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Photoshopキラー!Pixelmator Proでプロ顔負けのクリエイティブ環境を実現しよう
2021年10月19日 06:55
「Pixelmator Pro」は、非常に多機能なMac用の画像編集ソフトです。Photoshopの代わりを探してこのソフトにたどり着く人も多いと思いますが、このソフトは単なる代替ソフトのレベルにとどまりません。Photoshopに匹敵する機能を持ちつつ、さらにある面ではPhotoshopを凌駕する高度な機能も備えています。ここでは、そんなPixelmator Proの真の実力をご紹介しましょう。
高度な画像編集にサブスクは不要
高度な画像編集を行なうソフトといえば、まず思い浮かぶのがAdobe Photoshopだと思います。プロのクリエイターにとって必携ともいえるツールですが、利用にはサブスクリプションプランの加入が必要となります。プライベートで導入するにはハードルが高いと、戸惑っている人もいるのではないでしょうか。
そんなMacユーザにおすすめしたいのがPixelmator Proです。豊富な画像編集機能を備えながらも、価格はたったの4900円。Mac App Storeで一度購入すれば、すべての機能が使えます。サブスクリプションプランやアプリ内課金は一切ありません。
搭載している機能は、基本的な色調整機能、修復ブラシによるレタッチ機能、変形、ブラシ描画、テキスト挿入など、挙げはじめるとキリがないほど。画像の一部を編集するための「選択」ツールも豊富ですし、画像編集ソフトに欠かせない「レイヤー」機能も備えています。
写真編集や写真合成、写真加工、デザインワークやドローイングなど、画像に関するあらゆる用途に幅広く対応できる機能が詰まっているツールなのです。
調整を確定させないから安心
では、「プロ顔負け」といえるPixelmator Proの強みは具体的にどこにあるのでしょうか。デザイン会社の勤務経験もある筆者が、実務レベルの視点からご紹介していきましょう。
まず筆頭に上げられるのは、「徹底した非破壊編集」です。本来、画像の色調整というものは、繰り返すほど元の画像が失われていきます。たとえば、画像の明るさを調整した結果、明るい部分が完全に「白飛び」してしまったとします。
そして調整結果を確定させると、元々あったはずの微妙な階調が消えてしまい、再び画像を暗くしても元の階調を取り戻すことができなくなります。これが、一昔前までの常識でした。
一方、Pixelmator Proは、色調整に関するほぼすべての機能を「確定させないまま」作業を継続できるように作られています。「露光量」をスライダで変更して、「色の置き換え」機能で部分的な色味を変更して、さらに「シャープ」機能を使ってメリハリをつけて……。こうした作業の1つ1つを「確定させないまま」進めていけます。
そのため、いつでもスライダを動かして再調整することが可能ですし、元の情報が失われることもありません。独自のファイル形式で保存すれば、調整内容がそのまま保持され続けます。一度ファイルを閉じてから再度開いたとしても、元画像の情報はなにひとつ失われていないのです。
拡大/縮小を繰り返しても劣化しない
この「徹底した非破壊編集」の考えは、色調整だけに止まりません。画像に印象的な効果を適用する「エフェクト」もまた、非破壊での適用が可能です。確定しないため、いつでもエフェクトを取り消したり、スライダでかかり具合を再調整したりすることができます。
さらには、レイヤーの拡大/縮小も、非破壊で行なうことが可能です。たとえば、写真の上に別の写真素材を合成するシチュエーションを考えてみましょう。合成するための要素をレイヤー上に配置し、そのあと、自然な合成になるよう位置や大きさを何度も変更したとします。
これまでの画像加工ソフトの場合、一度要素を縮小してしまうと、小さくした分ピクセル情報が失われてしまいました。あとからその要素を大きくしようとしても画質が荒くなってしまうのです。
ところがPixelmator Proは内部的に元のピクセル情報を保持し続けているので、拡大/縮小を繰り返しても画質が劣化する心配がありません。何度でも思う存分試行錯誤ができるというわけです。
プロのデザイン現場では、画像の手直しが発生するのはごく当たり前のことです。ポスターのビジュアルをクライアントに提出したあと、「この木の緑をもっと鮮やかにしたい」「ここの人物をもう少し奥に」というような注文が来たかと思えば、再提出時に「むしろ紅葉にしよう」「やっぱり人物は手前に移動して大きく」というケースがいくらでもあり得ます。
元の画像情報を失うことなく編集できるというのは、実はプロにこそありがたい機能です。この点でPixelmator Proは、まさに「プロ顔負け」のツールだといえるのです。
サイズの小さな画像をキレイに引き伸ばし
もう1つ、Pixelmator Proの強力な機能としてお伝えしたいのが「ML超解像」という機能。サイズの小さな画像から美しい高解像度画像を作り出すことができます。
通常、サイズの小さな画像を引き伸ばそうとすると、単純にピクセル情報を水増しするためエッジがガタガタになったりぼやけたりするのですが、このML超解像では画像をインテリジェントに分析し、シャープで美しい高解像度画像を作り出すことができるのです。
デザインの現場では、いろいろな事情でサイズの小さな画像しか用意できず、頭を悩ませることがあります。たとえば、企業のパンフレットで創立時の社屋を掲載したいのに、昔のデジカメ画像しか残っていなかった……。そんな状況でも、この機能のおかげでなんとか凌げるかもしれません。
なお、「ML」という名称は、Appleが提供している「Core ML」という機械学習のフレームワークを利用しているところから付けられているようです。Pixelmator Proには、ほかにも「MLノイズ除去」や「MLマッチカラー」、「ML Enhance」など、MLと名がつく機能がいくつかあります。
いずれもAppleの提供しているフレームワークを利用しているため、Mac本来の性能を効率的に引き出すことが可能です。結果として、機械学習を使った高度な処理を高速に行なうことができるのです。
幅広い入出力に対応
さらに、幅広い形式に対応している点も特筆すべきポイントです。PNGやJPEGなどの一般的な画像形式を開くことができるのはもちろん、Photoshopの独自形式であるPSD形式の画像も開くことが可能です。
また、今のiPhone、iPadの画像形式として主流になった「HEIF」や、デジタルカメラのRAW画像にも対応。ほとんどの画像ファイルを開くことができるというわけです。
画像の書き出しでは、基本的な画像形式のほか、最近注目を集めているWeb用画像フォーマット「WebP」に対応しているのが大きなポイント。JPEGに比べて高速に読み込むことができるため、今や多くのWebサイトがWebPを取り入れています。
映像制作を行なう人にとっては、Final Cut Proに最適化されたPSDファイルを書き出せる点も魅力に感じるでしょう。Final Cut ProはPSD画像を読み込むことができ、Final Cut Pro上でレイヤーごとに編集ができます。しかし、レイヤーマスクなど一部の情報が正しく処理できず、思ったとおりのイメージで読み込めないこともあるのです。
Pixelmator Proは、これをFinal Cut Proが正しく処理できるPSDファイルとして最適化することができます。Photoshopにはこうした最適化機能はないため、自分で個別にレイヤーの整理を行なう必要があります。Final Cut Proとの連携に関しては、Pixelmator Proのほうが長けているといえます。
自分に合うかどうかを確かめられる
さて、このようにPixelmator Proの強みをお伝えしても「やっぱりPhotoshopのほうが上なんでしょう?」と疑いの晴れない人もいるでしょう。
実際、Photoshopは画像編集ソフトのパイオニアであると同時に、クリエイティブワークを牽引するリーダー的存在でもあります。PhotoshopにあってPixelmator Proにない機能は、やはりいくつもあります。
たとえば、テキスト編集機能や「アクション」による自動処理、画像に適用できるフィルタの種類などは、Photoshopのほうが長じていると感じます。
しかし、機能は「多ければ多いほどいい」というものでもありません。画像の加工に求める機能は人ぞれぞれ。要は自分が満足できる機能が揃っていればいいのです。
もし、Pixelmator Proが自分のニーズに応えてくれるかどうかが不安なら、購入前に機能を試すことも可能です。公式サイトから15日間無料で使える体験版をダウンロードできますので、その実力を自分で確かめてみましょう。
なお、同社のMac用画像編集ソフトには、Pixelmator Proのほかに「Pixelmator Classic」というものもあります。こちらはPixelmator Proの前身といえる製品で、販売は継続しているものの開発の主力はPixelmator Proへと移っています。これから購入するのであれば、Pixelmator Proを選んだほうがいいでしょう。