西川和久の不定期コラム

固定回線不調で、5Gホームルーター「UQ WiMAX Speed Wi-Fi HOME 5G L12」を急遽導入した話

 仕事場の光回線が突然使用不能になり、スマホのテザリングで何とかしていたものの、やはりいろいろ不便。工事不要で即日利用可能な5G Homeルーターを導入した。今回はその経緯なども含め使用レポートをお届けしたい。

ある日突然光回線が使用不能に

 仕事場のネット回線は、2001年に引いたBroad Gate 01(現U-NEXT光01)。なんと20年前に工事したもので、ずっと無故障/無トラブル。メディアコンバータも含め当時のまま使っていた。

 途中、ほかへの乗り換えも考えたが、(現在は不明だが)当時は複数の固定IPアドレス(ネットマスク/29)を得られるのが最大のメリットで、開発中のサイトをIPアドレス制限したり、外へサーバーを出せるなど便利に使えるため、100Mbpsの回線としては高めだがそのまま使い続けている。

20年間使っていたメディアコンバーター(当時撮った写真。画像が小さいのでサムネイルだけ)

 そんな中、11月6日(土)、いきなりネットアクセスが不能に。10月にちょっとした不通時間があったので(20年間ではじめて)、しばらく待つものの変化なし。とりあえずサポートにメールで連絡。不都合の理由や対応時期がわかるまで……と言われたので、以降ahamo回線のiPhone 13 Proでテザリングしていたが、さすがに不便だった。

 またちょうどこのタイミングで「motorola edge 20」の入稿をしなければならず、作例などが含まれるためZIPのファイルサイズは123MB。アップロードが普段使っている光回線より時間がかかり遅さも目立った。

 さて、実際ネットに常時接続できなくなると……。


    1)BGM替わりにずっと流してるradikoが聴けない(昔使っていたFMラジオ内蔵Xperia A SO-04Eを引っ張り出した。意外に良くバッテリも持つため直った以降も使用中)
    2)ドラマなどストリーミング系が観られない(パケ死が怖いのでテザリングせず)
    3)管理しているIPアドレス制限ありのサーバーにアクセスできない
    4)外部はもちろんだが、ローカルで構築したシステムも外部へcss/jsなどを読みに行くので結果動かない
    5)原稿/プログラムを書くのに検索できず、サイトや資料@クラウドドライブも見れない
    6)FAXをクラウド保存できない

 1)から3)は想定内だが、4)以降は「あ! そうか」的なもの。ソーシャル系や簡単なメール/メッセージ程度はスマホで済むが、それ以外はテザリングを常時使用しないと無理。つまり何もできなくなる。いかに日頃からネット依存してるか改めて気付いた次第。

 状況的にちょっとかかりそうなので、次の案として、ahamoの20GB/月ではなく、無制限のを探したところ、povo2.0を発見。eSIMでも行けるので即日OKだ。データ使い放題(24時間)330円と価格もリーズナブル。早速ネットから申し込もうとしたところ、本人確認の運転免許証/マイナンバーカード/在留カード(日本国籍は無関係)がなく頓挫。調べるとauの店頭でまず回線契約(パスポートや国民保険証が使える)、それをpovoへ契約変更だと本人確認不要らしいが、面倒なのでここまで。手間(工数)を減らすためだと思うが、もう少し柔軟性が欲しいところだ。

 仕方なく、修理後でも予備回線として使え、工事不要の5Gホームルーターを調べ出した。第1候補はNTTドコモの「home 5G」。メリットは(今のところ)速度制限がない。デメリットはアップロードが遅い(10+ Mbps程度)、設置場所縛りがある(NTTドコモに届け出する住所以外では利用が禁止/GPS内蔵/1月1回リセット?)、そして現在在庫がどこにもないこと。「ドコモの「home 5G」、9月末で8万契約に」という記事が出ているのだから。在庫がないのも頷ける。

 今回事情が事情なので、できれば今日中にも何とかしたい。在庫なしではお手上げだ。様子見で近所のビックカメラへ行くと、UQ WiMAX「Speed Wi-Fi HOME 5G L12」を発見。11月5日に販売開始になったばかりの新型だった。聞くと、在庫ありで、即日開通との話。

 売り場でiPhoneを使い、いろいろ情報取集。メリットはアップロードがドコモより速そうなこと。エリアも仕事場近辺は大丈夫そうだ。設置場所縛りもなく、在庫ありで即日開通。デメリットは3日間15GB制限があり、超えた場合、翌日18時ごろから明けて2時ごろまでの8時間、1Mbpsの速度制限になる。

 本体価格は約2万円(+事務手数料)、回線契約は2種類あり、5Gのみ(スタンダードモード)と、エリアの広いLTEと組み合わせた5G+LTE(プラスエリアモード)。今回は前者を選択。

 月額は3年縛り/2年縛り/なしと3パターンあったが、本体一括の場合数百円しか変わらず、多分何年も使わないので縛りなしを選んだ。これで月額約5千円。テンポラリ用途としては高いが、メインのスマホ回線をドコモからahamoへ変え、ちょうど同額程度浮いているので、元に戻ったと思えば諦めも付く。

 同社は15日間無料貸し出しに対応しているので、利用すれば? と知人から言われたものの、光回線が使えない期間だけのテンポラリ。買わないのが前提なので何か申しわけなく購入することにした。

【お詫びと訂正】初出時に、無料貸し出しについて、「2021年12月20日をもって受付終了との発表が先日あった」としておりましたが、これはTry UQ Mobileについてであり、Try WiMAXは無関係でした。お詫びして訂正させていただきます。

UQ WiMAX「Speed Wi-Fi HOME 5G L12」の仕様
製造元NECプラットフォームズ株式会社
対応ネットワーク5G(sub6/NR化)、4G LTE、WiMAX 2+
SIMロックなし
対応周波数5G n28/n77/n78(3.5/3.7GHz)
LTE 1/3/18/41
質量約446g
同梱物ACアダプタ、つなぎかたガイド(保証書)
外形寸法(幅×奥行き×高さ)約101×99×179mm
UIMカードバージョンau Nano IC Card 04 LE U
有線LAN1000BASE-T/100BASE-TX 2ポート
無線LANIEEE802.11a/b/g/n/ac/ax(2.4GHz/5GHz)
最大同時接続数5GHz: 20台、2.4GHz: 20台
かんたん接続WPS、QRコード
本体色ホワイト
税込価格2万1,780円(一括/筆者のケース)

 仕様は表をご覧いただきたい。大きい5G/LTEルーター的な感じで、対応バンドはサービス相応。出たばかりなのでWi-Fi 6対応。そしてGbEが2ポートあるのも便利そうだ。

 店頭で購入して、回線の設定など待つこと約30分で引き渡し。さっそく仕事場に設置、電源オン。一週間内なら返品可能とのことで、もし電波状況が悪かったら……っと思っていたが、最強の状態で受信。これで一安心と言ったところ。

 仕事場のLANは192.168.11.1/24。ここにはNASや複合機もある。対してこのルーターは、192.168.179.1/24。どちらかを合わすのは面倒。また光回線が直ったら再度組み直しとなるため、このまま別セグメントで使うことにした。設置場所を窓際にしたこともあり、有線で接続するには遠く、すべてWi-Fiでの接続だ。

 スマホやタブレットはこの192.168.179.1/24側へ繋げばいいが、困るのはNASなどへ接続しているデスクトップ/ノートPC。このままだとアクセスできなくなる。ただこれらは有線でも接続しているので、macOSの場合、システム環境設定 > ネットワークで経路の優先順位が付けれるのでそれを使用した。つまりWi-Fi→有線LANの順にしておけば、Wi-Fi側に無いNASや複合機(192.168.11.1/24)にアクセスすると、自動的に有線LAN側が使われることになる。

macOSの設定 > ネットワークでサービスの順序が変えれる

 Wi-Fiの接続は、写真からわかるように本機の裏にSSID/PWが書かれているので(取り急ぎスマホで写真を撮ったのいうまでもない)、手慣れた人ならWPSやQRコードを使わなくても簡単に接続できる。コンパネはhttp://192.168.179.1でアクセスすればOK。初期パスワードも裏に書かれている。

前面。上4つのLEDが電波状態。その下にMode、Update、Status LEDが並ぶ
背面(iPhone 13 Proとの比較)。上からRESETボタン、Updateボタン、Modeボタン、USB(使えない)、Ethernet×2、電源入力
裏。SIMカードカバー(外すとSIMスロット)、中央にWPSボタン。ラベルにはSSID 2.4GHzと5Gz/キー、ゲスト用SSID/キー、その下にコンパネ用の初期PW
重量は実測で448g
ACアダプタのサイズ約90×45×38mm(凹凸を除く)、重量151g、出力12V/2.5A
設置場所では電波MAX! LEDが4つ全て点灯。実施設置するまで不安だったがこれで安心して利用できる

 筐体はご覧のように五角柱でホワイト。LEDがグリーンで点灯する。約101×99×179mm(幅×奥行き×高さ)、重量は実測で448g。iPhone 13 Proの比較からもわかるように持ち運べないサイズでもない。エリア内なら年末年始など実家へ持って帰るのもありだろう。付属のACアダプタはサイズ約90×45×38mm(凹凸を除く)、重量151g、出力12/V2.5A。

 前面、上4つのLEDが電波状態。その下にMode、Update、Status LEDが並ぶ。Modeは先に少し触れた5Gのみ/5G+LTEの状態。グリーンに点灯が5Gのみ(5G+LTEはオレンジ)。Updateはファームウェアのアップデートがある時に点灯するらしい。

 背面は上からRESETボタン、Updateボタン、Modeボタン、USB(使えない)、Ethernet×2、電源入力を配置。Modeボタンは5Gのみ/5G+LTEの切り替え用だ。ただ変更すると、契約形態が変わり料金が上がるので(実際の動きは試してないので不明)「絶対押さないように!」と店頭で念押しされた。

 裏にはSIMカードカバー(外すとSIMスロット)、中央にWPSボタン。ラベルにはSSID 2.4GHzと5Gz/キー、ゲスト用SSID/キー、その下にコンパネ用の初期PW。

 早速電源オンでWi-Fiで接続、スピードテスト@Wi-Fi 6(M1 Mac mini)は以下の通り(光回線は修理後の測定値)。なんとダウンロードは光回線の約1.5倍+と超えてしまった(笑)。アップロードも光回線の50%程度とネットに載っているドコモのHome 5Gルーターと比較しても結構速い。メインにして問題無い環境だろう。有線接続ならさらに上がる可能性もある(後に測定したところダウンロードが200Mbps近く/アップロードは変わらず)。

UQ WiMAX「Speed Wi-Fi HOME 5G L12」。ダウンロード161.7Mbps/アップロード47.7Mbps、レイテンシ15ms
U-NEXT光01。ダウンロード92.2Mbps/アップロード90.7Mbps、レイテンシ3ms

 気を良くして、PC系のWi-Fi、そしてスマホ/タブレット/AV機器のWi-Fiを全て設定し直し、一通り確認。当たり前だが特に後者はダウンロードがメインなので快適にアクセスできる。が、それではと、U-NEXTのドラマを少し観たところ、あっという間に6GB消費。これは即3日間15GB制限にひっかかると、ストリーミング系は諦めた(笑)。

 結局、先にあげた6項目のうち、ドラマなどのストリーミング系と、IPアドレス制限のあるサーバーへアクセスできない……この2点だけNGで、後は通常運行に戻り一安心。やはりテザリングよりいろいろな意味で全然いい。

3日間の通信量を確認できるコンパネとアプリ

 ルーターのコンパネはWebブラウザを使ってhttp://192.168.179.1へアクセス。本体裏にあるWebPW(変更可能)を使ってログインする。Homeには装置情報/SIMカード情報/簡易設定、そしてネットワーク設定、Wi-Fi設定、詳細設定、メンテナンス、情報……と並んでいる。SIM関連以外は一般的なWi-Fiルーターとさほど変わらない。

 ちょっと違うのは通信量カウンターで、月次、日次のモニタリングができることだ。この辺りは5G/LTEならではと言える。その他の設定にNAPT(IPマスカレード)やUPnP、DMZホストの項目もある。DMZホスト(とDDNS)を使えばLAN内のWebサーバーなどを外に出せるが、転送量制限があるこの手のものには不向きだろう。個人的には然程使っていないのに、Webアクセスなどで膨大に使われ結果速度制限ではお手上げだ。

 デフォルトの設定から変えたところは、SSID/PW、WebPW程度。ほかは触らずそのままの状態で使っている。非常に快適なので3日間15GB制限さえなければ光回線は不要かと思うほど。必要な人は限られるが、オプションで固定IPアドレスが欲しいところか。

コンパネ / Home
通信量カウンター。月次、日次のモニタリング可能
その他の設定(一部)。NAPTやUPnP、DMZホストの項目がある

 またアプリ、「NEC WiMAX +5G Tool」も用意されており、AndroidやiOSからルーターへアクセスできる。3日間の通信量を簡単に確認できるため、気になる時はサクッと見れる。

アプリ / NEC WiMAX +5G Tool / Home(Android版)
アプリ / NEC WiMAX +5G Tool / 通信量(月間)
アプリ / NEC WiMAX +5G Tool / 通信量(3日間)
アプリ / NEC WiMAX +5G Tool / 端末、Wi-Fi情報

 余談になるが、物撮りをするため、本体の電源を切ろうとしたところ、電源ボタンはなく、コンパネに再起動はあるものの、シャットダウンはない。マニュアルを見ると電源を切る時にはACアダプタを抜け……とある。何か雑な感じだが、家電なのでこれで不都合が出たら逆にマズイのだろう。

 結局、1週間以内に光回線が直ったので(メディアコンバータの交換。3世代違うとのこと)、本格的に使った期間は短かったが、それでもやはり常時接続は快適。しかもダウンロードは100Mbpsの光回線よりもかなり速く、アップロードもなかなかの速度。非常に満足した次第。

 問題の3日間15GB制限は、先に書いた通り、1Mbpsになるのは超えた翌日の18時頃から明けて2時ごろまで。筆者のように在宅仕事であれば、制限がかからない2時から18時までは使うだけ使って、18時以降はスマホの5G/LTEだけで過ごすと言う手もある。

 また普通の事務所の場合は、18時以降朝までは(残業などしない限り)どのみち関係ない時間帯となる。ビルなどの構造的に光回線が引き難く(知り合いの事務所ではこれが理由でいまだにADSL)、エリア内であれば検討の価値はあるだろう。

メディアコンバーターを交換して光回線は元通り。下の箱は10月にようやくWi-Fi 5から買い替えたWi-Fi 6対応ルーター(TP-Link Archer AX50)。古かったケーブルも何本か入れ替え、2021年はネットワーク関連メンテイヤーに

 さて問題はお役御免になった解約後だ。本体は一括購入しているので手元に残ることになる。サイズ以外は普通のSIMフリールーター。対応バンドを見ると5GのSIMなら行けそうな感じか。WiMAXはエリア外だが5Gは入る実家(唯一電話がかかってくるのでLINEのトークなどに切り替えたい)に置くなど、用途見つけて使わないともったいない。


 以上のようにUQ WiMAX「Speed Wi-Fi HOME 5G L12」は、工事不要で即日利用可能な5Gホームルーターだ。エリア内で電波さえ入れば、Wi-Fiでも有線接続でも簡単に利用でき、速度もなかなか。一般的な用途であれば問題ないパフォーマンスを叩き出す。今のところ在庫があるのもポイントが高い。

 本体代はともかくとして、月額約5千円が高いか安いかは微妙なところ。また3日間15GB縛りは、オンライン飲み会など18時以降の個人用途でもビデオ会議が一般化している昨今、もう少し増やして欲しいところか。とは言え、自宅/事務所の常時接続高速回線として十分検討に値する1台だ。