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AMD新ドライバ「Adrenalin Edition 25.3.1」がRadeon RX 9070対応。eGPU不具合も解決か

 AMDは6日(現地時間)、Radeon用ドライバ「AMD Software: Adrenaline Edition 25.3.1」を公開した。新GPUの対応だけでなく、多くの機能強化が盛り込まれた大型アップデートとなっているのがトピックだ。

 25.3.1では新発売された「Radeon RX 9070 XT」および「Radeon RX 9070」のほかに、「Radeon RX 7650 GRE」、「Ryzen AI Max+ 395」、「Ryzen AI 5 340/7 350(PRO含む)」、「Ryzen 9 9955HX/9850HX/9955HX3D」への対応が謳われている。

 また、新機能としては、Radeon RX 9070シリーズで使える「AMD Fidelity FX Super Resolution 4(FSR 4)」、およびフレーム生成を改善した「AMD Fluid Motion Frames 2.1」への対応が謳われている。このほか、AMDソフトウェアの更新/管理を行なうインストーラ「AMD Install Manager」、ゲーム/ビデオのシャープ化を行なう「Radeon Image Sharpening 2」に対応した。

 Radeon RX 9070シリーズではさらに、GPUで高速化されたテキスト/画像生成AI機能の「AMD Chat」、AIによりテキスト抽出/画像解析を行なってゲーム内の画質改善を図る「AMD Image Inspector」が利用できる。

 ゲーム対応としては「FragPunk」および「Split Fiction」に対応。また、Radeon RX 7000シリーズでは、Windows Subsystem for Linux(WSL 2)上でAMD ROCm対応ソフトウェアをハードウェアで実行できるようになり、デュアルブートする必要がなくなった。さらに、「Adobe Lightroom」のAIエンハンスディテール、デノイズなどが高速化した。

 開発者向けには、可読マシン語命令セットアーキテクチャ(ISAs)仕様をアップデートし、RDNA 4およびRDNA 3.5を追加。ストリーミング配信を没入型の体験へと変換できるというオープンソースフレームワーク「AMD Advanced Interactive Streaming(AIS) SDK」および「AMD Advanced Media Framework(AMF) SDK」のアップデートも行なった。なお、Radeon開発者ツールスイート(RDTS)のRadeon RX 9000シリーズのサポートは近日中に行なわれる。

 最後にリリースノートに記述がないものだが、GPDによれば、このバージョンでRyzen AI 7 HX 370を使用したデバイスに、Radeon RX 7600M XTを搭載したeGPUドック「GPD G1」を接続した場合、内蔵ディスプレイで正しくeGPUが使われない問題が解決したという。

 実際に編集部にあった環境「GPD Pocket 4」および「GPD DUO」に、GMKtec製のeGPU「AD-GP1」をUSB4経由で接続したところ、いずれもRadeon RX 7600M XTの使用率が上がり(従来は50%程度に留まる)正しく動作することが確認できた(ちなみにGPD Pocket 4はUSB4接続性を改善するBIOSもリリースしている)。

USB4接続は解決したが、OCuLink接続ではまだ一工夫必要か

 余談だが、上記の今回の検証はUSB4経由で行なっている。Radeon RX 7600M XTを搭載したeGPU製品は、USB4のほかにOCuLinkでも接続できる製品が多いのだが、OCuLink接続ではBitLocker解除画面が表示されたり、PINのリセットが求められたりする。しかしこれはドライバの不具合ではなく、Windows 11およびBitLocker(Windows 11 Homeではストレージの暗号化)の正しい仕様だ。

 というのもの、Radeon RX 7600M XTにはOS起動前にGPUを認識させるためのUEFI BIOSが搭載されているのだが、悪意のある攻撃者であれば、このUEFI BIOSに改ざんを加え、OS起動以前に攻撃を仕掛けることが可能になるからだ。それを防ぐために、Windows 11およびBitLockerでハードウェアの変更を検出して弾くようになっている。しかしこれではGPUの抜き差しの度に回復キーの入力が必要となり大変だ。

 Windows 11 Proであれば、ローカルグループポリシーエディタでBitLockerの暗号化キーに使うPCRバンクの値を変更し、回避することができる。PCRバンクはざっくり言ってしまえば、今の構成情報などを保管しておく場所であり、BitLockerはそのPCRバンクの情報をもとに暗号化キーを生成、ハードウェアなどの変更があった際に検出して起動を防ぐ。そのため、ここで拡張カードやホットプラグ可能なハードウェアデータを保管する「PCR 2」のチェックを外せば良いようだ。

「BIOSベースのファームウェア構成のTPMプラットフォーム検証プロファイルを構成する」でPCR 2を外せば良い

 ただ、GPD DUOやGPD Pocket 4はそもそもWindows 11 Homeで、BitLockerではない上に、ローカルグループポリシーエディタも用意されていない。このため解決方法は今のところ不明だ(ちなみにOCuLink接続ではこのドライバを用いてもGPD DUOでは性能が出なかった)。

【16時16分訂正】Windows 11 Homeを搭載したGPD DUO実機を用いてOCuLinkで検証しましたところうまく動作しなかったため、一部記述を変更・追記しました。