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マウス飯山工場で親子パソコン組立教室が4年ぶり開催。6年生がノートやデスクトップを組み立てる

 株式会社マウスコンピューターは7月29日、長野県飯山市にある同社の飯山工場において、「親子パソコン組み立て教室」を実施した。

 小学6年生を対象として、あらかじめ購入したPCを児童自らの手で組み立てるイベント。飯山工場で実際に行なわれているPCの製造工程を体験できる内容となっている。2020年以降は新型コロナウイルス感染症の流行で開催を見送っていたが、このたび4年ぶりの開催となった。長野県内のほか東京、埼玉、神奈川、静岡、岐阜、愛知から31組62名の親子が参加した。

 イベントは、工場見学、部品集め、各パーツの説明、PC組み立て、記念撮影という流れで進行。マウスコンピューターの社員が先生役となって参加者とペアを組み、組み立て作業の補助を行なった。

 開校に際してマウスコンピューターの小松永門社長は、「本イベントを通してものづくりの楽しさを感じてほしい」と挨拶。実際に手を動かしてPCを組み立てる段階だけでなく、部品集めから梱包まで、いわば準備から後片付けを含むすべての工程をものづくりの一部として体験してほしいと話した。

株式会社マウスコンピューター代表取締役社長の小松永門氏

 来賓として来場した飯山市長の江沢岸生氏は、飯山市が長野県出身の作詞家・高野辰之作詞の唱歌「故郷」に縁深い地であることに触れ、"故郷"として落ち着ける場所であることをアピール。「PCの組み立てに悪戦苦闘した後は、ぜひ飯山で疲れを癒やしてほしい」と話した。

飯山市長の江沢岸生氏

 部品集めの工程では、児童が先生とペアになって、これから組み立てるPCのパーツを工場内からピックアップした。購入したPCの構成に合致するパーツをタブレットで確認しながら、購入者コードに紐付けられたIDの個体を集めていく。

 パーツは棚番号とパーツごとのIDでも管理されており、工場各所に備え付けのリーダーでパーツのバーコードを読み込むことで、組み立てに必要なパーツがどこまで集まったかが分かるようになっている。参加者はBTOでPCを購入しているので、それぞれ異なる構成のパーツや付属品をピックアップする必要があり、宝探し感覚で部品集めを楽しんでいる様子だった。

購入者のコードに紐付けられたパーツの情報から、目的のパーツがある棚を探す
目的のパーツを見つけたら番号を確認して箱に回収する
備え付けのリーダーでバーコードを読むことで、対応した棚のランプが点灯する仕組み
広い倉庫エリアから、部品を宝探し感覚で探していく
パーツを集め終わったら、組み立て作業予定の机で確認
休憩時間、工場で負荷試験中のPCを眺める親子も

 PCパーツの説明パートでは、係員が各パーツの役割や取り扱い上の注意点について説明した。また組み立て練習用のパーツ一式も用意しており、その場でマザーボードに各パーツを組み付けてから取り外すところまでを練習でき、児童がPCの構造に対する理解を深められるよう配慮した内容となっていた。

PCパーツの役割や取り扱い方について説明するパート
パーツだけでなくグリスやケーブルの扱い方もレクチャーした
ネジ止めのコツも伝授
パーツに触れる際の注意点を伝えている
M.2 SSDを組み込む練習
組み上げた練習用パーツを取り外して構造の理解度を深める

 PCの組み立てでは、それぞれ購入したPCごとに用意された手順書に沿ってPCを組み上げていく。先生が先にお手本を見せてから児童が手をつける流れを基本とし、児童が不明な点について質問すると、より丁寧に説明、相談をしながらパーツの組み付けを進めていた。周りを見回してみると、児童がPCを組み上げる様子をスマホで写真や動画に残している保護者の姿も多く見られた。

 作業時間はどの参加者もおおむね2時間前後で、各自組み立てが終わると梱包作業を行ない、最後に修了証を手に記念撮影を行なって、それぞれ帰途についていた。

 長野市から参加した親子に参加してみての感想を伺った。今回組み上げたPCはG-TuneブランドのMini-ITX PCだったが、保護者によると、構成も児童自身で決めたとのこと。本イベントに応募したのは学校のプリントで知ったのがきっかけだという。

 児童はPCで最初にやってみたいこととして「以前からプレイしてみたかった『フォートナイト』」を挙げ、保護者は今回購入したPCについて「できれば高校生くらいまでは使ってほしい」と話していた。

Mini-ITXのゲーミングPCを組み立てた児童の組み立ての模様を撮影させていただいた
CPUクーラーの取り付け
G-Tuneブランドのケース
ケースの各部位を取り外してマザーボードを組み込む準備をする
先生がお手本を見せた後は児童が作業するのを見守る
光学ドライブを取り付けているところ
無線LANのレシーバーを取り付ける
ビデオカードの補助電源を装着しているところ
すべてのパーツを組み込んだらケースを閉じ、取っ手を取り付ける
シールを貼り付けたら完成
無事に起動を確認した
校長役が修了証を授与
最後に記念撮影をしてイベント終了
梱包のテープはマウスコンピューター創業30周年仕様
ボックスにも30周年記念ステッカーが貼られている
児童が作業する様子をスマホで記録する保護者の姿も見られた

 マウスコンピューターでは随時工場設備およびオペレーションの改善を進めており、古くなった設備の置き換えのほか、工場の改修や協力工場も含めてのペーパーレス化などを推し進めている。

イベントでも使われた組み立てライン
ノートPC製造専用の第二工場
ランダムで抜き取り動作確認を行なう品質管理スペース
-30~+80℃まで設定可能な恒温槽。さまざまな条件下で動作/操作の確認ができるほか、高温時の破壊試験も行なえる
ノートPCのヒンジ強度チェックを行なう開閉試験機。約2万回の開閉を行なう
ドルビーの認証をクリアするための試験環境として設置している音響試験室
ハンダやネジの取り付け強度をチェックする振動試験機。そろそろ半世紀近く稼働しているという
マニュアルやパッケージ類が収められた棚
ケーブル類なども同じシステムで管理している
バーコードを読み込むと対応した棚のランプが光る
パーツの受け入れ検査。製品シリアルで管理するが、ないものは管理用のバーコードを発行する。組み立て教室でも使ったタブレットとコンテナで出荷管理も行なう
さまざまな理由で使えないものは赤いテープを使って別途保管する
出荷を待つ梱包済みのPC