PC短評

シリアルポートも追加可能な小型デスクトップPC「NEC Mate タイプMC」

「Mate タイプMC」(MKH24/C-3)

 NECの「Mate タイプMC(MKH24/C-3)」は本体サイズが34.5×182.9×179mm(幅×奥行き×高さ)/重量1.28kgと小型軽量の筐体を採用した企業向けデスクトップPC「Mate タイプMC」の最上位モデルだ。コンパクトな筐体ながら、デスクトップ向け第8世代CoreプロセッサのTDP 35Wモデルが搭載可能で、オプションにより、企業向けのPC運用管理技術「vProテクノロジー」にも対応できる。

 SoCには、TDP 35Wに対応するCore i7-8700T(2.4GHz、6コア/12スレッド)を搭載。ほかにも、Core i5-8500T、Core i3-8100T、Celeron G4900Tを搭載したモデルも用意する。

 本製品の特筆すべきポイントは、背面中央のネジを1本外すだけで、内部に簡単にアクセスが可能なメンテナンス性の良さだ。ネジを外したらあとは天面部、底面部のフタを押してそれぞれスライドさせるだけで、天面部、底面部へのアクセスが可能になる。

 底面部を開くとM.2 NVMe SSDスロット×1と、260pin SO-DIMMスロット×2にアクセスが可能。また、天面部を開くとCPUクーラーやマザーボードにもアクセスできる。今回試用したモデルではメモリ8GB、SSDは容量256GBのSamsung製NVMe SSD「MZ-VLB2560」を搭載していた。

 インターフェイスは、前面に本体の電源がオフの状態でも充電できる機能がついたUSB 3.0とUSB 3.0 Type-C、ヘッドフォンマイク対応ステレオミニジャック、マイクを搭載、背面にはUSB 3.1×2、USB 3.0×2(1基はキーボードからの電源オンに対応)、Gigabit Ethernet、ディスプレイ出力はHDMIとDisplayPortを備える。

 また、購入時のオプションで、シリアルポートを最大2基搭載可能なほか、ミニD-Sub15ピンやHDMI、DisplayPortをさらに追加できる。

 オプションでDVDスーパーマルチドライブなどの光学ドライブも追加可能で、本体をすっぽり収納できるブラケットを使うことで装着時もコンパクトにまとめられる。本体との接続はUSBで最短距離で接続できるショートケーブルが付属するため、接続時にもケーブルが邪魔にならないようになっている。

 本製品のオプションではほかにもIEEE 802.11ac対応無線LANやBluetooth 4.0を追加できるほか、メモリ容量の変更や、ストレージの容量や種類についても変更可能だ。

 光学ドライブを追加するさいに装着するブラケットは、ディスプレイマウント・ブラケットとしても利用が可能で、同社製の対応ディスプレイを別途用意することで、PC本体をディスプレイ背面に装着し、液晶一体型デスクトップPCのように使うこともできる。

前面にはUSB 3.0×2(うち1基はType-C)、ヘッドフォンマイク対応ステレオミニジャック、マイクを装備
背面にはUSB 3.1×2、USB 3.0×2(1基はキーボードからの電源オンに対応)、Gigabit Ethernet、HDMI、Display Port、シリアルポート、無線LAN用アンテナ接続端子もある
底面部を開けると、M.2 NVMeスロットとメモリスロットにアクセスできる
天面部を開けると、マザーボードにアクセスが可能。ここにSATAの端子があるのが確認できる
光学ドライブを装着するさいには背面でUSB接続する必要があるが、付属ケーブルは端子を迂回しつつ、最短距離で接続できるようになっており、ケーブルが邪魔にならないような工夫がされている
PCの装着に対応するオプションの23.8型ワイド液晶ディスプレイ「MultiSync E241N-C」
対応ディスプレイを用意することで、本体を装着することもできる
対応ディスプレイのアーム部分には、装着専用のネジ穴を備える

試用感

 本製品のデザインはビジネス用途らしく、また、昔ながらのNECらしく、メインカラーには落ち着いた色合いのアイボリーを採用する。加えて前面の端子周辺部についてはネイビーブルーで、これがアクセントとなり、シンプルながらもNECらしいデザインに仕上がっている。それ以外のフロント面はすべて細かい穴が開いており、これがCPUファンの吸気口となっているなど、無駄のない作りだ。

 CPUは第8世代CoreシリーズのなかでもTDP 35Wと低消費電力な代わりに、ベースクロックを抑えたTシリーズである。そのため、同じ第8世代Coreシリーズのなかでも通常版のデスクトップ向けSKUと比較すると性能は低くなる。

 ただし、このコンパクトな筐体に搭載可能なCPUとしてみると、性能はかなり高めで、PCMark 10を走らせたところ、スコアは4,269だった。もちろん、CPU以外にも本製品ではNVMe SSDを搭載するため、こちらも性能に貢献している面があると思われるが、いずれにせよ高水準の性能を実現していることには違いない。WordやExcelなどの日常業務に加えて、開発用途や画像編集など、より高負荷の処理にも耐えられそうだ。

 また、シリアルポートがオプションで追加できるという作りもビジネス用途にはうれしいところ。レガシーポートが標準で廃止されてからかなりの年月が経つが、いまだに昔ながらのシステムのメンテナンスなど、特定用途では、未だに操作を行なうさいに、外部からの接続にシリアルポートを使った通信が必要な製品も存在する。

 USB接続のシリアル変換ケーブルなども多く出回ってはいるが、動作が安定しないといった話も聞くため、レガシーのシリアルポートをオプションで追加できるという特徴は、こうした古い設備のメンテナンスに従事するような企業にとってもありがたい選択肢になるはずだ。

オプションで、IEEE 802.11ac対応無線LANを搭載できる
NEC純正キーボードもオプションにあるのは昔ながらのユーザーにとってはうれしいところ
PCMark 10の結果