やじうまミニレビュー
文字入力も快適なRazer Yellowスイッチ搭載キーボード「BlackWidow Chroma V2」
2017年12月28日 06:00
Razerは、フルサイズのゲーミングキーボード「BlackWidow Chroma V2 Razer JP Yellow Switch」を8月31日より国内発売している。
税別店頭予想価格23,000円と、ゲーミングキーボードとしても高価格帯に位置する製品だが、今回同社より製品をお借りできたので、レビューしていきたい。
高品質なリストレストが付属
早速箱を開封してみたが、内容物はシンプルで、キーボード本体と説明書、リストレストに、おまけのキースイッチストラップという構成だった。
キーボード本体は、左端にマクロキー5つがあるほかは、一般的なフルサイズキーボードと変わらない。右側面にはヘッドフォン出力とUSBポートが配置。裏面には高さ調整用の脚がある。
ケーブルは筐体から直出しで、キーボード用のUSBプラグ、側面USBポート用のUSBプラグ、ヘッドフォンジャック用のミニプラグと、3つに分岐している。
筆者自身は、普段テンキーレスキーボードを好んで使っているが、本製品には、バリエーションモデルとしてテンキーやマクロキーを廃した「BlackWidow Tournament Edition Chroma V2 (以下TE版)」も発売されている。
またTE版は、国外では筐体を黒からクオーツピンクに変更した「Quartz Edition」も発売されている。
付属するリストレストはエルゴノミクス設計となっており、質感もよく高品質なもの。本体にはマグネットで吸着する。
Razer Synapseで各種カスタマイズが行なえる。マクロキーのみならず、CapsLockキーをCtrlや半角/全角キーにするなど、すべてのキーでマッピングを変更できるのは嬉しいポイントだ。なお、別キーの機能だけでなく、マクロやマウスボタンを割り当てることもできる。
また、製品名にもあるとおり、「Razer Chroma」ライティングに対応しており、各キーがRGB LEDで発光する。カスタマイズも豊富で、ライティングは鮮やかだ。
反応速度重視の独自メカニカルスイッチ「Razer Yellowスイッチ」を搭載
続いて、使用感に言及する前に、本製品の採用する独自の「Razer Yellowスイッチ」に触れておきたい。
現在、Razer独自のメカニカルスイッチは、「Razer Greenスイッチ」、「Razer Orangeスイッチ」、「Razer Yellowスイッチ」の3つがある。
BlackWidow Chroma V2も、本製品のほかに、Razer Greenスイッチ採用モデルとRazer Orangeスイッチ採用モデルが存在する。
GreenとOrangeスイッチは、タクタイルフィードバックを特長としたスイッチで、Greenはクリック音が鳴るタイプ、Orangeはクリック音を抑えて静音化したスイッチとなる。
いっぽうYellowスイッチは、リニアな打鍵感を特長としたスイッチで、GreenやOrangeと比較して、キーストロークが4mmから3.5mmへ短くなり、「キーが押された」と反応する位置を指すアクチュエーションポイントも、1.9mmから1.2 mmへと短く調整されている。
Razerでは、Green/Orangeスイッチは、ハッキリとした入力ポイントの把握を求めるゲーマー向けで、Yellowスイッチは、FPSやMOBAなどの反応速度が重視されるジャンルのゲーマー向けに開発されたものであると説明している。
仕様や設計思想的にも、Yellowスイッチは、Cherry MX「Speed Silver」スイッチ(通称銀軸)に近いものと言える。
スイッチ品質は極めて良好
そんなYellowスイッチを採用する本製品だが、キーピッチは19mmで、配列は日本語、10キーロールオーバーに対応するなど、ゲーミングキーボードとして求められる仕様は一通りクリアしている。
前述のとおり、製品仕様上は10キーロールオーバー対応となっているが、「Keyboard Ghosting Demonstration」で検証してみたところ、実際には14キーまでの同時押しに対応していた(14個のキーを押した状態で15キー目を押しても認識はされない)。これはGreenスイッチ採用モデルと同様の仕様だ。
低価格なメカニカルキーボードでは、キートップに触れたときにカチャつくというのがありがちだが、本製品はさすが高価格帯ということもあり、キートップを意図的にカチャつかせてもほぼ無音で、遊びも少ない。
本稿はすべてこのキーボードで入力しているのだが、普段よりも、同じキーを連続するさいの入力漏れが減っているのが感じられた。これはアクチュエーションポイントが浅く設定されているためだろう。
アクチュエーションポイントが浅い分、意図せずキーを押してしまい誤入力が発生するという可能性もあるが、筆者が使った限りでは起きなかった。押下圧が30g台のスイッチの場合、指を置いただけでキーが沈んでしまい誤入力が起きる場合もあるが、Yellowスイッチは45gのため、そういったことも起きにくい。
そのため、とくにキーを底打ちしない「撫で打ち入力派」のユーザーにはピッタリだ。
ただ、本製品についての難点を挙げるとすれば、マクロキーの存在だ。このマクロキーだが、キーボード左端に配置されているため、「M5キー」と通常左下隅にある「Ctrlキー」を頻繁に押し間違えてしまった。
キーボードを見てからCtrl+X/C/V操作を行なえば良いのだが、ついつい小指を基準に押してしまうため、誤入力してしまった。同様のケースとして、「半角/全角キー」もM1キーと誤って入力してしまう場合もありそうだ。
しかし、これについては、Razerのみならず、あらゆるメーカーのゲーミングキーボードで、「マクロキー=左端」という配置(ほかにスペースがないのかもしれないが)のため、慣れの問題と言えるかもしれない。
加えて、前述のとおり、テンキーやマクロキーを廃した「BlackWidow Tournament Edition Chroma V2」も用意されているため、気になる場合にはそちらを選べば無縁の問題だ。
結論としては、ゲーミング用途はもちろん、滑らかな文字入力を求めるユーザーにもオススメの製品と言えるだろう。