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VRAM 12GBを搭載したミドルレンジGPU「GeForce RTX 3060」をテスト

 2月26日、NVIDIAのGeForce RTX 30シリーズの新たなミドルレンジGPU「GeForce RTX 3060」が発売される。この発売に先立って、同GPUを搭載したビデオカード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC」を試す機会が得られた。

 今回は、GeForce RTX 3060搭載ビデオカードのベンチマークスコアと、上位モデルのGeForce RTX 3060 Tiのスコア比較を通して、新たなミドルレンジGPUの実力を確認する。

12GBもの大容量VRAMを搭載するミドルレンジGPU

 GeForce RTX 3060は、Ampereアーキテクチャに基づいて8nmプロセスで製造されたGPUコア「GA106」を採用するミドルレンジGPU。GeForce RTX 3060のGA106コアでは、28基のStreaming Multiprocessor(SMs)が有効化されており、3,584基のCUDAコアや、28基の第2世代RTコア、112基のTensorコアなどが利用できる。

 VRAMには、15Gbps動作のGDDR6メモリを12GB搭載。GPUコアとVRAM間は192bitのメモリインターフェイスで接続されており、360GB/sのメモリ帯域幅を実現している。バスインターフェイスはPCI Express 4.0 x16で、TGP(Total Graphics Power)は160W。搭載ビデオカードの国内販売価格は49,980円から。

 12GBというVRAM容量は、ハイエンドGPUであるGeForce RTX 3080の10GBを上回り、GeForce RTX 30シリーズ最上位のGeForce RTX 3090(24GB)に次ぐ大容量である。製品の位置付けとしては、フルHD解像度(1,920×1,080ドット)かつ60fpsで現代のゲームをプレイできるミドルレンジGPUで、NVIDIAはGeForce GTX 1060ユーザーにとって究極のアップグレードとなるとしている。

【表1】GeForce RTX 3060のおもな仕様
GPUGeForce RTX 3060GeForce RTX 3060 Ti
アーキテクチャAmpere (GA106)Ampere (GA104)
製造プロセス8nm8nm
SMs28基38基
CUDAコア3,584基4,864基
RTコア28基 (第2世代)38基 (第2世代)
Tensorコア112基 (第3世代)152基 (第3世代)
テクスチャユニット112基152基
ROPユニット48基80基
ブーストクロック1,777MHz1,665MHz
メモリ容量12GB (GDDR6)8GB (GDDR6)
メモリスピード15.0Gbps14.0Gbps
メモリインターフェイス192bit256bit
メモリ帯域幅360GB/s448GB/s
PCI ExpressPCIe 4.0 x16PCIe 4.0 x16
消費電力 (TGP)170W200W

GeForce RTX 3060搭載ビデオカード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC」

 今回のテストに用いるGeForce RTX 3060搭載ビデオカードは、ZOTACの「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC」。パワーリミットを標準TGPと同じ170Wに据え置きつつ、ブーストクロックを1,807MHzに引き上げた、ライトなオーバークロックモデルで、冷却ユニットにはデュアルファンGPUクーラー「IceStorm 2.0」を搭載している。

 2スロット仕様となっているカードのサイズは224.1×116.3×39.2mmで、補助電源コネクタはPCI-E 8ピン。画面出力端子には、HDMI 2.1、DisplayPort 1.4a(3基)を備える。基板裏面にバックプレートを搭載するなど、ミドルレンジGPUとして程よい装備とサイズで設計されたビデオカードだ。

GeForce RTX 3060搭載ビデオカード「ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC」
カード裏面。バックプレートを装備している
カードの占有スロット数は2スロット
補助電源コネクタはPCI-E 8ピン×1系統
画面出力端子には、DisplayPort 1.4a(3基)と、HDMI 2.1を備える
ZOTAC GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OCのGPU-Z実行画面

テスト機材

 GeForce RTX 3060の比較対象には、1つ上位のミドルレンジGPU「GeForce RTX 3060 Ti」の純正モデルFounders Editionを用意した。各ビデオカードのテスト時動作仕様は以下の表のとおり。

【表2】各ビデオカードの動作仕様
GPUGeForce RTX 3060GeForce RTX 3060 Ti
ビデオカードベンダーZOTACNVIDIA
製品型番ZT-A30600H-10MFounders Edition
ベースクロック1,320MHz1,410MHz
ブーストクロック1,807MHz1,665MHz
メモリ容量12GB (GDDR6)8GB (GDDR6)
メモリスピード15.0Gbps14.0Gbps
メモリインターフェイス192bit256bit
メモリ帯域幅360GB/s448GB/s
パワーリミット170W200W
GeForce RTX 3060 Ti Founders Edition
GeForce RTX 3060 Ti Founders EditionのGPU-Z実行画面

 各ビデオカードを搭載するベース機材には、16コア32スレッドCPU「Ryzen 9 5950X」を搭載したAMD X570環境を用意。グラフィックスドライバについては、GeForce RTX 3060にはレビュアー向けの「461.64」、GeForce RTX 3060 Tiにはテスト時点での最新版「461.40」をそれぞれ導入している。そのほかの機材については以下のとおり。

【表3】テスト機材一覧
GPUGeForce RTX 3060GeForce RTX 3060 Ti
CPURyzen 9 5950X
CPUパワーリミットPPT:142W、TDC:95A、EDC:140A
CPUクーラーASUS ROG RYUJIN 240 (ファンスピード=100%)
マザーボードASUS TUF GAMING X570-PLUS [UEFI:3405]
メモリDDR4-3200 16GB×2 (2ch、22-22-22-53、1.20V)
システム用SSDCORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4)
アプリケーション用SSDCORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4)
電源CORSAIR RM850 CP-9020196-JP (850W/80PLUS Gold)
グラフィックスドライバGeForce Game Ready Driver 461.64 (27.21.14.6164)GeForce Game Ready Driver 461.40 (27.21.14.6140)
OSWindows 10 Pro 64bit (Ver 20H2 / build 19042.804)
電源プランバランス
室温約24℃

ベンチマーク結果

 それではベンチマーク結果をみていこう。

 実施したテストは、「3DMark」、「VRMark」、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「Forza Horizon 4」、「DIRT 5」、「フォートナイト」、「レインボーシックス シージ」、「Apex Legends」、「オーバーウォッチ」、「Call of Duty: Black Ops Cold War」、「サイバーパンク2077」、「アサシン クリード ヴァルハラ」、「ウォッチドッグス レギオン」、「Horizon Zero Dawn」、「Godfall」、「Microsoft Flight Simulator」、「Blender Benchmark」。

 今回のテストにおいて、画面解像度を自由に変更できるゲームでは、フルHD(1,920×1,080ドット)、WQHD(2,560×1,440ドット)、4K(3,840×2,160ドット)の3とおりの画面解像度でテストを実施している。

3DMark

 3DMarkでは、DirectX 12テスト「Time Spy」、DirectX 11テスト「Fire Strike」、Vulkanテスト「Wild Life」、DirectX Raytracing(DXR)テストの「Port Royal」と「DirectX Raytracing feature test」を実行した。

 GeForce RTX 3060は、上位モデルであるGeForce RTX 3060 TiにTime Spyで35~42%、Fire Strikeで38~47%、Wild Lifeで約45%の差をつけられている。リアルタイムレイトレーシング性能を測定するテストでは、Port Royalで約42%、DirectX Raytracing feature testでも約46%と、位置付け的に隣接するミドルレンジGPUとしては大きな差がついた。

【グラフ01】3DMark v2.17.7137「Time Spy」
【グラフ02】3DMark v2.17.7137「Time Spy Extreme」
【グラフ03】3DMark v2.17.7137「Fire Strike」
【グラフ04】3DMark v2.17.7137「Fire Strike Extreme」
【グラフ05】3DMark v2.17.7137「Fire Strike Ultra」
【グラフ06】3DMark v2.17.7137「Wild Life」
【グラフ07】3DMark v2.17.7137「Port Royal」
【グラフ08】3DMark v2.17.7137「DirectX Raytracing feature test」

VRMark

 VRMarkでは、DirectX 11テスト「Orage Room」、DirectX 12テスト「Cyan Room」、5K解像度テスト「Blue Room」を実行した。

 GeForce RTX 3060と上位モデルの差は、Orange Roomで約37%、Cyan Roomで約34%、Blue Roomで約42%となっており、3DMarkと同じように両GPUの間には大きな差がついた。

【グラフ09】VRMark v1.3.2020「スコア」
【グラフ10】VRMark v1.3.2020「平均フレームレート」

ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク

 ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークでは、描画品質を「最高品質」に固定してテストを実行した。

 GeForce RTX 3060は、すべての解像度で7,000を超えるスコアを記録し、最高評価「非常に快適」を獲得しているが、上位のGeForce RTX 3060 Tiには17~43%のスコア差をつけられている。

【グラフ11】ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

 FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、描画品質を「高品質」に固定してテストを実行した。

 GeForce RTX 3060は、フルHDとWQHDで「快適」の評価を獲得しており、フルHDに関しては60fps以上の動作が期待できるスコアとなっている。上位GPUであるGeForce RTX 3060 Tiの差は37~39%。

【グラフ12】FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク v1.3

Forza Horizon 4

 Forza Horizon 4では、描画品質を最高の「ウルトラ」に固定して、ベンチマークモードを実行した。

 GeForce RTX 3060は、すべての画面解像度で60fpsを上回るフレームレートを記録しており、WQHD以下では100fpsを超える高フレームレートを実現した。GeForce RTX 3060 Tiとの差は28~34%。

【グラフ13】Forza Horizon 4 (v1.464.282.2)

DIRT 5

 DIRT 5では、描画品質をもっとも高い「Ultra High」に設定して、ベンチマークモードを実行した。

 GeForce RTX 3060が60fpsを上回ったのはWQHD以下の画面解像度で、フルHDでは81.2fpsという、安定して60fpsの維持が期待できる数値を記録している。GeForce RTX 3060 Tiとの差は33~37%。

【グラフ14】DIRT 5 (v1.0.257981.234)

フォートナイト

 フォートナイトでは、グラフィックスAPI「DirectX12」で描画品質を「最高」にした設定と、それをベースにレイトレーシングとDLSSを有効化した設定で、フレームレートの測定を行なった。

 レイトレーシング無効時、GeForce RTX 3060はフルHDで142.9fpsというハイフレームレートを記録しており、ゲーミングモニターと組み合わせることで快適なプレイが期待できるパフォーマンスを発揮していた。この条件でのGeForce RTX 3060 Tiとの差は33~38%。

 レイトレーシング関連の項目を「最高」設定で有効化した場合、GeForce RTX 3060は4K解像度において、上位GPUに72%の差をつけて逆転している。これはGeForce RTX 3060 TiがVRAM不足に陥った結果なのだが、両GPUとも1桁fpsしか出ない条件での話であり、実用的なレベルでの差ではない。そもそも、すべての解像度において、両GPUとも30fpsを下回っており、レイトレーシング品質を最高にするなら、他の画質設定での調整が必須だ。

 レイトレーシングを有効化しつつ、DLSSを「バランス」で有効化した場合、GeForce RTX 3060はフルHD解像度で最低限の30fpsを超える49.6fpsを記録した。プレイ可能なフレームレートではあるが、上位モデルのGeForce RTX 3060 Tiは同条件で約42%高い70.5fpsを記録している。

【グラフ15】フォートナイト (v15.40) - レイトレーシング無効
【グラフ16】フォートナイト (v15.40) - レイトレーシング有効
【グラフ17】フォートナイト (v15.40) - レイトレーシング + DLSS

レインボーシックス シージ

 レインボーシックス シージでは、描画品質「最高」をベースに、レンダリングのスケールを100%に設定してベンチマークモードを実行した。グラフィックスAPIは「Vulkan」を利用した。

 GeForce RTX 3060は、フルHDで285fps、WQHDでも182fpsを記録しており、高性能なゲーミングモニターの表示能力を引き出せるだけの実力を示した。GeForce RTX 3060 Tiとの差は30~39%。

【グラフ18】レインボーシックス シージ (Y5S4.3)

Apex Legends

 Apex Legendsでは、設定可能な描画品質を最高にして、フレームレートを測定した。なお、テスト時は起動オプションにより、フレームレート上限を解除している。

 GeForce RTX 3060は、すべての画面解像度で60fps以上の平均フレームレートを記録し、WQHD以下では100fpsを超えるハイフレームレートを実現した。GeForce RTX 3060 Tiとの差は33~36%。

【グラフ19】Apex Legends (v3.0.2.197)

オーバーウォッチ

 オーバーウォッチでは、描画品質を最高の「エピック」に設定しつつ、レンダー・スケールを100%に固定してフレームレートを測定した。

 ここでも、GeForce RTX 3060はすべての条件で60fpsを上回り、WQHD以下では120fps以上のハイフレームレートを実現している。GeForce RTX 3060 Tiとの差は37~44%。

【グラフ20】オーバーウォッチ (v1.57.1.0.78777)

Call of Duty: Black Ops Cold War

 Call of Duty: Black Ops Cold Warでは、描画品質を設定できる限り最も高くした設定をベースに、レイトレーシングを無効にした設定と、すべて「ウルトラ」にした設定、DLSSを「バランス調整済み」で有効化した設定の3とおりで、平均フレームレートの測定を行なった。

 レイトレーシング無効時、GeForce RTX 3060はWQHD以下の解像度で60fpsを超える平均フレームレートを記録した。この条件でのGeForce RTX 3060 Tiとの差は29~31%。

 レイトレーシングをウルトラ設定で有効化した場合、GeForce RTX 3060利用時のフレームレートはフルHDでも53.4fpsと、60fpsを下回った。一方で、上位のGeForce RTX 3060 Tiは、フルHDでGeForce RTX 3060を約33%上回る71.1fpsを記録している。4Kになると両GPUの差は逆転しているが、両GPUとも30fpsを下回る実用性の薄い設定なので、あまり意味は無いだろう。

 レイトレーシングに加え、DLSSを有効化した設定では、GeForce RTX 3060がフルHDで71.4fpsを記録した。WQHDについても56.0fpsであり、画質調整次第では快適にプレイすることができそうだ。この条件でのGeForce RTX 3060 Tiとの差は17~30%。

【グラフ21】Call of Duty: Black Ops Cold War (v1.9.0.8634551) - レイトレーシング無効
【グラフ22】Call of Duty: Black Ops Cold War (v1.9.0.8634551) - レイトレーシング有効
【グラフ23】Call of Duty: Black Ops Cold War (v1.9.0.8634551) - レイトレーシング + DLSS

サイバーパンク2077

 サイバーパンク2077では、レイトレーシングを用いない最高画質設定の「ウルトラ」と、同設定をベースにレイトレーシングとDLSSを有効化した「レイトレーシング:ウルトラ」で、フレームレートの測定を行った。

 レイトレーシング無効時、GeForce RTX 3060はフルHDで56.4fpsを記録している。多少の設定を加えれば60fpsを実現できるレベルであり、G-SYNC対応ディスプレイと組み合わせれば、そのままでも60fps級の滑らかな映像でプレイできる。この条件でのGeForce RTX 3060 Tiとの差は30~37%。

 レイトレーシング:ウルトラ設定時、GeForce RTX 3060のフルHDでのフレームレートは46.8fpsだった。最低限の30fpsは上回っているのでプレイ可能ではあるが、滑らかな描画を得たいのであれば、1つ下の設定である「レイトレーシング:中」をベースに設定を調整すると良いだろう。この条件でのGeForce RTX 3060 Tiとの差は31~34%。

【グラフ24】サイバーパンク2077 (v1.12) - レイトレーシング無効
【グラフ25】サイバーパンク2077 (v1.12) - レイトレーシング有効

アサシン クリード ヴァルハラ

 アサシン クリード ヴァルハラでは、描画品質を「最高」に固定してベンチマークモードを実行した。

 GeForce RTX 3060は、フルHDで63fpsを記録しており、WQHDでも30fpsを余裕で上回る50fpsを記録した。GeForce RTX 3060 Tiとの差は22~26%。

【グラフ26】アサシン クリード ヴァルハラ (v1.1.2)

ウォッチドッグス レギオン

 ウォッチドッグス レギオンでは、描画品質プリセットを「最大」にした設定と、それをベースにレイトレーシングを「最大」にした設定、DLSSを「バランス」で有効化した設定の3条件でベンチマーク結果を取得した。

 レイトレーシング無効時、GeForce RTX 3060はフルHDで60fps、WQHDでも46fpsというプレイアブルなフレームレートを記録した。GeForce RTX 3060 Tiとの間には22~27%の差がついているが、VRAM使用量の目安が搭載メモリと同等以上になるGeForce RTX 3060 Tiにはパフォーマンスの安定性に不安がある。

 レイトレーシング有効時、GeForce RTX 3060は、フルHDで30fpsを上回る39fpsを記録している。一方、GeForce RTX 3060 Tiは、GeForce RTX 3060を21~30%上回っているものの、VRAM使用量の目安はすべての条件で搭載容量を超過している。

 レイトレーシングとDLSSを有効にした場合、GeForce RTX 3060はフルHD60fps、WQHDで46fpsを記録した。GeForce RTX 3060 Tiとの間には7~23%の差がついているが、VRAM容量が不足するGeForce RTX 3060 Tiにとってこの設定が実用的でない一方、GeForce RTX 3060にとってはWQHD以下なら30fps以上の動作が狙える設定となっている。

【グラフ27】ウォッチドッグス レギオン (v1.3.0) - レイトレーシング無効
【グラフ28】ウォッチドッグス レギオン (v1.3.0) - レイトレーシング有効
【グラフ29】ウォッチドッグス レギオン (v1.3.0) - レイトレーシング+DLSS

Horizon Zero Dawn

 Horizon Zero Dawnでは、描画品質を「最高画質」に設定して、ベンチマークモードを実行した。

 GeForce RTX 3060は、フルHDで91fps、WQHDで72fpsを記録し、最高画質設定でも60fpsを超える滑らかなフレームレートでHorizon Zero Dawnをプレイできる実力を示した。GeForce RTX 3060 Tiとの差は29~35%。

【グラフ30】Horizon Zero Dawn (v1.56)

Godfall

 Godfallでは、描画品質を「最高」に設定して、ベンチマークモードを実行した。

 GeForce RTX 3060は、フルHDで60fpsの維持が期待できる71.5fpsを記録した。WQHDでもプレイ可能な53.3fpsを記録しており、高画質設定でGodfallをプレイできる。GeForce RTX 3060 Tiとの差は40~45%。

【グラフ31】Godfall (v2.4.44)

Microsoft Flight Simulator

 Microsoft Flight Simulatorでは、描画品質を最高の「ULTRA」にして、フレームレートの測定を行った。測定は、羽田空港から関西国際空港へのルートをAIに飛行させ、離陸後3分間のフレームレートを測定している。使用した機体は「Daher TBM 930」。

 CPU性能がボトルネックになりやすいフルHDでは、GeForce RTX 3060が上位GPUと5%差にまで肉薄する43.1fpsを記録しているが、WQHD以上になると両GPUの差は29~35%に拡大している。なお、Microsoft Flight Simulatorは30fps以上であれば快適に操作できるタイトルなので、GeForce RTX 3060のフルHDでのパフォーマンスは実用性のあるものだ。

【グラフ32】Microsoft Flight Simulator (v1.13.16.0)

Blender Benchmark

 3DCGソフト「Blender」のオフィシャルベンチマーク「Blender Benchmark」では、OptiXを用いてGPUレンダリングを実行した。なお、参考までにRyzen 9 5950XでCPUレンダリングを実行したさいの結果も比較した。

 GeForce RTX 3060とGeForce RTX 3060 Tiのレンダリング速度には、42~71%の差がついており、ゲームでの比較同様大きな差がつく形となった。もっとも、GeForce RTX 3060自体、CPUのRyzen 9 5950Xより1.7~3.7倍も速く、トータルでも約2.2倍高速にレンダリングを完了している。

【グラフ33】Blender Benchmark

消費電力とモニタリングデータ

 ワットチェッカーを用いて、ベンチマーク実行中のピーク消費電力とアイドル時消費電力を測定した結果が以下のグラフだ。

 GeForce RTX 3060のアイドル時の消費電力は51Wで、52Wを記録したGeForce RTX 3060 Tiとほぼ同じ数値となっている。

 ベンチマーク実行中のピーク消費電力については、337~429Wを記録したGeForce RTX 3060 Tiに対し、33~59W低い294~370Wを記録した。ピーク電力の差は約11~18%であり。TGPが低下した分だけ省電力にはなっているが、システム全体でみると電力効率はGeForce RTX 3060 Ti搭載システムの方が高くなるようだ。

【グラフ34】システムの消費電力

 モニタリングソフト「HWiNFO」を使い、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークを「4K/高品質」設定で実行中しているGeForce RTX 3060のモニタリングデータを取得した。

 ベンチマーク実行中、GeForce RTX 3060は160~170Wの電力を消費しながら、1,850MHz前後のGPUクロックで動作している。このさい、GPU温度は最大で68℃まで上昇し、ファン回転数は約1,630rpmまで上昇した。

【グラフ35】GeForce RTX 3060のモニタリングデータ

余裕のあるVRAMを備えた新世代のミドルレンジGPU

 GeForce RTX 3060のGPU性能は、上位モデルであるGeForce RTX 3060 Tiとの間に3~4割程度の差がついており、同じ「3060」という型番を与えられている割には大きな性能差が存在している。8GBのVRAMで足りるゲームでの利用を想定しているゲーマーにとっては、GeForce RTX 3060 Tiの方が魅力的に見えるだろう。

 ただ、新作ゲームやクリエイティブアプリにおいて、VRAM容量への要求が高まり続けている現在、GeForce RTX 3060 Tiの8GBというVRAM容量は、GPU性能の割に少ないと感じられるものとなっている。

 VRAM容量の不足はほかで補うことができないため、大量のVRAMを要求するゲームやクリエイティブシーンでの利用を想定するゲーマーやクリエイターにとって、時代に即したGPU性能とVRAM容量を備えたGeForce RTX 3060こそが、新世代ミドルレンジGPUの本命となるだろう。

2月26日(金)21時よりGeForce RTX 3060の実機検証をライブ配信!
GeForce RTX 3060の解説と実機を使った動作テストをYouTubeの生配信でお届けします。純粋なパフォーマンスはもちろん、12GBの大容量ビデオメモリが特に効く場面の考察も含めてディープに掘り下げます。解説は“KTU”こと加藤勝明氏と、“改造バカ”こと髙橋敏也氏。