Hothotレビュー

社会人ゲーマーに好適! 15.6型144Hz液晶搭載で軽量なG-Tuneのゲーミングノート

144Hz液晶で1.77kgの組み合わせ

G-Tune E5-144

 マウスコンピューターのゲーミングPCブランド「G-Tune」より、最新型のゲーミングノート「G-Tune E5-144」が登場した。

 144Hz表示に対応する15.6型の液晶を搭載しながら、筐体にマグネシウム合金を採用することで、重量は約1.77kg、厚さ19.9mmとコンパクトに仕上げられているのが最大の特徴。ゲーミングノートとして、かなり軽量かつ薄型の部類だ。

 高リフレッシュレートのディスプレイを搭載するのは、最近のゲーミングノートのトレンドの1つ。本製品もその流れに乗ったかたちではあるが、2kgを大幅に下回る軽さも合わせてきたのは注目に値する。どんなマシンに仕上がったのか、実機を使って見ていこう。

液晶以外も充実。最先端の構成

 「G-Tune E5-144」のスペックは下記のとおり。

【表1】G-Tune E5-144
CPUCore i7-10875H(8コア/16スレッド、2.3~5.1GHz)
チップセットIntel HM470
GPUGeForce RTX 2060
メモリDDR4-2666 16GB(8GB×2)
SSD512GB(M.2 NVMe)
光学ドライブなし
ディスプレイ15.6型非光沢液晶(144Hz)
解像度1,920×1,080ドット
OSWindows 10 Home
汎用ポートThunderbolt 3、USB 3.1、USB 3.0×2
カードスロットmicroSD
映像出力HDMI 2.0b、Mini DisplayPort 1.4
無線機能Wi-Fi 6(最大2.4Gbps)、Blunetooth 5
有線LANGigabit Ethernet
その他前面100万画素カメラ(Windows Hello 顔認証対応)、マイク、音声入出力など
本体サイズ(幅×奥行き×高さ)355.5×236.7×19.9mm
重量約1.77kg
税別価格179,800円

 薄型軽量の筐体ながら、CPUは8コア/16スレッドのCore i7-10875Hを搭載。GPUはGeForce RTX 2060、メインメモリ16GB、512GBのNVMe SSDと、ハイエンドではないものの、20万円を優に切り、コストパフォーマンスの良さを狙ってきている。

 ほかにもWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)やThunderbolt 3、Windows Hello 顔認証対応カメラなど、最近のトレンドもきっちり押さえた構成になっている。薄型筐体では省かれがちな有線LANも搭載。ゲーミングPCという体ではあるが、多彩な用途に安定して活用できるスペックとなっている。

 強いて難点を挙げるなら、ストレージがM.2接続の1基だけとなっており、カスタマイズでSATAへの増設もできない点くらいか。軽さと薄さを追求した結果だろう。容量に不安がある場合は、カスタマイズで最大2TBのSSDに変更できる。

動作モード切り替えで性能が向上

 次は実機の検証に移る。まずはベンチマークテストを試してみた。利用したのは「PCMark 10 v2.1.2177」、「3DMark v2.12.6964」、「VRMark v1.3.2020」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「STREET FIGHTER V ベンチマーク」、「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4」、「CINEBENCH R20」、「CrystalDiskMark 7.0.0」。

 本機は専用ソフトの「Control Center」で、性能に影響する動作モードを変更できる。通常モードとなる「エンターテイメント」では、ファンの回転プロフィールを3段階から選べるほか、好みの回転数に調整もできる。

 また高性能向けモードの「パフォーマンス」を選ぶと、性能を最大に引き出すために自動でファンコントロールされる。さらに「ターボモード」を選ぶと、ファンを常時フル回転させ、最大の冷却性能が得られる。

「Control Center」による動作モード設定。通常は「エンターテイメント」に設定されている
ゲームパッドのアイコンをクリックすると「パフォーマンス」に
ファンの回転速度を温度ごとに調整できるカスタマイズモードも搭載

 ベンチマークスコアは、「エンターテイメント」の2段階目(デフォルト設定)と、「パフォーマンス」で検証してみる。

【表2】ベンチマークスコア
エンターテイメントパフォーマンス
「PCMark 10 v2.1.2177」
PCMark 104,9965,085
Essentials8,9468,720
Apps Start-up score9,9029,015
Video Conferencing Score8,1568,256
Web Browsing Score8,8668,909
Productivity7,4577,851
Spreadsheets Score9,40910,340
Writing Score5,9105,962
Digital Content Creation5,0745,214
Photo Editing Score10,28910,558
Rendering and Visualization Score3,3053,450
Video Editing Score3,8423,892
Idle Battery Life5時間30分-
Modern Office Battery Life4時間23分-
Gaming Battery Life1時間24分-
「3DMark v2.12.6964 - Time Spy」
Score6,4666,901
Graphics score6,1986,607
CPU score8,5769,233
「3DMark v2.12.6964 - Port Royal」
Score3,5633,796
「3DMark v2.12.6964 - Fire Strike」
Score15,20416,212
Graphics score16,41117,400
Physics score19,49321,295
Combined score8,0828,671
「3DMark v2.12.6964 - Night Raid」
Score39,74042,373
Graphics score70,08774,680
CPU score11,50712,277
「3DMark v2.12.6964 - Sky Diver」
Score40,11642,232
Graphics score56,20760,461
Physics score18,00218,658
Combined score30,75830,916
「VRMark v1.3.2020 - Orange Room」
Score8,3798,526
「VRMark v1.3.2020 - Cyan Room」
Score5,8766,127
「VRMark v1.3.2020 - Blue Room」
Score1,9402,020
「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(高品質)
3,840×2,160ドット2,8642,978
1,920×1,080ドット6,9467,051
「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」(最高品質)
1,920×1,080ドット13,37713,861
「STREET FIGHTER V ベンチマーク」(最高)
1,920×1,080ドット60.00FPS59.98FPS
「ファンタシースターオンライン2 キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4」(簡易設定6)
1,920×1,080ドット42,76148,042
「CINEBENCH R20」
CPU3,382pts4,388pts
CPU(Single Core)503pts501pts

 結果で目につくのは、CPUスコアの高さ。8コアのCore i7-10875Hだけあってマルチスレッドは優秀だが、シングルスレッドもかなり高い。

 ゲームのベンチマークテストもGeForce RTX 2060搭載機としては良好なスコアで、CPUパワーが全体を引っ張り上げている印象だ。「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」では、フルHDなら「快適」、4Kでも「やや重い」という評価で、144Hzの高リフレッシュレート液晶を活かせるゲームは多そうだ。

 動作モードの違いを見ると、おおむね数%の差ながら「パフォーマンス」のほうが高いスコアが出ている。テスト中の挙動を見ると、「パフォーマンス」のほうがCPUやGPUの最高クロックがいずれも100MHz程度高く、CPUはスロットリングで動作クロックが下がる状況もかなり減っていた。

 この手の動作モード設定は多くのゲーミングノートで見かけるが、短時間のベンチマークテストで明確なスコアの差が出るのはめずらしい。短時間でもしっかり冷却することで性能の伸びがあるというのは、薄型筐体ゆえに排熱に苦労している証拠ではあるが、CPU/GPUともにいざというときに性能を伸ばせるのはありがたい。

 バッテリ持続時間は、オフィスユースで4時間半程度、ゲーミングで1時間半程度となった。ゲームプレイ時はACアダプタを接続するとして、軽さを活かしてちょっと持ち出す程度の用途には十分だろう。

 ストレージはADATA製「XPG SX6000 Pro(SX6000PNP)」が使われていた。シーケンシャルリードで約1.8GB/sと、NVMeのSSDとしては特別速いわけではないが、SATAのSSDに対してははっきり優位と言える。

ADATA XPG SX6000 Pro

ゲーミングPCらしからぬ落ち着いた外見

グレー地に白いロゴ、真っ平という地味な天板

 続いて実機の各部をチェックしていく。筐体は艶消しのグレーで、天板は真っ平。G-Tuneのロゴが白く書かれている以外に装飾らしきものはない。

 良くも悪くも主張のない外見に、15.6型液晶を狭額縁で入れ込んだ軽く薄い筐体は、持ち運びも楽だ。ビジネス用途にも何ら支障がない、というかビジネス向けノートPCそのものの外見である。ディスプレイを閉じた状態で本機をゲーミングPCだと思う人はまずいないだろう。

 薄い筐体と狭額縁だと天板が弱いのではと思ってしまうが、マグネシウム合金製の筐体は想像以上に硬い。天板を指で押しても、へこむような感覚はまったくないし、ディスプレイを開いてねじるようにしてみても、ほとんどたわみが出ない。ますますビジネスPCっぽい。

 実用性重視のタイプの人は称賛すること間違いなしだが、ゲーミングPCなりの遊び心のある外見を求める人には向かない。完全に好みの問題だ。

 本機の売りである液晶部分は、しっかりと低反射コーティングを効かせている。派手な色味ではないものの、コントラストは高く、視野角は極めて広く、あらゆる角度で色相の変化がない。スペック上では言及がないものの、TNパネルではないようだ。ゲームプレイ時の視認性の高さを追求したという印象を受ける。

144Hzの液晶。発色は端まで違和感がない
視野角は極めて広い。144Hzという数字が目立つものの、パネルの品質もかなり高い

 キーボードを見ると、ずいぶんカクカクした、角のある正方形のキーが並んでいる。キーに印字されているフォントもゲームチックなデザイン性のあるもので、ここはいかにもゲーミングという印象。キーストロークは浅めだが、軽くクリック感がある。

 キーボードバックライトも搭載しており、専用ソフト「Control Center」で4エリアごとに色変化もつけられる。また本体前面部にもLEDライトバーと名づけられた装飾が仕込まれており、キーボードバックライトと同様に色や効果を調整可能だ。各種LEDはオフにもできる。

ずいぶん四角いキートップはゲーミングPCらしい。キーボードレイアウトはオーソドックスで、テンキーつきでも余裕がある
キーボードバックライトは4つのエリアごとに色分けできる
タッチパッドも筐体と同じグレー
筐体前面にはLEDライトバーを装備。装飾らしい装飾はここだけだ
LEDは「Control Center」で設定可能。オフにもできる
LEDの色や光り方も細かく設定できる

 スピーカーは本体の底面、前方に2個内蔵されている。明らかに小型スピーカーなのであまり期待していなかったのだが、意外と悪くない。よく聞くとやはり低音は出ていないし、高音も少し耳に響く感じがするのだが、2つのスピーカーで全体のバランスをうまく取って、あまりチープさを感じさせない音に仕上げている。

 ただし置き場所によって音質が大きく左右されやすく、平らな机に置いたときと、膝上の時ではまったく音の出方が違っている。平らな机に置くのが一番まとまりのいい音がするので、設置状況まで考慮した上でのバランス調整なのだと思う。

 サウンド面ではもう1つ。最近のノートPCにはめずらしく、ヘッドフォン出力端子とマイク入力端子が個別に用意されている。一般的なヘッドセットやマイクを使うならこのほうが便利だが、マイク・ヘッドフォン一体型の端子になったヘッドセットユーザーは要注意。

 気になる排熱処理だが、低負荷時はほぼ無音で発熱も感じられないものの、高負荷時にはかなり勢いよくファンが回る。とくに動作モードを「パフォーマンス」にしているときには、甲高い風切り音が響きわたる。サウンドを大音量で鳴らすのでなければ、ゲームプレイ時はヘッドフォンなどをしたほうがいい。底面から吸気し、背面と側面後部から排気する。

 キートップへの熱の伝わり方はユニーク。キーボード周辺を触ると、左右の2割程度は強力に冷却されており、中央付近はかなり熱い。ホームポジションに手を置くと、左手はほとんど熱を感じないが、右手はリストレスト部が温かく、指先は熱く感じるほど。PCに高負荷がかかるヘビーな3Dゲームは大抵、マウスやゲームパッドを使ってプレイするはず。W/A/S/Dキー付近はほぼ冷えているので、プレイ環境としては快適だ。

左側面はUSB、マイク端子、ヘッドフォン端子
右側面はUSB×2、microSDスロット
背面は電源、有線LAN、HDMI、Thunderbolt 3
底面は吸気のため大きくスリットが開けられている。手前左右の小さなスリットはスピーカー部分
ACアダプタは230W出力。本体よりも厚みがある

薄型軽量を追求し、ビジネスにも幅を広げたゲーミングノート

 G-Tuneはゲーミングノートブランドなので、本機に注目する人は大抵ゲーマーであろう。ただゲーマーにもいろいろいる。家でしか遊ばない人もいれば、外出が多い人もいるだろう。

 筆者の場合、取材で出張することがたびたびあるので、出先で仕事もゲームもできるPCはつねに追い求めている存在。最近はコンパクトなゲーミングPCが増えて選択肢も多いが、サイズや値段、性能はピンキリだ。

 そのなかで本機は、薄型軽量と高リフレッシュレートという大きな特徴を備えつつ、地味な外見で仕事にも自然と持ち込めるデザインも評価できる。価格も税別17万円台とスペックから考えれば安価だ。1台で仕事もゲームも全部済ませたいという人には、とてもコストパフォーマンスが高い。

 外見の好みや要求スペックは人それぞれだが、まず薄型軽量を重視し、3Dゲームのパフォーマンスはミドルクラスでもいいなら、本機は有力な選択肢になる。また144Hzの液晶は普段使いでも滑らかなスクロールで良好な使用感がある。筆者のように出先でも使えるゲーミングPCを求めている人は、ぜひ本機に注目してほしい。