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これぞ理想の小型PC! 縦横10cmちょっとでかなり速い第11世代Core版Intel NUC
2021年2月24日 09:55
開発コード名「Panther Canyon」こと「Intel NUC 11 Performance Kit」は、第11世代Coreプロセッサ「Tiger Lake」を搭載する新世代のIntel NUCだ。今回、同シリーズのCore i7-1165G7搭載モデル「NUC11PAQi7」を試す機会が得られたので、新世代NUCの機能や性能をチェックしてみた。
Tiger Lakeの採用でPCIe 4.0に対応した「NUC11PAQi7」
NUC11PAQi7は、CPUにTiger Lakeベースの4コア8スレッドCPU「Core i7-1165G7」を搭載したベアボーンPC。GPUにはCPU内蔵の「Iris Xe Graphics」を採用しており、メモリとSSDを追加することでPCとして機能するベアボーンキット。筐体サイズは117×112×56mm(幅×奥行き×高さ)。
NUC11PAQi7の外装
前面パネルには、USB 3.1、Thunderbolt 3、ヘッドセット端子、電源スイッチを備えており、背面パネルにはHDMI 2.0a、Mini DisplayPort 1.4、Thunderbolt 3、 USB 3.1(2基)、電源入力端子を備える。また、左側面にはSDXCカードスロット(UHS-II対応)、右側面にはセキュリティスロットを備えている。
充電マークがあしらわれた天板には、最大15W出力のワイヤレス充電器が内蔵されており、Qi対応端末を設置することで充電を行なうことができる。充電器が内蔵されている天板中央部分はゴムパッドは貼られており、充電中の端末の滑り止めとして機能する。
NUC11PAQi7への電源供給は、付属の120W出力(19V/6.32A)対応ACアダプタで行なう。ACアダプタのサイズは140×74×20mm(同)の薄型仕様だが、NUC本体と並べると大きく見える。
NUC11PAQi7のケース内部
NUC11PAQi7のケース内部には、底面パネルを取り外すことでアクセスできる。底面パネルと本体の間は、SATAデバイス接続用のフレキシブル基板で接続されている。それなりの長さが確保されているので作業性は悪くないが、開閉時に断線させないよう注意したい。
本体側には、DDR4-3200のデュアルチャネル動作に対応するSO-DIMMスロット2本と、PCIe 4.0 x4接続に対応したM.2スロットが実装されている。一方、底面パネルには、7mm厚の2.5インチドライブを固定できるスロットと、M.2 SSD冷却用のヒートシンクがを搭載している。
前述のとおり、M.2スロットはPCIe 3.0 x4接続の2倍速となる約8GB/sを実現するPCIe 4.0 x4接続に対応しており、M.2 2280サイズのSSDを搭載できる。実際に、PCIe 4.0 x4接続のSamsung SSD 980 PROの512GBモデルを搭載してベンチマークを実行したところ、リード約6.5GB/s。ライト約4.8GB/sというPCIe 4.0 x4接続ならではの速度を記録した。
Tiger Lake搭載NUCの性能をベンチマークテストでチェック
NUC11PAQi7が実現する性能を確認するため、いくつかのベンチマークテストを実行してみた。テストにさいして、NUC11PAQi7には、DDR4-3200動作の16GBメモリ2枚と、PCIe 4.0対応SSD「Samsung SSD 980 PRO(512GB)」を搭載した。そのほかの条件などについては以下の表のとおり。
Intel NUC11PAQi7 | |
---|---|
CPU | Core i7-1165G7 |
iGPU | Iris Xe Graphics(CPU内蔵) |
メモリ | DDR4-3200 32GB(16GB×2) |
ストレージ | Samsung 980 PRO 512GB(PCIe 4.0 x4) |
グラフィックスドライバ | 27.20.100.8729 DCH |
OS | Windows 10 Home(Ver 2004 / build 19041.804) |
電源プラン | バランス |
室温 | 約24℃ |
ベンチマーク結果をみると、Core i7-1165G7の性能は4コア8スレッドCPUとしてはかなり優秀なもので、Cinebench R23では、デスクトップ向けの4コア8スレッドCPUに引けを取らないスコアを記録している。
GPUベンチマークの結果についても、CPU内蔵GPUとしてはかなり優秀な性能を発揮している。フルHDの最高品質設定で実行した「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」で、「やや快適」の評価を獲得できるスコア「3,454」を記録していることからもわかるように、GPU性能的には軽量なゲームをプレイできるレベルにある。
モニタリングデータから動作温度や消費電力をチェック
モニタリングソフト「HWiNFO」で取得した、Cinebench R23でCPU(Multi Core)実行中のモニタリングデータをまとめたものが以下のグラフだ。
Core i7-1165G7は、テスト開始から3分弱の間は55W弱の電力を消費しながら約4.1GHzで動作しており、それ以降は40W前後の電力を消費して3.7~3.8GHz程度で動作している。
ピークCPU温度は97℃に達しているが、ブースト動作が緩められたテスト中盤以降は80℃前後で推移している。CPUクーラーのファンスピードは最大で4,400rpmに達しており、アイドル動作時の約2,100rpmが静かな分、最大負荷時の動作音はそれなりに大きく感じられた。
ワットチェッカー「RS-BTWATTCH2」を使って測定した、NUC11PAQi7のアイドル時消費電力と、ベンチマーク実行中のピーク消費電力をまとめたものが以下のグラフだ。
モバイル向けCPUを使用しているだけあって、アイドル時消費電力は6.2Wと低い数値を記録した。一方、もっとも消費電力が高かったのはCinebench R23のCPU(Multi Core)実行中で80.4Wだった。
Tiger Lakeの搭載でよりパワフルになった新世代NUC
NUC11PAQi7は、NUCならではのコンパクトな筐体サイズと省電力性はそのままに、搭載CPUであるCore i7-1165G7の優れた性能を利用できるパワフルなミニPCだ。いざというときに高いCPU性能を引き出せるだけでなく、シングルスレッド性能にも優れたCPUとPCIe 4.0 SSDの組み合わせにより、操作に対するレスポンスに優れた軽快な動作を実現している。
Tiger Lakeの採用でよりパワフルになったNUC 11 Performance Kitは、多くのユーザーに「これで十分」な性能を、より小さく、より省電力で提供するベアーボーンPCだ。国内で発売されれば、省スペースなPCの新調や、古くなったデスクトップPCの買い替えを考えているユーザーにとって、有力な選択肢となるだろう。