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14型タッチ液晶搭載で9.95mmと850gを実現! 「日本エイサー Swift 7 SF714-52T-A76Y」
2019年9月4日 12:00
日本エイサーは、薄型軽量モバイルノートPC「Swift 7」シリーズの最新モデル「Swift 7 SF714-52T-A76Y」を発表した。14型タッチ液晶搭載ながら約9.95mmの薄さと約850gの軽さを誇る、圧倒的なモバイル性能が最大の特徴となっている。
今回、いち早くSwift 7新モデルを試用する機会を得たので、ハード面を中心にチェックしていこう。
超薄型・軽量でスタイリッシュな筐体
日本エイサーの薄型軽量モバイルノートPC最新モデル「Swift 7 SF714-52T-A76Y」(以下、SF714-52T-A76Y)は、Swiftシリーズの特徴でもある薄型・軽量筐体を極限まで追求した製品となっている。
筐体をひと目見るだけでもその際立つ薄さが伝わってくるが、高さは約9.95mmと1cmを切る圧倒的な薄さとなっている。しかも、この薄さながらタッチ対応ディスプレイを搭載。タッチ対応ディスプレイ搭載ノートPCとして世界最薄を実現している。
また、フットプリントも、317.9×191.5mm(幅×奥行き)と、14型液晶搭載ノートPCとしてはかなりコンパクトだ。これは、ディスプレイ周囲のベゼルを極限まで狭めることによって実現している。「ゼロフレームディスプレイ」と呼ぶこの狭額縁ディスプレイは、画面占有率が92%にも達しており、フットプリントの小型化に貢献している。
さらに軽さも際立っており、重量は公称で約850g、実測では845gと、こちらも非常に軽い。2019年1月に発表された「Swift 7 SF714-52T」では、今回紹介しているSF714-52T-A76Yと筐体サイズはまったく同じで、重量は約890gと圧倒的な軽さが魅力だった。しかし、SF714-52T-A76Yは、新たにタッチ対応の14型液晶を採用した上で、さらなる軽量化を実現している。14型タッチ液晶搭載で850gという軽さは、驚異的とも言える。実際に本体を手に持ってみても非常に軽く、軽快に持ち歩けるという印象を強く受ける。
この軽さを実現するために、Swift 7では筐体素材としてマグネシウムリチウム合金とマグネシウムアルミニウム合金を採用。いずれも軽さと強度を兼ね備える素材で、モバイルノートPCとして十分な強度を確保しつつ、圧倒的な軽量化を実現しているわけだ。
堅牢性についてはとくに圧力耐性などの言及はないが、筐体やディスプレイ部をひねってみても大きく歪むといった印象はなく、必要十分な堅牢性を兼ね備えていると感じる。筐体素材の強度に加えて、ディスプレイ表面に米国Corning製強化ガラス「Gorilla Grass 6」の採用も、強度を高める要因となっているはずだ。
タッチ対応14型液晶ディスプレイを採用
上でも紹介しているように、Swift 7ではフルHD(1,920×1,080ドット)表示対応の14型液晶を採用している。ディスプレイベゼルは4辺とも極限まで狭められており、ディスプレイを開くとほぼ表示領域しかないといった印象も受ける。
パネルの種類はIPSで、広視野角を確保するだけでなく、sRGBカバー率100%、NTSCカバー率72%の広色域表示をサポートするとともに、輝度も300cd/平方mと明るい。ディスプレイ表面は光沢仕様となっており、発色も非常に鮮やかだが、外光の映り込みはやや気になる印象だ。
ディスプレイ表面には10点マルチタッチ対応のタッチパネルを搭載する。薄型軽量モバイルノートPCでタッチ対応を実現している製品は少数派で、とくに軽さを追求する場合にはタッチパネルの重量が不利となるが、そのなかでもあえて採用するとともに、850gの軽さを実現している点は大きな魅力となるだろう。タッチ操作は軽快に行なえるため、快適にアプリやウィンドウ操作が行なえる。
ディスプレイのベゼルが極限まで狭められていることで、ベゼル部にはWebカメラを搭載せず、キーボードの左上にポップアップ式のWebカメラを搭載している。下部から見上げる角度での撮影とはなるが、不要な時はカメラ自体を収納できるため、プライバシー保護という観点では有利となるだろう。
キーボードは配列にかなり難あり
キーボードは、キーの間隔が空いたアイソレーションタイプのキーボードを採用している。主要キーのキーピッチは19mmフルピッチを確保。ストロークは1.2mmほどとかなり浅い印象で、タッチはやや軽めだが、しっかりとしたクリック感があり、打鍵感は悪くない。また、キーボードバックライトを搭載する点も大きな特徴だ。軽さと薄さを極めようとすると、キーボードバックライトは省かれる場合が多くなるが、そのなかでも搭載している点は嬉しい。
ただし、このキーボードは配列にかなりクセがある。おそらく、極限までの薄さを追求した影響と思われるが、キーボード列が5列しかない。通常ファンクションキーなどが配置される上部のキー列が省かれており、ファンクションキーはFnキーとの併用によって利用しなければならない。また、「半角/全角」キーが「A」キーの左に配置されていたり、右「Alt」キーの右に「Del」キーを配置するなど、キー配列にはかなり無理がある。
実際に使ってみても、アルファベットキーを使うだけならそれほど大きな問題はないという印象だが、日本語入力へと切り替えたり、ファイル操作でファイルを削除する場合などにかなり戸惑った。キーボードの利便性はPC全体の利便性に直結するため、この独特な配列はかなり残念に感じる。
ポインティングデバイスは、クリックボタン一体型のタッチパッドを採用。このタッチパッドは、一般的なものより幅がかなり広く、ファイル操作は比較的やりやすい印象だ。ただ、あまりにも幅が広すぎるためか、キー入力時に手のひらがパッドに触れて誤操作が頻発する。タップ操作を切っておけば誤操作も減るが、そのぶん操作性が落ちる。そのため、どうせならもう少し幅の狭いタッチパッドを搭載してもらいたかったように思う。
ポートはThunderbolt 3×2と割り切りが必要
では、SF714-52T-A76Yの基本スペックを確認しよう。
CPUは、第8世代Coreプロセッサのなかでも超低電圧版となるCore i7-8500Yを採用する。超低電圧版CPUということで空冷ファンは搭載せず、ファンレス仕様を実現しており、ほぼ無音で利用できる。
メモリはLPDDR3-1866を標準で16GB搭載。標準で16GBと大容量のメモリを搭載する点は、動作の快適さにつながる意味で大きな魅力となるだろう。
内蔵ストレージは容量512GBのPCIe/NVMe SSDを採用。こちらも高速かつ大容量で、多くのアプリやデータを保存する場合でも心強い。
無線LANは、IEEE 802.11 axドラフト準拠、いわゆるWi-Fi 6対応の無線LANを標準で搭載する。Wi-Fi 6環境では、5GHz帯域で最大2.4Gbpsと非常に高速なデータ通信が可能。もちろんWi-Fi 6ルーターの導入は不可欠となるが、無線LANでこれだけの速度が発揮されるなら、有線LANは不要とも言える。このほか、Bluetooth 5.0も標準搭載となる。
ポートは、左側面にオーディオジャック、右側面にThunderbolt 3×2をそれぞれ用意している。USB Type-AやHDMI、メモリカードスロットなどはなく、ポートは最小限となっている。Thunderbolt 3ポートはDisplayPort Alternate ModeおよびUSB PDに対応しており、映像出力や電源供給に対応。また、パッケージには標準でHDMI、USB Type-A、USB Type-Cの各ポートを備える「USB Type-C マルチポート変換ケーブル」が付属する。
生体認証機能としてはWindows Hello対応の指紋認証センサーを採用。この指紋認証センサーは電源ボタンと一体型となっており、電源オフの状態でも一度のボタンプッシュで電源投入と指紋の読み取りを同時に行なうことで再度指紋認証センサーに触れることなくWindowsにログオンできるため、利便性に優れる。
付属ACアダプタは、USB Type-Cコネクタを採用する出力45Wのもので、本体のThunderbolt 3ポートに接続して利用する。サイズはコンパクトだが、付属電源ケーブルがやや重く、電源ケーブル込みの重量は実測で258.5gだった。別途軽量な電源ケーブルを用意すれば、より軽快に持ち歩けるだろう。
このほか、標準で専用スリーブケースも付属する。ジャストサイズなケースで、本体外装にキズを付けることなく持ち歩きたい場合に重宝するだろう。
ファンレス仕様の影響から高負荷時にはサーマルスロットリングの影響が見られる
では、ベンチマークテストの結果を紹介しよう。今回利用したベンチマークソフトは、UL LLCの「PCMark 10 v2.0.2115」、「PCMark 8 v2.8.704」、「3DMark Professional Edition v2.10.6751」、Maxonの「CINEBENCH R15.0」と「CINEBENCH R20.060」の5種類。比較用として、富士通クライアントコンピューティングの「LIFEBOOK MH75/D2」の結果も加えてある。
Swift 7 SF714-52T-A76Y | LIFEBOOK MH75/D2 | |
---|---|---|
CPU | Core i7-8500Y(1.50/4.20GHz) | Core i5-8200Y(1.30/3.90GHz) |
チップセット | ― | |
ビデオチップ | Intel UHD Graphics 615 | |
メモリ | LPDDR3-1866 SDRAM 16GB | LPDDR3-1866 SDRAM 8GB |
ストレージ | 512GB SSD(PCIe) | 256GB SSD(PCIe) |
OS | Windows 10 Home 64bit | |
PCMark 10 | v2.0.2115 | |
PCMark 10 Score | 2807 | 2641 |
Essentials | 6537 | 6234 |
App Start-up Score | 8761 | 7989 |
Video Conferencing Score | 5390 | 5199 |
Web Browsing Score | 5918 | 5834 |
Productivity | 5282 | 4969 |
Spreadsheets Score | 6119 | 5809 |
Writing Score | 4560 | 4242 |
Digital Content Creation | 1739 | 1617 |
Photo Editing Score | 2148 | 2138 |
Rendering and Visualization Score | 981 | 881 |
Video Editting Score | 2499 | 2246 |
PCMark 8 | v2.8.704 | |
Home Accelarated 3.0 | 2632 | 2494 |
Creative accelarated 3.0 | 2561 | 2525 |
Work accelarated 2.0 | 4074 | 4205 |
Storage | 5052 | 4973 |
CINEBENCH R15.0 | ||
OpenGL (fps) | 34.47 | 37.6 |
CPU | 239 | 255 |
CPU (Single Core) | 87 | 89 |
CINEBENCH R20.060 | ||
CPU | 488 | 505 |
CPU (Single Core) | 264 | 263 |
3DMark Professional Edition | v2.10.6751 | v2.9.6631 |
Cloud Gate | 4386 | 4684 |
Graphics Score | 6083 | 6405 |
Physics Score | 2220 | 2414 |
Night Raid | 2982 | 2972 |
Graphics Score | 3319 | 3417 |
CPU Score | 1893 | 1712 |
Sky Diver | 2626 | 2436 |
Graphics Score | 2536 | 2369 |
Physics Score | 3305 | 3135 |
Combined score | 2521 | 2173 |
結果を見ると、PCMark 10やPCMark 8ではほとんどがLIFEBOOK MH75/D2のスコアを上回っており、スペック相応の性能が確認できる。ただ、CINEBENCH R15.0やCINEBENCH R20.060、3DMark Professional EditionではLIFEBOOK MH75/D2のスコアを下回るものがかなり多く見られる。どちらも第8世代Core Yプロセッサだが、SF714-52T-A76Yのほうが上位のCore i7-8500Yを採用しており、この結果はやや疑問が残る。
ベンチマークテストを実行しているさいに、本体底面やキーボード上部がかなり熱くなるため、ベンチマークテスト実行中のCPUクロックをチェックしてみたところ、途中から動作クロックが大きく低下することを確認。また、その状態でキーボード上部の温度を計測してみると、45℃前後とかなり高温となっていることがわかった。このことから、高負荷時にはCPUの放熱が追いつかず、サーマルスロットリングによって動作クロックが低下し、性能が最大限に引き出せていないと考えられる。
そこで、試しに小型のファンで本体を冷却しながらCINEBENCH R20.060を実行してみたところ、CPUスコアが607と大幅に向上した。このことからも、放熱が追いついていないことがわかる。CPU負荷がそれほどかかっていない状態では、底面やキーボード上部はそれほど熱くならず、やや温かいといった程度なので、通常はそれほど問題にはならないだろう。ただ、高負荷が長時間続く作業を行なう場合には、ファンで本体を冷却するなど放熱に気を付けつつ利用したほうが良さそうだ。合わせて、底面やキーボード上部がかなり熱くなるため、その点にも注意したい。
続いてバッテリ駆動時間だ。SF714-52T-A76Yは公称で約12時間(JEITAバッテリー動作時間測定法 Ver2.0での数字)となっている。それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、バックライト輝度を50%に設定し、キーボードバックライトをオフ、無線LANを有効にした状態で、PCMark 10のBatteryテスト「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」を利用して計測したところ、約10時間12分を記録した。これだけの駆動時間なら、外出時にバッテリ残量を気にする必要はほぼないはずだ。
妥協は必要だが、14型タッチ液晶搭載で圧倒的な薄型軽量筐体はほかにはない魅力
14型の割にはクセのある配列のキーボードや、高負荷時にかなり発熱するという部分は、少し残念に感じる。これだけの薄型筐体なので、ポート類が限られる点はある意味しょうがないとはいえ、Thunderbolt 3×2のみという部分も気になる点だ。とくに、キーボードについてはあらかじめ量販店の展示機などを触って確認することが不可欠だろう。
これら部分に妥協できるなら、1cmを切る薄さと850gの軽さ、13型ノートに匹敵するコンパクトさを14型で実現しているのは素晴らしいと言える。また、CPUやメモリ、内蔵ストレージなど仕様面もなかなか充実しており、スペックはかなり魅力的な製品となっている。