PC Watchのキーボード黙示録

現代最高のキーボードの基準は“キートップのがたつき”だが、イケてない「REALFORCE GX1」に戻ってしまう【ライター石田賀津男の場合】

このコーナーは、ライターや編集者愛用のキーボードについて語る短期リレーコラムです。

 「良いキーボード」とは何か。

 ジャーナリスト業を営むとともに、PCゲームを趣味とする筆者にとって、キーボードは公私ともにもっとも重要なデバイスだ。原稿書きにストレスがなく、それでいてゲームにも最適な製品が必要になる。

 一昔前であれば、キーを端押ししてもスムーズにストロークするのが高評価だったが、今時は1台1万円を超える高級キーボードでそうではない製品など見当たらない。Nキーロールオーバーも当たり前で、さほど売りにはならなくなった。

 筆者がここ最近、キーボードの評価の主軸にしているのは、“キートップのがたつき”である。ホームポジションに指を置き、そのまま上下左右に指を動かす。するとキーを押していなくても、キートップが少し上下左右に動くはずだ。これが動かないほど良い。

 がたつきが大きいものだと、入力の際に真下ではない方向にキーが動き、入力のストレスを生む。がたつきが少ないものだと、キー入力の瞬間から最後までストロークは真下で、よりスムーズに入力できる。言葉では伝わらないかもしれないが、実際の製品で比べてみるとはっきり体感できるはずだ。

 また最近のゲーミングキーボードは、アナログスイッチによるラピッドトリガーが目玉機能になっており、アナログスイッチの認識精度は0.1mmやそれ以下の単位。キートップのがたつきや傾きは、その感知範囲を簡単に超えてしまう。ゆえに高い精度の入力を求める意味でも、がたつきは小さいほど良い。

 筆者は秋葉原に行くたび、店頭に置かれている新製品のキーボードに手を置き、指を上下左右にカタカタと動かしてみるテストをしている。ほとんどの製品は、それなりにがたつく。がたつきの小ささまで配慮された製品は、まだほとんどない。

 現時点で最高の製品は、東海理化の「ZENAIM KEYBOARD」。ショートストロークである点に注目されがちだが、キートップのがたつきはほとんどない。ストロークも極めてスムーズで、入力の気持ちよさはほかとは一線を画す。価格も最高峰ではあるが、おすすめのキーボードを聞かれたら、今はこれしかないと答えている。

 次点はASUSの「ROG STRIX SCOPE RX TKL Wireless Deluxe」。ROG RX Redオプティカルメカニカルスイッチを搭載した製品はほかにもあり、いずれも優秀なのだが、この製品だけはがたつきが非常に小さい。ASUSの高価格帯の製品は概ねがたつきが小さい傾向はある。ロングストロークが好みならおすすめできる。

 そして筆者が使用しているのは、そのどちらでもない、東プレの「REALFORCE GX1」だ。本機については以前レビュー記事を執筆している。「呪い」などと表現しているにも関わらず、いつの間にか東プレの製品サイトからリンクされていて笑ってしまう。

 記事にある通り、筆者は「REALFORCE」シリーズを長年愛用しており、ゲーミング向けの本機は筆者にうってつけの製品であることは間違いない。

 ただ、キートップのがたつきについてはどうかというと、実はかなり酷い。筆者所有の従来のシリーズ製品に比べても悪化している。キーキャップの軸の形状を変更したのが原因ではないかと思うが、はっきりした原因は分からない。

 またキーキャップの素材がABSになっているのもいただけない。従来は耐久性の高いPBTで、10年使ってようやくスペースキーの一部が少しすり減った感じがするくらいだった。しかし本機のABSキーキャップは、数カ月ほどではっきりと表面が削れてツルツルしてきた。2年ほど使用した現在は、ホームポジションやよく使うキーはツルツルになってしまって感触が悪い。

ハードに使うと2年でこうなる(汚れはご容赦を)。耐久性の高さが売りの「REALFORCE」シリーズだけに、がっかり感がとても強い

 仕方がないからほかのキーボードに変えてみよう、と何度かチャレンジしてみたものの、無理だった。たとえがたつきが大きくても表面がツルツルでも、30gという押下圧の軽さは何物にも代えられない。

 唯一の選択肢は、古い製品に戻すことくらいだが、ゲーミングのことを思うと本機を使い続けたい。アクチュエーションポイントを少し高くして、ラピッドトリガーで入力オフも早くしておくと、テキスト入力の快適さが上がるのも確かだ。

 不満はあるが、逃れられない。“全キー30gでテンキーレスで静音仕様でUSB接続でラピッドトリガー対応のREALFORCE”という呪いの強さを改めて実感している。PBTキーキャップとがたつき低減モデルが出て、呪いがさらに増えることを祈る。

メーカー/製品名東プレ REALFORCE GX1
使用PC機種名自作PC
キーボード仕様静電容量無接点方式/ステップスカルプチャー
キースイッチ(軸の種類)東プレスイッチ(静電容量無接点方式)
キー配列日本語配列
サイズ/キー数91キー(テンキーレス)
キーピッチ19mm
キーストローク4mm
押下圧(重さ)30g
打鍵音静音
接続方式USB
筐体の色/素材
カスタマイズ箇所なし
キーバックライトRGB LED
価格3万3,000円