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Macで面倒な作業を自動化! 「クイックアクション」を使いこなそう

 Macを使っていて毎日のように行なう面倒な作業はありませんか? そんなときに活用したいのが、「クイックアクション」という機能です。macOS標準の「Automator」を使って自分だけのオリジナルクイックアクションを作成できるので、ここではその作成方法や便利な使い方を紹介します。また、無料でご利用いただけるクイックアクションのサンプルも用意しましたので、ご自由にダウンロードして使ってください。

クイックアクションはMac標準の自動化ユーティリティであるAutomator(オートメータ)で作成できます。複雑なコードを入力しなくても、ドラッグ&ドロップによるGUI(グラフィカルユーザーインターフェイス)で操作できます

さまざまな自動化が可能なAutomator

 近年、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)による事業プロセスの自動化・効率化に注目が集まっています。Windows 11ではMicrosoft製の業務自動化ツール「Power Automate for desktop」が標準搭載されるなど、普段の仕事での繰り返し作業を自動化する環境は身近なものになりつつあります。

 一方、Macでは2005年の「Mac OS X v10.4 Tiger」の時点で、AppleScript(Appleが開発したスクリプト言語)の機能を視覚的に扱える「Automator」が登場していました。プログラミングのための環境を用意したり、複雑なコマンドを覚えたりしなくても、「アクション」と呼ばれる操作の基本単位や「変数」を組み合わせることで自動化のためのワークフローを簡単に作成できます。

 Automatorでは、自動化の手順を記録したワークフロー以外にも、単独で実行できる自動化アプリケーションや、フォルダに自動化アクションのスクリプトを追加する「フォルダアクション」などが開発できます。しかし、今回はFinder上でアプリを起動することなく、さまざまなタスクを実行できる「クイックアクション」に絞って解説していきます。

クイックアクションは、画像の回転やPDFへのマークアップ(書き込み)などFinderからファイルの種類に合わせて操作できる機能です
副ボタンクリックで表示されるコンテキストメニューからも[クイックアクション]を実行できます。なお、Finderメニューの[サービス]やMacBook ProのTouch Barからも利用可能です

クイックアクションの簡単な作り方

 実際にシンプルなクイックアクションを作ってみましょう。ここでは大きな画像ファイルのサイズを50%に縮小する場合を例に手順を解説します。これにより、「プレビュー」や画像編集ソフトでファイルを開いて操作しなくても、メニュー操作だけでブログの投稿などに適したサイズに揃えることができます。

 具体的な手順は、以下の図解で示したとおりです。流れとしては、Automatorを起動して[クイックアクション]の書類を新規作成し、ライブラリにあるアクションをドラッグして、ワークフローを作って保存するだけです。

Automatorを起動したら[新規書類]をクリックします。iCloudを設定してある場合は、作成したワークフローをiCloud Driveに保存して自分の別のMacにも共有できます
作成する書類の種類を選択する画面が表示されます(Automatorを起動した際にこの画面が最初に表示される場合もあります)。今回は[クイックアクション]をクリックして[選択]ボタンを押します
Automatorの基本画面です。ウインドウ左側にはカテゴリごとに整理されたアクションをまとめた[ライブラリ]があり、右側にアクションをドラッグすることでワークフローを作成します
画像をリサイズするクイックアクションを作成する場合はライブラリの[写真]を選び、右側のカラムから[イメージをサイズ調整]をワークフローのエリアにドラッグ&ドロップします
アクションの種類によっては、自動的にオリジナルのファイルをコピーするアクションが追加されることがあります。ここでは[追加]をクリックします
ワークフローが作成されました。[ワークフローが受け取る現在の項目]は自動でも構いませんが、[イメージファイル]のように指定もできます。また、[実行]でワークフローの動作確認もできますが、今回は省略します
[イメージをサイズ調整]のアクションには[サイズ(ピクセル)指定]と[比率(パーセント)指定]が選べます。サイズ比率には任意の数値を指定しておきます
わかりやすい名前を付けて保存します。あとから修正したい場合は、保存された場所にあるクイックアクションを開いてAutomatorで編集します
動作をテストします。サイズの大きな画像ファイルを副ボタンクリックし、[クイックアクション]のサブメニューに作成したメニュー名が表示されていたら選択します
指定した場所(今回はデスクトップ)に縮小された画像が保存されました。ファイルの情報を確認すると、画像のサイズが指定した値(50%)になっていれば成功です

クイックアクションを編集しよう

 今回は[写真]カテゴリに含まれる[イメージをサイズ調整]というアクションを登録して、画像を縮小する際のパラメータと数値を手動で設定しました。元ファイルの50%になるようにサイズ変更しましたが、パラメーターや数値は[Services]フォルダに保存されているクイックアクションを開いて作成後に変更することもできます。

 また、アクションは複数組み合わせて実行できます。たとえば、画像のファイル形式をJPEGやPNGに統一したい場合は、[イメージのタイプを変更]というアクションを追加して、ファイル形式のパラメータを変更しておきましょう。

クイックアクションの修正や削除をしたい場合は、Finderの[移動]メニューを[option]キーを押しながらクリックして[ライブラリ]を表示します。ファイルは[Services]フォルダに保存されています
クイックアクションは「システム環境設定」の[機能拡張]パネルから[Finder]を選ぶと一覧が表示されます。使用しないものについてはチェックボックスを外しておきます
アクションは複数組み合わせることが可能です。今回紹介した[写真]のアクション以外にもたくさんのアクションが用意されていますので、楽しみながら作成しましょう
エラーが表示されたり、思ったとおりに動作しない場合はAutomatorの画面で開いて問題点を確認します。右上にある[実行]ボタンをクリックすると、ウインドウ下にあるログ画面から問題が生じたステップに警告マークが表示されるのでこれを修正します

お役立ちクイックアクションを使ってみよう

 クイックアクションの作成方法については理解いただけたと思いますが、実際に自分でチャレンジするうえではほかにどのようなクイックアクションを作成できるのか知りたくなるかもしれません。

 そこで6つのサンプルを用意しましたので、ダウンロードして動作を確認したり、Automatorで開いてワークフローの内容を確認したりしてみてください。ワークフローを追加してアレンジしたり、パラメータを任意で変更して使いやすくしてみるのもよいでしょう。

 なお、次期macOS Montereyでは、iOSやiPadOSで採用されていた「ショートカット」が新たに追加される予定です。こちらも作業の自動化を行なうためのアプリですが、Macでは当面Automatorと共存すると見られています。

クイックアクションのサンプル

  1. PDFからテキストを抽出
  2. PDFを分割して画像で保存
  3. 幅800ピクセルのPNG形式に変換
  4. HEIC画像をJPEGに変換.workflow
  5. テキストを音声に変換
  6. 選択したファイルをメールに添付

 上記クイックアクションは[macinfo22_sample.zip]をクリックすれば、まとめてダウンロードできます。

ダウンロードしたクイックアクションをダブルクリックするとインストールするか尋ねられます。[インストール]をクリックすると、「システム環境設定」の[機能拡張]パネル→[Finder]に追加されます
システム環境設定の[キーボード]→[ショートカット]→[サービス]から、作成したクイックアクションにキーの組み合わせを追加することで、キーボードショートカットだけで自動化操作を実行することも可能です