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川崎重工、重量物を動かしたり道具を使ったりできるヒューマノイド「Kaleido」9代目
2025年12月4日 09:47
川崎重工業はヒューマノイドロボット「RHP Kaleido(カレイド)」の最新モデルを、12月3日~6日の日程で東京ビッグサイトにて開催中の「2025国際ロボット展」で公開した。30kgある棚を動かしたり、ほうきのような人の道具を使って人と一緒に掃除をしたり、HMDを使った遠隔操作ができるようになった。
「災害現場対応」にこだわって開発されているKaleido
Kaleidoは2015年から川崎重工が開発しているヒューマノイド。2017年に初代モデルが公開された。今回のKaleidoは9代目。堅牢な構造や人との共生をテーマに開発されている。
川崎重工業常務執行役員精密機械・ロボットカンパニープレジデントの松田義基氏は「川崎重工業のロボットディビジョンでは『ロボットと生きる 喜び豊かな未来をささえる』をパーパスとして掲げて活動している。前回のロボット展では安全柵を超える、常識を超えるという意味で『ビヨンドボーダー』をテーマにした。そして今回はAI技術、移動技術、音声などさまざまな技術要件がよくなり、ロボットは相棒として一緒に活動できる、一緒に働ける、遊べる仲間になっている。そのことを伝えたい」と語った。
そして、ヒューマノイドに取り組んでいる理由は「災害現場だ」と述べ、「人が働けない、もしくは一緒に働ける、頑丈で信頼性のあるロボットを作りたい。だから今ある防火服や道具をそのまま使えるように、あえて人間のサイズにこだわっている」と続けた。
今回の「バージョン9」のKaleidoは足腰、センサーの活用、遠隔操作の3点において大きくバージョンアップしていると紹介した。ヘッドマウントディスプレイを使って遠隔操作することもできる。開発においてはNVIDIAのIsaac SIMを活用して、シミュレーション上で数千体を同時に動作させて強化学習を行なった。
人間のパートナーとなることを目指すKaleido
今回のデモステージは工場、家庭、災害現場の3つのシーンを想定。それぞれで作業を行なう。Kaleidoはまず、新規に開発された専用車椅子の「Kaleido Station」に乗って登場した。平坦な場所では車輪移動を使って移動するコンセプトで、ロボット本体への給電機能も持っている。これにより長時間稼働が可能になる。
デモはKaleidoと対話を行ないながら進めていく。Kaleidoは川崎重工業のほかのヒューマノイドやソーシャルロボットを紹介しながら自分の能力を説明する。多言語対応も可能だ。従来モデルに比べて頑健性が大幅に向上し、センサを使うことで周囲の環境や地形なども認識できるようになった。
実際のデモではまず、川崎重工業の次世代ロボットコントローラが導入された「少し先の未来の工場」を紹介。他社メーカー含む複数台のロボットや外部のモーターが、1つのコントローラでつながって制御される。川崎1社だけではなく複数のメーカーともつながることを想定したコントローラだ。さらにクラウドプラットフォーム「ロボクロス」との接続により、音声指示で生成AIの処理結果をもとにロボットの動作パターン変更ができる。Kaleidoが実際に音声を使って指示をしてロボットを動かす。
次に家庭エリアへ移動したKaleidoは、柵を自分の手を使って開けて、ほうきを使った庭掃除を手伝い、人と一緒に落ち葉を集め、ゴミ袋をバケツ型のゴミ箱に捨てる。途中では周囲の環境を認識して障害物などを回避できることも示される。
最後が災害エリアでのデモで、ここでは遠隔操作を使って、火災を想定した現場で消火活動や救出活動を行なう。人は「Meta Quest 3」を使ってロボットを操作する。
Kaleidoは救出作業の途中で、重量30kgの棚を両手を使って移動させてルートを確保し、ぬいぐるみの子猫を救出する。普段は工場や家庭で人に寄り添い、緊急時には命を守るレスキューを行なうというイメージだ。
同日行なわれた「ヒューマノイドロボットフォーラム」でもウェルビーイングな社会を共創するためのロボット技術が紹介された。状況理解するAI、不整地でも歩行できるロバスト歩行、音声指示、リモート操作の4要素によってヒューマノイドは「バディ(相棒)」となれると紹介された。
4脚パーソナルモビリティ「CORLEO」は2035年製品化を目指す
大阪・関西万博でも展示された4脚ロボット型パーソナルモビリティ「CORLEO(コルレオ)」も出展されている。出展されているのは万博と同じものだが、事業計画が発表された。2030年開催予定の「サウジアラビア・リヤド万博」の会場内モビリティとして採用されることを目指すとともに、2035年の製品化に向けた開発に取り組む(リリース)。
川崎重工ではCORLEOを「モバイルバディ」と位置付けている。「誰もが楽しく安全にオフロードを移動できるコンセプトモデルモビリティ」だという。体力に自信がない人でも山岳地帯で安全に移動できるようになるモビリティで、パーソナルな設定をクラウドに保存することで、心に寄り添う製品を目指す。


































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