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Macbookを長く使い続けたい! 耐用年数と駆動時間を最大化するバッテリ&充電のコツ

 長年のMacBookユーザーでも、バッテリの知識は「なんとなく」しか持ち合わせていないことがよくあります。バッテリの性能劣化は買い替えの要因にもなり得ますので、バッテリの駆動時間と耐用年数を最大限に延ばすためのコツを知っておきましょう。

バッテリ駆動時間(Macの再充電が必要になるまでの時間)と耐用年数(バッテリ交換が必要になるまでの期間)はユーザーの使い方次第で変わってきます

ユーザー次第で寿命は延ばせる

 Apple SiliconのM1チップを搭載した現行のMacBook Airのバッテリ駆動時間は、ワイヤレスインターネット接続時で最大15時間、Apple TVのムービー再生時で最大18時間となっています。同じくM1を搭載したMacBook Proでは、これがそれぞれ最大17時間と最大20時間となります。

 2019年のIntel CPUを搭載したモデルでは最大10時間や最大13時間だったので、省電力性能が飛躍的に向上したことがわかります。これは理想的な条件での公称値なので実際の利用シーンではもう少し短くなる可能性がありますが、それでもフル充電すれば1日中外に持ち歩いて使うのに十分な性能です。

 ただし、M1 Macといえども「バッテリのヘタリ」は避けて通れません。Macに搭載されているリチウムイオンバッテリは放電と充電を繰り返すうちに劣化し、駆動時間が次第に短くなるからです。

 その時間をできるだけ延ばしたい! と思うなら、まずはリチウムイオンバッテリの基本的な特性を理解することから始めましょう。

M1搭載MacBook Proの最大バッテリ駆動時間は20時間。Appleは搭載バッテリの放電容量(mAh)を公開していませんが、1時間あたりの消費電力量(Wh)はMacBook Airが49.9Wh、MacBook Proが58.2Whとなっています

Appleのリチウムイオンバッテリの特徴

 現在のMacに搭載されているリチウムイオンバッテリは重さや体積あたりのエネルギー密度が高いため、小型軽量化できるメリットがあります。また、高い電圧を維持できることや充電&放電の効率が良いこと、適切に利用することで耐用年数が長くなるといった多くの利点があります。

 こうした特性に加えて、Appleのリチウムイオンバッテリは独自の充電プロセスを採用しています。具体的には、バッテリ容量の80%になるまでは高速充電を行ない、残りの20%は電流の流れを減らした低速のトリクル充電に自動で切り替えることで、短い充電時間でも外へ持ち出すことを可能としながら、耐用年数の延長を図っているのです。

 リチウムイオンバッテリへのトリクル充電はバッテリへの悪影響があり、100%充電完了後も電源コンセントにつなぎ続けるのは良くないという意見もあります。しかし、これは自然放電による電圧低下を防ぐためのトリクル充電との混同であって、Appleがここで述べているのは充電状態が80~100%の範囲での充電方式を指しています。

Appleによる充電方式の説明です。急速充電とトリクル充電の切り替えのほか、バッテリ温度が高い際には80%以上充電しないなどの電源管理で耐用年数を延ばしています

バッテリは使い切らなくてもOK!

 また、リチウムイオンバッテリ普及以前のニッケル水素の充電池では、少ない放電と充電を頻繁に繰り返すことでバッテリ自体の容量が減る「メモリ効果」がありましたが、リチウムイオンバッテリではこれが発生しません。

 Macを充電する際は「バッテリを使い切ってから」と思っている人がいるかもしれませんが、それは過去の常識です。現在は、好きなタイミングで充電してしまって構いません。

 なお、バッテリの充電はバッテリ容量の100%に当たる電力を使い切ったところで1回の充電サイクルとカウントされます。つまり、バッテリの容量の75%を消費し、充電後に25%消費したら1回のフル充電サイクルが完了したことになります。

 Appleのリチウムイオンバッテリはこのフル充電サイクルを1,000回繰り返した際に、本来のバッテリ容量の80%を維持できるよう設計されています。つまり、仮に毎日バッテリサイクルを使い切るようなハードな使い方をしたとしても約2.7年、現実的な使い方であれば約4年程度は十分な性能が維持できるよう設計されているのです。

Appleによる充電サイクルの解説です。リチウムイオンバッテリではフル充電サイクル1回あたりの容量低下は抑えられているため、1,000回の充電サイクルでも性能を維持できます

充電回数の確認方法

 Macの場合、この充電サイクルの回数はAppleメニューの[このMacについて]を表示して、[システムレポート]をクリックすると表示される「システム情報」から確認できます。

 サイドバーにある[ハードウェア]から[電源]を選ぶと[バッテリー情報]の画面になり、[状態情報]欄の[充放電回数]に充電サイクルの回数が示されています。ここで[状態]のステータスが[正常]となっていれば問題はありません。

 もし[状態]のステータスが[修理サービス推奨]のように示されていたら、それはバッテリの容量が著しく低下しているサインです。メニューバーなどでも警告が表示されるようになりますので、Macを買い換えるかバッテリを交換するかを検討しましょう。

 バッテリを交換する場合は、Appleまたは正規サービスプロバイダで交換サービスを受けることができます。1年間の製品保証、または「Apple Care+ for Mac」での保証期間内であれば無償で利用可能です。

 個人的にはApple Storeへの事前予約による依頼、もしくは配送によるデリバリー&ピックアップによる修理がおすすめです。過去に利用した際には申し込みから1週間程度で交換されました。即日修理に対応する非正規の修理店もありますが、よほどの事情がない限りおすすめできません。

 また、リチウムイオンバッテリには過充電による異常発熱や発火という危険性がありますので、メーカーによる品質保証が確認できないバッテリへの交換は避けるべきでしょう。なお、Appleでは回収済みバッテリのリサイクル処理など環境への配慮についても表明しています。

「システム情報」では完全充電時の容量(mAh)なども確認できます。購入直後にこの値をメモしておくと、ステータス表示に頼らなくても後日バッテリ容量がどの程度減っているかを確認できます
保証範囲外であればMacBook Air、非Retinaの13インチと15インチのMacBook Proの場合は1万4,080円、Retinaディスプレイ搭載のMacBook Proであれば2万1,780円の費用がかかります

駆動時間と耐用年数を延ばすテク

 Macのリチウムイオンバッテリの特性を理解したら、次にバッテリの駆動時間と耐用年数をなるべく延ばすためのテクニックや設定についてマスターしましょう。

 まずはじめに重要なのが、Macのソフトウェアを最新に保つことです。これは、macOSの中に電源管理のソフトウェアや新しい節電のための機能が含まれていることがあるためです。

 新しいmacOSがリリースされた際に手動でアップデート作業を行なっても構いませんが、[Macを自動的に最新の状態に保つ]の設定を有効化しておけば、自動的にmacOSのアップデートが行なわれるので非常に楽です。

 また、普段はあまり意識していないかもしれませんが、「正しい温度でMacを利用すること」も大切です。Apple製デバイスを利用するのに最適な温度の範囲は16℃~22℃となっていて、MacBookの場合は室温が10℃~35℃の範囲で使用することが推奨されています。特に、35℃以上での利用はバッテリへ恒久的なダメージを与える危険性があるので注意が必要です。

 冬場などで気温が極端に低い環境でもバッテリ駆動時間が短くなることがありますが、この場合はバッテリ本体に与える損傷はないため、周辺温度が正常の範囲内に戻ればバッテリ性能は元に回復します。

 なお、MacBookを長期間にわたって保存する場合は特別な注意が必要です。この場合は、フル充電や完全に放電した状態を避けて50%前後のバッテリ充電状態にしたうえで、32℃以下の湿度の低い環境で保管することが推奨されています。

 また、6カ月以上保管する場合は、半年ごとに50%前後になるよう充電することでバッテリに与える悪影響を最小限に抑えられます。

「システム環境設定」の[ソフトウェア・アップデート]ではmacOSのアップデートに関する設定があります。[Macを自動的に最新の状態に保つ]にチェックすると、自動的にアップデートが行なわれます

「システム環境設定」での管理方法

 バッテリの駆動時間と耐用年数を延ばすには、「システム環境設定」の[バッテリー]の項目の設定も忘れてはいけません。ここでは、電力がコンセントより供給されている場合とバッテリ駆動の場合の動作を確認したり、省エネルギーのための項目を設定したりできます。

[バッテリー]の[使用状況履歴]では電力の使用状況などを[過去24時間][過去10日]で表示を切り替えられます。どの曜日のどの時間帯にMacを使う頻度が高いのかを調べる際に使います
[バッテリー]ではバッテリ駆動時のパフォーマンスを変更できます。ディスプレイをオフにするまでの時間やビデオストリーミングの最適化のほか、[バッテリー充電の最適化]項目があります
同じく[バッテリー]項目で[バッテリーの状態]オプションを表示すると、[バッテリーの寿命を管理]という項目があります。これはバッテリの温度履歴や充電パターンを分析してバッテリの化学的経年劣化を遅らせる機能です。通常はオンにしておきましょう

 今回紹介したコツ以外にも、たとえば消費電力を増やす原因となるディスプレイの輝度を下げたり、使用していない周辺機器の接続を解除したり、バックグラウンドで動作するアプリをこまめに終了したりすることでも、バッテリの駆動時間を延ばすことができます。

 MacでiPhoneなどのデバイスを充電する際には、先にMacにACアダプタで電源を供給している状態にしてからケーブルを接続するようにするのもちょっとしたテクニックです(逆の順番でつなぐと、先にMac側のバッテリから消費されてしまうことがあるため)。

 コントロールセンターやメニューバーにバッテリ項目を表示させ、常に確認しやすい状態にしておけば、よりバッテリの駆動時間と耐用年数を意識してMacを使うことにもつながるはずですので、ぜひ試してみてください。

バッテリの状態をコントロールセンターからすぐに確認できるようにしておくと便利です。「システム環境設定」の[Dockとメニューバー]を開き、サイドバーから[バッテリー]を選んで[コントロールセンターに表示]をクリックすれば設定できます
[メニューバーに表示]の設定を有効にすると、従来と同じようにバッテリの充電状況や消費電力が多いアプリなどがすぐに確認できます
Macを含めたAppleデバイスのバッテリ駆動時間と耐用年数を延ばす方法はAppleのサイトにまとめられています。iPhoneやiPad、Apple Watchのバッテリ駆動についてはこちらも確認してください