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中国・龍芯、いかなるCPU特許にも抵触しない自主開発命令セット「LoongArch」

 中国・龍芯中科技術有限公司の公式Weiboによると、同社が完全に自主開発したCPU命令アーキテクチャ「LoongArch」が、中国国内の知的財産を評価する第三者機関の評価を経て、信息技術応用創新フォーラムで正式に対外的に発表された。

 LoongArchは同社が2020年に自主開発したというCPU用命令アーキテクチャで、2,000個近い命令からなる。ベースとなる命令セットに加え、バイナリ変換に関する拡張命令(LBT)、ベクタ処理拡張命令(LSX)、アドバンスドベクタ処理拡張命令(LASX)、および仮想化拡張命令(LVZ)を持つ。

 同社はこれまでMIPSの命令アーキテクチャを採用してきたが、LoongArchはMIPS命令を一切含まない、完全オリジナルのものとなる。これにより、中国国外の企業から一切命令ライセンスを受けることなく、CPUを製造することが可能になる。

 こうした“完全自主性”に加え、現代的なソフトウェアで使われずハードウェアの設計としても適さない古い要素を完全に省いたことにより、低消費電力と容易なソフトウェア/仮想マシンの開発を実現する“先進的な技術”も取り入れたという。

 その一方で、業界標準のエコシステムとの互換性を重視し、国際的にもメインストリームで使われている命令の機能や特性を備え、高効率なバイナリ変換によって実行できる“エコシステムとの互換性”も兼ね備えたとしている。

 第三者機関との共同検証は2020年第2四半期より開始し、Alpha、Arm、MIPS、Power、RISC-V、x86のいずれにおいても、数万件におよぶ特許を調査したが、命令システムの設計やフォーマット、アドレス形式などに同一性は認められず、ホワイトペーパーの説明でもほかのアーキテクチャと明確な違いがあり、特許に抵触するリスクは発見できなかったとしている。

 LoongArchに準拠した最初のプロセッサ「3A5000」はすでにテープアウトし、安定動作している。また、ほかの命令アーキテクチャで動作するかなり複雑なプログラムも、バイナリ変換機能で正常に動作できるとしている。

 同社はすでに限定的にホワイトペーパーを配布しており、評価が終えたあと、より広範囲に対しさらに詳細の資料を公開。パートナーに対しては無料でLoogArchおよびプロセッサのIPを提供するとしている。

LoongArchのホワイトペーパーの表紙