机は戴会長兼社長の提案で使いやすいものに変更されたという
ベッドも最初から用意されている
ベッドの下には収納を用意している
ベッドの横にはクローゼットも用意されている
エアコンはシャープ製。高濃度プラズマクラスターイオンを搭載している
こちらはまだ家具が運び込まれていない部屋の様子
一般の部屋にはユニットバスが導入されている
バルコニーの様子
バルコニーからは、大阪湾につながる大和川が見える。残念ながらランドマークといえるようなものが見えるわけではない
エレベータは2基用意されている
階段はシンプルなものになっている

 また、女性社員の入居希望が当初予定よりも多かったことから、女性専用エリアを拡大したという。最新のセキュリティシステムで管理。全室禁煙であり、喫煙室が各フロアに用意されている。

 だが、部屋のなかにはキッチンや洗濯機を設置する場所が用意されておらず、炊事や洗濯は共用エリア(自炊室、洗濯室)で行なうことになる。

 独身寮とはいえ、昨今の流れからすれば、共用部での炊事や洗濯を嫌がる若者や単身者も多いといえ、シャープの社員のなかにも、このあたりを嫌がる例があったとの声が聞かれている。

 一方で、1階にはVIPルームとして10部屋を用意。役員や本部長以上の役職者、鴻海グルーブの出張者、取引先の社員などが入居したり、臨時宿泊できるようにした。

 こちらは1Kの間取りで、1部屋あたり約34平方mと2倍の広さになっており、机やベッドのほか、作り付けの収納ダンスを用意。さらに、45型~60型の液晶テレビも設置されている。一般の部屋にはない洗濯機などが設置されていた。

1階の掲示板。ここに入居者向けの情報が掲載される
1階の食堂スペース。ここで開所式が行なわれた
共用となる自炊室には冷蔵庫やIHクッキングヒーターを設置する
IHクッキングヒーターは日立アプライアンス製。ちなみにシャープはこの分野の製品がない
喫煙室は各フロアに用意されている
1階のVIPルームの様子
VIPルームには洗濯機が設置されている。洗濯機の上にはプラズマクラスタードライヤーの箱も
VIPルームにはキッチンがある
冷蔵庫とともに、単身者向けに最適なヘルシオも設置されている
VIPルームのシャワールーム。トイレとは別になっている
45型の液晶テレビ「AQUOS」が最初から設置されている。部屋によっては60型の液晶テレビが置かれている
ベッドは一般部屋はシングルで、VIPルームはセミダブル
机や椅子も一般の部屋と同じものを使用
クローゼットは作り付けのものになっている
照明もプラズマクラスター搭載モデルを設置
バルコニーの様子
バルコニーに設置されたエアコン室外機。プラズマクラスターのロゴが入っている