やじうまミニレビュー
新骨伝導ヘッドフォン「OpenRun Pro」。音に厚みが出て音楽がより楽しく
2022年1月11日 06:20
昨今のコロナ禍で在宅勤務/リモートワークが増えているのは言うまでもないのだが、その中で筆者が手放せなくなったアイテムが骨伝導ヘッドフォンである。PC Watchでは毎日雑談タイムがあるほか、オンラインの記者説明会や、夜のジョギングでも、間違いなく骨伝導ヘッドフォンを使用している。
インイヤー型のイヤフォンは長時間着けていると痛みを感じるし、オーバーヘッド型も時間が経つと蒸れる。骨伝導ならその心配とは無縁だし、なにせ妻や子供からの呼びかけにもすぐに応えられ、急に宅配便などが来ても即座に対応できる。その一方で雑談や会議の内容が周囲に漏れることはない。屋外でジョギングする際は、周囲の交通状況に気を配れる。まさに最高だ。
そんな中、Shokz(元AfterShokz)は、CES 2022で骨伝導ヘッドフォンの新モデルとなる「OpenRun Pro」を発表した。日本国内ではGREEN FOUNDINGを通じてクラウドファンディングを実施しており、価格は2万3,880円となっている。事前に試用する機会を得たので、簡単に試用レポートをお届けしたい。
少しマーケティング寄りな話とはなるが、Shokzは2021年12月にAfterShokzからブランド名を変更した。今回のOpenRun Proはブランド名変更後の第1弾モデルとなる。AfterShokz時代のフラグシップは「Aeropex」というモデルであったが、OpenRun Proはこの後継のフラグシップとして位置づけられているという。
そして同社はこれまでAeropex以外に、エントリー向けの「OpenMove」、Web会議向けの「OpenComm」という2モデルを展開してきたが、後2者はいずれもオープンイヤー(耳を塞がない)を彷彿とさせる「Open」を冠していたのに対し、Aeropexだけはこのネーミングルールから外れていた。新登場のOpenRun Proは満を持してこのOpenを冠する製品となったわけだ。
すると必然的に「“Pro”じゃないモデルは?」という疑問になるわけだが、同社によるとこれまで販売してきたAeropexを「OpenRun」に改名し、同梱品を変更するなどして廉価なモデルとして販売するという。つまり、1万円切りから2万円台半ばまでのレンジをすべてカバーしたわけである。
さて最新のOpenRun Proだが、第9世代骨伝導技術により、「明瞭でクリアな中域/高域を実現するとともに、新しいShokz TurboPitch技術で深みのある低域も実現した」としている。具体的には、2基の低音エンハンサ「CoreCushion」をトランスデューサの中に組み込むことで低域を改善したという。
こればかりは音楽を聴いてすぐに改善が感じられた。明らかにドラムのビートが増え、ボーカルの深みが増した。Aeropexを試用した当初は「骨伝導にしてはなかなかやる」とは思ったものの、OpenRun Proを1回聴いた後にAeropexに戻すと、かなりやせ細った感じの音楽になっていることに気づく。もちろん、筆者はAeropexを着けて毎日ジョギングをしたりもしている。運動をしながら音楽をオマケとして聴く分にはAeropexでもなんら不自由がないが、単なるヘッドフォンとして見た場合、OpenRun Proはより優秀であるのは言うまでもない。
マイクの品質に関しては、さすがにブームマイクを備えたOpenCommほどの音質ではないのだが、そこまでこだわらないのであれば、OpenCommよりもOpenRun Proの方が汎用性が高いだろう。1時間で満充電になる急速充電も備わったので、OpenCommの購入でためらっていた人にも最適と言えるのではないだろうか。
ちなみに骨伝導で気になる音漏れと振動だが、やはりOpenRun Proでも「ある」にはある。1m程度離れていてもある程度鳴っているのが分かるし、音量を60%以上に設定すると、ユニットと接するところがむず痒くなるのは致し方ない。また、当然周囲の雑音も入ってくるので、電車の中で使うのはあまりおすすめできない(周囲への音漏れと、音楽が聴き取りにくくなるので音量を上げざる得ない=振動が増える)。やはり、自宅やオフィス、室外で使うべきだろう。
ちなみに値段的にやや高価なのがネックだが、筆者にとって、骨伝導ヘッドフォンはもはやこれまで購入したどのヘッドフォンよりも利用頻度が高くなっているので、購入したとしても「元は取れる」とは思っている。ヘッドフォン周りで悩んでいるユーザーにおすすめしたい。