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ダメダメだったドコモ「home 5G」の速度が激変!! いつの間にか5G通信品質が改善されていた話
2023年10月13日 06:14
ドコモのhome 5Gは、スマホのように5Gや4G回線でインターネットに接続する機能を搭載したWi-Fiルーターだ。光回線とは異なり工事が不要で、機器が届いたその日にギガ超え(仕様上)のインターネットが利用可能となる手軽さが魅力だ。
筆者は、100Mbps以上の光回線を導入できないという住宅事情から、今年の4月にhome 5Gを導入、半年以上使用している。導入当初は、ちょうど東京都内でドコモの5Gの速度が出ないという問題が浮上してた時期であり、筆者宅の5Gも非常に遅かった。
しかし、通信品質の改善が進んだのか、最近ではそれなりの速度が出るようになった。今回の記事では、実際に導入してみて分かったhome 5Gのリアルな使用感をお伝えしたい。
スペック上は下り4.2Gbps、上り218Mbpsの高速通信が可能
ドコモのhome 5Gは月額4,950円で、データ容量制限はない。最新のホームルーター「HR02」を使用した場合、仕様上は下り最大下り4.2Gbps、上り218Mbpsの高速通信が可能で、Wi-Fi、有線LAN合わせて最大66台の機器を接続可能だ。
契約期間の縛りはなく、いつでも自由に解約可能。ただし、新規契約の場合は端末料金(home 5G HR02の場合は7万1,280円)が「月々サポート(home 5G HR02の場合は1,980円×36回)」で補填され実質無料となるが、途中で解約した場合は月々サポートが終了となり、残金の支払いが必要となる。そのため、導入は自分の環境に適しているか、慎重に見極めて行なう必要がある。
home 5G | |
---|---|
キャリア | ドコモ |
データ容量制限 | なし |
契約期間 | なし |
月額 | 4,950円 |
ホームルーター | home 5G HR02 |
対応通信方式 | 5G(NSA):下り最大4.2Gbps、上り最大218Mbps 4G(LTE):下り最大1.7Gbps、上り最大131.3Mbps |
無線LAN | Wi-Fi 6:最大4,804Mbps |
有線LAN | 2.5GBASE-T×1、1000BASE-T×1 |
最大接続台数 | 66台 |
ホームルーターの価格 | 7万1,280円(月々サポート1,980円×36回アリ) |
激遅でもドコモは何の対策もしてくれない
home 5Gは前述の通り、仕様上は下り4.2Gbps、上り218Mbpsの高速通信が可能とされている。ただし、スマホのように電波状態で通信速度が激変するため、利用する場所によってはその100分の1くらいの速度しか出ないこともある。
たとえ5Gのエリアであっても基地局から距離が遠い場合や最寄りの基地局への接続数が多い場合は通信速度がかなり遅くなってしまう。
実際、筆者の環境では本年4月の導入当初は下りが最高で30Mbps前後、上りが8Mbps前後と、導入したのを後悔するほど速度が出なかった。
ホームルーターは設置場所により通信速度が大きく異なるという話を聞いていたので、家中のあちこちに置いて有線接続で通信速度を計測してみたが、下りは10Mbps以下になるところがほとんどで、上りは3Mbps前後といった有様。唯一北向きの窓際で上記の速度が出たという状態であった。
home 5G | 既存のフレッツ光回線 (VDSL、最大100Mbps) | |
---|---|---|
上り | 30Mbps前後 | 80Mbps前後 |
下り | 8Mbps前後 | 75Mbps前後 |
既存のフレッツ光回線(100Mbps)より遅いのではまったく導入した意味がない。このままではどうしょうもないので、ドコモに何とかならないか相談してみることにした。
ドコモの場合、電波の状況が悪いときは公式Webサイトのサポートページの「電波のお困りごと窓口」から問い合わせできる。そこから、Home5Gを導入したはいいが上記の通りの低速状態なので、それを改善してもらいたい旨の問い合わせをしてみた。
ドコモから「電波のお困りごとを受け付けました」というメールが来て、待たされること10日間。やっときた返事は次のように書かれていた。
「home 5Gを電波の良い場所(窓際など)に移動させる」、「home 5Gを移動させた後にランプ状態を確認する」、これを実施した後、①ランプ(LED)の色について(例:青点灯、青と緑点灯が切り替わる、消灯)※上から順に5つお答えください。②時間帯(例:特定の時間のみ悪い、いつでも悪い、など)を連絡ください。
早速、「①ランプはすべて青色」、「②いつでも悪い」と連絡してみた。
2日後に来たメールの内容は、「通信速度につきまして大変恐れ入りますが、ドコモのデータ通信サービスはベストエフォート方式による提供となるため、通信環境やネットワークの混雑状況に応じて、変化する可能性がある」、「home 5Gに接続する機器の数が多い場合や、ご利用の時間帯などにより通信状況が変化する場合がある」、「今回お客様から頂戴したお声をふまえ、ご住所周辺における通信品質の向上に取り組んでまいります」というありきたりの内容で、何の解決策もないものであった。そこで再度、電波改善装置とか何か対策はないのか問い合わせてみた。
3日後に来たメールの内容を要約すると「現状、ご提案できる改善策がない、了承いただきたい」、「今回頂戴しましたお客様からの貴重なお声は、あらためて社内で情報共有し、通信品質の向上に努めてまいります」というもの。解決策がないので我慢して使い続けてほしいというものであった。
今回の筆者の経験から得られた事実は、home 5Gは「すべての環境で高速通信が可能なわけではない」、「導入して、もし思ったような速度が出なくとも、どうしようもない」ということ。そういった意味で、home 5Gは結構リスキーなものである。
【お詫びと訂正】初出時に、申し込んだ住所でしか使えないと記載しておりましたが、My docomoの設定から月1回まで設置場所の住所変更を行なえます。お詫びして訂正させていただきます。
home 5G導入の失敗を避ける手段はある
ただし、home 5Gを導入するにあたって、ドコモの5Gスマホでどれくらい通信速度が出るかを試すことができれば、筆者のような失敗は避けられる。
筆者はauと楽天モバイルの回線しか持たないため、事前の確認を怠った。これが最大の失敗であった。ドコモに関わらず、ホームルーターを導入する際には必ず事前にどれくらいの速度が見込めるか、スマホなどで事前に確認することが重要だ。キャリアによってはお試し期間を設定していたりするので、それを利用するという手もある。
なお、実際の使い勝手であるが、筆者はオンラインゲームをやらないのでその点に関しては不明だが、低速とは言え、下りで10Mbpsから30Mbpsくらい速度が出ているため、ネットで動画を見たり(4K除く)、Web会議をしたりしても、5G回線の状態がよいときは特に不満を感じることはない。
ただし、昼の12時近辺や19時から21時あたりなど極端に速度が落ちる時間帯があり、その時間帯はネットを見るのにも不満を感じるほど遅くなるときがあった。これは今まで使っていたフレッツ光(VDSL)ではなかったこと。やはりネットはいつでも安定して使えてこそで、これがことのほかストレスになる。
加えて筆者にとってさらにストレスとなったのはアップロード速度が遅いこと。ライター&編集者という仕事がらFTP経由で大量のデータのやり取りを行なうことが多いのだが、100MB程度のファイルのアップロードでも大体10分以上かかってしまう。ときには数百MBのファイルをアップロードすることもある筆者としてはこれはちょっとつらい。
そのため、home 5Gはサブ回線として、メインは既存のフレッツ光(VDSL)を継続して使うことにした。筆者にとってhome 5Gの導入はまったくの失敗であったわけだ。繰り返すが、くれぐれもホームルーターを導入する際は要注意。事前にどれくらいの速度が見込めるか、スマホなどで事前に確認しておくことが重要だ。
下りの速度が300Mbpsオーバーに、通信速度が改善した!!
home 5Gを導入して2カ月ほど経ったとき、ダウンロード速度が速くなった気がしたので、有線接続と無線接続の両方で通信速度を計測してみた。
そうしたら何と、速度が130Mbps前後になるなど下りの通信速度が大幅に向上していた。これは一過性のものではなく、その後、日を変えて何度か計測してみたが、一番よいときで上記速度が出るようになった。導入当初は40Mbpsを超えることがなかったので、これは大きな進歩である。ドコモは「通信品質の向上に努めてまいります」としていたが、どうやらこれは嘘ではなかったようだ。
そして、home 5Gを導入して半年が経過した現在(2023年10月)では、筆者の住宅周りの通信品質はより改善されたようで、下り速度が有線接続で350Mbps以上、無線接続で200Mbps以上出るようになった。上りの速度が相変わらずそれほど速くはないものの良い時は15Mbpsを超えるようにはなった。
相変わらず、速度が落ちる時間帯はあるが、下の表の通り、一番悪い時間帯でも導入時よりも断然速くなっており、現状、やや大容量データのアップロード時間に不満を感じるときはあるものの、そのほかではフレッツ光(VDSL)よりも快適に感じることが多くなった。これでやっとフレッツ光(VDSL)を解約して、home 5Gをメインとして使用することができそうである。
Wi-Fi 6接続 | 有線接続 | |||
---|---|---|---|---|
計測時間帯 | Download | Upload | Download | Upload |
9:00~10:00 | 194.61Mbps | 4.07Mbps | 367.35Mbps | 7.84Mbps |
12:00~13:00 | 60.61Mbps | 1.07Mbps | 61.14Mbps | 1.69Mbps |
15:00~16:00 | 176.69Mbps | 15.98Mbps | 323.6Mbps | 16.17Mbps |
17:00~18:00 | 194.48Mbps | 13.31Mbps | 286.04Mbps | 12.85Mbps |
19:00~20:00 | 164.81Mbps | 3.77Mbps | 196.77Mbps | 5.64Mbps |
22:00~23:00 | 164.56Mbps | 3.78Mbps | 249.45Mbps | 6.74Mbps |
24:00~25:00 | 201.28Mbps | 8.72Mbps | 240.57Mbps | 17.15Mbps |
5Gで接続されていながらも通信速度が全然出なかった筆者の自宅で通信速度が改善されたということは、ドコモが言っていた「通信品質の改善」が進んでいるということであろう。
そのため、現在home 5Gに興味を持っている人は、導入しても筆者のような速度問題は起こらない可能性が高くなっている。ただ、もちろん地域差などもあるので、どこでも快適な通信が可能とは言い切ることは難しい。
前述の通り、ドコモの5Gスマホなどで実際に十分な速度が出るか確認することが必要だ。一度契約すると、ルーター代金の関係ですぐにやめるということはできない。ドコモの5Gスマホなどを所有していない人は友人などに借りてでも、事前に試すことをおすすめする。