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Core i7搭載で税別10万円切り! 余計な“味付け”が排除されたマウスのスタンダードノート「mouse B5」

mouse B5-i7

 高性能なゲーミングモデルやクリエイター向けモデル、あるいは超軽量なモバイル特化型など、個性的なノートパソコンの存在が目を引く昨今。しかし、今回紹介するマウスコンピューターの「mouse B5」シリーズは、そのようなユニークさや派手さが抑えられたごくスタンダードな15.6型クラスのノートパソコンだ。

 ともすれば“没個性”と捉えられそうなモデルではあるが、Ice Lake版のCore i7を搭載し、税別直販価格が99,800円という魅力的な価格で提供されている。今回はメーカーから本体をお借りすることができたので、その中身をチェックしていきたい。

【表】mouse B5-i7のスペック
CPUCore i7-1065G7(4コア8スレッド、1.3~3.9GHz)
メモリDDR4-2666 SDRAM 8GB
SSDSATA SSD 256GB
グラフィックス機能Intel Iris Plus Graphics 940
ディスプレイ15.6型フルHD非光沢(LEDバックライト)
表示解像度1,920×1,080ドット
カメラ100万画素
インターフェイスUSB 3.1×2(1基はType-C)、USB 2.0×2、HDMI、microSD(UHS-I)、ヘッドセット用端子、セキュリティロックスロット
通信機能Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)、Bluetooth 5、Gigabit Ethernet
バッテリ駆動時間約7.0時間
サイズ(幅×奥行き×高さ)360×239.3×19.8mm
重量約1.59kg
OSWindows 10 Home 64ビット
税別直販価格99,800円

15.6型でも薄型・軽量で、モバイル用途にフォーカス

 mouse B5は、第10世代Core i7-1065G7(Ice Lake-U)を搭載する15.6型ディスプレイのノートパソコンだ。今回試用したのは標準モデルの「mouse B5-i7」。CPU内蔵グラフィックス(Iris Plus Graphics 940)で、メモリ8GB、ストレージ256GB(SATA接続のM.2 SSD)といった最小限の構成とは言え、第10世代Core i7搭載で本体価格10万円切りは、そこそこコストパフォーマンスが高い部類に入る。

第10世代Intel Core i7-1065G7を搭載。内蔵GPUはIntel Iris Plus
HWiNFOによるハードウェア情報。CPUはIce Lake-U、GPUはIris Plus

 天板を閉じた状態も、開いた状態も、見た目としてはオーソドックス。マットな表面加工の筐体には奇抜なデザインもなく、ディスプレイは標準的なフルHD(1,920×1,080ドット)の非光沢液晶で、いたってマジメなつくりのノートパソコンという印象だ。無駄のない、パソコンをとことん“ツール”として使うことに集中できるモデル、という感じ。

中央にロゴが1つだけ表示されたシンプルなシルバーの天板
ディスプレイはフルHDの非光沢液晶

 15.6型クラスながら光学ドライブは内蔵せず、BTOオプションでも選べないことから、方向性としては“モバイル性能”にフォーカスしていることがわかる。天板を閉じた状態の高さが約19.8mmと比較的薄く、重量も約1.59kgで、15.6型クラスのなかでは軽量。手に持ってみても軽快感がある。

厚みは約19.8mmで、手でつかんだときの感触としてもなかなか薄い

 13型クラスと同等の取り回し……とまではさすがにいかないものの、薄さのおかげで無理なく収納できるバックパックやビジネスバッグも多いだろう。素材感がチープというわけではないし、オフィスなどのビジネスシーンにもまったく違和感なく溶け込むのも、オーソドックスな見た目ならでは、といったところ。

 筐体の天板と底面にはアルミ素材が用いられているが、天板は柔軟で衝撃を吸収するような雰囲気。それに対して底面はキータイプをがっちりと受け止めてくれる剛性感があり、樹脂素材となっているキーボードやパームレスト周辺の強度をうまく補っている。

天板と底面はアルミ素材

 キーボードはストロークが適度にあり、反発力もそこそこ強いこともあって、気持ち強めにタイプしていくことでリズムよく打っていける。余裕のある19mmのキーピッチで、テンキーまで設けられているので、キー入力の多い実務的な用途における使い勝手も上々だ。

キーボード周辺は樹脂素材。キーピッチは19mm、キーストロークは約1.8mm

 ただ、カーソルキーは文字キーの半分以下という小ささ。カーソル操作で少し戸惑うことがあったため、欲を言うと、ここももう少し大きければ……と感じなくもない。

トレンドの機能は確実に押さえ、実用性能を高める

 冒頭でユニークさや派手さがあまりない、と書いたが、それは逆説的には、一般的に必要とされる実用的な機能・性能を備え、昨今のトレンドもひととおり押さえている、ということでもある。

 たとえばインターフェイスとして、USB 3.1 のType-A/Type-Cポートを1基ずつ用意している。Type-Cポートは給電兼用でUSB PD対応。汎用のUSB PD対応充電器(45W以上出力可能なもの)で高速充電が可能だ。

右側面にはDC入力、USB 3.1 Type-AおよびType-C。HDMI出力もある

 なお、本製品のType-Cポートは仕様的にDisplayPort Alt Mode対応とはされていないのだが、今回の試用機では外部ディスプレイに出力することができた。メーカーの動作保証外なので、使えない場合がある点に注意してほしいが、外部ディスプレイ出力と給電をケーブル1本で行なえるは便利だ。デスク上をすっきりさせながら、ごく簡単なケーブル接続で、デスクワークを効率化するデュアルディスプレイ環境を構築することができた。

Type-Cポートは給電用を兼ねるUSB PD対応。動作保証外ではあるが、試用機ではDisplayPortでの出力が行なえた
コンパクトなACアダプタも付属するので、USB充電器がなくてももちろん問題ない

 そのほかにはUSB 2.0ポート×2、HDMI出力、microSDカードスロット(UHS-I対応)がある。無線LANは最大2.4Gbpsで通信できるWi-Fi 6にも対応するため、自宅やオフィスのWi-Fiルーターのアップグレードに合わせて通信速度を大幅に改善することも可能になる。安価なモデルではいまだ省かれがちなWi-Fi 6だが、トレンドに合わせてこのクラスでもきっちり対応してきているのはありがたい。

左側面。左からセキュリティスロット、Gigabit Ethernet、microSDスロット、USB 2.0×2、ヘッドセット・イヤフォン端子

 Gigabit Ethernetポートも用意。mouse B5の薄型筐体に実装するにあたり、半分隠れるような構造になっている。最近の薄型ノートパソコンでは収納型のパーツを引き出してから差し込むことが多いのに対し、mouse B5はLANケーブルのコネクタ先端で入口を押し下げて差し込む構造なので、片手で一発で接続できるのがポイントだ。細かい部分ではあるけれど、気が利いている。

半分カバーされているようなLANポートだが、片手で差し込める
取り外すときにはコネクタの爪を押すために本体を持ち上げなければならないが、薄型ノートパソコンのコネクタを引き出すタイプより脱着の手間は少ない

 ディスプレイ部は180度まで開いてフラットな状態にすることも可能だ。大きく開くということは、それだけユーザーの体勢に合わせやすいということ。テレワークだと必ずしもデスクに座るわけではないし、そうなるとパソコンを使う姿勢もその時々で変わってくるため、意外と重要な部分だ。

 ディスプレイの角度を自由に変えられるおかげで、人それぞれで異なるテレワークのスタイルにマッチさせることができるし、対面で打ち合わせするさい、お互いに画面を見ながら説明する、といった場面でも便利に活用できそうだ。

ディスプレイ部は180度開くことができる
体勢に合わせて自由度高く調整できるのがメリット

 また、Webカメラは100万画素(HD画質)で、解像度としては一般的だが、映像の精細度は高い。映りは若干暗いように思うものの、ソフトウェア的な調整で十分に自然な明るさにできるレベルだ。

 きちんと照明を使えばさらに見栄え良くでき、オンライン会議用途では画質に不満を感じることはないだろう。マイクはデュアルアレイで、「サ行」などの摩擦音はノイズ成分が目立つが、それを除けば明瞭に聞こえ、小声でもある程度しっかり拾ってくれる。

ディスプレイ上部に備えるWebカメラと、その左右にあるデュアルアレイマイク
タッチパッドは2本指でのスクロールやピンチイン・アウト、3本指でのタスク切り替えといったジェスチャーにも対応
オンライン会議ツール上でのカメラ画質。通常の室内照明のみの場合。やや暗め
正面からの照明を追加した場合。これくらいの明るさがあれば十分だろう

TDP 15Wで排熱処理も優秀。ツールで性能やファン回転速度を調整可

 性能がどんどん高まっているノートパソコンでは、排熱をどうするか、という課題も大きくなってきている。mouse B5は底面側からファンなどで排熱される仕組みになっており、15.6型クラスということもあってエアフローにも余裕があるのか、長時間使っていてもキーボードやパームレスト付近が熱をもつようなことはなかった。TDP 15WというCPUの消費電力の低さも貢献しているはずだ。

底面に盛大に開いた排気孔。冷却ファンもよく見える

 もちろん、負荷が高くなると排熱ファンの甲高いノイズが目立ってくるようにはなる。が、静かな室内でオンライン会議するときに気になるほどの音ではない。このあたりはプリインストールされているユーティリティ「Control Center」でCPUのパフォーマンス設定や排熱ファンの回転数をカスタマイズできるので、シチュエーションに合わせて徹底的に静かにすることも、性能を最大限に引き出すことも、自由自在だ。

プリインストールされているパフォーマンス設定ユーティリティ「Control Center」
CPUのパフォーマンス設定は大まかに4パターンから選択可能
ファンの速度を手動調整できる。アイドル時はだいたい30%、1,900rpm前後

 バッテリ駆動時間は約7時間となっている。据え置きがメインとなる場合の15.6型クラスとしては標準的な性能だが、持ち運びも考慮したノートパソコンとしては“もう一声”ほしいところかもしれない。脱着も不可で予備バッテリを使えないのも残念ではある。電源がない場所で長時間使うことが考えられるときは、USB PD対応であることを活かして、モバイルバッテリでまかなうことを考えると良さそうだ。

ベンチマーク計測。CPU性能は高いが周辺がボトルネック気味か

 各種ベンチマークでmouse B5の性能もチェックしてみよう。使用したのは下記のツールだ。「Cinebench」については最新バージョンのR23がこれまでとのスコア互換がなくなってしまっているため、以前のバージョンでも計測した。Windows 10の電源設定、およびユーティリティ「Control Center」では性能優先の設定にしている。

  • PCMark 10 Professional Edition v2.1.2506
  • 3D Mark Professional Edition v2.15.7078
  • Cinebench R20.060
  • Cinebench R23.200
  • CrystalDiskMark v7.0.0
  • ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク
  • 動作音レベル測定
PCMark 10の結果
3DMarkの結果
Cinebench新旧バージョンでの結果。上2つがR20.060、下2つがR23.200
CrystalDiskMarkの結果
動作音レベル測定の結果

 全体的には、同じCore i7-1065G7を搭載するほかのノートパソコンと比較して、性能が多少劣るという結果になった。アプリケーションの実用性能を測る3DMark 10については、メモリ容量が8GBと少ないことや、ストレージがSATA接続であることが影響している可能性がありそうだ。

 内蔵GPUは、前世代から大幅にグラフィックス性能が高まったとされる第11世代のIris Plus Graphics 940を搭載してはいるものの、3DMarkの結果はあまり芳しくない。以下の「GPU-Z」の情報を見るとわかるように、メモリのバス幅が64bit、バンド幅が16GB/sとかなり抑えられていることが要因と思われる。ファイナルファンタジーXIVではフルHD解像度だと「設定変更を推奨」と判定されてしまった。

GPUはメモリのバス幅、バンド幅が抑えられているようだ

 しかしCinebench R20によるCPUの処理性能を見ると、Ice Lakeらしいというか、独自のクロックアップ設計をもたない“素”のままの性能としては、かなり健闘している。CPUの性能自体は高いものの、その周辺のグラフィックスやI/O周りがボトルネックになっている印象だ。

 動作音は「Control Center」を用いて、パソコンの動作音およびファンの回転速度に応じたノイズ音量を騒音計で計測している。「シフト量0%」はアイドル時を示しており、実際のファンの速度としては30%前後の回転速度となっている。そのほか、シフト量を50%と100%にした場合の音量もチェックしているが、最大でも50dBA程度に収まり、一般的な指標としても「静か」な部類に入ることがわかる。

騒音計測時の様子

業務効率を高めたいならメモリ、ストレージはカスタマイズが理想

 オーソドックスな作りのmouse B5は、15.6型という本来なら据え置きメインになるはずのノートパソコンでありながら、薄型・軽量の筐体で苦労せずに持ち運びできるモビリティ性能の高さが注目ポイントの1つとなるだろう。

 また、派手な装飾が一切ない、堅実でおとなしいデザインの筐体は、オフィスワークでもテレワークでも、どこでも安心して使えるという意味で大きなメリットでもある。USB Type-C周りの使い勝手の良さや、180度開くディスプレイというさりげないギミックも、多様化するワークスタイルへの対応という意味では大事なところ。特徴的な“味付け”はないが、どんなシーンもそつなくこなす、安心感のあるモデルだ。

 幅広いワークスタイルに対応するためには、標準構成のスペックでは物足りなくなる可能性が高いこともたしか。想定している用途ギリギリを狙うより、少しでも余裕を持たせた性能にカスタマイズしておきたい。あらかじめBTOでメモリの増量やSSDのタイプ・容量変更などを検討しておくのがおすすめだ。