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超解像技術で性能と画質を両立するAMD FidelityFX Super Resolution 2.0が正式発表

 米AMDは24日(現地時間)、超解像技術でゲーム内の画質と性能を両立させるオープンソースのアップスケーリング技術「FidelityFX Super Resolution 2.0」(FSR 2.0)をGDCで正式発表した。2022年第2四半期より提供開始し、同時期に出荷するゲームタイトルに組み込まれる予定。

 FSR 2.0はテンポラル・アップスケーリング・ソリューションであり、過去のデータを認識して結合し、様々なシナリオに対応できるよう、最適な方法で忠実度の高いアップスケールされた画像を生成する。

 高度な手書きアルゴリズムを用いる一方で、専用のMLハードウェアを必要としないため、多くのプラットフォームで利用可能なのが特徴で、AMDのGPUのみならず、競合他社のハードウェアでも利用できる。ただし、テンポラル・ソリューションとして要件がFSR 1.0と比較して厳しくなるため、より高度なアップスケーリング解像度に対応できる最新ハードウェアが必要になる。

GDCでのFSR 2.0の解説

 具体的に言えば、FSR 1.0は、ゲームの最小要件が満たされている場合、Radeon Graphics内蔵のRyzenプロセッサやRadeon RX 460/470/480シリーズでも対応できるが、FSR 2.0はRadeon RX 590以上となっている。

【表】FSR 2.0対応ハードウェア
ターゲット解像度AMDビデオカードNVIDIAビデオカード
4KRadeon RX 6700 XT/5700以上GeForce RTX 2070/3070以上
1440PRadeon Vega、Radeon RX 5600/6600以上GeForce GTX 1080/RTX 2060/RTX 3060以上
1080PRadeon RX 590/RX 6500 XT以上GeForce GTX 1070/16シリーズ以上

 品質としては、クオリティーモード、バランスモード、パフォーマンスモードという主要な3つの画質モードを用意しているほか、オプションでウルトラパフォーマンスモードも用意するという。主要な品質モードに関しての入力と出力解像度は以下の通り。

品質スケール倍率入力解像度出力解像度
クオリティー1.5倍(面積比2.25倍、実解像度の67%)1,280×7201,920×1,080
1,706×9602,560×1,440
2,293×9603,440×1,440
2,560×1,4403,840×2,160
バランス1.7倍(面積比は2.89倍、実解像度の59%)1,129×6351,920×1,080
1,506×8472,560×1,440
2,024×8473,440×1,440
2,259×1,2703,840×2,160
パフォーマンス2倍(面積比4倍、実解像度の50%)960×5401,920×1,080
1,280×7202,560×1,440
1,720×7203,440×1,440
1,920×1,0803,840×2,160
※クリックすると大きな画像で開きます
DEATHLOOPにおけるFSR 2.0の実装。左が4Kネイティブ、右がFSR 2.0のクオリティモード
各モードの画質比較

 FSR 2.0では、レンダリングにおける深度、モーションベクトル、色といったデータポイントを必要とするため、テンポラルアップスケーリングレンダリングパスを持つゲームに統合するのは容易だという。こうしたデータを既に用意しているゲームの場合、わずか数日で統合できる。しかしこうしたデータを持たないゲームや、表示とレンダリング解像度が分離しているゲームの場合、統合に時間がかかるとしている。

ゲームへの統合

 FSR 2.0もFSR 1.0と同様、MITライセンスに基づくオープンソースで公開されており、開発者がDirectX 12およびVulkanアプリに容易に組み込める。加えて、Unreal Engine用のプラグインとしても提供される。対応タイトルとしては、当初予告した「DEATHLOOP」に加え、「Forspoken」というゲームでも新たにサポートした。加えて、PCのみならずXboxでも対応予定としている。

DEATHLOOPでのFSR 2.0デモ
FORSPOKENでのFidelityFXの実装

 AMDが公開したブログの中で、「すべての科学は実験から得られたデータを分析して、その中から結果を説明できる数学モデルが得られ、このモデルを新しいシナリオに適用して予測を行なえる。機械学習はこのプロセスを支援して加速できる非常に便利なツールとテクニックのセットである。ただし機械学習の結果は最適ではない場合があり、複雑な問題に突破口をもたらす人間の想像力の火花を欠いている」と、Tensorコアを必須とするNVIDIA DLSSを事実上否定している。