やじうまミニレビュー
PS5の120Hzも対応。実質1万4,180円の鬼安144Hz液晶を買ってみた
2020年12月9日 06:55
アイ・オー・データ機器の“GigaCrysta”「EX-LDGC221HTB」は、リフレッシュレート144Hzに対応した21.5型のゲーミング液晶だ。今回Amazon.co.jpで1台購入したので、試用レポートをお届けしたい。
もう記事タイトルで本製品の特徴を全部まとめたので書くことはないのだが(笑)、本製品は144Hz対応でありながら“鬼安い”のが最大の特徴だ。144Hz表示対応の液晶は軒並み2万円超えなのだが、本製品はAmazon.co.jpでは1万7,980円で販売されているのである。
これだけでも驚愕なのだが、12月8日執筆時現在、10%(1,800円)引きの1万6,180円で販売されている。さらに、11月25日〜2021年1月24日まで購入した人を対象に、もれなくQUOカードで2,000円キャッシュバックするキャンペーンを実施していて、これに応募すれば実質たったの1万4,180円なのである。
この冬はGeForce RTX 30、Ryzen 5000、Radeon RX 6000、PlayStation 5、Xbox Series Xが相次いで投入されていて、ゲーマーにとって懐が寒くなる頃。なおかつ、どの製品も高リフレッシュレートへの対応が謳われているのだから、それを十分に活かせるディスプレイもとりあえずはほしいところ。お財布に優しいこのディスプレイがどのぐらい実用的なのか、気になる人も多いのではないのだろうか。
安いのに、GigaCrystaならではの心配りがいっぱい
正直なところ、製品が届くまで1万4,180円の液晶に大して期待はしていなかった。4年前に買ってレビューした「EX-LD2071TB」程度の機能と写りなのかな、と思っていたからだ。しかし、実際は予想大きく裏切られた。もちろんいい意味でだ。
まずはその狭額縁デザインである。本製品は左右と上の3辺で、パネルとフレームのあいだの段差がないフレームレスパネルを採用。フレームと非表示領域をあわせても左右でわずか6.8mm、上で6.3mm程度しかない。これがじつにスッキリしていて気持ちいい。EX-LD2071TBは旧来からある普通の液晶というイメージなのだが、EX-LDGC221HTBは今どきの液晶っぽい。
スタンドは、チルトだけしか行なえず、昇降やスイベル、ピボットがないのだが、その代わりVESAマウントホールを使わないのがメリット。よって、VESAマウントキットを使うことで液晶後部に取り付けられる小型パソコンも対応できるのだ。近年のゲーミング液晶は高機能スタンド装備がほとんどで、VESAマウントホールを占有するため、小型パソコンと組み合わせたさいにそのメリットを活かせないが、本製品なら対応できる。
また、ベース部の手前に溝があって、そこにスマートフォンなどを立て掛けられるのもメリット。さすがに縦置きしてしまうと画面下部が隠れてしまうが、ディスプレイ非使用時なら縦のスマートフォンスタンドにしてもいいし、ディスプレイ使用時は横置きが可能。机の上の整理に役立つだろう。
一方、ベースの後部はケーブルを複数まとめられるオーガナイザーを搭載していて、これもかなりスマートだ。ほかのメーカーのオーガナイザーの場合、リング状の機構にケーブルを通す仕組みのものが多いため、特定ケーブルを整理したい場合はいったん本体から抜くしかなく面倒だ。本製品はコの字に引っ掛ける仕組みのため、液晶を手前にちょっと倒してスペースを作れば、すぐにケーブルを外せるのである。
こうしたデザイン上のちょっとした心配りが、じつに国産メーカーらしい。本製品は同社の液晶のなかでもゲーミングブランドのGigaCrystaを標榜していて、高性能と高機能を謳っているが、それにふさわしい装備だと言えるだろう。
同社の上位機種に搭載されているリモコンは付属しておらず、基本的に背面ボタンを使って操作する。ただ、本体下部である程度指の位置を把握できるならまだしも、完全に背面となると、いかに画面のOSDでその位置を親切に教えてくれる機能があると言っても、半分以上が手探りになるのでなかなか難しい。まあ、OSDはそんなに使用頻度は高くないので困るというほどでもない。
画質もいい意味で期待を裏切る
さて、安いものにはそれなりの理由があるわけだが、本製品が安い最大の理由は、TNパネルを採用しているからだ。とは言え、先述の2万円台前半の144Hzディスプレイも基本的にTNパネルなので、本製品が特別というわけではない。しかし、それらはサイズが23.6型が主流で、21.5型で144Hzを実現したのは、筆者が調べたかぎり本製品しか存在しない。
TNパネルということで、視野角が最大の弱点というわけなのだが、これはいい意味で期待を裏切ってくれた。さすがに上下の視野角に関しては、45度ぐらい斜めから見るとキツイが、正面に座っているかぎり、姿勢を直す程度の頭の高さの調節、つまりその程度の角度の変化では色偏位が少なく十分だった。一方、左右の視野角については広く、VAパネルに肉薄するほどだ。
また、TN液晶ということで、その特性上黒が白浮きしやすく、眠い絵になりがちだと心配だったが、これも杞憂に終わってしまった。どの色もくっきりしていて、とくに赤の鮮やかさが印象的。写真鑑賞にも十分耐えうる品質だと言える。
その一方で、TNパネルという特性を活かした高速応答はさすがといったところで、144Hzという高リフレッシュレートの特徴を十分に引き出せる。なお、残像を軽減するオーバードライブ機能も、切を含めて5段階で調節可能だが、「レベル2」まではオーバーシュートも少なく実用的だった。
ちなみに、本製品が144Hz入力に対応するのはDisplayPortとHDMI1入力のみで、HDMI2入力は120Hzまでという制限がつく。また、本製品AMD FreeSync Premiumも準拠していて、ゲーム内のフレームレートに合わせてリフレッシュレートを変化させ、出力を同期することでテアリングを除去する機能も備えている。GeForceの場合でもG-SYNC Compatibleとして同様の挙動を実現できるが、そのさいはDisplayPortでしか同機能が利用できないので注意が必要だ(RadeonならHDMIでも可能)。
実際にEX-LDGC221HTBでいくつかのゲームをプレイしてみたが、映像は非常に滑らかで、残像も少ないのが印象的だった。ただ、144Hzと60Hzの違いは、ゲーム内よりも、デスクトップでマウスカーソルを動かしたさいや、テキストをスクロールしたさい、ウィンドウを移動させたさいの違いのほうがわかりやすかった。そういった意味で、一般用途としてもこの144Hzディスプレイはオススメだ。
兎にも角にも144Hzを体験してみよう
EX-LDGC221HTBはいい意味で期待を裏切ってくれる格安液晶だ。せっかく高性能なGPUやゲーム機が揃っているのに、高リフレッシュレートのディスプレイはまだ、というユーザーは、とりあえずの1台として買っておくのに損はないとは思う。三菱の技術を受け継ぐアイ・オー・データ機器製で、3年間の保証もついているので安心だ。今回、PS5の実機がないため試せていないが、アイ・オーが公開しているキャンペーンページのとおり、本製品はPS5の120Hzに対応しているということで間違いないだろう。
ちなみに本製品は販路によって型番が異なる。AmazonとNTT-Xなどのダイワボウ流通のものはEX-LDGC221HTBという型番なのだが、TSUKUMOなどでは「KH2200V-ZX」としてほぼ同価格で販売されている。一方、ヨドバシカメラやソフマップで取り扱っている「LCD-GV221HXB」は、実売2万2,800円の10%ポイントつきと若干高いが、こちらは5年保証が付属している。いずれにしてもキャッシュバックキャンペーンの対象とされ、お買い得感抜群なのだ。