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キヤノン、5nm対応で消費電力が10分の1になる半導体製造装置を発売

 キヤノン株式会社は、独自の「ナノインプリント」(NIL)技術を採用した半導体製造装置「FPA-1200NZ2C」を発売した。

 半導体製造でもっとも重要となるのが、回路パターンをウェハに転写する露光装置だが、ウェハ上に塗布されたレジスト(樹脂)に光を照射して回路を焼き付ける手法が一般的。従来の手法では光学系という介在物があるため、プロセスノードの微細化は光源の波長の微細化に依存していた。

 今回キヤノンが開発したNILでは、ウェハ上のレジストに、回路パターンを刻み込んだマスク(型)を押し付けて回路パターンを形成する。光学系を省くことでマスク上の微細な回路パターンを忠実に再現でき、複雑な2次元/3次元回路パターンを1回のインプリントで形成できるようになる。

 この光学系を省いたシンプルな構造とすることで、既存の最先端ロジック向け露光技術(5nmノード/線幅15nm)における消費電力は、投影露光装置と比較して10分の1となり、CO2削減にも貢献できるという。加えて、3次元パターンも1回で形成できるため、数十nmの微細構造であるXR向けのメタレンズなど、半導体デバイス以外の用途にも活用できるという。

 また、現在は既存の最先端ロジック半導体製造レベルである5nmノードにあたる最小線幅14nmのパターンを形成できるが、マスクを改良することで2nmノードにあたる最小線幅10nmレベルへの対応も期待される。

光を当てると分光する光学素子。こうした立体微細構造を持つ半導体以外のデバイスも製造可能