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NVIDIA超えを強調、AMDは2nmの第6世代EPYCとMI455Xに自信

第6世代EPYCを手に持つAMD リサ・スーCEO

 AMDは年次イベント「AMD Advancing AI 2026」を7月22日から23日に米サンフランシスコで開催し、データセンターAI向けとなるGPU「Instinct MI455X」やCPU「第6世代EPYC」などを正式発表した。

 7月23日には、CEO リサ・スー氏による基調講演が行なわれ、今後のAI向け半導体市場の見通し、そして今回のイベントでAMDが発表した新製品の説明が行なわれた。

AIアクセラレータは2030年に現在の半導体市場全体の規模とほぼ同じ1.4兆ドルになる

AMD CEO リサ・スー氏

 AMD CEOのリサ・スー氏は、CESの前日基調講演と同じような青い上着をまとって登場した。いきなり話が脱線して恐縮だが、ここ数年のスー氏は青い上着がお気に入りのようで、昨年のAdvancing AI 2025で赤い上着を着ていたのを例外にして、2年前のAdvancing AI 2024と3年前のAIイベントでも青い上着を着ていた。

トークン消費量はこの2年で158倍と急増している
今年は60%推論になる見通し

 スー氏は「私は、ここ最近のAIはこの50年間で最も重要なテクノロジだと説明しているが、ほぼ毎月私達の想像を遙かに超えるような新しいことが起きている。数年前に多くの人がチャットボットを試し始めたときから比べると、今のトークン消費量は158倍の350億以上に達している。そうした中で学習は依然として重要な位置を占めているが、すでに推論が立ち上がってきており、今年は推論の処理の方が多くなると我々は考えている」と述べ、今AI向けの半導体の需要が学習から推論へシフトしつつあるとした。

AIアクセラレータのTAM(想定市場規模)は25年の2,000億ドルから30年には1.4兆ドルに増える見通し
サーバーCPUのTAMも2025年の260億ドルから、2030年には2,200億ドルへ成長する見通し
AMDのTAMも2030年には2兆ドルへ

 その上で、AI半導体への需要は増すばかりであるとする。

 「我々は昨年のこのイベントでAIアクセラレータ(筆者注: GPUやTPUなどのこと)のTAM(Total Addressable Market: 想定市場規模)は、2028年に約5,000億ドルになると説明した。その数字は昨年の段階では過大だと考えられていたが、今となっては保守的な見通しになっている。AIがAIを作り出すような状況の中で、2030年にはそれは1.4兆ドルに達すると予想しており、これは現在の半導体市場の大きさとほぼ同等になっている。

 さらにエージェント型AIの急速な普及により、CPUへの需要は増しており、今日の260億ドルから2030年には2,000億ドル超と大きく成長すると考えている。それらを合わせることで、AMDのTAMは、25年に3,650億ドルだが2030年には2兆ドルに達すると考えられる」と述べ、AIアクセラレータ向けもサーバー向けCPUも市場規模が大きくなるため、AMDにとってのチャンスだと強調した。

 その上で「大事なことは幅広い製品ラインナップを提供し、それと同時に強力なロードマップを用意して、確実にそれを実行していくことだ。AMDはここ最近そうしたことを着実に実行してきた」と述べた。

Heliosは現時点で世界最高のAI向けラックスケールソリューション

Heliosに採用されているAMDの製品を紹介するスー氏

 スー氏は、今回のAdvancing AIで正式に発表したデータセンターAI向けGPU「Instinct MI455X」および、そのMI455Xを72基、ラックに格納した「Helios」に関しても説明した。

 両製品の詳しい情報については、以下の記事を参照されたい。

 Instinct MI455Xは、TSMCの2nm(GPUダイ)と3nm(キャッシュインターコネクトダイおよびIOダイ)で製造され、3,200億ものトランジスタを実装するモンスターチップになる。

 新しいCDNA 5アーキテクチャを採用しており、12層のHBM4を12チャンネル構成で実装。さらに、432GBのメモリ容量を1パッケージで搭載しており、メモリ帯域幅は23.3TB/sに達する。

 NVIDIAのRubinが288GB(22TB/s)であり、Instinct MI455Xはメモリ容量で約1.5倍に、そしてメモリ帯域幅でも上回ることになる。スループットはOCP MXFP4時に40PFLOPS、MXFP8時に20PFLOPSに達する。

Heliosのコンピュートトレイに搭載されているMI455X
Heliosのコンピュートトレイ

 そのMI455Xを72基搭載しているラックがHeliosで、NVIDIAがGrace Blackwell世代以降に「NVL72」の製品名で実現してきた、72基のGPUまでスケールアップできるラックレベルのデザインをAMDも実現したことになる。

 HeliosはOCPで規定されているORW(Open Rack Wide)というやや横長のラックを採用しており、44OU(44個のトレイを格納できるという意味)のラックに18基のコンピュートトレイ(4つのMI455Xと1つの第6世代EPYC CPU)と、6基のスイッチトレイ(後述するUALinkのスイッチコントローラを2つ搭載したトレイ)、電源などが格納されている。これにより、72基のMI455X GPUと18基の第6世代EPYC CPUが1つのラックに搭載される。冷却は液冷式だ。

 ラックの中で、GPU同士が接続されるスケールアップ用ネットワークには、UALinkが採用されている。AMDが開発したUALoEがコンピュートトレイ側に搭載され、スイッチトレイにBroadcomのスイッチチップを備えることで、性能を落とさずにGPU同士を接続可能だ。また、スケールアウト用には、「Vulcano 800 AI NIC」というUltra Ethernetの規格に対応した800Gigabit Ethernetが採用されている。

HeliosはVera Rubin NVL72に比べて高い性能を発揮する

 スー氏は「HeliosはVera Rubinと比較して性能が高く、メモリ容量も多い。Heliosは現時点で世界最高のAI演算向けのラックアーキテクチャ」だと強調し、NVIDIAとの競争でAMDが優位に立っているのだとアピールした。

 また、スー氏は先日2GWの容量のHeliosの導入計画を明らかにしたAnthropicのほか、すでにMI300X時代から導入しているOpenAIの代表者をゲストとして呼び、それぞれHeliosへの期待感などを話し合った。

第6世代EPYCはNVIDIA Veraよりも高性能とうたう

Veniceのバリエーションを紹介するスー氏

 MI455XとHeliosの説明の後、スー氏は話題を第6世代EPYCに移した。

 「CPUの価値はAI推論の進展とともに見直されつつある。しかし、ワンサイズフィッツオールではなく、それぞれのワークロードに合わせた製品が必要になる。第6世代EPYCはそうしたサーバー向けCPUの最初の製品になる」という。

 つまり、第6世代EPYCが従来のサーバーCPUのように、1つの製品ですべてのワークロードをカバーするのではなく、複数のワークロードをカバーする製品になるとのことだ。

 上記の関連記事で紹介している通り、第6世代EPYCは、次の4種類が登場する。

  • EPYC 9006 SP7(Venice SP7)
  • EPYC 9006 SP8(Venice SP8)
  • EPYC 9006X SP7(Venice-X)
  • EPYC 9006 LP(Verano)

 しかし、スー氏はそれに加えてVenice HF、Venice 256cというコードネームの製品も用意されており、合計6種類の製品があることを明らかにした。

第6世代EPYCの概要、コンピュートダイが2nmで、IODが6nm
複数の製品が用意されているVenice

 それぞれターゲットとなるワークロードがVenice HFとVeranoがデータセンター用GPUのホストCPU向けとなり、Venice 256cがエージェント型AI用のCPU向け、残りのVenice SP7、Venice SP8、Venice-Xが従来のエンタープライズ用の汎用用途向けと位置づけられていると説明。ソケットやチップレットの構成などが異なり、同じZen 6/6cベースでも製品としての特徴が異なるという。

Xeon 6との比較
Veraとの比較

 それにより、エンタープライズ向けのIntel Xeon 6や、AI GPUのホスト向けのNVIDIA Veraよりも高い性能を発揮するとする。

 特に、NVIDIAがVeraはx86 CPUよりも高い性能を発揮するとCOMPUTEXでアピールしたことに反論するかのように、Veniceの256コア版はNVIDIAのVeraよりも2.2倍、96コア版は20%高性能であると主張した。

 なお、発表時点では不明だったプロセスノードは、2nmであることが明らかにされた。すでに生産が開始されており、最初の製品が第4四半期に投入される見通しだという。

2028年に次世代EPYCのFlorence、2030年にはRavennaが投入

EPYCのロードマップ

 スー氏は、講演の最後にEPYCのロードマップとInstinctのロードマップを紹介した。

 EPYCに関しては、2028年にZen 7/7cコアを搭載した「Florence」(フローレンス)を投入する。Florenceは、日本語ではフィレンツェ(Firenze)で知られるイタリアの都市の英語名になる。

 AMDのサーバーCPUのコードネームは初代のNaples(日本語ではナポリ)以降すべてイタリア都市の英語名となっており、今回もそれを踏襲した形になる。スー氏によればFlorenceでは次世代プロセスノードで製造され、AI向けの拡張命令となるACE、MRDIMMとLPDDRメモリがサポートされる形となる。

 そして、2030年にはZen 8ファミリーベースとなるRavenna(ラヴェンナ、同じくイタリアの都市名)が投入される。

Instinctのロードマップ

 Instinctに関しては2026年にCDNA 6ベースでHBM4eを採用したMI500シリーズが投入され、2028年は新しいCDNAとなるMI600シリーズが投入される。

Heliosのロードマップ

 また、Heliosに関しては「これから1年に1製品ずつ投入していく」と述べ、2026年はCPUにVerano、GPUにMI500を採用した「Helios 500」を、2027年にはCPUにFlorenceのバリエーションである「Ferrara」を、GPUにはMI500シリーズを採用した「Helios 600」を提供していくと説明した。