やじうまミニレビュー

USB4対応で転送速度3GB/s超のポータブルSSD「SSD-PE2.0U4-SA」を試す

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
バッファロー 「SSD-PEU4A」シリーズ2TBモデル「SSD-PE2.0U4-SA」

 バッファローから、ポータブルSSDの新モデル「SSD-PEU4A」シリーズが登場した。接続インターフェイスにUSB4を採用し、リード最大3,800MB/s、ライト最大3,700MB/s(2TBモデル)と、非常に高速なアクセスを実現する点が最大の特徴だ。今回、SSD-PEU4Aシリーズの2TBモデル「SSD-PE2.0U4-SA」を試用する機会を得たので、製品の仕様や速度などをチェックしていく。すでに発売中で、価格は4万9,100円。

USB4対応で非常に高速な速度を実現

 SSD-PEU4Aシリーズの主な仕様は、以下の表にまとめた通り。接続インターフェイスにUSB4を採用し、非常に高速なアクセス速度を実現している点が最大の特徴だ。

【表】SSD-PEU4Aシリーズの主な仕様
容量1TB2TB
接続インターフェイスUSB4 Gen 3 x2
接続端子USB Type-C
シーケンシャルリード速度3,800MB/s以上
シーケンシャルライト速度3,600MB/s以上3,700MB/s以上
サイズ/重量118×63×16mm/約190g
付属ケーブルUSB4 Gen 3 x2準拠USB Type-Cケーブル

 現在市販されているポータブルSSDのうち、高速なアクセス速度を特徴とする製品では、接続インターフェイスとしてUSB 3.1(USB 3.2 Gen 2)またはUSB 3.2(USB 3.2 Gen 2 x2)を採用するものが多数を占めている。そういった製品のアクセス速度は、USB 3.1対応のもので1,000MB/s前後、USB 3.2対応製品で2,000MB/s前後となっている。

 それでも十分に高速なのは間違いないが、SSD-PEU4Aシリーズでは接続インターフェイスに転送速度が最大40GbpsのUSB4(USB4 Gen 3 x2)を採用することにより、リード最大3,800MB/s、ライト最大3,700MB/s(2TBモデル、1TBモデルでは最大3,600MB/s)と、内蔵型SSDと比べても遜色のない非常に高速なアクセス速度を実現している。

 この速度を引き出すには、接続するPC側のインターフェイスが40GbpsのUSB4またはThunderbolt 4に対応していることと、利用する接続ケーブルがUSB4またはThunderbolt 4に対応していること、その双方が必須条件となる。いずれかが欠けてもSSD-PEU4Aの速度を最大限引き出せなくなるため注意したい。接続ケーブルについては、SSD-PEU4A自体にUSB4対応ケーブルが付属するため、そちらを利用すれば問題ない。

 内蔵SSDで利用されているNANDやコントローラなどの詳しい仕様は非公開。CrystakDiskInfoで確認してみたところ、PCIe Gen 4/NVMe 1.4準拠のSSDを採用していることは確認できた。

SSD-PEU4Aでは、接続インターフェイスにUSB4を採用し、高速なアクセス速度を実現
SSD-PEU4Aには標準でUSB4対応のUSB Type-Cケーブルが付属する
最大限の速度を引き出すには、USB4/Thunderbolt 4対応ポートにUSB4対応ケーブルを利用して接続する必要がある

常に高い性能を発揮させるため金属ボディと内蔵空冷ファンを採用

 近年、ポータブルSSDは小型化が進んでおり、USBメモリサイズのものから、中にはバッファローの「SSD-PSTU3-BA」シリーズのような、USB無線ドングル程度の非常に小さな製品も登場してきている。それらと比較するとSSD-PEU4Aのボディはかなり大きいという印象だ。

 サイズは118×63×16mmと、2.5型SSDに匹敵する大きさ。また重量も約190g、実測でも181.2gとかなり重く、手にするとかなりずっしり重く感じる。

 このサイズと重量には理由がある。それはSSDの速度を安定して引き出すためだ。

 ご存じのようにSSDは、一般的に速度が速くなるほど発熱量が増える。SSD-PEU4Aについても、これだけの速度を発揮するということは、利用時にかなり高温になると考えていい。

 そこでSSD-PEU4Aでは、熱伝導性と発散性に優れる金属ボディを採用し、SSDの発熱をボディに逃がすようにしている。さらに、内部に空冷ファンを搭載し、強制的な冷却も行なうようになっている。

 ボディ外装部はクリッカブルで開閉するようになっており、ボディを開くと内蔵ファンが動作。ボディの隙間から空気を取り込み、側面の排気口から排出するエアフローが発生し、SSDの熱を外部に放出する。

 この金属ボディと空冷ファンによって、高速なアクセス速度を安定して発揮できるようになっているわけだ。

本体サイズはサイズは118×63×16mmと、ポータブルSSDとしてはやや大きい
2.5インチSSDと並べてると、そのサイズ感がよく分かるだろう
厚さも16mmと、やや厚い印象だ
実測の重量は181.2g。手にするとずっしり重く感じる
ボディには熱伝導性と発散性に優れる金属を採用
外装部はクリッカブルで開閉し、ボディを開くと内蔵空冷ファンが動作してSSDを強制冷却
外装部の隙間から外気を取り込む
側面の排気口から内部の熱をファンで排出。これにより温度を低く保ち安定した性能を発揮する

各種ユーティリティも充実

 SSD-PEU4Aでは、便利に利用できるユーティリティも充実している。

 まず、これまでもバッファロー製ポータブルSSDなどで利用できた、Windows PCでのファイル転送時間を短縮する、独自のファイルコピー高速化アプリ「CopyBooster」に対応。Windows 10(バージョン21H1)以降で利用できるユーティリティで、SSD-PEU4A利用時のファイル転送時間を短縮でき、より快適な利用が可能となる。

 また、SSD自己診断機能のS.M.A.R.T.の情報を活用し、異常を検知したら即座に通知を行なう故障予測サービス「みまもり合図」にも対応。故障を予測して通知が行なわれるため、保存データを失う危険性を低減できる。

 この他、AES 256bit準拠の暗号化を行なう「SecureLock Mobile2」や、内蔵データを完全に消去する「データ消去ユーティリティ」、万が一の障害時に保存データを復旧する「バッファロー正規データ復旧サービス」などの利用も可能だ。

バッファロー製ポータブルSSDなどで利用できた独自のファイルコピー高速化アプリ「CopyBooster」をはじめ、暗号化ツール、データ消去ユーティリティなど、各種ユーティリティが利用できる

Windows PCのUSB4接続時には書き込みキャッシュの設定が必要

 SSD-PEU4Aは、基本的にはPCのUSB4/Thunderbolt 4やUSB 3.x準拠のUSB Type-Cポートに接続するだけで利用できる。ただ、Windows PCのUSB4/Thunderbolt 4に接続して利用する場合に限り、最大限の速度を引き出すために必要な設定がある。それは書き込みキャッシュの設定だ。

 これは、以前よりWindowsに用意されている機能で、USB接続などの外付けストレージの書き込み速度を改善するための機能。メインメモリに書き込み用のキャッシュ領域が用意され、書き込み速度を高速化するものだ。

 SSD-PEU4AをPCのUSB4/Thunderbolt 4ポートに接続した状態でデバイスマネージャを起動し、接続したSSD-PEU4Aのプロパティを開く。そして「ポリシー」タブ内の「取り外しポリシー」を「高パフォーマンス」に設定するとともに、「書き込みキャッシュポリシー」の「デバイスの書き込みキャッシュを有効にする」にチェックを入れる。

 また、バッファローが提供する「書き込みキャッシュ設定変更ツール」を利用すれば、より簡単に書き込みキャッシュの設定を有効化できるため、そちらの利用もお勧めだ。

 以上の設定によって書き込みキャッシュが有効となり、最大限の書き込み速度が発揮されるようになる。この、書き込みキャッシュの設定有無による速度の違いは、後ほど検証する。

Windows PCのUSB4/Thunderbolt 4に接続して利用する場合、最大限の速度を引き出すために、デバイスマネージャーのSSD-PEU4Aのプロパティで書き込みキャッシュを有効にする必要がある
バッファローが提供する「書き込みキャッシュ設定変更ツール」を利用すれば、より簡単に書き込みキャッシュの設定を有効化できる

 なお、書き込みキャッシュを有効にした場合には、SSD-PEU4AをPCから外す場合、必ずタスクバーの通知領域に表示される「ハードウェアの安全な取り外し」アイコンから取り外し操作を行なう必要がある。さもないと、キャッシュからSSD-PEU4Aへのデータ書き込みが終了する前に取り外してしまい、データが正常に保存されない危険性がある。この点には十分に注意が必要だ。

 また、この設定はSSD-PEU4Aを接続するWindows PCのUSB4/Thunderbolt 4のポートごとに設定する必要があるが、1度設定すればその後は設定を行なう必要はない。ちなみに、SSD-PEU4AをMacに接続して利用したり、Windows PCでもUSB 3.x準拠のUSB Type-Cポートに接続して利用する場合には設定不要だ。

書き込みキャッシュを有効にすると、SSD-PEU4AをPCから外す場合に「ハードウェアの安全な取り外し」アイコンから取り外し操作を行なう必要がある点には注意が必要だ

キャッシュ設定や利用ケーブルで速度が大きく変わる

 では、実際のアクセス速度をチェックしていこう。試用したのは、SSD-PEU4Aの容量2TBモデル「SSD-PE2.0U4-SA」で、そちらを利用して速度をチェックした。

 テスト用のPCとしては、Thunderbolt 4ポートを備える、富士通クライアントコンピューティングのノートPC「LIFEBOOK WU2/E3 FMVWE3U28W」を利用。公式にはUSB4搭載とされてはいないが、Thunderbolt 4はUSB4と互換性があるため、今回はThunderbolt 4をUSB4相当として利用している。

 また、USB4非対応のPCも用意し、そちらでもテストを行なった。なお、以下のテスト環境で用意されているUSB Type-Cは、USB 3.2準拠となる。速度のチェックには、CrystalDiskMark 8.0.4を利用した。

テスト環境(ノートPC・USB4相当)

  • LIFEBOOK WU2/E3 FMVWE3U28W

テスト環境(デスクトップPC・USB 3.1準拠)

  • マザーボード:ASUS TUF GAMING B650-PLUS WIFI
  • CPU:Ryzen 5 7600
  • メモリ:DDR5-5600 32GB
  • システム用ストレージ:Samsung SSD 950 PRO 256GB
  • OS:Windows 11 Pro

 まずはじめに、FMVWE3U28WのThunderbolt 4に付属のUSB4対応ケーブルを利用して接続し、書き込みキャッシュを有効にした場合の結果から。

 結果は以下の通りで、シーケンシャルリード3,288MB/s、シーケンシャルライト3,107MB/sを記録。データサイズを64GiBに設定した場合には、わずかに速度が低下している部分もあるが、大きな速度の落ち込みはなく、データサイズ1GiBとほぼ同等の結果が得られている。ただ、いずれも公称のリード最大3,800MB/s、ライト最大3,700MB/sには大きく届いていない。

 バッファローの公称速度はAMD Ryzen 6000シリーズ(Ryzen 5 6600U)搭載のWindows PCで計測されたものだ。それに対し今回筆者がテストに利用したPCはCore i7-1165G7搭載のWindows PCだ。今回はほかにUSB4/Thunderbolt 4対応のPCが手元になく、別のPCでの比較検証ができなかったが、検証PCのシステムの違いが速度に大きく影響していると考えられる。

 とはいえ、テストでもリード、ライトともに3,000MB/sを超える速度を発揮しており、速度的には十分満足できると考えていい。

FMVWE3U28WのThunderbolt 4に付属のUSB4対応ケーブルを利用して接続し、書き込みキャッシュを有効にした場合の結果
データサイズ 1GiB
データサイズ 64GiB

 次に、FMVWE3U28WのThunderbolt 4に汎用の10Gbps対応USBケーブルを利用して接続し、書き込みキャッシュを有効にした場合の結果。そちらではシーケンシャルリードが1,881MB/s、シーケンシャルライトが1,735MB/sを記録した。

 汎用USBケーブル利用時にはUSB 3.2接続となったことで、リード、ライトとも2000MB/sに近い速度になったものと考えられる。もちろん、接続ポートがUSB4/Thunderbolt 4なら付属(もしくは汎用)のUSB4ケーブルを利用しないと最大限の速度が引き出せないことが、この結果からよく分かると思う。

FMVWE3U28WのThunderbolt 4に汎用の10Gbps対応USBケーブルを利用して接続し、書き込みキャッシュを有効にした場合の結果

 次は、FMVWE3U28WのThunderbolt 4に接続し、書き込みキャッシュを無効にした場合。こちらも付属のUSB4ケーブルと汎用10Gbps対応USBケーブルを利用して計測した。

 結果を見ると、いずれもライト速度が300MB/sを切る速度にまで大きく低下していることが分かる。同時にリード速度もやや低下している。リード速度はそこまで不満のない速度とも言えるが、ライト速度は大幅な速度低下となってしまった。

 公式に、USB4/Thunderbolt 4環境では書き込みキャッシュを有効にしないと本来の速度が発揮されないとのことなので、この結果自体は当然かもしれないが、ここまで大きくライト速度が落ちるとは思っていなかったので、その点にはかなり驚いた。

 書き込みキャッシュを有効にすると、PCから外す場合に必ずハードウェアの安全な取り外しを行なう必要があり、ポータブルSSDとしての利便性が大幅に低下してしまう。この点を嫌う人も多いはずだ。とはいえ、利便性の低下と速度の低下を天秤にかけると、個人的には利便性が低下しても速度を最大限引き出した方がいいと考える。

 これだけ高速なポータブルSSDを活用したい場面は、大量の写真や動画データのように大容量なデータを転送したい場合だろう。書き込み速度が遅いと、当然データ転送に時間がかかってしまう。時間効率を考えると、やはり最大限の速度が引き出せていた方がいいはずだ。そのため、USB4/Thunderbolt 4に接続して利用する場合には、必ず書き込みキャッシュを有効にして利用すべきだろう。もちろん、接続ケーブルには付属のUSB4ケーブルを利用すべきなのは言うまでもない。

FMVWE3U28WのThunderbolt 4に接続し、書き込みキャッシュを無効にした場合の結果
付属USB4対応ケーブル利用時
汎用10Gbps対応USBケーブル利用時

 最後に、Ryzen 5 7600搭載デスクトップPCのUSB 3.2準拠USB Type-Cに接続した場合の結果だ。接続ケーブルには付属のUSB4ケーブルを利用。またUSB4/Thunderbolt 4ポートではないため書き込みキャッシュの設定も行なっていない。

 結果を見ると、シーケンシャルリード、ライトともに2,100MB/sを超える速度を記録した。それも、先ほどのFMVWE3U28WのThunderbolt 4に汎用の10Gbps対応USBケーブルを利用して接続した場合の結果よりも速い。この速度の違いはシステム環境の違いによるものと考えていいだろう。

 同時に、書き込みキャッシュの設定を行なわなくてもライト速度は遅くならなかった。公式でも、10Gbps環境では書き込みキャッシュの設定は不要とされており、結果はそちらを裏付けるものとなった。

Ryzen 5 7600搭載デスクトップPCのUSB 3.2準拠USB Type-Cに接続した場合の結果

 ところで、先にも紹介したようにSSD-PEU4Aには冷却ファンが内蔵され、本体の一部を開くことでファンが動作し内蔵SSDを冷却するようになっている。利用時にそのファンの動作音をチェックしてみたが、近くまで耳を近づけてようやく聞こえる程度で、動作音は非常に小さかった。

 また、ベンチマークテストを実行している状態のSSD-PEU4A本体の温度は、手で触ってほんのり温かいと感じる程度。長時間連続でベンチマークテストを実行しても、最も温度が高い部分で43℃ほど、金属の外装部は32℃程度にしか上がらず、高速ポータブルSSDでありがちな触れないほど熱くなることはなかった。これなら安心して利用できるのはもちろん、データを連続して転送する場合でも安定して速度を引き出せると考えていいだろう。

長時間ベンチマークテストを連続実行しても、手で触ってほんのり温かい程度にしか温度が上昇せず、安心して利用できるのはもちろん、速度も安定して引き出せる

利便性は改善の余地有りも非常に高速なポータブルSSDとして魅力

 今回見てきたようにSSD-PEU4Aは、ポータブルSSDとして他を圧倒する高速なアクセス速度を実現していることが確認できた。もちろんそのためには、接続インターフェイスがUSB4/Thunderbolt 4に対応している必要があること、接続ケーブルにUSB4対応ケーブルを利用すること、またWindows PCでは書き込みキャッシュを有効にする必要がある。近年、USB4/Thunderbolt 4搭載PCは増えてきているものの、まだまだ非搭載のPCも多く、速度を最大限引き出せる環境を揃えるという点では少々厳しい部分がある。

 またWindows PCでは書き込みキャッシュを有効にすることで、PCから外す場合にハードウェアの安全な取り外しを行なう必要があり、利便性が失われる点も気になる部分だ。

 それでも、条件を満たすPCを持っていて、大容量データを頻繁にポータブルSSDに書き出す必要があるという人なら、リード、ライトとも実測で3,000MB/sを上回る非常に高速なアクセス速度は大きな魅力となるはずだ。それも、空冷ファン内蔵で安定して速度が引き出せ、安心かつ安定して利用できるという点も見逃せない部分だ。

 今回試用した2TBモデルの価格は4万9,100円とやや高価な印象だが、映像や動画クリエイターをはじめ、大容量データを可能な限り高速に転送できるポータブルSSDを探している人なら間違いなく満足できるはずで、お勧めしたい。