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2画面ノート「ZenBook Pro Duo」は普通のノートがもの足りなくなる新感覚の快適さ
2019年8月20日 15:00
ASUSは8月30日、15.6型のメインディスプレイと14.09型のサブディスプレイを搭載したフラグシップノートPC「ZenBook Pro Duo」の国内販売を発表した。今回ASUSより上位モデルの「UX581GV-9980」を借用したので、実機レビューをお届けしよう。
なお、執筆時点では販売価格が不明だったため、コスト面についての評価はできていないことをご承知いただきたい(※編注 今回レビューしている最上位モデルの税別店頭予想価格は466,500円前後、下位は361,500円前後なった)。
CPUとストレージ容量、OSの種類が異なる2モデルを用意
ZenBook Pro Duoは日本国内向けに、Core i9-9980HK/メモリ32GB/SSD 1TB/Windows 10 Proを搭載する「UX581GV-9980」、Core i7-9750H/メモリ32GB/SSD 512GB/Windows 10 Homeを搭載する「UX581GV-9980」の2モデルが用意されている。
両モデルとも、メインディスプレイに15.6型4K有機EL、「ScreenPad Plus」と名づけられたセカンドディスプレイに14.09型UHD液晶を採用し、外部GPUに「GeForce RTX 2060(GDDR6 6GB)」を搭載している。つまりスペックが異なるのはCPUとストレージ容量、OSの種類のみというわけだ。グローバルモデルはメモリが8GB/16GB/32GB、ストレージが256GB/512GB/1TBと細かく用意されているが、日本市場に向けてはハイスペック仕様に絞って投入したことになる。
製品名 | UX581GV-9980 | UX581GV-9750 |
---|---|---|
OS | Windows 10 Pro | Windows 10 Home |
CPU | Core i9-9980HK(2.4〜5GHz、8コア16スレッド) | Core i7-9750H(2.4〜4.5GHz、6コア12スレッド) |
GPU | Intel UHD Graphics 630(350MHz~1.25GHz) | Intel UHD Graphics 630(350MHz~1.15GHz) |
メモリ | DDR4-2666 SDRAM 32GB | |
ストレージ | 1TB SSD(PCIe 3.0 x4接続) | 512GB SSD(PCIe 3.0 x2接続) |
メインディスプレイ | 15.6型4K有機EL(3,840×2,160ドット、282ppi、輝度非公表、DCI-P3カバー率100%、光沢、タッチ対応、スタイラス対応) | |
サブディスプレイ | 14.09型UHD液晶(3,840×1,100ドット、283ppi、輝度350cd/平方m、sRGBカバー率100%、非光沢、タッチ対応、スタイラス対応) | |
通信 | IEEE 802.11ax、Bluetooth 5.0 | |
WWAN | - | |
インターフェイス | Thunderblot 3(最大40Gbps、DisplayPort v1.2)×1、USB 3.1×2、HDMI、ヘッドセット端子 | |
カメラ | 92万画素 | |
バッテリ容量 | 71Wh | |
バッテリ駆動時間 | 約5.3時間 | 約5.5時間 |
本体サイズ(幅×奥行き×高さ) | 359×246×24mm | |
重量 | 約2.5kg | |
セキュリティ | 顔認証センサー | |
同梱品 | スタイラスペン、パームレスト | |
カラー | セレスティアルブルー |
本体重量は約2.5kg、最大3画面の4Kマルチディスプレイ環境を構築可能
ZenBook Pro Duoの本体サイズは359×246×24mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約2.5kg。筐体の天板と底面はアルミニウム合金製で、本体カラーは「セレスティアルブルー(Celestial Blue)」を採用。天板にはASUSロゴを中心にした真円のヘアライン加工が、エッジ部分には鏡面仕上げのダイヤモンドカット加工が施されている。また底面には広範囲にラバークッションが貼られており、テーブルに安定して設置可能だ。
インターフェイスは、Thunderblot 3(DisplayPort Alternative Mode対応)×1、USB 3.1×2、HDMI、ヘッドセット端子を用意。Thunderbolt 3とHDMI端子に4Kディスプレイをつなげば、本体と合わせて最大3画面の4Kマルチディスプレイ環境を構築可能だ。だが、製品名に「Pro」を冠してクリエイティブ用途も見据えたZenBook Pro Duoには、SDメモリカードスロットと有線LAN端子も搭載してほしかったところだ。
ワイヤレス通信機能はIEEE 802.11a/b/g/n/a/ac/ax、Bluetooth 5.0に対応している。現状IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)対応の無線LANルーターや端末はかぎられているが、長期間利用することを考慮すれば最新Wi-Fi規格をサポートしている点は大きな優位点だ。
同梱品はACアダプタ(230W)、電源ケーブル、スタイラスペン「ASUS Pen」、パームレスト、説明書。このなかでZenBook Pro Duoならではのアクセサリがパームレストだ。キーボード面にScreenPad Plusが搭載されておりキーボードが手前ギリギリまで配置されているため、別にパームレストが標準で同梱されている。パームレストには磁石が内蔵されているが、あくまでも位置決め用として設計されており、装着したままで持ち運べない。基本的にはデスクに常備しておくアクセサリだ。
ACアダプタのサイズは165.1×76.1×31.5mm(同)、重量は約658.5g。230Wと大容量なだけに、毎日携帯するのは少々辛いサイズと重量だ。また本製品のThunderbolt 3端子はUSB Power Delivery非対応だ。ZenBook Pro Duoを自宅と仕事場の両方で使うのなら、ACアダプタはそれぞれ用意したほうが無難だ。
2画面搭載ノートPCというコンセプトを実用的なかたちで実現
さて、サブディスプレイ「ScreenPad Plus」を搭載したZenBook Pro Duoの使い勝手だが、非常に実用的というのが誇張なしの感想だ。
従来モデル「ZenBook Pro 14/15」に搭載されていたScreenPadは、ホームポジションに手を置いたさいに画面が隠れてしまったため、ランチャー、ユーティリティ、拡張ディスプレイとしては個人的には使いにくく感じていた。
しかし、ZenBook Pro DuoのScreenPad Plusはキーボード奥にあるので手で隠れてしまうことはない。また、メインディスプレイのすぐ下に配置されているから、視線の動きが最小限だ。画面サイズも拡張ディスプレイとして十分な広さが確保されている。
実際、今回の原稿を書くさいにZenBook Pro Duoを使ってみたが、メインディスプレイに2画面、ScreenPad Plusに2画面を配置したPC作業はじつに快適だった。一度この環境に慣れてしまったら、一般的なノートPCが狭苦しく感じられるほどだ。
複数のウィンドウを分割配置するさいのユーザーインターフェイスもカスタマイズされており、ScreenPad Plusではウィンドウを画面上に移動すると全画面、左右端に移動すると2分の1、画面左/中央/右の上寄りに移動すると3分の1サイズで分割表示される。各ウィンドウの配置はScreenPad Plus左端の「Quick Launcher」から「コントロールセンター」を開き、そのなかの「タスクグループ」に登録しておけば、いつでも元通りに再表示可能だ。
このほかにもメインディスプレイとScreenPad Plusに表示されているウィンドウを入れ替える「タスクスワップ」機能を用意。またウィンドウをつかむと、ウィンドウをそれぞれの画面に移動させたり、両方の画面にまたがって全画面表示させたり、ランチャーにピン留めするためのアイコンが表示される。これら独自ユーザーインターフェイスを活用すれば、2つのディスプレイにウィンドウを自由自在に配置できるはずだ。
ScreenPad Plusを活用するための独自アプリとして、ショートカットキーをワンタップで入力する「Quick Key」、手書き入力ソフト「Handwriting」、電卓「Number Key」などが用意されている。しかし、通常のWindowsソフトウェアが動作するScreenPad Plusでこれらアプリをあえて使う理由はないように思う。使い慣れたアプリをランチャーに登録して利用することをオススメする。
テンキー代わりにもなるタッチパッド
日本語キーボードはキーとキーの間にすき間のあるアイソレーションタイプで、キーピッチ19.05mm、キーストローク1.4mmが確保されている。英語キーボードモデルは用意されていない。本体サイズから考えるとややキーストロークが浅く感じられるが、打鍵感は良好だ。ただキーを底打ちすると、静音タイプと比べるとやや打鍵音が大きく聞こえる。
少々慣れが必要なのがタッチパッド。ダイビングボード構造のタッチパッドとしてはしっかりとしたクリック感が与えられているが、配置が特殊だ。またこのタッチパッドには、テンキーとしても使用可能な「NumberPad 2.0」が採用されており、右上のアイコンをタップするとテンキーのオン/オフを切り替えられる。
テンキーモードでもマウスカーソル操作は可能だが、数字などを入力するさいにはタップ、クリックするさいにはタッチパッドが物理的に沈むまでプッシュとやや変則的だ。テンキーモードでタッチパッドの表示を見ないで入力するのは至難の業なので、数字を大量に入力するさいには素直に外付けのテンキーキーボードを用意しよう。
ほかの入力デバイスとしてはスタイラスペン「ASUS Pen」が同梱されている。ASUS Penは筆圧感知1,024段階で、傾き検知には非対応だ。メインディスプレイとScreenPad Plusで利用可能なのでメモ書きや簡単なイラストを描くのには重宝するが、繊細なタッチでイラストを描きたいのであれば別途ペンタブレットや液晶タブレットを用意するべきだ。
有機ELディスプレイはスペックどおりの高画質
前述のとおり、ZenBook Pro Duoは15.6型4K有機EL(3,840×2,160ドット、282ppi、輝度非公表、DCI-P3カバー率100%、光沢、タッチ対応、スタイラス対応)と、14.09型UHD液晶(3,840×1,100ドット、283ppi、輝度350cd/平方m、sRGBカバー率100%、非光沢、タッチ対応、スタイラス対応)の2つのディスプレイを搭載している。
実際の色域をディスプレイキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で確認してみたところ、4K有機ELはDCI-P3カバー率100.0%とスペックどおりの色域を確認できた。UHD液晶はsRGBカバー率96.9%とややスペックに満たなかったが、表面処理が非光沢(ノングレア)なのが不利に働いた可能性がある。
今回の記事に掲載した写真を見て、メインディスプレイとScreenPad Plusで輝度と発色がかなり異なるのが心配な方がいるかもしれない。しかし実際に使ってみるとそれほど気にならなかった。同じ画像を表示していればその差は歴然としているが、一般的な用途では異なるアプリで異なる画面を表示しているはずだ。
できるだけ見え方をそろえたいのなら、ディスプレイキャリブレーション機器などで色域を合わせた上で、メインディスプレイの輝度を暗くすればいい。それでもコントラスト比は、メインディスプレイが100,000:1、ScreenPad Plusが1,200:1と大きく異なるのでまったく同じ見え方にはならないが、ある程度は近づけられる。
サウンドについては、オーディオブランド「Harman/Kardon」と共同開発しているだけに、音質自体は好ましかったが、音量が物足りなかった。YouTubeで公開されている「前前前世(movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生したさいの音圧レベルは最大77.7dB(50cmの距離で測定)にとどまっている。メインディスプレイの画質が高いだけに、それに釣り合うだけのサウンド性能を実現してほしかったと思う。
4KゲーミングPCに迫る性能を実現
最後に性能をチェックしてみよう。今回は下記のベンチマークを実施している。
- 総合ベンチマーク「PCMark 10 v2.0.2115」
- 3Dグラフィックベンチマーク「3DMark v2.9.6631」
- CPU/OpenGLベンチマーク「CINEBENCH R15.0」
- CPUベンチマーク「CINEBENCH R20.060」
- 3Dゲームベンチマーク「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」
- ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 6.0.2」
- 「Adobe Lightroom Classic CC」で100枚のRAW画像を現像
- 「Adobe Premiere Pro CC」で実時間5分の4K動画を書き出し
- バッテリベンチマーク「PCMark 10 Modern Office Battery Life」
- バッテリベンチマーク「BBench」
ZenBook Pro Duoでベンチマークを実施するにあたっては、「電源モード」を「最も高いパフォーマンス」、ユーティリティ「MyASUS」の「ファンモード」を「Turbo」に設定している。
比較対象機種としては、「Core i9-8950HK」を搭載する「ZenBook Pro 15 UX580GE-8950」(以下UX580GE)、「Core i7-8750H」を搭載する「ZenBook Pro 15 UX580GD-8750」(以下UX580GD)を使用した。下記が検証機の仕様とベンチマークの結果だ。
ZenBook Pro Duo(UX581GV-9980) | ZenBook Pro 15(UX580GE-8950) | ZenBook Pro 15(UX580GD-8750) | |
---|---|---|---|
CPU | Core i9-9980HK(2.4〜5GHz、8コア16スレッド) | Core i9-8950HK(2.9~4.8GHz、6コア12スレッド) | Core i7-8750H(2.2~4.1GHz、6コア12スレッド) |
GPU | Intel UHD Graphics 630(350MHz~1.25GHz)、GeForce RTX 2060 | Intel UHD Graphics 630(350MHz~1.2GHz)、GeForce GTX1050 Ti(4GB) | Intel UHD Graphics 630(350MHz~1.1GHz)、GeForce GTX1050(4GB) |
メモリ | DDR4-2666 SDRAM 32GB | DDR4-2400 SDRAM 16GB | |
ストレ-ジ | 1TB PCIe NVMe SSD | 1TB PCIe NVMe SSD | 512GB PCIe NVMe SSD |
ディスプレイ | 15.6型、3,840×2,160ドット(282ppi) 14.09型、3,840×1,100ドット(283ppi) | 15.6型、3,840×2,160ドット(282ppi) | |
TDP | 45W | ||
OS | Windows 10 Pro | ||
サイズ | 359×246×24mm | 365×242×18.9mm | 365×242×18.9mm |
重量(幅×奥行き×高さ) | 約2.5kg | 約2.01kg | 約1.86kg |
ZenBook Pro Duo(UX581GV-9980) | ZenBook Pro 15(UX580GE-8950) | ZenBook Pro 15(UX580GD-8 | |
---|---|---|---|
PCMark 10 v2.0.2115 | |||
PCMark 10 Score | 5,519 | 4,803 | 4,549 |
Essentials | 9,027 | 8,186 | 8,211 |
App Start-up Score | 12,341 | 9,955 | 11,946 |
Video Conferencing Score | 7,984 | 7,870 | 6,820 |
Web Browsing Score | 7,467 | 7,002 | 6,795 |
Productivity | 7,585 | 6,695 | 6,147 |
Spreadsheets Score | 9,607 | 8,346 | 7,684 |
Writing Score | 5,990 | 5,371 | 4,918 |
Digital Content Creation | 6,663 | 5,486 | 5,061 |
Photo Editing Score | 10,000 | 6,202 | 4,766 |
Rendering and Visualization Score | 7,991 | 5,968 | 5,566 |
Video Editting Score | 3,702 | 4,463 | 4,889 |
PCMark 10 Modern Office Battery Life | 4時間46分 | - | |
3DMark v2.9.6631 | |||
Time Spy | 5,654 | 2,344 | 1,826 |
Fire Strike Ultra | 3,421 | 1,764 | 1,197 |
Fire Strike Extreme | 6,753 | 3,402 | 2,627 |
Fire Strike | 13,235 | 6,537 | 5,449 |
Night Raid | 23,989 | - | |
Sky Diver | 27,930 | 18,587 | 17,386 |
Cloud Gate | 29,458 | 21,215 | 20,188 |
Ice Storm Extreme | 55,428 | 50,798 | 50,233 |
Ice Storm | 40,062 | 35,824 | 35,418 |
CINEBENCH R15.0 | |||
OpenGL | 122.22 fps | 126.31 fps | 111.55 fps |
CPU | 1,440 cb | 1,197 cb | 1,146 cb |
CPU(Single Core) | 199 cb | 195 cb | 173 cb |
CINEBENCH R20.060 | |||
CPU | 3,148 pts | - | |
CPU(Single Core) | 474 pts | - | |
FINAL FANTASY XV BENCHMARK | |||
1,280×720ドット、標準品質、フルスクリ-ン | 11,591(とても快適) | - | |
1,920×1,080ドット、標準品質、フルスクリ-ン | 7,946(快適) | - | |
3,840×2,160ドット、標準品質、フルスクリ-ン | 2,875(やや重い) | - | |
SSDをCrystalDiskMark 6.0.2で計測 | |||
Q32T1 シ-ケンシャルリ-ド | 2,976.901 MB/s | 2,913.947 MB/s | 2,442.160 MB/s |
Q32T1 シ-ケンシャルライト | 2,380.006 MB/s | 1,761.945 MB/s | 1,407.910 MB/s |
4K Q8T8 ランダムリ-ド | 1,294.471 MB/s | 1,366.252 MB/s | 1,100.982 MB/s |
4K Q8T8 ランダムライト | 432.197 MB/s | 1,393.730 MB/s | 722.767 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリ-ド | 366.594 MB/s | 341.668 MB/s | 315.398 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 507.290 MB/s | 283.137 MB/s | 261.793 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリ-ド | 42.293 MB/s | 39.900 MB/s | 36.251 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 103.758 MB/s | 91.700 MB/s | 84.536 MB/s |
Adobe Lightroom Classic CCで100枚のRAW画像を現像 | |||
7,952☓5,304ドット、カラ- - 自然 | 4分45秒52 | - | |
Adobe Premiere Pro CCで実時間5分の4K動画を書き出し | |||
3,840×2,160ドット、30fps | 3分57秒92 | - | |
BBenchにより連続動作時間を計測(ディスプレイの明るさ40%、電源モ-ド:高パフォ-マンス) | |||
バッテリ残量5%まで | 3時間55分50秒 | 4時間35分34秒 | 4時間40分38秒 |
BBenchにより充電時間を計測(ディスプレイの明るさ40%、電源モ-ド:最も高いパフォ-マンス) | |||
バッテリ残量5%から50%まで | 32分49秒 | - | |
バッテリ残量5%から80%まで | 57分58秒 | - | |
バッテリ残量5%から100%まで | 1時間54分15秒 | - |
まずCPU性能から見ていこう。CINEBENCH R15.0のCPUで比較すると、Core i9-9980HKを搭載するZenBook Pro Duoは、Core i9-8950HKを搭載するUX580GEの約120%に相当する「1440 cb」を記録している。Core i9-9980HKは2.40〜5.00GHz、8コア16スレッド、Core i9-8950HKは2.90~4.80GHz、6コア12スレッドというスペックだ。コア数スレッド数の違いほど差は開かなかったが、格上の性能を発揮した。
大差がついたのは3DMark。「Time Spy」でZenBook Pro DuoはUX580GEの約241%に相当する「5654」というスコアを叩き出している。外部グラフィックスに「NVIDIA GeForce RTX 2060」を搭載したことにより、4KゲーミングPCに迫る性能を実現している。
実際、FINAL FANTASY XV BENCHMARKで1,920×1,080ドット、標準品質の設定で「7,946(快適)」という好スコアを記録している。Adobe Premiere Pro CCで5分の4K動画を書き出す所要時間も、実時間を約1分下回る「3分57秒92」だ。多くの3Dゲーム、クリエイティブ系アプリを快適に動作させられる性能を備えていると言える。
ZenBook Pro Duoの弱点はバッテリ駆動時間。ディスプレイ輝度0%で実施したPCMark 10 Modern Office Battery Lifeでは4時間46分、ディスプレイ輝度40%でバッテリ残量5%までという条件で実施したBBenchでは3時間55分50秒という駆動時間にとどまった。ZenBook Pro Duoは71Whのバッテリを内蔵している。個人的にはもっと重くなってもよいので、90Wh超えのバッテリを搭載し、せめて5時間以上のバッテリ駆動時間を確保してほしいと思う。
8コア16スレッドのCore i9-9980HKを搭載しているだけに発熱は相当高いだろうと予想していたが、室温28.3℃の部屋でCINEBENCH R20.060を3回実行したあとの表面温度は、キーボード面が最大40.1℃、底面が最大40.9度に収まった。
ZenBook Pro Duoは、71枚の羽根を持つ12Vのファンを2基搭載し、エルゴリフトヒンジを採用することで底面のエアフローを向上し、5本のヒートパイプと熱伝導率をUX580GEより6%向上させた冷却プレートにより、高い冷却性能を実現しているという。
もちろん外部グラフィックスがフル稼働するような処理では今回より表面温度が向上するだろう。しかし、おもにCPUに依存する処理であれば表面温度が不快なほど高くなることはなさそうだ。
斬新すぎる2画面搭載高性能ノートPCにライバルなし!
ZenBook Pro Duoは、2画面搭載ノートPCという斬新なコンセプトを、実用的なスタイルで完成させたモデルだ。ソフトウェアは2画面に特化して作り込まれており、マルチウィンドウでの操作性はじつに快適。性能は4KゲーミングPCには少々およばないが、フルHD解像度なら多くの3Dゲームを快適にプレイできるほどだ。
かぎられた設置スペースでも、2画面ディスプレイの広々としたデスクトップで作業したいという方には、本製品以外に現時点で選択肢はない。バッテリ駆動時間はモバイル用途に心許ないが、ZenBook Pro Duoを使えるなら少々重たいACアダプタも喜んで携帯するし、外出先ではなにがなんでも電源を確保する!……と思わせるほどの唯一無二の魅力的なモデルだ。