Hothotレビュー

マウスの子ども向け5万円パソコンを息子に使わせてみた

mouse E10

 マウスコンピューターから登場した「mouse E10」は、着脱式キーボードが付属する2in1であり、おもに小中学生を対象にした教育用パソコンである。税別直販価格は52,800円となっている。

 マウスコンピューターは、以前からこうした教育/文教向けパソコンを積極的に販売しており、小中学校などでの採用例も多い。今回登場したmouse E10は、これまでの同社のノウハウが活かされた、魅力的な製品に仕上がっている。

 今回、mouse E10を試用する機会を得たので、早速レビューしていきたい。また、筆者には、本製品のおもなターゲットである中学1年生の息子がいるので、息子にも使わせて感想を聞いてみることにした。

中学1年生の息子に持たせてみた

防塵防滴仕様で落下テストもクリアした丈夫な筐体

 まずは、外観から見ていこう。mouse E10は、樹脂製筐体を採用しているが、高さ76cmからの落下テストをクリアした頑丈なものだ(落下時の無故障や無破損を保証しているわけではない)。

 また、本体側面のインターフェイスには、ほこりや水分などの侵入を防止するカバーがついているため、キーボード部は別だがIP54規格準拠の防塵防滴仕様になっていることも高く評価できる。防水仕様ではないが、屋外で使っていて、ちょっと雨が降ってきた程度なら大丈夫だ。子どもはモノを乱暴に扱いがちだが、本製品なら子どもにも安心して持たせることができる。

 付属のキーボードカバーを装着することで、液晶画面を保護できるが、キーボードカバーは両面ともスエード調の手触りが柔らかい素材が使われているため、手で持ったときに滑りにくい。

 本体のサイズは、約279.5×200×31.2mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約980g。キーボードカバー装着時のサイズは、約279.5×206.6×31.2mm(同)で、重量は約1.28kgである。Surface Go 2の544g(タブレットのみ)に比べると重量は重いが、小学生でも十分持ち運べる範囲であろう。

mouse E10の上面(キーボードカバー装着時)。キーボードカバーの表面にはスエード調の素材が使われている
mouse E10の底面。中央にはスタイラスペンを収納できるホルダーがある
本体のみの重量は実測で975gだった
キーボードカバー込みの重量は実測で1,266gだった

一体型スタンドが持ち運びに便利なハンドルになる

 mouse E10は、タブレットとして利用できる本体に着脱式のキーボードカバーがセットになった2in1であり、MicrosoftのSurface Go 2などによく似た製品だ。本体には、自由な角度で固定できる一体型スタンドが装備されているので、机の上に置いて使う場合も快適である。

 さらに、この一体型スタンドは180度回転するようになっており、持ち運ぶさいにはハンドルとして利用できる。片手でもしっかりと持てるので、とても便利だ。子どもが持ち歩くさいも、ハンドルを持つようにすれば手から滑って落としてしまう心配はない。

 実際に中学1年生の息子にハンドルを持たせてみたが、手も痛くなく持ちやすいとのことだ。スタンドが一体型になっている2in1は他社からも発売されているが、スタンドがハンドルになる製品はめずらしい。mouse E10のメリットの1つと言えるだろう。

本体には一体型スタンドが装備されており、立てて使うことができる
スタンドを立てた状態を横から見たところ
スタンドの角度は自由に変更できる
スタンドをこのように180度回転することで、ハンドルとして使える
中学1年生の息子がハンドルを持ったところ

CPUとしてCeleron N4100を搭載

 mouse E10は、小中学生がはじめて使う教育用パソコンとしての性格が強い製品であり、基本性能はそれほど高いわけではない。CPUはCeleron N4100、メモリは4GB(増設不可)、ストレージは64GB eMMCという仕様だ。

 Celeron N4100は、クアッドコアCPUであり、基本動作周波数は1.1GHzだが、バースト時には最大2.4GHzまで向上する。開発コードネームGemini Lakeと呼ばれていた製品であり、いわゆるCoreシリーズではなく、Atom系列のCPUである。

 当然、Core iシリーズに比べると性能は低いが、クアッドコアでバースト時には動作周波数もかなり高くなるため、Webサイト閲覧や文書作成といった軽めの作業なら問題なくこなせる。もちろん、3Dゲームなどをプレイするには性能不足だが、教育用パソコンとしては必要十分な性能と言えるだろう。

 ただし、メモリとストレージも必要最低限の容量である。とくにストレージは64GBしかないので、多くのアプリケーションを入れると、容量不足でOSアップデートができないといった事態になりやすい。コスト増の要因にはなるだろうが、128GBにしてほしかったところだ。

タッチ操作とペン操作に対応、ペンは本体に装着可能

 液晶は10.1型で、解像度は1,280×800ドットである。仕事で使うのなら、もう少し解像度がほしかったところだが、小中学生のための学習用パソコンということで、コストダウンを優先したのであろう。

 表面は光沢仕様なので、外光の映り込みが気になることがある。10点マルチタッチ対応で指などで操作できるほか、筆圧検知対応のスタイラスペンも付属しており、手書きメモを取ったり、絵を描くことも可能だ。ペン対応が前提となっているデジタル教材も多く、学習に使うことを考えると、ペン対応は必須と言える。

 スタイラスペンはアクティブ方式であり、単6電池1本で動作する。スタイラスペンの側面には、ボタンが2つ用意されており、消しゴム機能などが割り当てられている。

 こうしたスタイラスペンでよく問題になるのが、ペンを紛失してしまうことだ。子どもならなおさらなくしてしまいやすいが、mouse E10は、本体底面にスタイラスペンを装着するためのホルダーが用意されているので、使わないときには本体にペンを装着しておけば、紛失する恐れがない。ちょっとしたことだが、ユーザーにはとてもありがたいポイントだ。

 ペンは太めだが、子どもの手にも握りやすいようで、息子も「ペンが書きやすくていい」と言っていた。

10点マルチタッチ対応の10.1型液晶を搭載。解像度は1,280×800ドットである
アクティブ方式のスタイラスペンが付属する。下は電源の単6電池
単6電池(左)は単4電池(右)よりも細くてやや短い
このようにペンに単6電池を入れる
スタイラスペンの側面には、2つのボタンがついており、消しゴム機能や右クリック機能が割り当てられている
本体底面にはスタイラスペンを装着するためのホルダーが用意されている
スタイラスペンを使ってお絵かきをしている息子

前面と背面にカメラを搭載し、さまざまな用途に使える

 mouse E10は、本体前面と背面にそれぞれカメラを搭載している。前面カメラは、200万画素で上部に物理的にカメラをふさぐスライドシャッターが用意されている。本体をスタンドで立てかけた状態で、Zoomなどを使ったオンライン学習に活用できる。

 背面カメラも200万画素だが、こちらは本体を両手で持って、撮影対象を画面で確認しながら撮影できるので、たとえば、夏休みの自由研究で植物の生長を観察するといった用途にも便利だ。

 ステレオスピーカーとデュアルアレイマイクを搭載しており、ヘッドセットがなくても、双方向のオンライン学習を行なえる。

前面に200万画素カメラを搭載。スライドシャッターにより、カメラを物理的にふさぐことができる
背面にも200万画素カメラを搭載しており、デジカメ代わりに使える
背面カメラを使って、バラの花を撮影している息子

キーボードカバーも便利で使いやすい

 mouse E10は、キーボードカバーが標準で付属しており、磁力で本体に固定されるため着脱も簡単だ。机の上で一体型スタンドを使いやすい角度に調整し、ノートパソコンのようなスタイルで使うことができる。ただし、キーボードと本体の角度が自立して固定されるわけではないので、膝の上などに置いて使うには適さない。

 キーボードは全85キーで、配列は標準的である。キーピッチは約16.5mmで、ほかのキーとの大きなずれがないため使いやすい。キーストロークは約1.5mmでやや短いが、ちゃんとストロークがあるキーなので、しっかりした机の上で使うのなら問題ない。

 息子は、最近だいぶタッチタイピングができるようになってきたのだが、mouse E10でタイピング練習をしばらくさせてみたところ、「ちょっとふわふわした感じだけど、慣れてきたら普通に打てる」という感想だった。息子は、普段、メカニカルスイッチを採用したゲーミングキーボードに慣れているので、キータッチが軽いmouse E10のキーボードには多少違和感を持ったようだ。ただ、トラックパッドの操作にはあまり慣れず、画面タッチ操作のほうがやりやすいとのことだった。

キーボードは、全85キーで、配列は標準的である。キーピッチは約16.5mmで、キーストロークは約1.5mm
キーボードカバーの裏面。本体に装着するとこちら側が外になり、液晶を保護する
タイピング練習サイトでタイピングを練習している息子
mouse E10のキーボードで入力をしている息子
リズムゲーム「Sparebeat」をプレイしている息子

インターフェイスも充実、背面インジケータも状況がわかって便利

 mouse E10は、このクラスの教育用パソコンとしてはインターフェイスも充実している。前述したように、防滴防塵仕様を実現するために、本体のインターフェイス部はカバーで保護されており、使うときにはカバーを外す必要がある。

 本体左側面には、Micro USB 2.0、Micro HDMI出力、microSDカードスロット、USB 3.0 Type-C、ヘッドセットの各端子が用意されている。マウスやヘッドセットをつないで使えば、オンライン学習もよりやりやすくなる。無線機能としては、IEEE 802.11ac対応の無線LAN機能とBluetooth 5をサポートしており、こちらも必要にして十分と言えるだろう。

 ACアダプタもコンパクトで、重量も実測で205gと軽いため、本体と一緒に気軽に持ち運べる。公称バッテリ駆動時間も約12時間と長く、小学校などでの1日の学習に使うにも十分だ。

 また、筆者がおもしろいと思ったのが、背面に用意されている2つのインジケータだ。これは電源とWi-Fiの状況を示すもので、電源が入っている状態では電源のインジケータが青く光り、Wi-Fiに接続中はWi-Fiインジケータが青く光る。視認性も高いので、離れた場所からでも電源が入っているのか、ちゃんとWi-Fiに接続されているのかということが一目でわかる。

 学校で使う場合など、先生が教卓から生徒のパソコンの背面を見るだけで、Wi-Fi接続の状況がすぐにわかるので、接続を確認する手間が省ける。なかなかよく考えられていると感心した。

本体左側面のインターフェイス部は、防滴防塵のためのカバーで保護されている
インターフェイスとして、Micro USB 2.0、Micro HDMI出力、microSDカードスロット、USB 3,0 Type-C、ヘッドセットの各端子が用意されている
右側面には、電源ボタンと音量アップボタン、音量ダウンボタンが用意されている
ACアダプタも比較的コンパクトで軽い
出力は19V/2.1Aで、40W仕様となる
ACアダプタ(ケーブル込み)の重量は実測で205gだった
背面に電源とWi-Fiのインジケータが用意されているのもユニークだ
電源が入っている状態では電源のインジケータが青く光り、Wi-Fiに接続中はWi-Fiインジケータが青く光る

子どもがはじめて使うパソコンとして、非常に完成度の高い製品

 参考のために、「PCMark 10」と「CrystalDiskMark 8 Beta 4」を使って、ベンチマークテストを行なった。

 PCMark 10の総合スコアは1,608であり、Core iシリーズ搭載パソコンに比べると半分以下となっているが、Webサイト閲覧や文書作成、Scratchなどでのプログラミングといった用途なら、それほど性能に不満を感じることはない。CrystalDiskMarkの結果は、シーケンシャルリード(Q8T1)が265.04MB/s、シーケンシャルライト(Q8T1)が214.83MB/sであり、eMMCとしてはかなり高速である。

「PCMark 10」の結果
「CrystalDiskMark 8 Beta 4」の結果

 mouse E10は、マウスコンピューターがこれまで教育/文教向けパソコンの開発で培ってきたノウハウが詰め込まれた製品であり、子どもがはじめて使う「マイファーストPC」としての完成度は高い。息子は、本体にキーボードカバーが磁力でペタッと張りつく様子がおもしろくて気に入っていたようだ。

 もちろん、最新3Dゲームや動画配信などの重い処理をこなす性能はないが、防塵防滴仕様で丈夫な筐体と2つのカメラ、筆圧検知に対応したスタイラスペンなど、子どもが使う学習用パソコンで重要になる要素をすべて満たしており、税別直販価格52,800円という価格も魅力的だ。子どもにそろそろ専用のパソコンを与えたいと考えている親御さんにおすすめしたい。