西川和久の不定期コラム

有機ELが抜群に綺麗な13.3型軽量ノート「ASUS ZenBook 13 OLED」。バッテリも12時間超えと長持ち

ZenBook 13 OLED UX325EA

 ASUSは6月30日、第11世代Core iプロセッサと13.3型フルHD有機ELディスプレイを搭載したモバイルノート「ZenBook 13 OLED UX325EA」を発売した。上位モデルと下位モデルの2種類がある中、Core i7を搭載した上位モデルが届いたので試用レポートをお届けしたい。

13.3型フルHDの有機ELディスプレイがとにかく綺麗!

 発売されたのは、CPUがCore i7-1165G7、メモリ16GB、ストレージ1TB M.2 NVMe SSD搭載の上位モデルと、Core i5-1135G7、メモリ16GB、ストレージ512GB M.2 NVMe SSD+32GB Optane Memory搭載の下位モデルの2つ。

 13.3型フルHD有機ELパネルなど、ほかの部分は共通仕様で、プロセッサとストレージの構成が異なる。筐体は厚み13.9mm、重量約1.14kgと、モバイルノートとしもなかなかの仕上がりぶりだ。

 ちょっと面白いのは下位モデル。ストレージ容量が半分の512GBは分かりやすいが、加えて32GB Optane Memoryを実装しており、上位/下位モデルを構成する違いとしてはあまりないパターンではないだろうか。

 今回手元に届いたのはCore i7搭載の上位モデルだ。主な仕様は以下の通り。

【表1】ASUS「ZenBook 13 OLED」の仕様
プロセッサCore i7-1165G7(4コア8スレッド、2.8GHz~4.7GHz、キャッシュ 12MB)
メモリ16GB/LPDDR4X-4266
ストレージ1TB M.2 NVMe SSD(PCIe 3.0 x2接続)
OSWindows 10 Home
ディスプレイ13.3型フルHD(1,920×1,080ドット)有機ELディスプレイ、光沢、コントラスト比100万:1、最大400cd/平方m、DCI-P3 100%、HDR対応、PANTONE認証取得
グラフィックスIntel Xe Graphics
ネットワークWi-Fi 6対応、Bluetooth 5.1、USB接続Gigabit Ethernetアダプタ付属
インターフェイスThunderbolt 4×2、USB 3.0、HDMI、92万画素Webカメラ(Windows Hello顔認証対応)、microSDカードスロットなど
バッテリ駆動時間約13時間
サイズ/重量304×203×13.9mm(幅×奥行き×高さ)/約1.14kg
価格18万9,800円(下位モデル16万4,800円)

 プロセッサは第11世代のIntel Core i7-1165G7。4コア8スレッド、クロックは2.8GHz(cTDP-up)から最大4.7GHz。キャッシュは12MB、cTDP-down 12W/up 28Wとなる。

 メモリはLPDDR4X-4266で16GB。ストレージはM.2 NVMe SSD(PCIe 3.0 x2接続)の1TB。OSは64bit版Windows 10 Homeを搭載し、バージョン20H2で1つ古かったが、21H1には上げずに累積アップデートだけ適用し評価している。

 グラフィックス機能は、プロセッサ内蔵のIntel Xe Graphics。外部出力用にHDMIとThunderbolt 4を備えている。

 そして本機最大の売りとなるディスプレイは、13.3型フルHD(1,920×1,080ドット)の有機EL。パネルは光沢タイプで、コントラスト比100万:1、最大輝度400cd/平方m、DCI-P3 100%、HDR対応、PANTONE認証取得などの特徴を持つ。

 昨今、スマホのハイエンド機は有機EL(OLED)がほとんどだが、ノートPCはサイズが大きいので、使われているケースはあまりなく、起動直後に「お!綺麗!」と即思うほどの違いがある。加えて狭額縁デザインを採用。上辺で9.75mm、左右辺で4.72mmのベゼル幅となっている。

 ネットワーク機能はWi-Fi 6対応、Bluetooth 5.1。USB接続だがGigabit Ethernetアダプタも付属する。そのほかのインターフェイスは、Thunderbolt 4×2、USB 3.0、92万画素Webカメラ(Windows Hello顔認証対応)、microSDカードスロットなど。バックライト付きキーボードや、3.5mmジャックのType-C変換アダプタも付属する。

 本体サイズは304×203×13.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.14kg。薄型・軽量ながらMIL-STD-810G準拠のテストをクリアし、タフなボディに仕上がっている。バッテリ駆動は最大約13時間。価格はこの上位モデルで18万9,800円。下位モデルで16万4,800円だ。内容を考慮するとリーズナブルではないだろうか。

パネル中央にWebカメラ。上辺で9.75mm、左右辺で4.72mmのベゼル幅と狭額縁
天板は同社お馴染み同心円サークルが非対称で施されている
HDMI、Thunderbolt 4×2
USB 3.0、microSDカードスロット
パネルを開くとキーボード奥が持ち上がり傾斜するエルゴリフトヒンジ機構。HDMIコネクタの高さがギリギリなので結構薄い
底面の四隅にゴム足、手前左右のスリットにスピーカー
重量は実測で1,167g
ACアダプタ、USB接続Gigabit Ethernetアダプタ、3.5mmジャックType-C変換アダプタ。ACアダプタはサイズ約62×62×28mm(幅×奥行き×高さ)、重量222g、出力5V/3A、9V/3A、15V/3A、20V/3.25Aの65Wタイプ。プラグの部分は折り畳めない
キーボードバックライトは3段階

 筐体はダイヤモンドカットが施されたアルミニウム合金を採用し、十分な高級感。、そして厚み13.9mmと薄く、重量は実測で1.167gの軽量級だ。持ち上げた時もそれなりに軽く感じる。にも関わらずMIL-STD-810G準拠のテストをクリアしているだけあって、ガッチリした雰囲気も持ち合わせ、なかなかうまくバランスを取っている。

 フロントはパネル中央にWebカメラ。上辺で9.75mm、左右辺で4.72mmのベゼル幅と狭額縁。左側面にHDMI、Thunderbolt 4×2。右側面にUSB 3.0、microSDカードスロットを配置。音声入出力は本体になく、3.5mmジャックType-C変換アダプタが付属する。

 13.3型有機ELのパネルはとにかく綺麗だ。パッと見で色域が広いのも分かる。もちろん明るさ、発色、コントラスト、視野角も十分以上。画面キャプチャのデスクトップの色と、物撮りのパネルの色が同じになっているのが分かるくらいだ。ここまで見事に揃うのはそうそうない。

 キャリブレータのi1Display Proを使い、特性を測定したところ、最大輝度は378cd/平方mだった。ここでは写真を観るのに適していると言われる明るさ120cd/平方m付近に輝度を設定して計測した。黒色輝度は0.000cd/平方m。さすが有機ELだけあって黒はまったく浮かない。リニアリティはノートPC用のパネルとしては揃っているものの、若干グリーン被りしている感じだ(マゼンタの補正量が多い)。

白色点と黒色輝度
R・G・Bのリニアリティ

 キーボードはオフ+3段階のバックライト付き日本語配列。主要キーのキーピッチは約19mm。ただし、[ESC]、[半角/全角]キーのピッチが狭く、[Enter]キーの外側にもキーがあるため、好みが分かれそうだ。打鍵感は結構硬く、深めでクリック感もあり個人的には好み。タッチパッドは同社お馴染みのテンキーになる機能はなく、普通の1枚プレート型だがかなり長方形だ。

うまくまとまった日本語キーボード。ただし[Enter]の外側にキーがある。タッチパッドは結構長方形
主要キーのキーピッチは実測で約19mm。[ESC]、[半角/全角]キーのピッチが狭い

 ノイズや振動は試用した範囲で特に気にならなかった。ベンチマークテストなどの高負荷をかけるとは少しだけ熱を持つが、スペースキーの下までは降りてこないので問題はない。

 Harman/Kardonのサウンドはパワーがあり、中低域もノートPCのわりに出ているので、ジャズ/ロックなども迫力がある。もう少し中高域の抜けが良ければ言うことなしだった。

 Webカメラを軽くチェックしたところ最大720pだが、その範囲ではよく映る。普通にWeb会議するなら十分な品質だ。同社の説明によると従来機種よりセンサーが大きいそうだ。今後スマホ搭載カメラのセンサーサイズだけでなく、ノートPC搭載カメラのセンサーも大型化が進むのだろうか。

 後述するMyASUSというユーティリティには、AIノイズキャンセリングマイク/スピーカーがあり、組み合わすと快適なWeb会議ができそうだ。

第11世代Core i7のパワーはもちろん、12時間超えのバッテリ駆動

 初回起動時、スタートメニューにはASUSグループが追加されている。デスクトップは壁紙の変更のみとシンプルだが、デザインが有機ELのパネルによく映える。使用感は言うまでもなく、第11世代Core i7、メモリ16GB、SSD 1TBなので非常に快適だ。

 ストレージは1TB M.2 NVMe SSD(PCIe 3.0 x2接続)の「Intel SSDPEKNW010T8」。仕様によると、シーケンシャルリード/ライトともに1,800MB/s。CrystalDiskMarkの結果もほぼそのまま出ている。Cドライブの空き容量は908GB。BitLockerで暗号化されている。

 Wi-FiとBluetoothはIntel製。デバイスマネージャーにはないが、USB接続のGigabit Ethernetアダプタは「ASIX AX88179 USB 3.0 Gigabit Ethernet Adapter」となっていた。3.5mmジャックType-C変換アダプタは確認したところDACなどは入っていないようだ。

起動時のスタートメニュー。ASUSグループが追加されている
ストレージは1TB M.2 NVMe SSD(PCIe 3.0 x2接続)のIntel製「SSDPEKNW010T8」。Wi-FiとBluetoothはIntel製。デバイスマネージャーにはないが、USB接続Gigabit Ethernetアダプタは「ASIX AX88179 USB 3.0 Gigabit Ethernet Adapter」となっていた
CドライブはBitLockerで暗号化

 主なインストール済みのソフトウェアは、「i-フィルタ6.0」、「McAfee Personal Security」、「MyASUS」、「PhotoDirector for ASUS」、「PowerDirector for ASUS」、「Thunderboltコントロールセンター」など。

 MyASUSは同社お馴染みシステム統合ツールだ。カスタマイゼーションでは、「パワー&パフォーマンス」、「オーディオ&ビジュアル」、「コネクティビティ」、「スマートインプット」のタブがあり、様々な調整ができる。

 中でも興味深いのは、性能や静音性に応じて3種類のファン動作モードが選べるファンモード、AIノイズキャンセリングマイク/スピーカー、有機ELパネルを保護するASUS OLED Care、ネットの帯域を調整できるTaskFirstと言ったところだろうか。

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 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、Cinebench R23、CrystalDiskMark、PCMark 10/BATTERY/Modern Office。Core i7-1165G7とPCIe 3.0 x2接続のM.2 NVMe SSDを搭載しているだけあってなかなかのスコアが並んでいる。このクラスなら十分なパフォーマンスだ。

【表2】ZenBook 13 OLED UX325EAのベンチマーク結果
PCMark 10 v2.1.2519
PCMark 10 Score4,809
Essentials9,629
App Start-up Score12,949
Video Conferencing Score7,776
Web Browsing Score8,867
Productivity7,143
Spreadsheets Score6,304
Writing Score8,095
Digital Content Creation4,389
Photo Editing Score6,937
Rendering and Visualization Score2,613
Video Editting Score4,667
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.04,384
Creative Accelarated 3.04,801
Work Accelarated 2.03,142
Storage5,009
3DMark v2.19.7216
Time Spy1,467
Fire Strike Ultra1,138
Fire Strike Extreme2,179
Fire Strike3,972
Sky Diver11,757
Cloud Gate14,979
Ice Storm Extreme70,859
Ice Storm82,734
Cinebench R23
CPU3,937 pts(10位)
CPU(Single Core)1,186 pts(4位)
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード1943.580 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト1758.346 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード621.730 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト306.015 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード412.748 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト325.190 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード57.127 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト136.679 MB/s

 PCMark 10のバッテリテスト(Modern Office)は12時間45分で、キーボードバックライトオフ、明るさとバッテリモードなどはシステム標準で行なった。仕様上の最大約13時間ほぼ同じとかなり優秀な結果だ。このテスト内容でこれだけ動けば8時間程度の業務は問題ないと思われる。


 以上のようにASUS「ZenBook 13 OLED」は、第11世代のCore i7、メモリ16GB、ストレージSSD 1TB、そして非常に綺麗な13.3型有機ELフルHDパネルを搭載したノートPCだ。スリムで重量も1kgちょっと、そしてバッテリ駆動時間は12時間を超え、MIL-STD-810G準拠のテストをクリアするタフネスさ……モバイルノートとしては申し分ない性能を備えている。

 若干キー配列が気になるものの、高品質な有機ELパネルを備えたモバイルノートが欲しいというユーザーにぜひ使っていただきたい1台だ。