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2画面ノートは想像以上に実用的だった! 「ZenBook Duo 14」で味わう新しい操作感

ZenBook Duo 14 UX482(UX482EG-KA143TS)

 ASUS JAPANは、2枚のディスプレイを搭載するZenBook Duoシリーズ新モデル「ZenBook Duo 14 UX482」を発表した。

 第11世代Coreプロセッサ・シリーズを採用し性能強化するとともに、キーボード後方ディスプレイ「ScreenPad Plus」は自動的に後方がチルトアップするようになったことで利便性も高められている。

 今回、いち早く最上位モデルとなる「UX482EG-KA143TS」を試用する機会を得たので、ハード面を中心に紹介する。発売は4月21日で、直販価格は23万9,800円。

デュアルディスプレイ搭載ノートPCとして世界最薄・最軽量

 「ZenBook Duo」シリーズは、2019年に登場した「ZenBook Pro Duo」シリーズが実現した、上下に2枚のディスプレイを並べて搭載するという独特のデュアルディスプレイコンセプトをそのまま受け継ぎつつ、仕様を抑えることでZenBook Pro Duoよりも手ごろな価格を実現した製品だ。

 今回取り上げる「ZenBook Duo 14 UX482EG-KA143TS」(以下、UX482EG)は、そのZenBook Duoシリーズとして第2世代となる。

ディスプレイを開いて正面から見た様子
天板部分。フラットかつ直線的で、シンプルなデザイン。ZenBookシリーズおなじみの同心円状ヘアライン処理で高級感もある

 筐体のデザインは、従来モデルをほぼ踏襲。全体的に直線的で、無駄をそぎ落としたシンプルなデザインからは、高級感が感じ取れる。

 カラーは従来モデル同様のセレスティアルブルーを採用しており、天板にはASUSロゴとともに、ZenBookシリーズでおなじみの同心円状のヘアライン処理が施されている。見る角度で色合いが変化し、この点も高級感を醸し出している。

本体正面
左側面。高さは最厚部で17.3mmと従来モデルから3.1mm薄くなった
背面
右側面

 天板と底面には、素材としてマグネシウムアルミニウム合金を採用。これにより、落下や衝撃など米国国防総省が定める調達基準「MIL-STD-810G」準拠の堅牢性試験をクリア。

 優れた強度を確保しつつ、高さが17.3mmと従来モデルよりも3.1mmの薄型化を実現するとともに、重量も1.6kgと50gの軽量化を実現。ASUSによるとUX482EGは、デュアルディスプレイ搭載ノートPCとして世界最薄・最軽量を実現しているとのこと。

 なお、試用機の実測の重量は1,601gだった。本格的なモバイルノートと比べるとさすがに重いと感じるが、従来モデルよりも薄型・軽量化されたことで、より軽快に持ち歩けそうだ。

 サイズは、324×222×16.9~17.3mm(幅×奥行き×高さ)。高さが低くなっただけでなく、従来モデルよりフットプリントが幅、奥行きとも1mmずつ短くなっている。わずかではあるが、筐体が小型化されている点は、重量が軽くなった点と合わせて、持ち運んで利用したいユーザーにとってうれしいはずだ。

底面。フットプリントは324×222mm(幅×奥行き)と、14型ノートPCとしてコンパクトにまとめられている
重量は、実測で1,601gと、ほぼ公称どおり。本格モバイルPCほど軽くはないが、十分軽快に持ち歩けそうだ

Screen Pad Plusが7度の角度でリフトアップするようになり利便性が向上

 ディスプレイは、従来モデル同様に、通常のメインディスプレイに加えて、キーボード後方の「Screen Pad Plus」の2画面構成となっている。

メインディスプレイは、フルHD表示対応の14型タッチ液晶を採用。上部と左右ベゼルが狭められており、画面占有率は93%に達している
メインディスプレイはsRGBカバー率100%の広色域表示に対応し、PANTONE認証も取得。非光沢パネルながら、発色は非常に鮮やかだ

 メインディスプレイは1,920×1,080ドット表示対応の14型液晶。こちらは、左右が4mm、上部が7mmの狭額ベゼル仕様となっており、ディスプレイ占有率は93%に達している。もちろんこれは、本体小型化にも貢献している。

 ディスプレイ表面は非光沢処理が施されており、外光の映り込みはほぼ気にならないレベル。また、sRGBカバー率100%の広色域表示に対応するとともに、PANTONE認証も取得。プロの映像クリエイターも納得の表示品質を備えている。

 キーボード奥に配置されているScreen Pad Plusも、1,920×515ドット表示対応の12.6型液晶と従来同様だ。ただ、輝度が最大400cd/平方mに高められており、メインディスプレイと同じ最大輝度を実現。

 こちらは表示色域などは公開されておらず、メインディスプレイと表示性能は異なるようだが、同じ明るさを実現したことで、メインディスプレイとの大きな違いは感じにくくなっている。

キーボード奥に搭載する、Screen Pad Plus。表示解像度は1,920×515ドットで、サイズは12.6型。横幅はメインの14型ディスプレイと同じで、タッチも対応
発色の鮮やかさはメインにやや劣る印象だが、最大輝度はメインと同じ400cd/平方mとなり、その差はそれほど大きくない

 こちらも表面は非光沢処理となっているが、ディスプレイの角度の影響から、天井の照明が映り込んで全体が白っぽく見えてしまう場合がある点は少々気になった。

 メインディスプレイ、Screen Pad Plusともにタッチ操作に対応。また、オプションで用意されている、4,096段階の筆圧検知対応の「ASUS Pen」も利用でき、繊細なペン入力も行なえる。

メイン、Screen Pad Plusとも4,096段階の筆圧検知対応の「ASUS Pne」を利用可能
ASUS PENの描き味は滑らかで、非常に軽快だ

 ところで、UX482EGではScreen Pad Plusで従来モデルからの大きな進化が実現されている。それは、メインディスプレイを開くとScreen Pad Plus後方がリフトアップするというものだ、これによってScreen Pad Plusはキーボード面に対して約7度の角度がつけられることになり、ディスプレイ自体が見やすくなるだけでなく、ペン入力などもやりやすくなっている。

メインディスプレイを開くと、Screen Pad Plusは後方がリフトアップし、約7度の角度がつけられることで、より扱いやすくなった
メインディスプレイは147度まで開く

 また、後方がリフトアップしても、Screen Pad Plus自体はまったくぐらつかない点には驚かされる。多少強めの力でタッチ操作やペン入力を行なったとしても、後方が押し込まれる印象は皆無で、つねに安定して利用できる点も、ひじょうに扱いやすいと感じる。

 しかも、Screen Pad Plusをリフトアップする構造が加わっているにもかかわらず、本体は薄型化されているのだから驚きだ。こういった部分から、従来モデルからの進化はかなり大きいと感じる。

Screen Pad Plusの利便性も高められている

 Screen Pad Plusは、Windowsからはセカンドディスプレイとして認識されており、メインディスプレイと合わせて上下のデュアルディスプレイ構成となっている。これは従来モデルと同様で、それぞれを個別のディスプレイとして使うのはもちろん、両画面を1つの領域としてアプリを全画面表示で利用するといったことが可能となっている。

Screen Pad Plusは、Windowsではメインの下に位置するセカンドディスプレイとして認識されている

 メインディスプレイとScreen Pad Plusそれぞれに表示するアプリやウィンドウの指定は、通常のデュアルディスプレイの場合と大きく変わることはなく、開いたアプリやウィンドウをどちらかのディスプレイに持っていけばいい。

 また、Screen Pad Plus側では、ウィンドウをドラッグすることで画面の3分の1、3分の2、全画面と表示領域を自動的にフィットさせる機能も引き続き用意している。

メインディスプレイにのみアプリを表示している様子
メインとScreen Pad Plusにまたがってアプリを表示している様子
メインとScreen Pad Plus全体に1つのアプリを全画面表示している様子

 このほか、メインディスプレイに表示しているアプリ上部を指で下にスワイプすると、Screen Pad Plus側へ転送、同様にScreen Pad Plus側で表示しているアプリの上部を下にスワイプするとメインディスプレイ側に転送する機能も用意。操作には多少慣れが必要と感じたが、慣れれば簡単にアプリ表示領域を切り替えられそうだ。

Screen Pad Plusに表示したアプリやウィンドウは、ドラッグすることで3分の1、3分の2、全画面に自動的にリサイズできる

Screen Pad Plus側には、さまざまな機能を呼び出す「ScreenXpertコントロールセンター」を用意

 これは従来も用意されていたが、UX482EGではScreenXpertコントロールセンターの表示位置を左側面、右側面、下部中央に変更したり、ScreenXpertコントロールセンター自体を最小化、表示自体を隠すといった機能が追加された。

 表示を隠せば、ScreenXpertコントロールセンターがアプリの一部を隠して使いづらくなるといったこともない。

Screen Pad Plus左に「ScreenXpertコントロールセンター」が表示されている
コントロールセンターは、Screen Pad Plusの下部や右側面に移動したり、表示を隠すことが可能となった

 ScreecXpertコントロールセンターに用意されている機能は、ScreenPad Plus側の輝度調節、それぞれのディスプレイに表示しているアプリを一覧表示し、表示ディスプレイを入れ替えられる「アプリナビゲーター」、キーボードの動作をオン/オフできる「キーボードロック」、それぞれのディスプレイに表示しているアプリをすべて入れ替える「タスクスワップ」など、従来から用意されている機能に加えて、いくつかの新機能が追加されている。

 新機能の1つが、Screen Pad Plus自体をタッチパッドとして利用する「タッチパッドモード」。シンプルな機能だが、キーボード右のタッチパッドよりも軽快な操作が可能と感じた。

新機能の「タッチパッドモード」を利用すれば、Screen Pad Plus全体をタッチパッドとして利用できる

 ランチャー機能の「すべてのアプリ」も新機能の1つ。ScreenXpertコントロールセンターのすべてのアプリボタンをタップすると、あらかじめ設定したアプリを簡単に起動できる。

ランチャー機能の「すべてのアプリ」。自由に登録したアプリをこちらから簡単に起動できる

 また、ランチャーメニュー下部には、メインとScreen Pad Plusに表示するアプリを指定して登録でき、そのボタンをタップするだけで指定したレイアウトで全アプリが同時起動する「タスクグループ」機能も用意。決まった作業で、複数のアプリを同時に利用するといった場合に、便利に活用できそうだ。

よく利用するアプリを登録し、指定したレイアウトで一発起動する「タスクグループ」
設定したタスクグループボタンをタップすれば、登録したアプリが登録したレイアウトで起動する

 このほかにも、MyASUSに用意されている、スマートフォンとの連携機能「Link to MyASUS」をScreen Pad Plusに統合。スマートフォンの画面を表示したり、PC側からの通話、ファイル転送などをより簡単に呼び出して利用できる。

 そして、クリエイターにとって見逃せない機能が、「コントロールパネル」機能だ。

 Adobe製アプリのPremiere Pro、After Effects、Photoshop、Lightroom Classicが対応しており、それらアプリを起動すれば、それぞれに対応した専用のコントロールパネルがScreen Pad Plusに表示され、アプリの操作性を高められる。

「コントロールパネル」機能では、Premiere Pro、After Effects、Photoshop、Lightroom Classicそれぞれに専用のコントロールパネルをScreen Pad Plusに表示でき、操作性を大きく高められる

 しかも、それぞれのコントロールパネルはユーザーがカスタマイズできるため、好みの利便性を実現可能。これは、Screen Pad Plusでなければできない機能で、UX482EGの大きな魅力となるはずだ。

キーボードは従来モデルとほぼ同等

キーボードは日本語配列のアイソレーションキーボードを搭載。配列などは従来モデルと同等だ

 キーボードは、キーの間隔が開いたアイソレーションタイプの日本語キーボードを採用。配列や仕様は従来モデルとほぼ同等のようだ。主要キーのキーピッチは約17mmと少々窮屈な印象だが、ほぼすべてのキーが均一なピッチとなっていることもあって、フルピッチではなくてもそこそこ軽快な入力が行なえる。

 キータッチは標準的な固さで、しっかりしたクリック感と深めのストロークと合わせて、打鍵感も良好だ。キーボードバックライトも引き続き搭載しているため、暗い場所でのタイピングも快適に行なえる。

主要キーのキーピッチは、実測で約17mmと、少々窮屈な印象
タッチは標準的な固さで、しっかりとしたクリック感、ストロークも深く、打鍵感は良好

 また、ディスプレイを開くと、ディスプレイ下部が本体後方をリフトアップする、リフトアップヒンジの採用も従来どおり。キーボード面には約4.5度の角度がつけられるため、その点もキーボードの扱いやすさにつながっている。

ディスプレイを開くと、ディスプレイ下部が本体後方を持ち上げるリフトアップヒンジ構造となっており、キーボード面には約4.5度の角度がつく

 ただし、キーボード後方にScreen Pad Plusを搭載している関係で、キーボード手前にはパームレストがない。

キー配列は標準的で、キーピッチもほぼ均一だが、手前にパームレストがなく、手前の段差を吸収するパームレストを別途用意したい

 本体前方がもっと薄く、デスクなどとの段差が少なければ、デスクをパームレスト代わりとして利用できるものの、UX482EGではキーボード前方に実測13mmほどの高さがあるため、そのままではキー入力時の違和感がかなりある。そのため、可能ならキーボード手前にパームレストを用意するなどの工夫が必要そうだ。

 ポインティングデバイスは、独立したクリックボタンを備えるタッチパッドを搭載。ただし、キーボード手前にスペースがないため、キーボード右側に搭載。また、横長ではなく縦長の形状となっている点も従来同様だ。

 タッチパッドが一般的なノートPCとは異なる場所に搭載されていることもあって、利用時にはやや違和感がある。また、縦長となっている点も、画面の形状とは異なるため、やや使いづらく感じる。

ポインティングデバイスのタッチパッドは、キーボードの右に搭載。独立したクリックボタンを用意するも、搭載位置と縦長の形状で、少々使いづらく感じる

 ただ、ディスプレイがタッチ操作に対応しているため、タッチ操作との併用であれば、思ったほど不便とは感じない。合わせて、このクラスのノートPCでは外付けマウスを利用することが多いと思われるため、その点でも大きな問題とはならないだろう。

キーボードバックライトも搭載している

スペックも正統進化し、性能が高められている

 今回試用した、UX482EG最上位モデルであるUX482EG-KA143TSのスペックを確認しよう。

 CPUは、Tiger Lakeこと第11世代CoreプロセッサのCore i7-1165G7を採用し、メモリはLPDDR4X-4266を16GB標準搭載。ZenBook Duoはプロのクリエイターもターゲットとしていることを考えると、32GBのメモリ搭載も考慮してもらいたかったところだが、16GBでもまずまず満足できる。

 また、ディスクリートGPUとしてGeForce MX450(ビデオメモリは2GB)を搭載。Core i7-1165G7には、比較的高性能なグラフィックス機能であるIris Xe Graphicsを内蔵しているが、GeForce MX450のほうが優れた描画能力を発揮するため、クリエイターにとってはGeForce MX450の搭載はありがたいはずだ。

 内蔵ストレージは、容量1TBのPCIe/NVMe SSDを採用。仕様上、このSSDはPCIe 3.0 x2接続とされており、実際の速度もPCIe 3.0x4接続のSSDよりもやや遅い。

 とは言ってもシーケンシャルアクセス速度はSATA SSDより3倍以上高速で、実際に利用する上でSSDの速度が遅いと感じることはないはずだ。

 通信機能は、IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)準拠の無線LANと、Bluetooth 5.1を標準搭載。ワイヤレスLANは非搭載。

 生体認証機能としては、Windows Hello対応の顔認証カメラをディスプレイ上部に搭載しており、指紋認証センサーは非搭載。顔認証カメラは92万画素のWebカメラとしても利用できる。

ディスプレイ上部には、Windows Hello対応の顔認証カメラを搭載。92万画素Webカメラとしても利用できる

 外部ポートは、左側面にHDMI出力、Thunderbolt 4×2を、右側面にmicroSDカードスロット、3.5mmオーディオジャック、USB 3.0をそれぞれ用意。2つあるThunderbolt 4はいずれもUSB PD対応で、付属のACアダプタを接続するか、汎用のUSB PD対応ACアダプタを接続することで、本体への給電や内蔵バッテリの充電が可能。

左側面には、HDMIとThunderbolt 4×2の各端子を配置。Thunderbolt 4はいずれもUSB PD対応
右側面には、microSDカード、3.5mmオーディオジャック、USB 3.0を配置している

 付属ACアダプタはUSB PD準拠のもので、出力は最大65W。サイズはやや大きいと感じるが、UX482EGはモバイル用途がメインではないため、このサイズのACアダプタでも大きな不満はない。もし本体とACアダプタを同時に持ち歩きたいのであれば、より小型・軽量の汎用65W対応USB PD対応ACアダプタを利用すればいいだろう。

付属のACアダプタは出力65W。サイズはやや大きい
ACアダプタの重量は、実測で215.8gだった

CPUの性能を最大限引き出す独自システムの搭載で、優れた性能を発揮

 UX482EGでは、CPUやGPUの性能を最大限引き出すべく、59枚のブレードを備えるファンを2基と10mmの大型ヒートパイプを組み合わせた、高性能な冷却システムを搭載している。

59枚のブレードを備えるファンを2基と10mmの大型ヒートパイプを組み合わせた、高性能な冷却システムを搭載。吸気口はScreen Pad Plusの下にあり、後方から熱を排出している

 また、CPUの電力設定を28Wに引き上げて持続的に動作させることで処理能力を高める「ASUS Intelligent Performance Technology」(AIPT)という機能も搭載。独自ユーティリティ「MyASUS」でAIPTの動作モードを「パフォーマンスモード」に設定することで、CPUがつねに28Wで動作するようになる。

 さらに、マザーボードにスマートセンサーを搭載することで、内部の温度をリアルタイムの検出し、CPUやGPUなどの動作を制御。こういったシステムの搭載によって、CPUやGPUの性能を最大限引き出しつつ、電力効率も高められているという。

独自ユーティリティ「MyASUS」でAIPTの動作モードを「パフォーマンスモード」に設定すると、CPUがつねに28Wで動作し、最大限の性能が引き出される

 では、実際の性能はどうなのか、ベンチマークテストで見ていきたいと思う。

 今回利用したベンチマークソフトは、UL LLCの「PCMark 10 v2.1.2508」、「3DMark Professional Edition v2.17.7137」、Maxonの「Cinebench R20.060」と「Cinebench R23.200」の4種類。

 UX482EGの動作モードは、最大限の性能が発揮されるPerformanceモードに設定している。また、比較用として、同じCPUを搭載するASUSの「ZenBook Flip S UX371EA-HL003TS」の結果も掲載する。

【表】ベンチマーク結果
ZenBook Duo 14
UX482EG-KA143TS
ZenBook Flip S
UX371EA-HL003TS
CPUCore i7-1165G7
(ターボブースト時最大4.7GHz)
Core i7-1165G7
(ターボブースト時最大4.7GHz)
ビデオチップIntel Iris Xe Graphics
GeForce MX450(2GB)
Intel Iris Xe Graphics
メモリLPDDR4x-4266 SDRAM 16GBLPDDR4X-4266 SDRAM 16GB
ストレージ1TB SSD(NVMe/PCIe)1TB SSD(NVMe/PCIe)
OSWindows 10 Home 64bitWindows 10 Home 64bit
PCMark 10v2.1.2508v2.1.2506
PCMark 10 Score5,4984,788
Essentials9,0309,888
App Start-up Score11,46613,073
Video Conferencing Score6,9558,304
Web Browsing Score9,2538,906
Productivity8,9956,618
Spreadsheets Score10,8596,054
Writing Score7,4527,235
Digital Content Creation5,5534,553
Photo Editing Score7,7037,491
Rendering and Visualization Score4,6122,547
Video Editting Score4,8124,948
CINEBENCH R20.060
CPU2,3341,763
CPU (Single Core)501496
CINEBENCH R23.200
CPU5,9003,576
CPU (Single Core)1,5151,058
3DMark Professional Editionv2.17.7137v2.15.7088
Night Raid20,40013,961
Graphics Score26,61018,083
CPU Score8,7846,092
Wild Life13,449-
Time Spy2,1971,542
Graphics Score1,9931,404
CPU Score5,2363,483

 結果を見ると、一部でZenBook Flip Sにスコアが負けている部分も見られるが、多くはZenBook Flip Sをかなり大きく凌駕しており、UX482EGでCPUやGPUの性能が最大限引き出されていることがわかる。

 たとえば、Cinebenchの結果は、R20、R23ともにZenBook Flip Sをかなり大きく引き離している。ZenBook Flip Sでは、CPUクーラーの冷却性能にやや難があり、CPUの性能がフルに引き出されてない可能性もあるため、そこは多少割り引いて見る必要があるが、それでもUX482EGではAIPTのパフォーマンスモードを利用することで、CPUの性能がほぼフルに発揮できると言って良さそうだ。

 3DMarkの結果も、ZenBook Flip Sを圧倒。こちらはUX482EGでGeForce MX450を搭載していることが大きく影響していると考えられる。もちろん、上位ディスクリートGPUには敵わないものの、CPU内蔵グラフィックス機能より確実に描画能力は優れるため、画像処理や動画編集なども快適に行なえるはずだ。

 ところで、ベンチマークテスト実行中のCPUクーラーの動作音は、シャーという風切り音がはっきりと耳に届くため、やや大きいと感じる。ただ、ゲーミングPCのような爆音とまではいかないため、うるさすぎるということはない。

 負荷がかかっていない場面では、CPUクーラーの動作音はほとんど聞こえず、無音に近い静かさとなる。なお、AIPTの動作モードには、CPUの電力設定を下げるかわりに、ファンの動作音を最小限にする「ウィスパーモード」も用意。図書館などの静かな場所で利用する場合には、多少性能は犠牲になるが、ウィスパーモードに設定することで、安心して利用できるだろう。

 続いてバッテリ駆動時間だ。UX482EGはモバイル向けとして位置づけられているわけではないが、比較的持ち運びやすいサイズと重量ということもあり、念のため計測してみた。

 UX482EGの公称のバッテリ駆動時間は約10.8時間(JEITAバッテリ動作時間測定法 Ver2.0での数字)とされている。それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、AIPTの動作モードを「バランスモード」、電源モードを「より良いバッテリー」、メインディスプレイ、Screen Pad Plusともバックライト輝度を50%に設定し、無線LANを有効にした状態で、PCMark 10のBatteryテスト「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」を利用して計測したところ、10時間03分を記録した。

 もちろん、通常利用ではもう少し駆動時間は短くなると思うが、それでも5時間以上は余裕で利用できると思われるため、外出時でも電源やバッテリ残量をそれほど気にせず利用できそうだ。

デュアルディスプレイに魅力を感じる人におすすめ

 もともとZenBook Duoシリーズは、上位のZenBook Pro Duoシリーズと合わせて、デュアルディスプレイ搭載という、通常のノートPCとは異なる仕様を実現していることで、かなりキワモノ的な製品と見られることが多いように思う。

 しかし、実際に使ってみると、複数のアプリを利用する場面などでかなり便利に活用でき、実用性に優れる仕様であると実感できる。

 また、Tiger Lake採用に加えて、AIPTでCPUやGPUの性能を最大限引き出す仕様によって、性能面でも大きく進化し、高負荷なアプリを利用する場合でもより快適に作業できるようになった。

 このほかにも、従来よりも薄型・軽量筐体となったことで、より気軽に持ち運べるようになった点も、魅力を高めている部分だ。

 クリエイター向けノートPCとしては、より上位のCPUやGPUを登載する製品もある。それでも、UX482EGは性能と筐体サイズ、重量など、トータルバランスは非常に優れており、十分な魅力を備える製品に仕上がっている。

 価格も23万9,800円と、このクラスとしては十分に安価と言える。そのため、必要十分な性能を備え、比較的軽快に持ち歩ける、コストパフォーマンスに優れるクリエイター向けノートPCを探しているなら、間違いなく真っ先に検討すべき製品と言っていいだろう。