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Meta VR Glassesは長時間PC作業も疲れにくい、約100gの実力を体験

Meta「Meta VR Glasses」2027年春発売、1,299.99ドル(約20万5,000円、1ドル=約157.65円換算。現時点での日本販売価格は未定)

 重さ約100gでストラップ不要のグラス型VRデバイスを、実際に装着して試した。Metaは9月24日に開催された「Meta Connect 2026」にて、コードネーム「Project Phoenix」として噂されていた新型VRヘッドセット「Meta VR Glasses」を発表した。発売時期は2027年春で、価格は1,299.99ドル。日本での販売価格は現時点では未定だ。

 Meta VR Glasses最大の特徴は、プロセッサやバッテリなどを外部ユニットとして分離する2パーツ構成を採用し、ヘッドセット本体を小型・薄型・軽量化したこと。また、外部センサーを増設することで、「Apple Vision Pro」同様に腰付近でのハンドジェスチャーも検知可能となっている。さらにディスプレイとカメラの解像度も向上しており、PCのバーチャルデスクトップ画面に表示されたテキストも鮮明に読めるほどの高解像度を実現した。

 今回、Meta VR Glassesを実際に試用する機会を得たので、操作感、画質・音質、装着感、そしてPCワークやVRゲームでの使い勝手について詳しくお伝えしよう。

「Meta VR Glasses」は本格的な「空間コンピューティングデバイス」

 まずMeta VR Glassesの技術的特徴について解説しよう。本製品は仮想現実(VR)や拡張現実(AR)にとどまらず、現実世界とデジタル情報をシームレスに融合させる「空間コンピューティング(Spatial Computing)」を実現したウェアラブルデバイスだ。

 Metaは現行の「Meta Quest 3/3S」を公式サイトで「VR(仮想現実)ヘッドセット」と記載している。一方、Meta VR Glassesについては、映画館、コートサイドの特等席、ワークスペース、ゲームコンソールを凝縮した「VRの新時代を定義するデバイス」と、一段階引き上げて位置付けている。

 プロセッサにはQualcomm製「Snapdragon Reality Elite」、OSには既存のQuestシリーズ用アプリやゲームとの互換性を確保した独自OSを採用しつつ、「Meta AIエージェント」を統合。視線追跡、目のジェスチャー、ハンドジェスチャー、そして音声コマンドが標準的な操作方法となる。

 特に、外部センサーの数と精度を向上させることで、Questシリーズよりも高い精度と広い範囲で「ハンズフリー」な直感的操作が可能になったのは大きな進化だ。なお、物理コントローラが必要な特定のゲームやアプリについては、従来のコントローラを接続することで利用可能となる。

 ディスプレイ面では、micro-OLEDパネルを採用した「5K Infinite Display」を搭載している。また本製品専用に開発されたパンケーキレンズにより、薄型化と鮮明さを両立させている。このディスプレイはDolby Vision、スピーカーはDolby Atmosによる空間オーディオに対応しているため、視覚・聴覚の両面で没入感が高められている。

micro-OLEDパネルを採用した「5K Infinite Display」。レンズはパンケーキレンズ

 ボディ構成は大幅に刷新。前述の通りMeta VR Glassesは2パーツ構成が採用されており、グラス本体はカードデッキ相当(Questシリーズの約1/5)の約100gまで軽量化されている。グラス本体にはセンサーとディスプレイ機能のみが組み込まれており、マグネシウム合金ボディにより剛性と強度を確保しつつ、冷却性能を高めている。

 光ファイバーケーブルで接続される「パック」には、演算処理、バッテリ、ストレージ関連パーツが内蔵されており、クリップで取り付け可能となっている。

 Windows PCやMacにワイヤレスまたはUSB Type-C経由で接続し、バーチャルデスクトップ画面で作業を行なえる。フルカラーのパススルーにより周囲の現実空間を表示できるので、キーボードやマウスなども普通に使えるし、仮想的なSurfaceキーボードとタッチパッドで操作することも可能だ。

 さらに、パックにはmicroSDメモリーカードスロットが用意されており、ストレージを増量できる。ゲームやアプリのインストールでストレージ容量がひっ迫しても対応できるわけだ。

 本記事執筆時点ではセンサー類に関する詳細なスペックは不明だが、製品写真を見る限り、前面にRGBカメラと深度センサーをそれぞれ2つずつ、側面にRGBカメラ(またはセンサー)を2つ、下面にRGBカメラ(またはセンサー)を2つ搭載しているようだ。

グラス前面。左右上部にはRGBカメラと深度センサーをそれぞれ搭載

 また、本製品は側面部が開放された構造となっており、密閉型ヘッドセット特有の圧迫感や蒸れを軽減し、装着時の快適性を高めている。

 一方で、完全に仮想空間に没入するVR体験を得たい場合は、別売りの接眼パッドを装着する必要がある。Questシリーズが「VR体験」に軸足を置いた密閉型デバイスであったのに対し、Meta VR Glassesは開放構造による日常使いのしやすさと、高品質なVR体験を両立させた空間コンピューティングデバイスといえるだろう。

本体上面。右上にはアクションボタンを配置
本体下面。左右のツルの下にRGBカメラ(またはセンサー)を搭載。これにより下方向のハンドジェスチャーも認識できる
左右側面にもRGBカメラ(またはセンサー)が内蔵
プロセッサ、メモリ、ストレージ、バッテリなどが内蔵された「パック」。グラス本体と接続するケーブルは光ファイバー方式
ベルトなどに装着できるクリップが付属する
上面からはケーブルが伸び、下面にはUSB Type-Cを装備。Questシリーズと同様にWindows PC、Macとの接続に対応する
左側面にはmicroSDメモリーカードスロット、右側面には電源ボタンを配置。microSDメモリーカードスロットによりストレージを増量できる

Meta VR GlassesとQuest 3/3S・Vision Proの主な違い

 記事執筆時点でMeta VR Glassesのスペックのすべては公表されていない。そのため確実な情報のみで、ほかのデバイスとの違いを見ていこう。

 まずプロセッサだが、Meta VR Glassesは「Snapdragon Reality Elite」を搭載している。

 Snapdragon Reality Eliteは、「Snapdragon XR2 Gen 2」世代からCPU、GPU、AI、メモリ、映像処理を大幅に強化した最新XR用プロセッサだ。CPUの最大クロック周波数は2.4GHzから2.9GHz、メモリの動作速度は最大3.2GHzから4.2GHzへ高速化。最大表示解像度も3.1K×3.1K/眼から4.4K×4.4K/眼へと向上している。

 なおQualcommは、Snapdragon Reality Eliteが「Snapdragon XR2+ Gen 2」に対して、CPUは最大30%、GPUは最大60%、NPUは最大160%高速と公表している。この倍率は比較対象が「XR2+ Gen 2」。当然、「XR2 Gen 2」を搭載するMeta Quest 3/3Sと比較すれば、さらに大きな性能差となっていることは間違いない。

【表】Snapdragon Reality EliteとXR2 Gen 2のスペック比較
Snapdragon Reality EliteSnapdragon XR2 Gen 2
CPU最大クロック周波数2.9GHz2.4GHz
AI性能最大48TOPS非公表
最大表示解像度4.4K×4.4K/眼3.1K×3.1K/眼
同時カメラ処理最大12基最大10基
メモリ速度最大4.2GHz最大3.2GHz

 画質面では、Meta VR Glassesの画素密度(PPD)向上が大きなポイントだ。Meta VR Glassesは37PPDを実現しており、これに対し「Meta Quest 3」は25PPD、「Meta Quest 3S」は20PPDとなっている。単純比較すると、Meta VR GlassesはMeta Quest 3より約48%、Meta Quest 3Sより約85%高いPPDを達成している。スペックのみを見ても、従来モデルとは数段異なる高解像感を期待できるわけだ。

 なお、Apple Vision Proは両眼合計2,300万ピクセルという非常に高解像度なディスプレイを搭載しているが、PPDが公表されていないため、スペックだけでは直接比較できない。

実際に「Meta VR Glasses」を体験してみて

 それでは、Meta VR Glassesを実際に装着し、操作した感想をお伝えしよう。なお、今回は体験中の写真撮影が許可されておらず、ディスプレイに表示された映像をレンズ越しに撮影することもできなかった。以降の写真は筆者の装着写真などを除き、すべて公式画像を使用していることを最初にお伝えしておきたい。

 まず印象的だったのは、その軽さと開放感だ。重量はQuestシリーズの約1/5にあたる約100gとされており、「XREAL One Pro」(約87g)などのARグラスに近い装着感だ。側面が開放されているため心理的な圧迫感がなく、高さを調節できるノーズパッドにより、フィットしやすい設計となっている。通気性のよさも含め、長時間の使用でも疲れにくいヘッドセットだと感じた。

顔の大きい(頭囲64cm)筆者が「Meta VR Glasses」を装着しても、少し大きめのサングラスのようにしか見えない
サイズ感や重量感は、20,000mAhのモバイルバッテリ程度だ

 操作感については非常にこなれており、ほぼストレスを感じなかった。体験前に実施した目のキャリブレーションは、Apple Vision Proと同様に円状に並んだポイントを視線で追跡し、指のタップで設定していく方式だ。明るい画面と暗い画面の2回行なう点も共通しており、スムーズに設定を完了できた。カーソルの追従は非常になめらかであり、視線トラッキングは安定しているといえるだろう。

カーソルの追従は非常になめらかで、視線トラッキングは安定している

 ハンドジェスチャーでは、親指と人差し指を触れ合わせる「タップ」や、人差し指の側面をなぞるような動作の「スクロール」などが自然に行なえた。誤認識はほぼなく、Questシリーズとは異なり下側にもセンサーを搭載しているため、腰あたりで操作しても認識される点は便利だ。

 ただし、手のトラッキングを一瞬見失うことが何度かあり、10cmほど手を上げると再び追跡が始まった。環境光や、椅子・着ている服の色などによって、腰付近の操作がやや不安定になっている可能性がある。この点については発売までに改善、もしくはどのような条件で発生しやすいのかを情報開示してほしいところだ。

左右下部にセンサーが搭載されており、腰あたりでのハンドジェスチャーを認識できる

 側面が開いているため外光の影響を心配していたが、実際に装着してみるとほとんど気にならなかった。レンズと目の距離が近いため、外光と外の景色が邪魔に感じにくいのだろう。オプションで販売される接眼パッドは、日常的な利用では購入を見送っても問題ないと感じた。

外光を遮断する接眼パッドはオプションとして用意される

 最も魅力を感じたのは画質の向上だ。筆者は現在、Meta Quest 3や「XREAL One」を使用している。映像コンテンツやコミックを見るぶんには問題ないものの、Windows PCやMacなどのバーチャルデスクトップ画面で細かいテキストを表示した際に、文字がややボケることに不満があった。

 しかし本製品では、その微妙なボケがほとんど感じられず、アプリケーション内の細かい文字もクッキリと見えた。もちろん現実と見間違うほどの解像度ではないが、長時間のPC作業においても、実用的な解像感を実現しているといえる。

このように画面を表示しても、小さい文字がクッキリと見える

 音質面でも空間オーディオによる広がり感やボリュームの大きさは十分。コンサートやスポーツ映像の臨場感は前世代より大きく進化しており、飛行機や電車での長時間移動中のコンテンツ鑑賞にもってこいといえる。ただし、音量次第では当然ながら音漏れが避けられないため、公共の場で利用する場合はBluetoothイヤフォンとの併用が必須だ。

今回の体験では「Disney Immersive Cinema by ILM」アプリで「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」のいちシーンを鑑賞できた。3D映像や空間オーディオに加えて、画面外にもシーンに合わせたエフェクトが表示され、映画館とはまた違った没入感を楽しめる

 また、「Beat Saber」では2027年予定の大型アップデートで実装される「Beat Saber: Flux」という、ハンドトラッキングを使用して両手の間のエネルギーで「ノーツ」を切る新しいプレイ方法を体験した。マンガ好きの筆者は、まるで「HUNTER×HUNTER」の「バンジーガム」のような操作だなーと思いつつ、なかなか高いスコアで完走し、説明員の方に「プレイしたことあるんですか?(笑)」とお褒めの言葉をいただいた。

 このアップデートでBeat Saber: Fluxとして、ハンドジェスチャー操作とコントローラの両方に対応した35曲が収録されるとのことなので、Meta VR Glassesのキラータイトルになることは間違いないだろう。

能力の特性は異なるが、両手で広げてエネルギーを展開する操作は、まるで「HUNTER×HUNTER」の「バンジーガム」のようだ

Meta VR Glassesは価格上昇に見合う活用範囲と実用性を実現

 限られた時間ではあったが、今回の体験を通じて、Meta VR Glassesが快適な装着感、安定した視線・ジェスチャー操作、そして高解像度ディスプレイによる鮮明な視認性を兼ね備えていることを確認できた。確かに価格は上昇するものの、そのぶんだけ活用範囲が大きく広がっている。サイズ的にもバッグに無理なく収納できるため、毎日携帯して使用するウェアラブルデバイスとして非常に魅力的な製品だといえよう。

グラスもパックも薄いので、無理なくバッグに収納できる。このサイズ感なら毎日携帯できるはずだ