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スマホが鍵代わりになる「スマートロック」、まだ導入してない?
2024年4月8日 06:19
皆さんのご自宅のカギにはオートロックの機能が付いているだろうか。
うっかりカギを閉め忘れた場合など、カギがかかっているか玄関まで戻って再度確認するという行為は人生において非常に無駄な時間の1つだ。そのため、自動でロックがかかるオートロックは一定の需要があると思われるが、一方でカギの交換には業者の手による大掛かりな作業が必要になる上にコストがかかるため、気軽にオートロック付きのカギに交換することは難しい。
オートロックが難しいならスマートロックだ!
そんなオートロックの機能を手軽に導入できるのが、今回紹介する「スマートロック」だ。スマートロックは従来のカギの上にかぶせる形で装着することにより、個人でも手軽にオートロックなどの機能を追加できるソリューションとなる。
多くの製品は内側のカギにのみ装着するだけで利用でき、後付けで装着するため、通常のカギも併用できる。その原理はいたってシンプルで、被せる形で装着したスマートロック本体が電気で動作し、カギのつまみを回転させるだけだ。
装着可能なカギは、回転するつまみでカギを開閉するタイプで、ボタン式のカギやスライド式のほか、特殊なつまみで制御するタイプのカギには装着できない。この辺りは購入前に製品を販売するメーカーのWebサイトなどをチェックして、自宅のカギと比較して装着できるか確認する必要がある。ただ、ほとんどの場合大丈夫だろう。
スマートロックはスマートフォンとBluetooth接続で連携し、専用のアプリケーションを介してカギが開閉できるほか、設定や制御などの各種操作を行なうことで各種機能が利用できるわけだ。
スマートロックの機能はカギの開閉操作以外にも多くの機能が利用できる。たとえばスマートフォンの位置情報を使うことで、利用者が近付くと自動でカギが開くハンズフリー解錠の機能を使うことが可能な製品もある。
また、無線LANを介することで、遠隔からカギの制御が行なえるほか、カギの開閉履歴を常時チェックできるようになる機能も魅力だ。ただし、こうした無線LANを介した遠隔制御の各種機能については、多くの製品では別売オプションの併用が必要になる。
そのほかにも分かりやすい機能としては、一定時間経過後に自動でカギがかけられるオートロック機能も追加できる。また、複数のスマートフォンにアプリをインストールして、カギを共有できる機能もあるので、家族用に新たな物理のカギを用意しなくてもカギが増やせる点も便利な用途の1つだ。逆にスマートフォンがない人向けには、別売オプションとして専用の無線キーなどが用意されている製品もある。
製品によってはスマートウォッチやスマートスピーカー連携にも対応するほか、最近では扉の外側に装着するユニットを用意し、ここに専用のカードをかざしたり、暗証番号を入力することでカギが開けられるような仕組みを追加できる製品などもある。
主なスマートロック
現在主流のスマートロックは以下の4社だ。
Qrio Lock
スマートロックの中ではかなり古くからソリューションを提供する「Qrio Lock」は現在では事業者向けのサービスを展開するなど、かなり幅広く事業を展開しており、信頼度も高い印象だ。
ただし、価格については今回紹介する3製品の中では最も高額で、基本セットで大体2万円前後となっている。
SADIOT LCOK
筆者が現在使用しているのは「SADIOT LCOK」だが、現状あまり不満がないくらい良好に稼働している。
価格もほどよく基本セットで1万円前後、動作についても筆者の望む運用ができており、満足度はかなり高い。
SESAME
キャンディハウスの「SESAME」シリーズも過去に使用していたことがあった。こちらもサポート体制含めて、メーカーとしての対応はかなり良好だったのだが、別売オプションの無線LANユニットの動作が安定しなかったり、カギの開閉履歴がきちんと取れない場合があるなど、仕様周りで筆者の要望と噛み合わない部分があったため、使用を断念した。
ただし、SESAMEは基本セットが6,000円前後で販売されているなど、オプションを加えた場合であってもかなり安価に揃えることができる。試しに導入してみるのにはちょうどいいとも言える。
SWITCHBOT
これまで紹介した3社の製品と異なる特徴を持つのがSWITCHBOTの「SwitchBot ロック Pro」だ。たとえば電池に特殊な物を使用せず、単3電池4本で駆動させたり、別売のバッテリセットなどが使えるなどユニークな特徴を持つ。
同社は元々、スマートリモコンやスマートカーテン、物理スイッチに装着してアナログな家電をスマート化させられるSwitchBotボットなどスマートホーム化製品を数多く展開しており、スマートロックもその1つとして発売していたが、このロック Proは無段階可変構造のアタッチメントを採用するなど、新たに発売した。価格も1万5,000円前後とお手頃な価格ながら、豊富な機能が利用できる。
スマートロックを使う上での注意点
筆者の自宅では「SADIOT LOCK」を使用している。ここからは実際にスマートロックを3製品ほど使用してきた筆者の実体験も踏まえて注意ポイントなどについて語っていきたい。
スマートロックは両面テープでカギに装着する。この両面テープについては、標準で付属している物で問題ないのだが、扉の材質や相性などにより、はがれてしまう場合もあるので、この辺りは事前の確認も必要だ。
ただし、スマートロック自体の重量もそれなりにあるため、装着後数日ではがれてしまうようなケースも散見される。筆者の環境でも装着して3日くらいではがれ落ちてしまい、色々な両面テープを試したが改善されず苦労した。
このような場合、とても重要なのが両面テープの選択ではなく「押し付け」だ。どんなに粘着性能の高い両面テープであっても、数分押さえた程度だとはがれやすくなってしまうのだが、半日~1日程度、押し付け続けることで、かなり長持ちするようになる。実際に筆者環境では数日ではがれてしまっていたスマートロックが、半日押しつけることでガッツリ固定され、1年以上問題なく利用できている。
スマートロックの電源は電池駆動の製品が一般的だ。前述のように両面テープで装着する都合上、なるべく軽量にしたいという思惑もあるのだろう。電池の種類については、一般的な単1~単3電池ではなく、CR123Aや4LR44といったコンビニなどではあまり見かけないカメラ向けの電池が採用されている製品が多い。
違いを調べてみると、容量はピンキリながら、単1~3電池の電圧が1.5Vなのに対してこれらの電池は電圧が3.7Vと倍近くある。おそらく、物理的にカギを回転させるなどの動作により多くの電圧が必要になるからだろう。この手の電池はニッチなこともあり、やや割高な物が多いが、家を守るためには惜しまずに投資するのがいいだろう。
また、ほとんどの製品において、電池残量の情報はアプリ側でチェックされており、電池がなくなってくるとアプリ動作時に警告を発する仕組みとなっているので、電池交換を忘れて動かなくなるのを防ぐようになっている。
さらに本体にはメインと予備の2セット分の電池を内蔵できるので、警告を無視して電池が切れてしまった場合も、予備の電池を使うことで電池切れを防ぐような仕組みになっているのはさすがだ。
実際の使い勝手で言うと、これがかなり快適だ。特に冒頭で触れたオートロックの機能はクセになってしまうと、カギを閉める習慣がなくなってしまうなど、人としてのデメリットが発生するくらい快適だ。また、電池残量のチェックなどはスマートフォンのアプリが行なってくれるため、警告メッセージが出たところで、電池を購入すれば済む。
そのほか、別売オプションにはなってしまうが、無線LAN接続の機能を追加することで実現できる、遠隔操作やカギの履歴チェックもかなり使い勝手がよい。たとえば車で移動するような場合、駐車場から玄関に移動するまでの間など、Bluetoothでは届かない距離であっても、カギの開閉が行なえるので、扉の前で待つ必要がない点がありがたい。
カギの履歴チェックについても、自宅のカギの開閉状況が把握できるので、万が一不審者がカギを開けて侵入したような場合に、どこにいてもスマートフォンからチェックが可能なので、防犯性能が高まり安心度の向上に繋がると言える。
過信は禁物だが、一度使うと戻れない
ここまで褒めまくってきたスマートロックだが、一方で過信は禁物である点も意識する必要がある。たとえば電池切れ含め、スマートロックが何らかの理由ではがれて落ちてしまった場合など、スマートロックが正常に動作しなくなるケースは多い。このような時に物理カギが手元にあれば何の問題もないのだが、物理カギがないとお手上げになってしまう。
またオートロック機能についても、スマートロックが何らかの理由で誤動作したり、正常に動作しなかった場合、家のカギを開けたまま出かけてしまうことになる。無線LAN接続なら家などから履歴が確認できるので、早期発見が可能になるが、こうしたトラブルが発生してしまう可能性は常に頭に置いておき、物理カギも併用して持ち歩くようにしておく心がけは必要だ。
最後に不信感を煽るようなことを書いてしまったが、たとえば自宅に誰かいる場合であれば、スマートロックが利用できるスマートフォンのみで近所をぶらぶらしたり、車で外出の際などでも、免許証や車のカギ以外にスマートフォンのみを持って、コンビニなどに手軽に買い物に行けるのはやはり気が楽だ。
生活リズムの劇的な変化が期待できるスマートロック、興味がある人は1度試してみるといいだろう。