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迅速な修理から組織への高度なPC展開まで。レノボ/NEC PCの製品保守を担う群馬事業所

NEC PC群馬事業所の位置付け

 レノボ・ジャパン合同会社は8月31日、レノボやNECパーソナルコンピュータ(NEC PC)の製品保守サービスを実施しているNEC PC群馬事業場での取り組みについて、紹介を行なった。

レノボ/NEC PCの保守サービスを一手に引き受ける群馬事業所

沿革
NECパーソナルコンピュータ株式会社 サービス事業本部 事業本部長 小林大地氏

 まず、NEC PC サービス事業本部 事業本部長の小林大地氏より、NEC PC群馬事業場について説明が行なわれた。

 NEC PC群馬事業場は、1984年7月に群馬日本電気株式会社としてPCの開発生産事業を開始し、2002年7月にはPCや周辺機器の修理/診断サービスに事業転換。2011年7月のレノボとNEC PCによるジョイントベンチャー化以後は、レノボ製PCやタブレットの修理対応も行なっており、2016年にはレノボ/NEC PC製品修理拠点を本事業場に統合した。

 出張修理を除く、すべてのコンシューマ/コマーシャル製品の修理、および保守部品の調達や管理といった付帯業務までをレノボから受託するかたちで実施。NECの持っていた修理管理手法を踏襲したほか、サプライヤーや設計/製造部門などへのフィードバックも行なう。また、レノボ開発部門との連携も強化し、修理内容などを共有することで、製品品質の向上を図っている。

 また、2020年下期にはGIGAスクールの本格稼働に向け、「2nd Map」として修理エリアを拡張。修理能力を1.3倍に引き上げた。さらに、キッティングなどを行なうレノボのCFS Room(Custom Fulfillment Service)も2021年2月に稼働を開始。在宅勤務やハイブリッドワークの増加などを受け、2021年下半期には規模を2倍に拡大する予定だという。そのほか、2021年1月からはモトローラの一部製品についても修理対応を開始した。

 同事業所では、開発したサービスのノウハウをレノボ全体に展開し、カスタマー体験の向上を図る「サービスマザーサイト」といったビジョンを掲げ、取り組みを進めているという。

NEC PC群馬事業場の概要。PCおよび周辺機器の修理や、キッティングサービスなどを手がける
NEC PC/Lenovo製品の修理拠点を本事業場に統合
GIGAスクール拡大に向けて修理能力を増強
本事業場の持つ特徴と活動方針
レノボ開発部門との連携を強化。製品品質などへのフィードバックも
サービスマザーサイトを目指した取り組みを進める

利用者の手間を抑え迅速なPC展開を支援するCFS

レノボ・ジャパンCFS
レノボ・ジャパン合同会社 サービスセールス事業部 事業部長 執行役員 上村省吾氏

 続いて、レノボ・ジャパン サービスセールス事業部 事業部長 執行役員 上村省吾氏より、CFSに関する説明が行なわれた。

 レノボでは数年前から、Smart IoT、Smart Infrastructure、Smart Vertical and Serviceを柱とする3S戦略を展開。新たにService & Solution Groupを設立するなど、特に2020年度からはサービスやソリューションを中心とした事業を推進している。中でもCFSは、この戦略において重要な位置を占めるサービスだとしている。

 CFSは同社がグローバルで進めているサービスで、各拠点間が連携し、手法や自動化ツールを共有。グローバル企業などにおける国ごとの展開などにも対応する。世界で11カ所の設置を予定しており、タギングや物理キッティングといった個別要件のほか、クラウドベースのプロビジョニングなどもサポートする。

 国内ではNEC PC群馬事業場内に開設し、2021年2月に稼働を開始。Windows Autopilot for pre-provisioned deployment(White Glove)によるクラウドベースのプロビジョニングや、細やかな物理キッティング、企業や組織ごとのカスタムイメージの展開などをサポート。先端技術の活用によるゼロタッチデプロイメントを実現し、従業員の初期セットアップ時の負担を最小に抑えられるという。

 同事業場内に展開するメリットとしては、PCの展開だけでなく、修理や廃棄などといった製品全体のライフサイクルを通したサービスをスムーズに展開できる点、技術連携を高めることによる新たな顧客ニーズへの高い即応性、既存の設備を利活用できる点、人同士の連携面などが挙げられるとしている。

 働き方が大きく変化し、事業所単位やユーザー単位で最適な働き方が異なる中で、PCを使う環境や使い方も多様化している。同社では、IT管理者向けサービスの「Lenovo Modern IT」の活用などを通じて、PC環境やソリューションの細やかな展開を支援していくという。

レノボの展開する3S戦略
ハイブリッドワークの実現を支えるLenovo Modern IT
従来は、企業やパートナーなどで一度PCを集約し、キッティングを実施してから従業員に配布していた
CFSではクラウドベースのプロビジョニングなどを活用し、従業員へPCを直接配布するといったことも可能に
レノボジャパンCFSを群馬事業場に設置する4つのメリット
クラウドベースの展開のほか、Microsoft Endpoint Managerなどにより持ち込みイメージの展開、物理キッティングなどに対応
2020年12月のトライアル運用以降、サービス拡充を進めている

 あわせて、工場内修理の流れに沿ったツアーも実施された。2020年7月以降継続して、無償修理対象の製品のうち95%について、着荷から修理および出荷までの工程を24時間以内に完了できているという。

工場内修理の流れ
着荷後の外観チェックなどを経て、より詳細にPCの状態を確認する検品工程。修理品はバーコードで管理される
作業は天井のカメラで記録。顧客からの問い合わせ時などのチェックに活用
受付が終わると故障診断へ
診断工程の管理票。以前は紙だったが、現在はデジタル管理となり、データベース化を実現
不具合パーツの交換作業。マザーボードの場合では10分程度で交換が完了するという
修理ができたか確認する検査工程。同社の持つ世界共通の検査プログラムを利用して、自動チェックを行なう
添付品のチェックや清掃を実施
専用の梱包箱に入れて出荷
故障マザーボードの解析。パーツの修理も行ない、以降の修理で活用する場合もある
2021年1月からは一部モトローラ製品の修理も開始
スマートフォンの診断/修理を行なう様子
GIGAスクールに向けて立ち上げた2nd Map。同事業場内のレノボ修理フロアと同等のフロア面積を持つ
GIGAスクール製品では、通常製品と比べて落下や取り扱いの不注意による破損が多い傾向があるという
画面が破損した事例も
CFSでは顧客の要件にあわせたセッティングなどを納品前に実施
CFS Roomはグローバルの共通仕様に基づいて構築。独自のワークベンチなどを使用している
監視カメラやセキュリティカードによる入退室管理を実施
Androidタブレットでは専用の自動化ツールを活用。人の作業と比べて約18倍の速度でキッティングが可能だという