やじうまミニレビュー

一日中つけっぱなしで快適テレワーク。骨伝導ヘッドセット「OpenMove」

やじうまミニレビューは、1つ持っておくと便利なPC周りのグッズや、ちょっとしたガジェットなど幅広いジャンルの製品を試して紹介するコーナーです。
AfterShokz OpenMove

 AfterShokzの「OpenMove」は、9月18日に発売されたばかりの骨伝導ヘッドセットだ。税別価格は9,090円となっている。今回発売に先立ってサンプルが送られてきたので、簡単にレビューしたい。

 昨今PC Watch編集部はほぼ完全にテレワークに移行しているが、そのさいに欠かせなくなったのがヘッドセットである。メーカーの発表会や説明会はもちろんのこと、クライアントとの連絡会議、編集部の会議などで必須だからだ。とくに説明会では外部に漏れては困る事前情報などがあるためヘッドセットの装着が欠かせない。

 会場にいるならその仕事しかできないので問題はないが、在宅となるとなにかとマルチタスクが必要となる。たとえば発表会途中でも、宅配便が来たさいは受け取りたいし、同居人の声がけにも反応しなければならないシーンが多々ある。

 そういった場合にヘッドフォンで完全に外界をシャットアウトしてしまうと至極不便。リアルの音や声に反応するためにヘッドフォンを外してしまうと、その間発表者の声が聞こえなくなるからだ。キーボードを打っている最中に、外したりつけたりする動作をすると、その間キーボードも打てないのでストレスだ。

 そこで便利に使えるのが骨伝導ヘッドフォンである。骨伝導ヘッドフォンは耳の穴をふさがないので、周囲の環境音はそのまま聞こえる。ユーザーは、注意力を骨伝導ヘッドフォンから聞こえてくる音声にフォーカスするか、環境音にフォーカスするか、脳ですぐに切り替えればいいだけだ。

製品パッケージ
パッケージ内容。耳栓も付属し、これをつけたときでは音質が大幅に向上するが、これをつけるぐらいなら普通のヘッドフォンをつけたほうが早いだろう
スポーティでスタイリッシュな筐体
振動をする部分のアップ。これを耳の横の頬骨にあてる。とは言えこれ自体からも音は聞こえるので、コーン紙がないユニットのようなものだ

 OpenMoveはそういった用途にピッタリなヘッドセットだ。同社はこれまで「Titanium」、「Air」、「Aeropex」の3製品を投入してきており、このうちAeropexはフラグシップだが価格は2万円台とやや高い。その一方でTitaniumとAirは1万円前後で安価なものの、設計がやや古い印象であった。

 OpenMoveはTitaniumと同じ1万円の価格帯で、Aeropexと同じQualcomm製チップ「QCC3024」と「PremiumPitch 2.0」技術を採用し、ほぼ同じ音質と6時間の連続バッテリ駆動時間を実現している。さらに、電話会議に最適な「ボーカルモード」を備えることで、電話会議にも最適となった。

 じっさいにOpenMoveをパソコンとBluetoothで接続して、会議に参加してみたが、問題なくコミュニケーションが行なえた。ボーカルモードに設定してみたが、声にフォーカスが当てられ、聞き取りやすかった。

 本機で便利なのはマルチポイント機能だ。これは2台のデバイスを同時接続しておける機能で、あとから音声が入ったデバイスに自動的に切り替えるもの。たとえば、スマートフォンで音楽を鳴らしておいて、その間にパソコンへ会議の着信や通知音が鳴ると、自動的にそちらに切り替わる。手やデバイスによる操作が不要で、離れていてもほぼ即時に反応できるので、在宅のさいは何かと便利である。

 欠点といえば、音量の+/-ボタンによる音量調節がWindowsでは行なえずやや不便だったが、近年のノートパソコンやゲーミングキーボードなら、音量調節はキーボードのショートカットで行なえるので、大きな支障はない。OpenMoveは本来スマートフォンとの連携、なおかつスポーツのさいに音楽を楽しむことを前提としたモデル。そういった意味でパソコン+電話会議で使うのはメーカー想定外の使い方なのかもしれない。

願わくばWindowsでも音量調節できるようにしてほしかった

 また、人の声の質によっては若干振動を感じたり、咳払いをされると耳のあたりがむず痒くなることがあった。こればかりは骨伝導の最大の弱点なのだが、音量を抑えたり、装着位置を少しずらしたりするだけで解消するので、このあたりは使い方も工夫したい。

 本製品のメリットは、周囲の音がそのまま聞こえるうえ、無線なので、つけたまま家のなかを行ったり来たり、宅配便を受け取ったりするさいもそのままでOKな点。しかも、インナーイヤーヘッドフォンのように長時間の装着で耳の穴が痛くなるようなことはないし、オーバーイヤーヘッドフォンのように蒸れることもない。重量も29gと軽量なので、慣れてしまえばメガネ感覚で一日中つけっぱなしにして、音楽を楽しんだり電話会議できたりするのがいい。

 上位のAeropexと比較すると、バンドが硬く、つけ心地ではやや劣る印象。また、IP67防水ではなくIP55防水となっていたり、マグネット充電コネクタではなくUSB Type-Cでキャップつきになっていたりと差別化されている。とはいえ、Aeropexと同様に骨伝導とは思えない良好な音質はほぼそのままなので、「はじめての骨伝導なんだけどいきなり2万円のものを買うのは……」とためらっている人におすすめだ。

重量は公称どおりの29g。頭に装着すると挟まれている感じはあるが、重くは感じない
充電は今どきのUSB Type-Cなので心配は不要