やじうまミニレビュー
自宅玄関の鍵をスマホで開けられるオートロック「セサミmini」にしてみた
2020年1月23日 11:00
以前、こちらの記事(道路拡張で家が取り壊しに。補償金を得てマンションを購入した話)で書いたとおり、最近引っ越しをした筆者は、玄関の鍵をスマートフォンで開けられるスマートロックにしてみた。購入したのは「セサミmini」という名の商品だ。アマゾンでの価格は1万4千円だった。
電子的に合鍵を作れるスマートロック
ここ1~2年で、日本でこのようなスマートロックが発売されるようになった。基本的な機能はどれも共通で、玄関などの内側のサムターンに取りつけることで、スマートフォンを利用して開けられるようになる。筆者が購入した理由は、「なんとなくおもしろそう」という単なる好奇心が大きいが、従来の物理鍵にないメリットとしては、一時的あるいは恒久的な電子コピーを即座に作成できる点がある。
たとえば、恋人に合鍵を渡すという状況はよくあるだろう。しかし、別れてしまったとき、返してもらっても、万が一鍵を複製されていたらという不安も残る。そんな場合、スマートロックでも、電子的な鍵の複製を作成し、相手に渡すことができる。このゲスト用の複製は、管理者(購入者)がいつでも削除できるので、返却すらしてもらう必要はない。
恋人以外でも、ベビーシッターや家事代行などを契約している場合などにも、相手のスマートフォンにセサミアプリを入れてもらう必要こそあるが、いつでも取り消し可能な合鍵を簡単に作成できる。日本でのニーズは少ないかもしれないが、メーカーでは民泊で誰かを泊める用にも好適としている。鍵をなくしがちな子供に使わせるのもいいだろう。
筆者は、引っ越しが終わって物理的な鍵自体もピッキングや複製がひじょうに困難と言われているロイヤルガーディアン製のディンプルキーに取り替えた。この鍵はセキュリティーが高いが、その分、合鍵を作るのさいに、鍵ごとに発行されるキーコードと登録カードを持って、正規代理店に頼むという面倒な手順を踏む必要がある。しかし、スマートロックを併用すれば、合鍵の作成は無料かつ瞬時だ。
という具合に、セサミを使うと合鍵の運用がひじょうに楽になる。だが、それよりも便利なのが、毎日の開け閉めだ。スマートロックを使うと、帰ってきたとき、カバンの奥底からいろいろなものを押し分けて鍵を取り出す手間が省けるし、後述するようにそもそも鍵を持ち運ぶ必要すらなくなるのだ。
両面テープで取りつけるだけの簡単設置
では、利用手順を説明しよう。セサミを使うに当たっては、本体を両面テープでサムターンを覆うように取りつける。ネジ止めや工事は不要なので賃貸でも問題なく使える。サムターンを回す部分はサムターンのサイズにあわせて幅を調節できる。筆者の場合はとくに調整なく取りつけできた。ただ、本体を垂直方向にするとドアの枠と干渉したので、横向きにしたが、それ以外はなんの問題もなかった。おそらく大多数の種類のサムターンに、そのまま取りつけ可能だろう。電源は乾電池で、約500日使える。電池残量はアプリで確認でき、1カ月近く使った現在、残量はまだ100%のままになっている。
サムターンの台座部の大きさによっては、セサミに下駄を履かせてかさ上げする必要があるが、そういう場合は、販売代理店のCANDY HOUSEに連絡すれば部品を送ってくれるそうだ。
設置したら、Bluetoothでスマートフォンとペアリングを行なう。あとはセサミの近く(Bluetoothの届く範囲内)でセサミアプリを起動して、「Unlock」(解錠)を押すと鍵が開き、「Lock」に変わったアイコンをタップすると施錠される。じっさいに使ってみて、帰ってきて、玄関前でセサミアプリを起動してから、アプリがセサミを認識するまでは3秒程度で、待たされる感覚はない。
スマートフォンを使うのだから、NFCのようにタッチで開いてくれるとさらに便利なのだが、筆者が調べた限りでは業務用を除き一般的に日本で個人が購入可能なスマートロックはBluetooth対応のものだけのようだ。ただし、セサミではiPhoneについては端末をポケットにいれたまま、コンコンと2回本体を叩くだけで解錠する機能が利用できるそうだ。
自宅の玄関がオートロックに
カバンから鍵を取り出すのに比べ、ポケットからスマートフォンを取り出してこの作業を行なうのも楽だが、さらに便利だと感じているのは、オートロック機能だ。
セサミでは、アプリの設定で、鍵を開けたあと、指定した時間が経過したら、自動的に施錠するという機能がある。これを使うと、出かけるさいに鍵を閉める必要がない。開けるのにも閉めるのにも鍵が不要と言うことは、鍵を持ち出す必要がないということだ。たとえば、近くのコンビニで買い物をするさい、筆者は電子マネーで支払いをしている。そのため、今では財布も鍵も家に置いたまま、スマートフォンさえ持って出れば、買い物に行けるのである。
ランニングなどに出かけるときも、かさばりがちな鍵を持ち出さないで済む。Apple Watchにも対応しているので、同製品ユーザーならスマートフォンすら持ち出さないでいい。完全な手ぶらで出かけられるのだ。
最初は鍵をかけないで出かけることに不安を感じたが、アプリの設定で解錠・施錠のたびに通知を受け取ることもできる。筆者の場合、いままで、オートロックが効かなかったことは一度もない。加えて言うなら、玄関の照明が人感センサー対応なので、それまでは「鍵を持つ→玄関の電気をつける→靴を履く→電気を消す→玄関の戸締まり→カバンに鍵をしまう」だったものが、「靴を履いて出る」だけで済むようになった。いろいろと楽になったのもあるし、ちょっとした未来感も楽しめる。
アプリがうまく動かなくなった、帰ったらスマートフォンのバッテリが切れていた、あるいは会社などにスマートフォンを忘れて帰ってきたなどの万が一の場合もあるので、物理鍵はメールボックスのなかなど、玄関より外にある他人がアクセスできない場所に保管しておくといい。ダイヤル式の南京錠つきキーボックスなども売られているので、これに物理鍵のスペアを入れて、玄関近くに保管しておくのもいいだろう。逆に言うと、セサミを取りつけても、従来の物理鍵はそのまま使える。
鍵の開け方はもう1つある。それが「手ぶら解錠」と呼ばれる機能だ。設定でオンにすると、一度出かけて(具体的には家から250m以上離れる)帰ってくると、GPSによる追跡で帰宅を検知し、スマートフォンを取り出さずとも自動的に解錠してくれるというものだ。だが、この機能については、何度か試したが機能したことがない。GPSでうまく場所を拾えていないのかもしれない。ただ、機能したとしても、GPSは高さは認識できないので、マンション住みの場合、1階に到着した時点で上の階の自分の部屋の鍵が開く懸念もあるし、諦めている。
Wi-Fiアクセスポイント併用でクラウド連携も可能に
すべての解錠・施錠操作はアプリに履歴が保存される。デジタルスペアキーには個別に名前もつけられるので、子供のいる家庭では、会社などからも履歴を見て子供が帰ってきたことを知ることができる。あるいは、クラウド連携機能をオンにすると、IFTTTと連携させて、子供が解錠したら自動的にメールを送る、帰ってきて解錠したら自動的にIoT対応の電気やエアコンをつけるといったことも設定できる。Google AssistantやAmazon Alexaとの連携にも対応しており、音声でセサミを制御したりもできる。
ただし、これらのクラウド連携機能を使うには、オプションのWi-Fiアクセスポイントが必要となる。同モジュールは、小型のUSB充電器程度のサイズで、セサミとペアリングして、なにかしらのUSB給電ポートに挿しっぱなしにして利用する。価格は6千円程度だが、本体とセットで買うと千円ほど割安になる。
筆者はこのWi-Fiアクセスポイントも買った。これが基本的な機能は使えるが、オートロックの通知を受け取るにときなども、これが必要になる。アクセスポイントは、後日単体でも購入できるので、まずは本体だけを買って試してみるのでもいいだろう。
おそらく本製品を含むスマートロックについて、一番ユーザーが気になるのが、両面テープで玄関に固定するという点だろう。ネットの口コミなどで、使っているうちに両面テープが剥がれて本体が落下したという報告もある。筆者の場合、多少凸凹した表面の玄関に貼りつけているが、4週間ほど使っていていまのところは何の問題もない。買ってよかった製品だと感じている。