西川和久の不定期コラム

3万円台前半で5G対応のスマホ「OPPO A55s 5G」を試す

製品写真

 OPPOはハイエンドからエントリークラスまで、いろいろなクラスのスマホを販売しているが、今回ご紹介するは「OPPO A55s 5G」3万円台前半で5G対応機の登場だ。編集部から実機が送られて来たので試用レポートをお届けしたい。

Snapdragon 480/4GB/64GBだが5GそしてeSIMにも対応

画面左上にパンチホール式の前面カメラ。画面占有率90%。フチもそれなりに狭い
届いたのはブラック。左上にカメラ群

 同社のサイトを見ると、現在5G対応機は、「OPPO Find X3 Pro」、「OPPO Find X2 Pro」、 「OPPO Reno5 A」、「OPPO Reno3 5G」、「OPPO A54 5G」など(ひと目で5G対応か分からないので5Gマークか何か欲しいところ)。そして今回ご紹介する「OPPO A55s 5G」となる。

 モデル名的にはOPPO A54 5Gと近く、SoCoやメモリ、ストレージ、パネルサイズが同じと、スペックもよく似ている。ただOPPO A54 5Gは、背面カメラは広角/超広角/マクロ/モノクロ、バッテリが5,000mAhなどOPPO A55s 5Gよりプラスの部分もあり、仕様を良く見ないとどちらが上位か下位か分かりづらい。いずれにしても構成的にはともにエントリークラスだ。

 OPPO A55s 5Gは他の部分をシンプルにした上で、防塵防水、eSIM対応、FMラジオ搭載と言った味付けをした感じだろうか。主な仕様は以下の通り。

「OPPO A55s 5G」の仕様
SoCQualcomm Snapdragon 480 5G(8コア/2×2GHz+1.8GHz×6)、Adreno 619を内包
メモリ4GB(LPDDR4x @ 2133MHz)
ストレージ64GB
OSColorOS 11
ディスプレイ6.5型2,400×1,080(FHD+)ドット、画面占有率90%、最大90Hz、色域:96% NTSC/100% DCI-P3
ネットワークWi-Fi 5対応、Bluetooth 5.0
SIMNano SIMカードスロット×2+eSIM(SIM2/eSIMは排他。一つはmicroSDカードと排他)
対応バンド5G NSA: n3/28/77/78
4G: LTE FDD band 1/2/3/4/5/7/8/18/19/26/28
4G: TD-LTE band 38/39/40/41/42
3G: WCDMA band 1/2/4/5/6/8/19
2G: GSM850/900/1800/1900MHz
インターフェイスUSB 2.0 Type-C、3.5mmジャック、モノラルスピーカー、microSDカードスロット、FMラジオ
センサー磁気センサー、近接センサー、光センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、ステップカウント機能対応、顔認証(前面カメラ)
位置情報GNSS: GPS/Beidou/GLONASS/GALILEO/QZSS
カメラ前面約800万画素(F値2.0)、背面広角:約1,300万画素(F値2.2、FOV 80°、5Pレンズ、AF対応)、深度:約200万画素(F値2.4、FOV 89°、3Pレンズ、AF対応)
防塵防水IP68
サイズ/重量約74.7×8.2×162.1mm(幅×厚さ×高さ、最薄部)/約178g
バッテリ4,000mAh
カラーバリエーションブラック、グリーン
価格3万3,800円

 SoCはQualcomm Snapdragon 480 5G。4系なのでエントリークラスだ。8コアの2×2GHz+1.8GHz×6。GPUとしてAdreno 619を内包する。ひと昔前だと4系は遅いイメージがあったが、後述するベンチマークテストを見る限り、ハイ/ミドルクラスと比較すると遅いとは言え、実用上はそうでもないレベルにまで上がっている。

 メモリは4GB(LPDDR4x @ 2133MHz)、ストレージはeMMC 64GB。OSはAndroid 11ベースのColorOS 11を搭載。素のAndroidと比較するとかなりカスタマイズされたOSで、ちょっとiOSに寄せてる感もある。

 ディスプレイは6.5型2,400×1,080(FHD+)ドット。画面占有率90%、最大90Hz、色域:96% NTSC/100% DCI-P3。OLEDではないが価格の割に結構な性能だ。

 ネットワークは、Wi-Fi 5、Bluetooth 5.0、Nano SIMカードスロット×2+eSIM(SIM2/eSIMは排他)。対応バンドは表をご覧いただきたいが5G対応となる。eSIM対応はポイントが高い。NFC/おサイフケータイには非対応、Wi-Fi 6でないのは、残念なところかだが価格的に仕方ない部分でもある。

 インターフェイスはUSB 2.0 Type-C、3.5mmジャック、microSDカードスロット、日本の周波数に対応したFMラジオ。microSDカードスロットはNano SIMスロット1つと排他となる。スピーカーはモノラル。

左側面にNano SIM/microSDカードスロット、音量±ボタン。下側面に3.5mmジャック、Type-C、スピーカー
右側面に電源ボタン。上側面は何もない
奥がSIM1、手前がSIM2/microSDカード。防塵防水用のパッキンが見える

 センサーは磁気センサー、近接センサー、光センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、ステップカウント機能対応、顔認証(前面カメラ)を搭載。位置情報はGNSS: GPS/Beidou/GLONASS/GALILEO/QZSSに対応する。

 カメラは前面は約800万画素(F値2.0)。背面は広角:約1,300万画素(F値2.2、FOV 80°、5Pレンズ、AF対応)、深度:約200万画素。つまり背面は広角のみとなる。深度センサーがあるので、人以外でもポートレートモード(背景ぼかし)が機能する。

 サイズは約74.7×8.2×162.1mm(幅×厚さ×高さ、最薄部)、重量約178g。カラーバリエーションはブラック、グリーン。防塵防水のIP68に対応し、バッテリは4,000mAh(急速充電未対応)。価格は3万3,800円となる。

 5G/eSIM/IP68対応だが、おサイフケータイなし、スピーカーモノラル、背面シングルカメラ、急速充電未対応など、Snapdragon 480に加え、これだけマイナス面があるのは価格なりと言ったところか。少し足せば上位でSnapdragon 765G/6GB/128GB全部入りのOPPO Reno5 A(ただしスピーカーはモノラル)も視野に入る。この”少し”が少しなのか少しじゃないのかは、予算や用途にもよるだろう。

実測で182g(仕様より少し重いのは保護フィルム装着済みのため)
透明ケースとイジェクトピンのみ。ACアダプタやUSBケーブルはない
Xperia 1 II(約72×7.9×166mm/181g)との比較。フットプリントは一回りXperia 1 IIより大きい。高さは(カメラの出っ張りを除く)ほぼ同じ

 手元に届いた筐体はブラック。特別高級感はないものの、チープな感じでもない。裏の黒は艶消しなので指紋跡も目立たない。6.5型で実測182gだと普通(気持ち軽め)だろうか。扉の写真からも分かるように、コンパクトではないが、薄めで無理なく手に収まる(筆者の手は男性としては小さい)。

 前面には画面左上にパンチホール式の前面カメラ。画面占有率90%でフチもそれなりに狭い。背面には左上にカメラ群。左側面にNano SIM/microSDカードスロット、音量±ボタン。下側面に3.5mmジャック、Type-C、スピーカー。右側面に電源ボタンを配置。上側面は何もない。Nano SIMスロットは奥がSIM1、手前がSIM2/microSDカード、手前に防塵防水用のパッキンが見える。カメラに関してはこの後で解説しているので参考にしていただきたい。

 付属品は透明ケースとイジェクトピンのみ。ACアダプタやUSBケーブルは付属しないので注意が必要だ。なお保護フィルムは装着済みの状態で出荷されており、掲載した写真もそのまま撮影している(重量も)。

 6.5型のディスプレイは最大輝度550cd/平方mと明るく、発色、視野角、コントラストも良好。ただやはりOLEDと比較すると黒の締まりなどに差が出る。リフレッシュレート最大90Hzにも対応。設定で色温度の調整も可能だ。

 発熱は(季節柄もあるだろが)試用した範囲では特に気にならなかった。サウンドは、スピーカーからの出力はモノラルだがパワーがあり50%でも結構うるさい。3.5mmジャックからの出力を手持ちのSONY MDR-EX800STで視聴したところ、ドンシャリだがパワーもあり、バスドラが迫ってくる感じで価格を考えるとなかなか良い。

 Bluetoothオーディオコーデックは仕様によると、HFP/HSP/OPP/HID/A2DP/aptX/aptX HD/SBC/AAC/LDAC/AVRCP/PBAP/PAN(PAN - NAP)/PAN(PANU)/MAPに対応する。

サクッと撮って綺麗に写るカメラ

 搭載しているカメラは、前面約800万画素(F値2.0)。背面は広角:約1,300万画素(F値2.2、 FOV 80°、5Pレンズ、AF対応)と深度:約200万画素。つまり背面は広角のみのシングルとなる。出力画素数は、前面が2,448×3,264ピクセル、背面が3,120×4,160ピクセル。ポートレートモードも同じで画角も変わらない。

外側から広角、震度

 モードは、夜景、動画、写真、ポートレート、その他。その他にはタイムラプス、エキスパート、パノラマ、テキストスキャナー、ステッカー。写真の場合、上にストロボ、HDR、AIシーン強化、フィルターがある。

 また写真/ポートレートではAIレタッチ対応。背面では効き具合(肌のスムージング)の%のみだが、前面ではリセット、ナチュラル(お勧めプリセット?)、スキンテクスチャ、顔、目のサイズ、花、顎、頭、タッチアップ、3Dと言ったいわゆる盛れる機能を搭載している。実際試してみるとリアルタイムで変わるので面白い。

 設定は、透かし、音量ボタンの動作、位置、構図、詳細設定(自撮りを反転/レンズの汚れ警告/クイック起動ジェスチャー/クイック共有と編集)、写真:撮影方法(タップしてキャプチャ/手のひらを見せる)、動画:コーディック(高効率/最大互換性)。これらからも分かるように出力画素数などを触る部分はない。

 編集は写真アプリを使う。一般的なトリミング/調整/フィルターのほかに、ボケ味の調整、モザイク、ビューティー、消しゴム、そしてダウンロードで機能拡張可能なAIパレットなどに対応しており高性能だ。

カメラ/写真
カメラ/ポートレート
カメラ/その他
設定
カメラ/フロント(AIレタッチ表示あり)
編集は写真アプリを使う

 以下作例を日中(室内も含む)、夜景、人物(前面/背面)と計22枚掲載する。必要に応じて露出補正しているが基本フルオート(AI/ON、HDR/Auto)。AIは表示したものに従い、HDRは効きすぎるシーンのみ手動でOFFとした。日中の黄色い花は、寄れるほぼ一杯一杯。夜景のバイクはポートレートモード。人物はどちらもポートレートモード。AIレタッチは背面が効き具合40%、前面はナチュラルで試し撮りしてみた。

 使用感は、起動、AFなどは全く問題なくサクサク撮れる。絵もご覧の通りなかなか良い。これで価格が3万円台前半とは驚くばかりだ。ただ撮った後、画像の確認をして、カメラに戻ろうと左上の←ボタンを押しても戻らないことが多発。反応が鈍いのか、ボタンになっているエリアが狭いのか不明だが、もう少し何とかしてほしいところ。これ以外は特に不満もなく普通に撮影できた。

素のAndroidとは一味違うが慣れてしまえば使い易いColorOS

 初期設定は、基本全てスキップ、Wi-Fiでのセットアップとなる。ほとんど素のAndroidと同じだが同社サービスのアカウント作成(スキップ可能)やようこその画面が違う。

HeyTapアカウント
ようこそ

 画面ロック解除は、パターン/PINはなくパスワード(6桁の数字)と今時珍しいパターン。顔認証はパスワード設定後に行なえ、登録も認証も瞬時だ。昨今としては指紋認証がないのが残念なところか。

顔認証設定中
設定 > ロック解除方法 > 顔

 SIMの設定は、手持ちの関係で4GのOCNモバイルONEを使用した。eSIMをオフにしているとSIM1/SIM2となり、eSIMをオンにするとSIM2が無効になる。それ以外は一般的なSIM設定と同じで、APN設定後即開通する。

設定 > SIMカードおよびモバイルデータ
設定 > SIMカードおよびモバイルデータ > SIM情報と設定
設定 > SIMカードおよびモバイルデータ > SIM情報と設定 > アクセスポイント名
設定 > SIMカードおよびモバイルデータ。eSIMをONにするとSIM2の項目がなくなる

 OSはベースがAndroid 11だがColorOS 11と言うことで結構カスタマイズされている。慣れの問題もあるだろうが、素に近いAndroidからの乗り換えだと結構面食らうかも知れない。ストレージは64GB中18.7が使用中(若干の画面キャプチャ込み)。IMEはGboard。

 また”設定 > 便利なツール”にジェスチャーとモーション、スクリーンショット、画面録画、スマートサイドバー、画面分割などがひとまとめになっている。

Home(1/2)
Home(2/2)
Home/ツールフォルダ
Home/More Appsフォルダ
通知パネル
端末情報
ストレージ
便利なツール

 ホーム画面は2画面。Dockに「電話」、「メッセージ」、「Chrome」、「カメラ」を配置。1画面目は「テーマストア」、「写真」、「設定」、「ツールフォルダ」、「アシスタント」、「Playストア」、「Duo」、「Googleフォルダ」。

 2画面目は「ビデオ」、「音楽」、「時計」、「天気」、「ファイルマネージャー」、「カレンダー」、「NetFlix」、「Facebook」、「Booking.com」、「Linkedin」、「More Appsフォルダ」、「アゴタ」、 「BIGO LIVE」、「BuzzVideo」。

 ツールフォルダには「フォンマネージャ」、「ゲームスペース」、「コンパス」、「計算機」、「データ移行」、「画面のロック」、「レコーダー」、「Keepメモ」、「FMラジオ」、「HeyTap Cloud」、「Music Party」。More Appsフォルダには「WPS Office」、「PUBG MOBILE Gift Box」。

 インストール済みのアプリは上記の通りだが、最適化などを行なうフォンマネージャ、日本の周波数に対応したFMラジオが+αと言ったところか。FMラジオは通信データを消費せず、バッテリもほとんど食わないので、あれば便利な機能だ。

フォンマネージャ
FMラジオ(3.5mmジャックからのイヤホンケーブルをアンテナにする)

速くはないが、普通に使うには問題ないパフォーマンス

 ベンチマークテストは簡易式でGeekBench 5とGoogle Octane 2.0の結果を掲載した。GeekBench 5はSingle-core 523、Multi-core 1,527、OpenCLは1,068。Google Octane 14,707。

 参考までに少し前にご紹介したmotorola edge 20@Snapdragon 778G 5G/6GB/128GBの同スコアは順に、637/2,150/2,225/22,081。やはりSnapdragonの7系とはランクが違う。とは言え、実際使用している時に(爆速ではないが)何か引っかかったり遅かったりした部分もなく、割と普通に扱える感じだった。

 バッテリ駆動時間は、明るさ、音量共に50%、Wi-Fi接続でフルHD動画を連続再生したところ、約11時間切れた。構成を考えると少し短めだろうか。

GeekBench 5(Single-core/Multi-core)は523/1,527
GeekBench 5(OpenCL)は1,068
Google Octane 2.0は14,707
バッテリは10時間半経過して残5%

 以上のように「OPPO A55s 5G」は、Snapdragon 480 5G/メモリ 4GB/ストレージ 64GB、6.5型2,400×1,080(FHD+)ドットのパネルを搭載した5G SIMロックフリーAndroidスマホだ。Dual SIMに加えeSIMや防塵防水IP68に対応しているもポイントが高い。カメラはシングルレンズだが写りはご覧の通りなかなか頑張っている。

 価格が3万円台前半と言うこともあり、いろいろないものもあるが、安価でそれなりに使えるスマホを探しているユーザーに試して欲しい1台と言えよう。