これまで画像のアップスケーリング(高解像度化)には、Photoshopなどの編集アプリを使うのが一般的でした。ところが最近ではAI技術の進化により高品質なアップスケーリングを自動で行なう専用アプリが登場し、プロのデザイナーや一般ユーザの間で注目を集めています。AIを活用したこれらのツールは、ディテールの補完やノイズ除去を行ないながらオリジナルのクオリティを保ったまま画像を高解像度化できるのが特徴。今回は、MacやLinux、Windowsで利用できるおすすめのアップスケーリングアプリ「Upscayl」を紹介します。
いろいろなAIモデルが選べてバッチ処理にも対応
いろいろなAIモデルを使って画像をアップスケーリングしたいなら、「Upscayl」がおすすめです。
最大16倍までアップスケーリングできますが、デバイスのパフォーマンスに影響するので5倍までがおすすめです。
利用方法はとても簡単で、画像をドラッグ&ドロップしてAIモデルや画像スケール(倍率)を選択し、出力フォルダを指定してから開始ボタンをクリックすれば処理が開始されます。
AIモデルの選択に関しては、ほとんどの画像に適した「Upscaylスタンダート」、リアルなディテールと滑らかなテクスチャ重視の「高忠実度」、イラストなどに適した「デジタルアート」などさまざまなモデルを選ぶことができます。
そのため、ほかのアップスケーリングアプリで結果に満足しなければ、こちらのUpscaylを試してみるとよいでしょう。
バッチ処理をサポートしているので、フォルダに入った複数の写真ファイルを一度に処理することも可能です。
なお、Upscaylの通常版(無料版)を利用する場合は、ダウンロードページを下にスクロールして[Alternative Downloads]→[DMG(Free)]をクリックします。Upscaylのプロジェクトを応援するために有料版を利用する場合は、ダウンロードページで[macOS]をクリックし、指示に従ってApp Storeから購入してください。
サイドバーに表示されるステップ1からステップ4まで順に行なっていくことで、画像をアップスケーリングできます。ステップ1では[画像を選択]ボタンをクリックするか、Upscaylのウインドウ内に写真ファイルをドラッグ&ドロップします ステップ2でAIモデルを選択します。最初はデフォルトの「Upscaylスタンダート」のままで試してみましょう。AIモデルを変更したいときは[Upscaylスタンダート]をクリックします AIモデルは7種類の中から選択できます。それぞれの特徴が表示されるので、参考にしましょう。(非商用)と書かれているAIモデルは加工後の写真を商用で利用することができません。その点も注意してください ステップ2では画像スケールも指定できます。5倍以上を指定すると赤色で注意マークが表示されます。デバイス(Mac)の性能によってはパフォーマンスに影響するので注意しましょう ステップ3では[出力フォルダを設定]をクリックして出力先を選択します。選択した場所にアップスケーリング後のファイルが保存されます 最後にステップ4にある[Upscayl]ボタンをクリックすると、アップスケーリングの処理がスタートします。画像が指定したAIモデルで処理されます 処理が完了すると、比較ビューが表示されます。センターにある[◁▷]をドラッグすると処理前(左側)と処理後(右側)を比較できます ウインドウ右端にある[︙]をクリックして[ズーム量]のスライダーを動かすと写真を比較ビューの内容を拡大できます 画像を拡大した状態で比較ビューのセンターラインを動かすと、解像度が上がり、ノイズも軽減されているのがよく分かります こちらの雲の写真でもしっかり解像度がアップしているのが分かります。標準の「Upscaylスタンダート」でも、このような自然なアップスケーリングを行なってくれます 30万画素で撮影した古い写真をアップスケーリングしてみました。ボケやジャギーを取り除いて解像度がアップしているのが分かります [︙]をクリックして[スライダービュー]から[レンズビュー]に切り替えると、ポインタで指し示した箇所の処理前/処理後を拡大表示してくれます 複数の写真をまとめて処理したい場合は、ステップ1の上にある[バッチUpscayl]スイッチをオンにして、[フォルダを選択]をクリック。画像が入っているフォルダを選んで[OK]をクリックしましょう。それ以降の手順は同じです