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10万円切りでこの性能、やるじゃないか。駿河屋のGeForce RTX 4060搭載ゲーミングPC

駿河屋「A2-Gamingバトル/RBM013」

 駿河屋を運営する株式会社エーツーが販売する「A2-Gamingバトル/RBM013」は、GeForce RTX 4060搭載かつOS込みでありながら、税込み9万9,800円という価格で注目を集めたゲーミングデスクトップPCだ。

 今回は、ゲームやベンチマークテストでA2-Gamingバトル/RBM013の実力をチェックするとともに、CPUをRyzen 7 5800X3Dにアップグレードした場合のパフォーマンスも計測。10万円で買える駿河屋オリジナルゲーミングPCが、本当にコストパフォーマンスの良いPCと言えるのか確認してみよう。

最新鋭GPU「GeForce RTX 4060」搭載で10万円切り駿河屋オリジナルPC

 駿河屋オリジナルPCとして販売中の「A2-Gamingバトル/RBM013」は、AMDの6コア12スレッドCPU「Ryzen 5 4500」と、NVIDIA最新のミドルレンジGPU「GeForce RTX 4060」を搭載したゲーミングデスクトップPC。Windows 11 Homeがインストールされた標準構成価格は税込み9万9,800円で、2023年9月の発売時は10万円を切る価格が注目を集めた。

 CPUとGPU以外には、DDR4-3200 16GB(8GB×2)メモリや、容量約500GBのNVMe SSDなどを搭載。今回テストする個体では、期間限定(11月10まで)の無償アップグレードとして電源ユニット(80PLUS Bronze認証)の容量が550Wから650Wに増強されていた。そのほかのパーツ構成は以下の通り。

【表1】駿河屋「A2-Gamingバトル/RBM013」のスペック
OSWindows 11 Home
CPURyzen 5 4500 (6コア/12スレッド)
GPUGeForce RTX 4060 8GB
マザーボードAMD A520チップセット搭載マザーボード (microATX)
メモリ16GB DDR4-3200 (8GB×2)
ストレージ約500GB NVMe SSD
CPUクーラーAMD Wraith Stealth (シルバーグリス使用)
ケースGamingバトルRBMモデル専用microATX PCケース
電源ユニット650W (80PLUS Bronze)
本体サイズ約220×411×441mm
Zen 2ベースの6コア12スレッドCPU「Ryzen 5 4500」
NVIDIA最新のミドルレンジGPU「GeForce RTX 4060」

 A2-Gamingバトル/RBM013は、GamingバトルRBMモデル専用のmicroATX PCケースを採用しており、筐体サイズは約220×411×441mm。このケースはThermaltakeのS100 TGがベースで、本体左側に強化ガラスを採用したスイングドアパネルを備えている。

 前面インターフェイスは本体の天板前面側に配置されており、電源スイッチやリセットスイッチのほか、USB 3.0(1基)、USB 2.0(2基)、音声入力、音声出力を搭載。

A2-Gamingバトル/RBM013。左サイドパネルには強化ガラスを採用
右サイドは金属製パネルを採用している
強化ガラスを採用する左サイドパネルは開閉が用意なスイングドアタイプ
前面インターフェイスは天板の前面側に配置されている

 ケースの内部をチェックしてみると、A2-Gamingバトル/RBM013は自作PC向けの汎用パーツを使って組み上げられていることが分かる。組立てのクオリティは上々で、ケース右側面の裏配線を活用したケーブリングによって、シンプルでスマートな見た目に仕上げられていた。

 冷却面を見てみると、CPUクーラーにはAMD純正のWraith Stealthを採用しているが、サーマルグリスは熱伝導率約9.0W/m・Kのシルバーグリスに変更されている。ケースファンについては、前面とトップに通気口とファンステイが用意されているものの、搭載している冷却ファンは背面の排気用120mmファン1基のみだった。これで十分な冷却ができるのかについてはのちほど検証する。

ケース左側面内部。マザーボードやビデオカードが搭載されている
ケース右側面内部。スマートに配線されたケーブルは結束バンドで固定されている
GeForce RTX 4060を搭載するビデオカード
AMD純正CPUクーラー「Wraith Stealth」。グリスはシルバーグリスに変更されている
搭載されているケースファンは背面の排気用120mmファン1基のみ
前面とトップのファンステイは使用されていない

Ryzen 5 4500はGeForce RTX 4060に釣り合うのか? ゲームとベンチマークテストでA2-Gamingバトル/RBM013をテスト

 10万円を切る価格で最新鋭GPUであるGeForce RTX 4060を搭載したA2-Gamingバトル/RBM013だが、そのパーツ構成はGPU一点豪華主義と言えるものであり、特に気になるのはCPUの「Ryzen 5 4500」がGeForce RTX 4060の性能を十分に引き出せるのかという点だ。

 Socket AM4向けの6コア12スレッドCPUであるRyzen 5 4500は、現在最新のZen 4から2世代前の設計であるZen 2を採用したCPUで、もともとAPU用に設計されたRenoirのGPUを無効化して作られたもの。CPUコア数は立派だが、最新鋭GPUと組み合わせるには設計の古さが気になるところだろう。

 そこで今回のテストでは、CPUをSocket AM4で最高峰のゲーミング性能を備える8コア16スレッドCPU「Ryzen 5 5800X3D」に換装した場合の性能を計測。これと比較することにより、Ryzen 5 4500がどれだけGeForce RTX 4060から性能を引き出せているのかを確かめる。なお、Ryzen 7 5800X3D換装時は、CPUクーラーもDeepCool AK400に換装している。

Ryzen 5 4500とRyzen 7 5800X3D
Ryzen 7 5800X3D換装時のCPUクーラーはDeepCool AK400を使用する

 そのほか、テスト時のパーツ構成は以下の表の通り。

 なお、GeForce RTX 4060のバスインターフェイスは本来PCIe 4.0 x8なのだが、マザーボードが搭載するAMD A520チップセットの制限によりPCIe 3.0 x8での接続となっている。

【表2】テスト条件
機材A2-Gamingバトル/RBM013Ryzen 7 5800X3D換装後
CPURyzen 5 4500 (6コア/12スレッド)Ryzen 7 5800X3D (8コア/16スレッド)
CPUリミット設定PPT=88W、TDC=65A、EDC=95A、TjMax=95℃PPT=142W、TDC=95A、EDC=140A、TjMax=90℃
CPUクーラーAMD Wraith StealthDeepCool AK400
GPUGeForce RTX 4060 8GB (PCIe 3.0 x8)
GPUドライバGRD 545.84 (31.0.15.4584)
OSWindows 11 Home 22H2 (build 22621.2428、VBS無効)
電源プランバランス
室温約26℃

 それでは、A2-Gamingバトル/RBM013の性能を確認していこう。

 実施したテストは「Cinebench 2024」、「Cinebench R23」、「Blender Benchmark」、「3DMark」、「PCMark 10」、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、「BLUE PROTOCOL ベンチマーク」、「エーペックスレジェンズ」、「STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール」、「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」、「サイバーパンク2077」。

Cinebench 2024

 最新のCinebenchである「Cinebench 2024」では、「Multi Core」と「Single Core」でCPUの性能を計測したほか、GPUレンダリング性能も計測した。

 CPUのマルチスレッド性能を計測する「Multi Core」では、Ryzen 5 4500が「539」を記録。これはRyzen 7 5800X3Dが記録した「824」比を約35%下回った。

 一方、CPUのシングルスレッド性能を計測する「Single Core」では、Ryzen 5 4500が「73」を記録し、Ryzen 7 5800X3Dの「94」を約22%下回っている。

 Multi Coreのスコアについては、Ryzen 5 4500はRyzen 7 5800X3Dよりコア数が25%少ないことも影響しているが、Zen 2ベースのRyzen 5 4500と、Zen 3ベースのRyzen 7 5800X3Dでは、コア当たりの性能にも結構な差が生じていることが伺える。

【グラフ01】Cinebench 2024 (v2024.0.1)「Multi Core」
【グラフ02】Cinebench 2024 (v2024.0.1)「Single Core」

 Cinebench 2024のGPUテスト実行結果は、Ryzen 5 4500を搭載したA2-Gamingバトル/RBM013の標準構成が「9,978」で、Ryzen 7 5800X3D換装時の「9,746」を約2%上回っている。

 これはスコアのブレとも考えられる程度の差であり、純粋にGPU性能が問われる場面ではCPU性能の差がほぼ影響しないことを示すものだ。

【グラフ03】Cinebench 2024 (v2024.0.1)「GPU」

Cinebench R23

 CPUベンチマークのCinebench R23では、Ryzen 5 4500がRyzen 7 5800X3DをMulti Coreで約38%、Single Coreで約19%下回った。

【グラフ04】Cinebench R23 (R23.200)「Multi Core」
【グラフ05】Cinebench R23 (R23.200)「Single Core」

Blender Benchmark

 Blenderの公式ベンチマークソフトである「Blender Benchmark」では、CPUとGPUでベンチマークテストを実行した。

 CPUベンチマークでは、Ryzen 5 4500がRyzen 7 5800X3Dを36~42%下回った。これはCinebenchのMulti Coreテストと類似した結果だ。

 GPUベンチマークでは、A2-Gamingバトル/RBM013の標準構成がRyzen 7 5800X3D換装時のスコアを2~4%下回った。Cinebench 2024のGPUテスト同様、CPU性能の差はそれほど影響していないことが分かる。

【グラフ06】Blender Benchmark v3.1.0 (Blender v3.6.0)「CPU」
【グラフ07】Blender Benchmark v3.1.0 (Blender v3.6.0)「GPU」

3DMark「CPU Profile」

 CPUの性能をスレッド数ごとに確認する3DMarkのCPU Profileでは、Ryzen 5 4500がRyzen 7 5800X3Dを19~34%下回った。

【グラフ08】3DMark v2.27.8177「CPU Profile」

PCMark 10

 PCMark 10でもっともテスト数の多いExtendedを実行した結果、Ryzen 5 4500を搭載する標準構成の総合スコア「8,096」で、Ryzen 7 5800X3D換装時の「9,845」を約18%下回った。

【グラフ09】PCMark 10 Extended (v2.1.2636)

3DMark

 3DMarkのゲームベンチマークでは、「Speed Way」、「Port Royal」、「Solar Bay」、「Time Spy」、「Fire Strike」、「Wild Life」を実行した。

 特にGPU負荷の高いSpeed WayとPort Royalでは、標準構成とRyzen 7 5800X3D換装時のスコアがほぼ同等となっており、Vulkan 1.1テストのSolar Bayでも標準構成はRyzen 7 5800X3D換装時を約1%下回っただけだった。

 古めのテストであるTime SpyやFire Strikeは、CPU性能テストが総合スコアに影響しやすいこともあり、標準構成がRyzen 7 5800X3D換装時をそれぞれ約7%と約14%下回った。

 Wild Lifeについては、低負荷のWild Lifeで約5%、高負荷のWild Life Extremeで約1%、それぞれ標準構成がRyzen 7 5800X3D構成を下回っている。

【グラフ10】3DMark v2.27.8177「Speed Way」
【グラフ11】3DMark v2.27.8177「Port Royal」
【グラフ12】3DMark v2.27.8177「Solar Bay」
【グラフ13】3DMark v2.27.8177「Time Spy」
【グラフ14】3DMark v2.27.8177「Fire Strike」
【グラフ15】3DMark v2.27.8177「Wild Life」

ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク

 ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでは、グラフィックス品質を「最高品質」に設定して、フルHDとWQHDの2解像度でベンチマークを実行した。

 Ryzen 5 4500を搭載する標準構成は、Ryzen 7 5800X3DのスコアをフルHDで約38%、WQHDで約20%と大きく下回った。これは、Ryzen 7 5800X3Dへの換装によってCPUのボトルネックが緩和され、GeForce RTX 4060がより性能を発揮できたことを示す結果だ。

 ただし、Ryzen 5 4500を搭載する標準構成であっても、フルHDで約122.2fps、WQHDでも約96.4fpsという平均フレームレートを記録しており、ファイナルファンタジーXIVをプレイするのに十分なパフォーマンスは得られている。

【グラフ16】ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク「スコア」
【グラフ17】ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク「平均フレームレート」

BLUE PROTOCOL ベンチマーク

 BLUE PROTOCOL ベンチマークでは、グラフィックス品質を「最高画質」に設定して、フルHDとWQHDの2解像度でベンチマークを実行した。

 Ryzen 5 4500を搭載する標準構成は、Ryzen 7 5800X3DのスコアをフルHDで約16%、WQHDで約6%下回った。標準構成の平均フレームレートはフルHDで約114.9fps、WQHDで約80.5fpsを記録しており、ベンチマーク評価は最高の「極めて快適」を獲得している。

【グラフ18】BLUE PROTOCOL ベンチマーク「スコア」
【グラフ19】BLUE PROTOCOL ベンチマーク「平均フレームレート」

エーペックスレジェンズ

 エーペックスレジェンズでは、グラフィックス品質をできる限り高く設定して、フルHDとWQHDの2解像度で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは300fps。

 Ryzen 5 4500を搭載する標準構成は、Ryzen 7 5800X3DのフレームレートをフルHDとWQHDでそれぞれ約4%下回った。標準構成の平均フレームレートはフルHDで約174.8fps、WQHDで約131.4fpsとなっている。この時のGPU使用率は95%前後で、GeForce RTX 4060の性能をかなり引き出せていることが伺える。

【グラフ20】エーペックスレジェンズ (v3.0.47.47)

STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール

 STREET FIGHTER 6 ベンチマークツールでは、グラフィックス品質を最高の「HIGHEST」に設定して、フルHDとWQHDの2解像度でテストを実行した。テスト時の上限フレームレートはFIGHTING GROUNDが60fpsで、BATTLE HUBとWORLD TOURが120fps。

 メインコンテンツであるFIGHTING GROUNDに関しては、どちらのCPUを搭載した場合でもフルHDとWQHDの両方で上限フレームレートである60fpsをほぼ維持している。この時点で、A2-Gamingバトル/RBM013はSTREET FIGHTER 6を十分快適にプレイできる性能を備えていると言える。

 BATTLE HUBとWORLD TOURの結果に注目してみると、Ryzen 5 4500を搭載する標準構成がフルHDとWQHDでフレームレートの変化が少ないのに対し、Ryzen 7 5800X3D換装時は変化が大きい。これは、Ryzen 5 4500がGeForce RTX 4060のボトルネックとなって平均フレームレートが90fps前後で頭打ちになっていることが影響している。

【グラフ21】STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール「フルHD/1080p (1,920×1,080ドット)」
【グラフ22】STREET FIGHTER 6 ベンチマークツール「WQHD/1440p (2,560×1,440ドット)」

ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON

 ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICONでは、グラフィックス品質を「最高」に設定して、フルHDとWQHDの2解像度で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは120fps。

 Ryzen 5 4500を搭載する標準構成は、Ryzen 7 5800X3DのフレームレートをフルHDで約4%、WQHDで約1%下回った。標準構成の平均フレームレートはいずれも60fpsを大きく超えており、実際にプレイしてみても安定して60fpsを上回っていた。

【グラフ23】ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON (v40)

サイバーパンク2077

 サイバーパンク2077では、グラフィックス品質を「レイトレーシング:ウルトラ」に設定して、フルHDとWQHDの2解像度で平均フレームレートを計測した。テスト時はDLSS超解像を「自動」に設定し、フレーム生成を有効にしている。

 Ryzen 5 4500を搭載する標準構成は、Ryzen 7 5800X3DのフレームレートをフルHDで約5%、WQHDで約2%下回った。フレーム生成の効果もあり、標準構成の平均フレームレートはフルHDで85.95fps、WQHDでも66.34fpsという十分プレイ可能な数値を記録した。

【グラフ24】サイバーパンク2077 (v2.01)

長時間のゲームにも耐えられる? A2-Gamingバトル/RBM013の冷却性能をチェック

 A2-Gamingバトル/RBM013の冷却システムは、Ryzen 5 4500に純正クーラーを搭載し、ケースファンは排気用の120mmファン1基のみという最低限に近いものだが、これでゲームをはじめとする長時間の高負荷動作に耐えられるのだろうか。

 今回はA2-Gamingバトル/RBM013の冷却システムをテストすべく、Cinebench 2024のMulti Coreを最低実行時間10分で実行した場合と、サイバーパンク2077をフルHDで約30分間連続実行した場合のステータス情報をHWiNFO64 Proで計測してみた。

標準構成時(Ryzen 5 4500)のモニタリングデータ

 Ryzen 5 4500を搭載する標準構成でのモニタリングデータをまとめたものが以下のグラフだ。

 Cinebench 2024 Multi Core実行中のCPU温度は最大87.5℃(平均84.8℃)となっているが、これはTjMaxの95℃を下回っているため、サーマルスロットリングは作動していない。

 一方、サイバーパンク2077実行中の温度は、CPUが最大73.0℃(平均71.6℃)、GPUは最大78.7℃(平均76.4℃)となっている。CPUはTjMaxを下回っているし、GPUについても温度リミットの83℃を下回っている。

 一見すると貧弱にも見えるA2-Gamingバトル/RBM013の冷却システムだが、標準構成を冷却するのに必要十分な性能は有していると言える結果だ。

【グラフ25】CPU/GPU温度│A2-Gamingバトル/RBM013 (Ryzen 5 4500)
【グラフ26】CPU/GPU消費電力│A2-Gamingバトル/RBM013 (Ryzen 5 4500)
【グラフ27】CPU/GPUクロック温度│A2-Gamingバトル/RBM013 (Ryzen 5 4500)
【グラフ28】A2-Gamingバトル/RBM013 (Ryzen 5 4500)│Cinebench 2024
【グラフ29】A2-Gamingバトル/RBM013 (Ryzen 5 4500)│サイバーパンク2077

標準構成時(Ryzen 5 4500)のモニタリングデータ

 CPUをRyzen 7 5800X3D、CPUクーラーDeepCool AK400に換装した際のモニタリングデータをまとめたものが以下のグラフだ。

 CPUの消費電力はRyzen 5 4500より高いにも関わらず、TjMaxはより低い90℃のRyzen 7 5800X3Dは、PCの冷却システムへの要求がより高いCPUであるとも言えるが、CPUクーラーも同時に換装したこともあって、Cinebench 2024 Multi Core実行中のCPU温度は最大79.8℃(平均76.1℃)と十分低く抑えられている。

 サイバーパンク2077実行中の温度は、CPUが最大68.0℃(平均65.8℃)、GPUは最大82.2℃(平均80.3℃)となっている。GPU温度はリミットに近づいているが、スロットリングによるものとみられるGPUクロックの大きな低下は見られない。

 排気ファン1基でも必要十分な冷却はできていると言えるA2-Gamingバトル/RBM013ではあるが、今回のように自己責任で構成をカスタマイズするなら、フロントに吸気ファンを追加してエアフローの改善を狙いたいところだ。

【グラフ30】CPU/GPU温度│Ryzen 7 5800X3D換装後
【グラフ31】CPU/GPU消費電力│Ryzen 7 5800X3D換装後
【グラフ32】CPU/GPUクロック温度│Ryzen 7 5800X3D換装後
【グラフ33】Ryzen 7 5800X3D換装後│Cinebench 2024
【グラフ34】Ryzen 7 5800X3D換装後│サイバーパンク2077

ゲーミングPCとして十分通用する一点豪華主義の成功例

 駿河屋オリジナルPCであるA2-Gamingバトル/RBM013は、10万円を切る価格でGeForce RTX 4060を搭載するために、ほかのパーツ構成を必要最低限にした一点豪華主義を形にしたようなゲーミングPCだ。

 確かにRyzen 7 5800X3D換装時と比べると、CPUのRyzen 5 4500がボトルネックになる場面は多かったが、それでもフルHD/1080pゲーミングPCとして十分通用する性能は備えている。また、GPU負荷の高いゲームやWQHD/1440pゲーミングではCPUがボトルネックになりにくいため、Ryzen 7 5800X3D換装時と大差ないパフォーマンスが得られることもあった。10万円切りのゲーミングPCとしては上々の結果と言えるだろう。

 A2-Gamingバトル/RBM013はただ安いだけでなく、一点豪華主義によって高いコストパフォーマンスを実現したゲーミングPCだった。また、自作PC用の汎用パーツで構成された本体は、CPUを換装することで性能を引き上げることもできた。できるだけ安くゲーミングPCを用意したいゲーマーはもちろん、既製品のカスタマイズから自作PCに挑戦したいと考えるユーザーにも、駿河屋のA2-Gamingバトル/RBM013は面白い選択肢となるだろう。