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【TGS 2017】2017年上半期に日本でもっとも売れたマウスを送り出したRazerブースレポート
2017年9月22日 21:23
Razerは、幕張メッセにて開催中の「東京ゲームショウ2017」にてブースを設け、ゲーミングPCやデバイスの展示を行なっている。TGS 2017は21~22日は業界関係者やメディア向けのビジネスデイとなっており、一般向けは23~24日から。
印象的だったのが、同社のライティング機能「Chroma」のデモを行なっている、小さな部屋のようなスペースで、ゲーミングPCとChroma対応キーボード、マウス、マウスパッド、LEDテープなど、すべてがChromaでLEDが制御されていた。
再生される音に合わせてデバイスが光るという機能もデモされていたのだが、音に合わせて明滅するだけでなく、キーボードのメインキーが、再生音のスペクトラムアナライザとして光っていた。
開発中というWebブラウザで見ているサイトに合わせて色が変わるというデモもあり、YouTubeではファンクションキーの列がプログレスバーに連動するという仕様になっていた。
部屋にはPhilipsの展開するIoT照明「Hue」も設置されており、こちらもChromaに連動して光るという。連動機能はまだ提供されていないが、12月にソフトウェアアップデートとして提供予定とのことだ。
Hueは近距離無線通信規格「ZigBee」に準拠して動作するスマート電球のため、照明をHueで統一すれば、ニーズがあるかはともかく「家中の明かりをゲームに連動して光らせる」といったことも可能になるだろう。
そのほかにブースでは、22.5mm厚ながらGeForce GTX 1080を搭載した17.3型ゲーミングノート「Razer Blade Pro」も実機展示。独自開発の超薄型メカニカルスイッチを搭載しており、ノートPCながらタクタイルフィードバックのあるキー入力を実現している。
また、9月1日に発表されたホイールの回転抵抗やサイドの親指ボタンでDPI変更が可能なゲーミングマウス「Basilisk」が展示。
8月末発表の、MicrosoftのXbox Oneコントローラをベースに背面ボタンなどを追加し、スティックや方向パッドの交換にも対応したXbox One/PC対応ゲームパッド「Wolverine Ultimate」も展示されていた。
今回は、ブース取材と同時にRazerのプロダクトマネージャー Kushal Tandon氏に話をうかがうことができた。
弊誌でもレビューを掲載している、“メカニカル風メンブレン”という「メカ・メンブレン」スイッチ採用の「Ornata」についてのユーザーからの反響を訊ねたところ、Tandon氏は「もっとも売れているキーボードの1つ」と語り、メカニカルスイッチのフィードバックと、メンブレンのクッション性を両立している点が好評とのことだった。
Razerでは、メカニカルキースイッチも独自で開発して製品に搭載している。
Razer Greenスイッチは、タクタイルフィードバックがあり、荷重50Gでストローク4mm、アクチュエーションポイント1.9mmという仕様。Razer Orangeスイッチは、Greenスイッチをベースに45G荷重とし、静音仕様となる。
Razer Yellowスイッチは、「BlackWidow Chroma V2」およびテンキーレス版の「Razer BlackWidow Tournament Edition Chroma V2」に搭載されたもっとも新しいスイッチで、荷重45G、ストローク35mm、アクチュエーションポイント1.2mmというスイッチだ。
Tandon氏は、RazerではGreenスイッチ(Orangeも)は、ゲーミングからオフィスワークでの利用まで、幅広い用途で使えるスイッチと位置づけており、Yellowスイッチでは、よりゲーミング向け、とくにFPSやMOBAといった反応速度が重視されるジャンルのプレイヤー向けに開発されていると説明。アクチュエーションポイントやストロークを短くし、同じキーを連続して入力する場合もより早く連打できるという。
「Razer Blade Pro」で採用されている薄型メカニカルスイッチは、そのほかの製品でも採用されるのかという質問には、発売済みのiPad Pro用ケースで採用しているが、そのほかの製品への搭載は未定とのことだった。
筆者はブースの展示で初めて薄型メカニカルスイッチに触れたのだが、ストロークが短くとも、はっきり“メカニカルスイッチで入力している”という感覚を得たので、是非Razer BladeやRazer Blade Stealthといった製品にも搭載を期待したい。
マウス製品では、本誌でレビューも掲載しているゲーミングマウス「DeathAdder Elite」が、2017年1月~6月の期間において、「5,000円以上のマウスにおける国内販売台数シェア No.1」を記録したという告知がブース展示で行なわれていた。
BCNのデータをもとにRazerが調査したもので、“ゲーミングマウスではない”製品も含めたデータの結果だという。なお、5,000円以上というのは想定価格ではなく実売価格を示している。
なかなか印象的な数字だが、Tandon氏は「DeathAdder EliteはRazerを象徴する製品となり、日本以外の市場でもトップセラーを記録している」と語ってくれた。
Tandon氏に続いて、Razer アジア・パシフィックセールス&マーケティングジェネラルマネージャー兼バイス・プレジデントのAlvin Cheung氏にも話をうかがえた。
日本市場の規模については、アジア地域でトップ3に入る売上とのことで、「重要なマーケット」であるという。
Razerでは「Razer Music」として、Image-Lineの音楽制作ソフト「FL Studio Producer Edition」を、Razer製ノートPC購入者に無償で提供するなど、音楽製作者向けの取り組みを行なっている。
Deadmau5やDyro、Noisiaといったダンスミュージックシーンの有名プロデューサーとのパートナー展開や、プラグインを使ったマスタリング処理のノウハウの掲載など、かなり本格的なものだ。
そういった取り組みについて、Cheung氏は「Razerはゲーミングハードウェアメーカーだが、ライフスタイル、エンターテインメント企業を目指しており、Razer Musicもそのためのアクションの1つだ」と語った。
Razer Musicについては欧米だけでなく、アジア圏でも展開していく予定とのことで、もともとRazer Bladeが「選択肢がMacBookだけでは物足りない」という考えから生まれた製品であることを考えると、「クリエイティブワークにRazer」という流れも生まれてくるのではと感じさせてくれた。