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「ROG Phone 5」を速攻検証!超っ速なSnapdragon 888搭載ゲーミングスマホの実力は?
2021年5月26日 18:30
ASUS JAPANが5月26日に発表した「ROG Phone 5」は、ASUSのAndroid搭載ゲーミングスマホ「ROG Phone」シリーズの最新モデル。
ROGは「Republic of Gamers」の頭文字を取ったもので、スマホとPCの両方で展開されているゲーミングブランド。PC、スマホともにゲームを楽しむために高い性能を追求している点が特徴だ。
今回発売されたROG Phone 5は、2020年9月に発売された「ROG Phone 3」の後継モデルという位置付け。後継モデルながらナンバリングが「3」から「5」へと飛んだ理由としては、「4」という数字が忌み数として好まれないからだという。
本体カラーは「ファントムブラック」、「ストームホワイト」の2色展開で、それぞれメモリ12GB、16GBの2モデル、合計4モデルをラインナップ。価格はメモリ12GBモデルが9万9,800円、16GBモデルが11万4,800円。発売日は16GBモデルが5月28日、12GBモデルが6月4日。
また、さらなる上位モデルとして、メモリを18GBに強化し、背面にディスプレイやタッチパッドを搭載した「ROG Phone 5 Ultimate」も今夏に数量限定で発売。価格は14万9,800円で、本体カラーは「ストームホワイト」のみとなる。
CPUセンター配置で熱効率を向上。3.5mmオーディオジャックも搭載
基本的なスペックや特徴は前モデルであるROG Phone 3を踏襲。ゲームを楽しむために極限まで高めた性能と、その性能を最大限に引き出すための設定メニューが用意されているほか、タッチセンサーやジャイロセンサー、外付けコントローラなど、ゲームを楽しむための機能や周辺機器が充実している。
細かなスペックは下記の比較表を参照してほしいが、前モデルとの比較ではプロセッサがSnapdragon 865 PlusからSnapdragon 888になったほか、有機ELのディスプレイサイズは6.59型から6.78型へ、解像度は2,340×1,080ドットから2,448×1,080ドットとわずかながらスペックアップしている。一方で、内蔵ストレージは前モデルの512GBから256GBへとスペックダウンした。
ROG Phone 5 | ROG Phone 3 | |
---|---|---|
プロセッサ | Snapdragon 888 5G(8コア、2.84GHz) | Snapdragon 865 Plus(8コア、3.1GHz) |
メモリ | 12GB/16GB | 12GB/16GB |
ストレージ | 256GB | 512GB |
ディスプレイサイズ | 6.78型 | 6.59型 |
ディスプレイ解像度 | 2,448×1,080ドット(144Hz) | 2,340×1,080ドット(144Hz) |
アウトカメラ | 6,400万画素 広角カメラ内蔵 (メインカメラ) 1,300万画素 超広角カメラ内蔵 (2ndカメラ) 500万画素 マクロカメラ内蔵 (3rdカメラ) | 6,400万画素 広角カメラ内蔵 (メインカメラ) 1,300万画素 超広角カメラ内蔵 (2ndカメラ) 500万画素 マクロカメラ内蔵 (3rdカメラ) |
インカメラ | 2,400万画素カメラ内蔵 | 2,400万画素カメラ内蔵 |
センサー | GPS(GLONASS、BeiDou、Galileo、QZSS、NavICサポート)、加速度センサー、電子コンパス、光センサー、近接センサー、ジャイロスコープ、指紋センサー(画面内認証)、NFC、超音波センサー | GPS(GLONASS、BeiDou、Galileo、QZSS、NavICサポート)、加速度センサー、電子コンパス、光センサー、近接センサー、ジャイロスコープ、指紋センサー(画面内認証)、磁気センサー、NFC、超音波センサー |
無線LAN | Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6 |
Bluetooth | 5.2 | 5.1 |
5Gバンド | n2/5/7/12/20/25/38/40/66/71/77/78/79 | n1/2/3/5/28/41/66/71/77/78/79 |
4Gバンド | B1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19/20/25/26/28/29/30/32/66/71 B34/38/39/40/41/42/48 | B1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19/20/25/26/28/29/30/32/66/71 B34/38/39/40/41/42/48 |
3Gバンド | B1/2/3/4/5/6/8/19 | B1/2/3/4/5/6/8/19 |
USB | USB 2.0 Type-C(本体下部)、USB 3.1 Type-C(本体左側面) | USB 2.0 Type-C(本体下部)、USB 3.1 Type-C(本体左側面) |
SIM | Nano SIM×2 | Nano SIM×2 |
3.5mmオーディオジャック | ○ | × |
バッテリ駆動時間(Wi-Fi) | 約13.8時間 | 約15時間 |
バッテリ容量 | 6,000mAh | 6,000mAh |
消費電力 | 最大65W | 最大30W |
本体サイズ | 77×173×9.9mm | 約78×171×9.85mm |
本体重量 | 239g | 約240g |
サウンド面では、3.5mmオーディオジャックを新たに搭載。前モデルでは同梱の変換アダプタを介して有線イヤフォンが利用できたが、ROG Phone 5は変換アダプタがなくても直接接続できる。
バッテリは仕様上同じ6,000mAhだが、ROG Phone 5では本体中央にCPUを配置し、その両側に3,000mAhのバッテリを2つ搭載する構造を新たに採用。CPUをセンターに配置することで熱効率を高め、熱源に直接手を触れることがないという。なお、こうした仕様変更により、バッテリ駆動時間の公称値はROG Phone 3から若干ながら短くなっている。
一方で充電性能はROG Phone 3の最大30Wから最大65Wへと向上し、30分で4,400mAhの充電、52分で満充電が可能。Quick Chargeも4.0対応から5.0対応となっている。
ベンチマークは前モデル超えの最高クラス
ROG Phone 5最大の特徴であるパフォーマンスは、「AnTuTu Benchmark」v9.0.7、「3DMark」v2.2.4746、「GeekBench 5」5.4.1でベンチマークを測定した。
プリインストールされているアプリ「Armoury Crate」では、ROG Phone 5の性能をカスタマイズでき、初期状態で設定されている「ダイナミック」よりもパフォーマンスの高い「Xモード」が選択できる。Xモード利用時にデフォルトの壁紙を設定している場合は壁紙も自動で切り替わり、Xモードかそうでないかを一目で判別可能だ。
XモードではCPU/GPUのクロック数やディスプレイのリフレッシュレート、ディスプレイの感度向上に加えて、Wi-Fiとモバイル回線を組み合わせて通信を安定させる「HyperFusion」機能が有効になる。
また、別売の外付けクーラー「AeroActive Coolor 5」(5,980円)を装着するとさらに上位の設定「Xモード+」へと自動で切り替わる。Armoury Crateではほかにも「超省電力」などモードが用意されているほか、項目を自由にカスタマイズすることも可能だ。
同じバージョンではないため厳密な比較はできないものの、前モデルであるROG Phoneのレビューで掲載されたスコアと比較すると、ダイナミック設定時でROG Phone 3とほぼ同等、Xモードに切り替えるとより高い結果となった。AnTuTuについてはASUSが公称する計測結果とほぼ同等の結果を記録できている。
ROG Phone 5 | ROG Phone 3 | ||
---|---|---|---|
Xモード+ | ダイナミック | - | |
AnTuTu Benchmark | 811,759 | 689,775 | 637,832 |
GeekBench 5 | |||
Single-Core Score | 1,124 | 1,119 | 983 |
Multi-Core Score | 3,555 | 3,167 | 3,162 |
3DMark | |||
Sling SHot Extreme - OpenGL ES 3.1 | Maxed Out! | - | 7,708 |
Wiled Life Extreme | 1,503 | 1,259 | - |
※ROG Phone 3の結果はGAME WatchとPC Watchの記事を引用
144Hzリフレッシュレートで低タッチレイテンシーのAMOLEDディスプレイ搭載
ディスプレイはリフレッシュレート144Hz、応答速度1msのSamsung製AMOLEDディスプレイを採用。リフレッシュレートと応答速度はROG Phone 3と同等だが、タッチサンプリングレートは270Hzから300Hzへ、タッチの入力遅延は25msから24.3msへと向上した。ゲームなどでボタンを押してからゲームに反映される速度が速いため、ゲームプレイが有利になるという。カバーガラスはGorilla Glass Victusの採用でディスプレイの耐久性向上も図っている
144Hz対応のゲームはまだ数が少ないが、専用アプリ「Armoury Crate」内で144Hzや120Hz対応のゲームが紹介されており、ROG Phone 5ならではの高リフレッシュレートを体験可能だ。
実際にゲームをプレイしても操作は非常に快適。フレームレートの高いゲームでもサクサク動作し、シビアなタイミングが要求されるリズムゲームも、タッチ操作に違和感を覚えることなく思い通りにゲームを進行できる。
ゲームを楽しむためのサウンド面では、本体左右に12×16mmのステレオスピーカーを搭載。ハイレゾやaptXに対応し、DxOMarkのオーディオベンチマークでは79という高いスコアを記録したという。前モデルのROG Phone 3では省略された3.5mmオーディオジャックはESS製のDACを搭載するなど、有線での音楽視聴時の高音質化も図られている。
コントローラの併用でよりゲームを快適にプレイ
周辺機器の充実もROG Phoneシリーズの特徴。数ある周辺機器の中から今回のレビューではコントローラ「ROG Kunai 3 Gamepad」(1万2,080円)と外付けクーラー「AeroActive Cooler 5」を試用した。
ROG Kunai 3 Gamepadは多彩な使い方が可能なゲームコントローラで、Bluetooth接続でワイヤレスコントローラとして利用できるだけでなく、ROG Phone 5の左右に装着して携帯型ゲーム機のようなスタイルで操作することもできる。
本体装着時は、専用ケースをROG Phone 5に装着した上で、ROG Kunai 3 Gamepadの左右をスライドして取り外し、ケースの両側に取り付ける。任天堂の「Nintendo Switch」のような装着スタイルだ。
なお、実際にROG Kunai 3 Gamepadでプレイするにはゲームが対応しているか、自分で操作設定をカスタマイズする必要がある。ROG Phone 5の推奨ゲームのうち、レースゲームの「アスファルト9」は初期設定でROG Kunai 3 Gamepadに対応しており、コントローラでそのままプレイが可能だった。
非対応のゲームの場合は、「GAME GENIE」の「キーマッピング」からキーを割り当てる。画面にソフトキーが表示されるゲームの場合は同じボタンをその位置に割り当て、画面内のいずれかをタッチすれば操作できる場合は画面内のどこかに配置すればコントローラ操作が可能だ。
なお、タッチ操作が中心のゲームなど、設定の割り当てでは利用が難しい場合もあるため、全てのゲームがROG Kunai 3 Gamepadで動作するわけではない。
実際にいくつかゲームをプレイしてみたが、当然ながら操作感はコントローラのほうが格段に上。ソフトキーと違って画面を見ずに操作でき、指で画面が隠れることもないため、ゲームの操作に集中できる。瞬時の判断を要求されるアクション要素の高いゲームはROG Kunai 3 Gamepadでの操作が圧倒的に快適だった。
ゲーム操作では、横持ち時の本体左右上部に搭載された超音波タッチセンサー「AirTrigger 5」をボタンとして利用することもできる。センサーはタッチだけでなくスライドやスワイプでの操作も可能で、それぞれの操作をゲーム内のアクションに割り当てられる。
GAME GENIEは、ゲーム操作以外にも様々なカスタマイズが可能。前述のAirTriggersやキーマッピングに加え、ゲームの動画を撮影する機能や、ゲームプレイ中の音声着信を拒否するなど、ゲームをより楽しむための機能が盛り込まれている。
外付けクーラーは別売に。CPUセンター配置で冷却性能が大幅に向上
本体を冷却する外付けクーラー「AeroActive Coolor 5」も3から5へとバージョンアップ。ROG Phone 3では同梱だったのが別売にはなったものの、前述のCPUセンター配置との組み合わせにより、表面温度の冷却能力は前モデルの最大4℃から最大15℃へと大幅に向上している。また、ROG Phone 5に直接装着するだけでなく、ROG Kunai 3 GamepadとAeroActive Coolor 5と同時装着することもできる。
なお、前モデルの「AeroActive Cooler 3」は、装着方法が異なるためROG Phone 5では利用できない。
AeroActive Cooler 5は左側面にあるカバーを外し、専用端子のカスタムポートに装着する仕組み。カスタムポート横にはUSB Type-Cポートも配されており、ROG Kunai 3 Gamepad装着時もこのUSB Type-Cポートから充電が可能なほか、3.5mmオーディオジャックも「AeroActive Cooler 5」を介して利用できるようになる。
AeroActive Coolor 5装着時もベンチマークの結果は変わらなかったが、本体熱の面では効果てきめん。ベンチマークやゲームをプレイしていると、明らかに熱いと感じるレベルで本体が熱くなるが、クーラー装着時はむしろ本体が冷たく感じるほど。長時間プレイすると発熱により動作が緩慢になることがあるが、AeroActive Coolor 5があれば長時間快適にプレイできるだろう。
AeroActive Coolor 5にも左右ボタンが用意されており、このボタンをゲーム内のアクションに割り当てることも可能。ただし、ゲームパッドを装着すると本体幅が非常に長くなってしまうため、瞬時に指で押すのは難しい。クーラーのボタンはゲームパッドとは別で利用するのがいいだろう。
本体性能に負けず劣らず高性能なカメラ。バッテリも長時間駆動
ゲーム機ではなくスマホとしての使い勝手も、前述の通りスペック面では不満のないレベル。一方で7型に近いディスプレイを備えた本機は非常に大きく、重量も239gと、スマホとしてはかなり重く、手にずっしりと重みを感じる。
スペック面で特徴的なのはUSB Type-Cが2ポート搭載されていること。ROG Kunai 3 Gamepadなどの周辺機器を装着すると本体底面のUSB Type-Cポートが塞がれてしまうため、周辺機器利用時もUSB Type-Cを使うためのポートではあるが、置き場所に応じて好きな位置で充電できる、といった細かなメリットもある。
スマホのメイン機能ともなりつつあるカメラ機能も、本体性能に負けず劣らずの性能の高さ。3眼のアウトカメラとインカメラそれぞれ画素数も高く、動作もキビキビとしてすぐにシャッターを切れる。夜間など暗い場所でも明るく撮れるため、カメラの不安もほぼないだろう。
バッテリは画面輝度を50%にした状態でフルHDの動画を連続再生したところ、約19時間でバッテリが空になった。6,000mAhという大容量バッテリを搭載しているだけに長時間の利用にも安心だ。
機能面では、防水・防塵やフルセグ/ワンセグのTV機能、FeliCaは非対応。また、携帯電話回線は5G/4G/3Gに対応するが、5GはSub6対応で、ミリ波には非対応となる。
本体パッケージはAR要素を備えており、初回設定時のチュートリアルに従ってパッケージにカメラを向けるとアニメーションが表示される仕組みになっている。高額商品だけに、こうしたパッケージのこだわりもうれしいポイントだ。
前モデルを超える最高のパフォーマンス。スマホとしても魅力の1台
前モデルのROG Phone 3とスペックだけ見ると大きな違いがないものの、パフォーマンスは大幅に向上。さらに3.5mmオーディオジャックの搭載やCPUセンター配置による冷却性能の向上など、細かな点で使い勝手が向上している。
ストレージ容量や外付けクーラー同梱という点では前モデルのほうが上だが、256GBという容量は十分大容量であり、外付けクーラーも費用はかかるが購入すればいい。大幅な冷却性能向上を考えると、別売であっても購入したくなる魅力的な周辺機器だ。
ROG Kunai 3 Gamepadはゲームが対応していなければプレイできないものの、操作感は圧倒的に上。スマホというよりもゲーム機そのものの感覚でプレイに没頭できる。リアルタイムで対戦するようなゲームであれば、コントローラを利用することで成績の向上も見込めるだろう。
スマホとしては本体の重さがネックではあるが、ミリ波ではないものの5Gにも対応しており、暗所でもきれいに撮影できるカメラや長時間駆動のバッテリ、デュアルSIMなど魅力は大きい。
防水やFeliCaは非対応だが、最近ではコード決済の普及によってFeliCaがなくてもスマホ決済できる場所も増えており、Suica対応のスマホやスマートバンドなどを組み合わせればFeliCa非対応というデメリットもカバーできるだろう。
スマホでのゲーム利用頻度が高いユーザーはもちろんのこと、高い性能のスマホを求めるユーザーや、高性能カメラ、長時間駆動バッテリに魅力を感じるユーザーにもおすすめの1台だ。