やじうまミニレビュー

作業効率を爆上げする新時代の「HHKB Studio」。1カ月使ってすっかり虜に

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
HHKB Studio

 株式会社PFUは10月25日、高性能コンパクトキーボード「Happy Hacking Keyboard」(HHKB)シリーズの新ラインナップとなる「HHKB Studio」を市場に投入した。

 本製品は「正確な高速タイピングを最小動作で奏でる」という基本コンセプトを踏襲し、従来のキー配列やシリンドリカルステップスカルプチャ構造を継承しつつ、マウス機能やジェスチャ機能を統合したキーボードだ。

 同社より本製品の日本語モデルを提供していただき約1カ月使用した結果、その高い機能性と快適な使用感により、仕事用キーボードとして手放せないほどに虜になった。本項では、HHKB Studioの使用体験に基づいた筆者の率直な感想をお伝えする。

ジェスチャーパッドやポインティングスティック、マウスボタンについて

ジェスチャーパッド

 HHKBといえばキータッチや配列……と行きたいところだが、まずは、HHKB Studioの注目機能の1つであるジェスチャーパッドについて紹介したい。本製品は、筐体の側面左右/前面左右の4カ所にジェスチャーパッドを搭載しており、このパッドではスライド操作で画面スクロールやウィンドウ切り替えといった操作ができる。

 筆者は作業中に前面のパッドを触れてしまい誤操作を招くことが多かったため、前面のパッド機能を現在無効化している。しかし、すべてのパッドを活用できれば、作業効率がさらに向上することは間違いない。筆者は誤操作を避けながら上手く使いこなす方法を身につけて前面を有効化することを目指している。

 本機能は低/中/高/最高の4段階の感度調節がショートカットで行なえる。ただし、パッドに手のひらが触れている状態では感度を低にしてもパッド操作は機能するほか、感度調節は4つのパッド全体に適用される。前面のパッドに手のひらが触れており、側面のパッドを使用する筆者の場合、作業効率が低下するためこの感度調節は使っていない。

ペアリングおよび動作切り替え時のショートカット一覧

 なお、PFUはオプション品として、前面のパッドを誤って触れるリスクを低減しつつ、前面のパッドの使用を阻害しないような適切な高さに設計された専用のパームレスト「HHKB Studio専用タイピングベッド」を用意している。今後使っていくうえで必要と感じたら導入しようと考えている。

HHKB Studio専用タイピングベッド

 続いて、こちらも注目機能なのだが、ポインティングスティックおよびマウスボタンについてだ。HHKB Studioでは、キーボード中央にThinkPadシリーズでおなじみのポインティングスティックを搭載するほか、スペースキーの下にマウスボタンを備える。これらの機能は、筆者にとってHHKB Studioの中で特に気に入っている部分だ。

ポインティングスティック
マウスボタン

 筆者はこれまでノートPCを使う際はタッチパッドをほとんど使わず、マウスに頼っていたのだが、HHKB Studioが導入されて以降、マウスを使用する機会が減少した。本製品がシリンドリカルステップスカルプチャ構造を採用しているからか、ThinkPadを使っていた時よりもポインティングスティックの使用頻度が上がっている。また、マウスボタンの打鍵感にも非常に好みで、これもマウス使用の減少に一役買っていると感じている。

シリンドリカルステップスカルプチャ構造

 ジェスチャーパッドやポインティングスティック、マウスボタンにより、キーボードから手を離すことなく、すべての入力操作を完結していることを使用して強く実感した。外部マウスを使用する筆者としては、手がキーボードから離れずホームポジションが崩れないので、ノートPCでの作業効率がかなり上がったと感じている。キーボードから手が離れないので、VRゴーグルを着けている状態のような、手元が見えない環境での操作にも好適というのもうなずける。

打鍵感について

 HHKBシリーズにおいて、打鍵感は外せない重要な要素だ。HHKB Studioでは、従来のモデルで用いられてきた静電容量無接点方式から一新し、シリーズ初となるリニアタイプのメカニカルスイッチを採用している。

 大学時代に従来のHHKBを使用していた経験を持つ筆者にとって、HHKB Studioの新しいスイッチも従来同様に素晴らしく、極上のキータッチを実現していると感じた。

 具体的には従来のキースイッチとは素晴らしさのベクトルがわずかに異なり、従来の方がわずかに打鍵感の心地よさが上だが、HHKB Studioの方が作業に没頭しやすいと感じた。筆者は本製品を使ったことで、叶うことなら従来のHHKBを再び手元に置いて、気分で使い分けたいと思ったほどだ。

 従来のHHKBユーザーの中には、このスイッチの違いを理由に購入を迷っている人も多いのではなかろうか。ひとまず気になっている方は、実機展示を見に行くか、ゲオのレンタルサービス「ゲオあれこれレンタル」を利用するなどして、本製品を実際に触れてみることをお勧めする。

 実際に試してみれば、このキーボードも素晴らしいと思ってもらえるだろう。なお、本製品はホットスワップにも対応している。より自分好みにカスタマイズできるのも素晴らしい。

ホットスワップにも対応

使用方法について

 筆者はHHKB StudioをノートPCのキーボード面に直接置いて使用している。PFUが公式に提供している利用イメージにもあるように、本製品はノートPCとの併用に適しており、キーボード面に乗せて使うスタイルが最適な利用方法だと個人的に思っている。

利用イメージ

 筆者の仕事用ノートPCである13型ノート「Dell XPS 13」は本製品との相性が良かったようで、サイズがぴったりなだけでなく、本製品を直接乗せてもノートPCのキーボードに干渉しないため、非常に快適に作業できている。なお、こうしたスタイルで使用するとPCのキーボード面に干渉してしまう場合は、オプション品「タイプスティックス」の購入などを検討していただきたい。

筆者の仕事用ノートだと本製品をキーボードに直接置いてもノートPCのキーに干渉しない。サイズもぴったりだ
タイプスティックス

 また、筆者は極上の打鍵感と快適なタイピング体験により、仕事中は常にこのキーボードを使用していたいと思ったため、外出先でも使えるようオプション品の専用ケース「HHKB用キーボードポッド2」を購入した。

 このセミハードケースは不意の落下などの衝撃からキーボードを保護するだけでなく、内部のスポンジが加圧からも保護してくれる。これによりHHKB Studioをどこへでも持ち運ぶことができ、いつでも快適に作業できている。

HHKB用キーボードポッド2
ケースの内ポケットは小物を収納できるが、基本的にはスポンジを入れるための部分だ

まとめなど

 HHKB Studioは非常に優れたキーボードだが、約1カ月間の使用を通じて改善してほしい点も見つかった。それは接続に関する点で、本製品はBluetoothとUSB Type-Cによる有線の2つの接続方法を用意しているのだが、Bluetooth使用時に接続が切断され、再起動が必要になる問題が稀に起きている。

 加えて、筆者は上記の現象が起きるため安定性を求めるときは有線接続にするのだが、本製品はBluetooth接続中にケーブルを挿しても自動的に有線接続モードに切り替わらない。再起動や手動で切り替えないとPCと有線接続しているのにBluetooth接続状態のままになるので、有線接続への自動切り替えがあればより便利だなと度々思っている。

自動で有線接続に切り替わらないため、ケーブルを接続してユーティリティを起動すると切り替えを忘れて毎回この画面が出る

 本製品を使い始めた当初は、ポインティングスティックの挙動が時折不安定で、カーソルが予期せぬ方向に移動することがあったのだが、これはファームウェアの更新により改善された。Bluetooth接続の問題もファームウェアの更新により修正されることを期待している。なお、ファームウェアの更新はユーティリティ「Happy Hacking Keyboard Studio キーマップ変更ツール」から行なうことができる。

 あと、これは無刻印モデルをどうしても使いこなせなかった筆者の個人的な意見だが、メカニカルスイッチを採用しホットスワップに対応しているある種ゲーミングキーボードに近い特徴を持つ本製品には、キーの視認性を高めたいときに便利なので、目立ちすぎない程度のバックライトをキースイッチに搭載しても良かったのではないかと思った。

Happy Hacking Keyboard Studio キーマップ変更ツールの画面。ファームウェアの更新も可能

 HHKB Studioは、これまでのHHKBのコンセプトを維持しながら、現代のニーズに合わせた革新が加えられた製品である。最後にいくつか不満な部分を挙げたが、これらはこのキーボードの利点と比べたらほんの些細なものであり、現状の状態でも筆者としては最高のキーボードだ。

 価格は4万4,000円だが、極上のキータッチに加えて、マウスや左手デバイスに近い操作が本製品だけでき、ほかのデバイスを買わなくてもいいくらいなので、それを考えると決して高い製品ではないだろう。HHKBのファンであれば、HHKB Studioは間違いなくおすすめの製品だ。

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