やじうまミニレビュー

キーボードの上にキーボードを置くためのガジェット「タイプスティックス」

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
タイプスティックス利用イメージ

 筆者は「キーボードの手前にキーボードを設置する派」なのだが、世の中には「キーボードの上にキーボードを置きたいニーズ」がある。

 より正確を期するなら「ノートPCのキーボードの上」に「別のキーボードを置く」というものだ。言葉だけだと何を言っているのか分からないのだが、つまりは「任意のノートPC」で「お気に入りのキーボード」を使いたいというニーズだ。

 既にそういう使い方をしている読者諸兄には釈迦に説法だと思うが、そうでない読者のために改めて説明しておこう。

 そもそもキーボードは、PCとユーザーの架け橋となる重要なインターフェイスであり、キータッチや配列に対して好みやお気に入りが生まれて当然だ。ところがノートPCを選ぶ際にキーボードは選べず、ほかの要素で選んだら必然的くっついてくるのがほとんどだ(キーボードの良し悪しでノートPC選びをする人もいないとは限らないが)。

 すると当然、任意のノートPCに好みのキーボードを接続するという選択肢が生まれてくる。もちろん、キーボードをノートPCの手前に置いてもいいが、その分画面が遠くなるうえ、タッチパッドにアクセスしにくくなる。マウスと併用するという手も考えられるが、タッチパッドはキーボードのホームポジションからほとんど手を動かさずに操作できる利便性は代えがたい。

 そのため、ノートPCのキーボードの上に好みのキーボードを置けば、画面が遠くなることもタッチパッドが使えなくなることもなく、好きなキーボードが使えるようになる、というわけだ。ただ、そのまま置いただけではノートPCのキーが押されてしまう。それを回避するために生まれた製品が、ファーイーストガジェットの「タイプスティックス」というわけだ。

 タイプスティックスは、ノートPCのキーボード上のキー間のフレーム部分に2つ設置する。縦と横形状の2つの“足”で立ち、キーの上に橋を渡すイメージで、ほかのキーボードを設置するためのベースを設置できる。ベース部は滑り止め加工されており、タイピング中にキーボードが滑るのを防ぐようになっている。

タイプスティックス設置イメージ(使用ノートはRazer Blade Stealth(2020))

 本体にマグネットを内蔵しており、未使用時は2つのスティックを合体させてスマートに持ち運べる。重量は約16gで、ほとんど荷物にならないのがメリットだ。

本体はマグネットで2ピースを合体させて持ち運べる
利用時に真ん中から“割って”使う。底面に突起の“足”が見える
HHKB(英語配列)設置イメージ

 なお、形状からくる仕組み上、いわゆるアイソレーションタイプのノートPCのみに対応し、キー間のフレームがない古いノートPCは非対応。また、キートップが極端に盛り上がっているようなノートPCのキーボードも対応できない。ただし近年のノートPCのほとんどは薄型かつアイソレーションタイプなので問題は少ないだろう。

足でキーの上を橋渡しするイメージで設置する。この写真から分かる通り、左右の固定は縦の足、前後の固定は横の足1つのみで、さまざまなノートに対応できるようある程度余裕を持たせて設計されているため、多少はぐらつく

 実際に試してみたが、13.3型ノートではHHKBのような60~65%キーボードはノートPC本体からキーボードがはみ出ずに設置可能だった。16型ノートならテンキーレスキーボードでも設置可能だ。なお、Bluetoothや無線では問題にならないが、USB有線キーボードで後ろからケーブルがはみ出るタイプは、ノートPCの液晶下部に当たるので、配線に注意したい。

 ちなみにベース部は滑り止め加工されている上に、強度も高いので安定度は高いが、足とフレームの接触部は滑り止め加工がなされていない上に、さまざまなキーピッチやフレームの幅に対応させるために完全に固定されるわけではないので、設置時に多少ぐらつく。ただ、キーボードはキーを押下するので、タイピング時にズレるといったことはない。全体的によく考えられた構造と言えるだろう。

16型ノートの設置イメージ。このキーボードはUSBポートが背面にあるので、L字型ケーブルを用意した方が良いだろう

 いわゆるアイデアから生まれたガジェットで、これまでもありそうでなかったのだが、そこはアイソレーションタイプのキーボードの普及という背景があったのかもしれない。「ノートPCのデザインや性能は気に入っているんだけどキーボードが……」というユーザーは、試してみほしい。