西川和久の不定期コラム

10コアのi9-10900Kと2080 SUPERを搭載したモンスターマシン「G-Tune HP-Z」

G-Tune HP-Z

 第10世代デスクトップ用Comet Lakeこと、Comet Lake-Sが5月20日に販売開始となった。一足早くCore i9-10900Kを搭載したマウスコンピューターのゲーミングデスクトップPC「G-Tune HP-Z」を使う機会に恵まれたので、試用レポートをお届けしたい。

10コアのCore i9-10900KとRTX 2080 SUPERを搭載

 Intelが4月30日に発表したComet Lake-Sがいよいよ発売された。コア/スレッド数は、Core iとしては最下位SKUのCore i3-10100で4コア/8スレッド、最上位SKUのCore i9-10900Kでは10コア/20スレッドだ。

 第10世代に関しては、モバイル版が先行していたこともあり、自作ファンなどは首を長くして待っていた人も多かったのではないだろうか。第9世代のデスクトップ用が2018年10月19日から販売開始だったので、約1年半経ったことになる。

 今回ご紹介する「G-Tune HP-Z」の試用機は、最上位SKUであるCore i9-10900Kに加え、BTOでGeForce RTX 2080 SUPER(8GB)を搭載させた強力なデスクトップPCだ。

 試用機のおもな仕様は以下のとおり。

【表1】G-Tune HP-Z(BTO機)の仕様
プロセッサCore i9-10900K(10コア/20スレッド、3.7~5.3GHz、キャッシュ 20MB、TDP 125W)
チップセットIntel Z490
メモリDDR4-2666 8GB×2(16GB)
ストレージM.2 NVMe PCIe SSD 512GB、HDD 2TB
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ
OSWindows 10 Home
グラフィックスGeForce RTX 2080 SUPER(8GB)
ネットワークGigabit Ethernet
インターフェイスUSB 3.1(1基はType-C)、USB 3.0×6、USB 2.0×2、PS/2、DisplayPort×3、HDMI、音声入出力
電源800W(80PLUS Titanium)
本体サイズ約215×490×501mm(幅×奥行き×高さ)
税別直販価格272,600円

 プロセッサはComet Lake-SのCore i9-10900K。10コア/20スレッド、クロックは3.7GHzから最大5.3GHz。キャッシュは20MB、TDPは125W。ソケットはLGA1200。冷却は水冷式だ。

 Turbo Boost Max Technology 3.0に対応し、特定コアのみTurbo Boost 2.0の最大クロックを超える動作が可能。加えてThermal Velocity Boostにも対応し、温度と電力に余裕がある場合、単一/全コア動作時のクロック上限を超える駆動が可能となる(Intel、10コア/5.3GHz動作の「Core i9-10900K」など第10世代Sプロセッサを展開参照)。

 チップセットはIntel Z490、メモリはDDR4-2666 8GB×2(16GB)。ストレージは、M.2 NVMe PCIe SSD 512GBとHDD 2TB。光学ドライブとしてDVDスーパーマルチドライブを搭載している。OSは64bit版Windows 10 Home。

 グラフィックス機能は、TuringアーキテクチャのGeForce RTX 2080 SUPER(8GB)。CUDAコア3,072、GDDR6 8,192MBで、外部出力用にDisplayPort×3、HDMI×1を装備。

 インターフェイスは、ネットワークがGigabit Ethernet。前面にUSB 3.0×2、USB 2.0×2。背面にPS/2、USB 3.1×2(1基はType-C)、USB 3.0×4。電源は800W(80PLUS TITANIUM)。

 本体サイズは約215×490×501mm(幅×奥行き×高さ)。今回のBTO構成での税別価格は272,600円。標準構成ではGPUがGeForce RTX 2070 SUPER(8GB)となり、税別価格は249,800円だ。

 最近のPCとしては高価だが、CPUとGPUだけでもおそらく価格の半分近くになるため、加えて筐体、メモリ、ストレージ、電源、OS、サポートなどを考えると無難なところだろう。

右側に赤のアクセントがあるクールな筐体。右下にスロットインでDVDスーパーマルチドライブ
電源ボタン、ステータスLED、USB 3.0×2、音声入力、音声出力、USB 2.0×2
一般的なタワー型ケースより少し幅がある。左右のパネルを止めるネジは背面にはなく左右の上に2つ
USB 3.0×2、PS/2、USB 3.1 Type-C、USB 3.1、USB 3.0×2、Gigabit Ethernet、音声入出力
プロセッサの冷却は水冷式。ドライブベイが右側にあるためスッキリしている
2TBのHDDとDVDスーパーマルチドライブが装着されている
右側にヒートシンクつきのM.2 SSD、左側にもう1つスロットがある。拡張スロットはPCIe x16×2、PCIe x1×3
メモリスロットは4つ。ケース側にファンが1つ
GeForce RTX 2070 SUPER。DisplayPort×3とHDMIを装備。2レーンの幅を占有

 筐体は少し幅が広めのタワー型。前面は黒と赤をベースにデザインされ、非常にクールだ。パッケージのなかに、2人で扱うようにといった注意書きの紙が入っていたが、何とか1人でも設置できるサイズと重量感となる。

 左右のパネルは上にネジが2つあり、それを外すと内部にアクセスできる(下はおうとつのはめ込み式)。写真からもわかるように、ドライブベイは右側。マザーボード側は非常にスッキリしている。

 プロセッサの冷却は水冷式だ。背面にファンを1基備える。右側にメモリスロットが4つ。内8GB×2が装着済み。M.2スロットは2つ、内1つが装着済みで、プロセッサに近いほうが使われている。拡張スロットはPCIe x16×2、PCIe x1×3。ただしGPU直下のPCIe x1スロットは上が塞がれるため、実質PCIe x1×2となる。マザーボードはMSI製のようだ。

 振動やノイズは、起動直後だけファンの音がするものの、すぐに収まり静かになる。これなら深夜自宅で使用してもまったく問題ないだろう。また発熱もベンチマークテストで負荷をかけてもまったく気にならないレベルだった。

あっと言う間にCINEBENCH R20が終わる10コア/20スレッドのパワー

 初回起動時、フルHDでスタート画面(タブレットモード)は1画面。ユーザーサポートグループがプリインストールされている。デスクトップは壁紙の変更のみとシンプル。タスクマネージャーのコア10、論理プロセッサ数20がなかなかすごい。また電源オンからデスクトップ画面までがものすごい速さで起動する。

 ストレージはM.2 NVMe PCIe SSD 512GBの「WDC PC SN520 SDAPNUW-512G」で仕様によると、シーケンシャルリードが最大1,700MB/s、同ライト1,400MB/sとなっており、CrystalDiskMarkのスコアもそのまま出ている。HDDはSeagate製で2TBの「ST2000DM005」。

 SSDがCドライブ、HDDがEドライブ。それぞれ約475.70GBと1,863GBが割り当てられ、Cドライブは空き438GB。Eドライブはすべてフリーだ。光学ドライブは「HL-DT-ST DVDRAM GS540N」。

フルHDで1画面。ユーザーサポートグループがプリインストール
デスクトップは壁紙の変更のみとシンプル。タスクマネージャーのコア10、論理プロセッサ数20がなかなかすごい
デバイスマネージャー/主要なデバイス。ストレージはM.2 NVMe PCIe SSD 512GBの「WDC PC SN520 SDAPNUW-512G」と2TB HDDの「ST2000DM005」。光学ドライブは「HL-DT-ST DVDRAM GS540N」。Gigabit Ethernetは「Intel Ethernet Connection I219-V」
ストレージのパーティション。Cドライブに約475.70GBと、Eドライブに約1,863GBが割り当てられている
NVIDIAコントロールパネル。CUDAコア3,072、GDDR6 8,192MB

 おもなプリインストールアプリは、「AutoDirector」、「ColorDirector」、「McAfee Personal Security」、「マカフィーリブセーフ」、「Midea Suite」、「PhotoDirector」、「Power2Go」、「PowerDirector」、「PowerDVD」、「Windows 10ユーザーズガイド(PDF)」、「乃木坂マウスギャラリー」、「ハードウェアマニュアル(PDF)」など。

 システムのモニタリングやオーバークロックができるようなパネルアプリは入っていない。自己責任になるがBIOSで触ることになる。BIOSの起動は[Delete]キー。以下、おもなBIOS画面を掲載するので参考にしていただきたい。

Settings / System Status
Settings / Advanced
Features(1/2)
Features(2/2)
Hardware Monitor

 ベンチマークテストは、PCMark 10、PCMark 8、3DMark、CINEBENCH R20、CrystalDiskMark。とにかく速いのは言うまでもないが、印象的だったのはCINEBENCH R20。少し目を離した間に終わっていた。ここ数カ月UタイプのComet Lake搭載機の試用が続いていたが、4コア/8スレッドでも結構時間のかかるところ。この速さは尋常ではない。

 連載史上の最速だったASUS「ROG Strix GA35(G35DX)」(Ryzen 9 3950X+GeForce RTX 2080 Ti 11GB)と比較すると、PCMark 10 Scoreが7,413対7,062、CINEBENCH R20 CPU(Single Core)が527 pts対493 ptsと、一般的なアプリ、つまりシングルスレッド的な動作ではCore i9-10900Kのほうが高い性能を示している。このあたりはいかにもIntelらしいチューニングだ。

 しかし3DMarkになると、ディスクリートGPUの違いもあり、一気に差が開く。とは言え、Fire Strike(Extremeも含む)では、最後の格闘シーンは30fpsを超えており、ほかのテストも含め、画面に見入ってしまうほどの描画速度だった。

【表2】G-Tune HP-Z(BTO機)のベンチマーク結果
G-Tune HP-Z(BTO機)ASUS「ROG Strix GA35 (G35DX)」
PCMark 10 v2.1.2177
PCMark 10 Score7,4137,062
Essentials10,6729,675
App Start-up Score13,90511,504
Video Conferencing Score9,0958,742
Web Browsing Score9,6139,006
Productivity8,5948,134
Spreadsheets Score10,5839,534
Writing Score6,9796,940
Digital Content Creation12,05212,144
Photo Editing Score14,14816,945
Rendering and Visualization Score18,06216,867
Video Editting Score6,8526,267
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.05,2934,980
Creative Accelarated 3.07,3396,781
Work Accelarated 2.05,7785,831
Storage5,0445,057
3DMark v2.11.6866
Time Spy11,58013,624
Fire Strike Ultra6,8618,290
Fire Strike Extreme13,30115,867
Fire Strike23,52728,856
Sky Diver60,77973,095
Cloud Gate61,78558,018
Ice Storm Extreme213,445191,137
Ice Storm220,805195,471
CINEBENCH R20
CPU6242 pts(4位)8530 pts(3位)
CPU(Single Core)527 pts(1位)493 pts(1位)
CrystalDiskMark 6.0.0
Q32T1 シーケンシャルリード1720.113 MB/s3484.371 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト1458.594 MB/s1993.639 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード1106.762 MB/s1028.896 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト1261.025 MB/s1915.450 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード527.488 MB/s445.178 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト440.785 MB/s361.190 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード47.474 MB/s48.837 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト150.134 MB/s176.417 MB/s

 以上のようにマウスコンピューターの「G-Tune HP-Z」は、Comet Lake-SことCore i9-10900Kと、GeForce RTX 2080 SUPERを搭載したデスクトップPCだ。その高性能ぶりはベンチマークテストのとおり。また爆速なのに発熱は少なく音が静かなのも見逃せないポイントだ。自宅で快適に使うことができる。ゲーム、動画編集など、とにかくCPUもGPUも高性能を求めてるユーザーに使ってほしい1台だ。