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最大19時間動作! 本革をまとった13.3型2in1「HP Spectre Folio 13」レビュー

日本HP「HP Spectre Folio 13」169,800円~

日本HPは、本革を外装に採用した13.3型2in1「HP Spectre Folio 13」を日本国内向けに10月27日に発表、12月初旬より販売を開始した。

 本製品はノートブックモード、メディアモード、タブレットモードで利用できる2in1。天面、底面、パームレスト部が牛革でフルカバーされており、本革ならではの高級感、柔らかな触り心地を実現している。今回日本HPより実機を借用したので、詳細スペック、2in1としての使い勝手、AV品質、性能などについてレビューしていこう。

低消費電力を重視したYプロセッサを採用、最大19時間動作をうたう

 Spectre Folioに採用されているCPUは、第8世代(Amber Lake Y)の「Core i5-8200Y」と「Core i7-8500Y」の2種類。低消費電力を重視したYプロセッサのため、Uプロセッサ搭載PCほどの性能は望めないが、ファンレスの静音設計と、公称最大19時間のバッテリ駆動時間を実現している

 記事執筆時点でCore i5-8200Yモデルには256GBと512GB、Core i7-8500Yモデルには512GBと1TBのPCIe NVMe SSDが組み合わされており、合計4モデルがラインナップされている。メモリ容量はすべて8GBと共通で、購入時にカスタマイズすることもできない。

 ディスプレイはフルHD液晶のみ。グローバル版の既報(高級感あふれるフルグレインレザーの13.3型2in1「HP Spectre Folio」)によれば、年内に4Kディスプレイが選択可能になるとのことだが、現時点で国内向けに提供されるかどうかは不明だ。また米国ですでに発売されているWWANモデルについても発表されていない。

 カラーは「コニャックブラウン」と「ボルドーバーガンディ」の2色が用意されているが、後者は2019年早春販売開始の予定。そしてコニャックブラウンには日本語配列キーボードのみが用意されているが、ボルドーバーガンディは英語配列キーボードも用意される。英語配列キーボード派はあと少しお待ちいただきたい。

 Core i5-8200YとCore i7-8500Yの差異は、プロセッサのベースクロック、ターボブースト利用時の最大クロック、グラフィックス最大動的クロックのみ。ベンチマークスコアはともかく、体感上劇的に使い勝手が変わることはないので、ストレージ容量を最重要視して購入するモデルを選んでよいだろう。

【表1】HP Spectre Folio 13のモデル一覧 ※12月13日調べ
シリーズ名HP Spectre Folio 13-ak0000 シリーズ
製品番号13-ak0001TU13-ak0002TU13-ak0017TU13-ak0018TU
OSWindows 10 Home 64bit
CPUCore i5-8200Y(1.3~3.9GHz、2コア4スレッド)Core i7-8500Y(1.5~4.2GHz、2コア4スレッド)
GPUIntel UHD Graphics 615(300~950MHz)Intel UHD Graphics 615(300MHz~1.05GHz)
メモリLPDDR3-1866 SDRAM 8GB
ストレージ256GB PCIe NVMe SSD512GB PCIe NVMe SSD1TB PCIe NVMe SSD
ディスプレイ13.3型IPS液晶(1,920×1,080ドット、166ppi、400cd平方/m、コントラスト比・色域不明、10点マルチタッチ、光沢)※購入時非光沢液晶保護フィルムを選択可能
通信IEEE 802.11ac(2×2)、Bluetooth 4.2
インターフェイスThunderbolt 3(最大40Gb/s、USB Power Delivery、DisplayPort 1.2、HPスリープおよび充電機能付き)×2、USB Type-C 3.1 Gen 1(最大5Gb/s、USB Power Delivery、DisplayPort 1.2、HPスリープおよび充電機能付き)×1、ヘッドフォン・マイクコンボジャック×1
キーボード日本語配列バックライト内蔵キーボード(キーピッチ約19.7mm、キーストローク約1.3mm)※ボルドーバーガンディモデルは英語配列キーボードを用意
カメラ200万画素
セキュリティ顔認証センサー
SIMカードスロット
バッテリ容量54.28Wh
バッテリ駆動時間最大19時間(「MobileMark 2014」でメーカーが計測)
バッテリ充電時間50%まで30~45分以内、90%まで90分以内
本体サイズ約321×236×15.9~17.2mm(幅×奥行き×高さ)
重量約1.48kg
ペンSpectre アクティブペン2(アッシュブラック)
Microsoft Officeオプション
カラーコニャックブラウン(ボルドーバーガンディが2019年早春販売開始予定)
販売価格169,800円182,800円194,800円219,800円

2in1の変形機構と革張り仕様のためにやや重めの筐体

 Spectre Folioのサイズは約321×236×15.9~17.2mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.48kg。2in1としての変形機構と革張りという仕様のために、最新モバイルノートPCの基準から言えばやや重めだ。

 筐体のフレーム自体はアルミニウム素材で、天面、底面、パームレスト部にレザーのなかでも高品質とされている「フルグレインレザー」を使用。経年劣化を抑え長く質感と触感を維持するように「クロムなめし加工」が施されている。洋服、鞄、靴などの革製品と同様の定期的な手入れは必要だが、レザーの浮き上がり、剥がれ、気泡、表面コーティングの損傷、亀裂などはサポートの対象となっている。

 ディスプレイは13.3型IPS液晶(1,920×1,080ドット、166ppi、400cd平方/m、10点マルチタッチ、光沢)を採用。コントラスト比と色域は公表されていない。なおディスプレイ表面は「Corning Gorilla Glass 4」で保護された光沢仕様だが、購入時にプラス2,400円で非光沢タイプの「HP Spectre Folio 13-ak0000用液晶保護フィルム」を選択できる。ただし本体と別梱包になっているため、購入者が自分で貼りつける必要がある。

 インターフェイスは、Thunderbolt 3(最大40Gb/s、USB Power Delivery、DisplayPort 1.2、HPスリープおよび充電機能付き)×2、USB Type-C 3.0(最大5Gb/s、USB Power Delivery、DisplayPort 1.2、HPスリープおよび充電機能付き)×1、ヘッドフォン・マイクコンボジャック×1を用意。SDカードスロットは搭載されていない。

 カメラは、フルHD(200万画素)のWebカメラと、IR(赤外線)カメラをディスプレイ上部に搭載。IRカメラはWindows Helloによる顔認証に対応しており、電源を入れればパスワード入力なしでそのままロック解除可能だ。

 バッテリ容量について日本HPの製品公式サイトに記載はないが、米国の製品公式サイトによれば54.28Whの6セルリチウムイオン電池が搭載されている。付属の「65W USB Type-C スリムACアダプター」を使用すれば、50%まで30~45分以内、90%まで90分以内に急速充電できる。

 パッケージには本体以外に、Spectreアクティブペン2(アッシュブラック)、USB Type-C to USB A変換アダプター、65W USB Type-C スリムACアダプター、電源コード、ダックヘッド (コンセント直づけ用)、保証書、速効!HPパソコンナビ特別版などが付属する。

本体天面。メディアモード、タブレットモードに変形するさいには中央のヒンジで折れ曲がる仕様だ。天面中央やや下部にはHPのロゴが刻印されている
本体底面。革自体の模様のために非常に見にくいが、HPの創業地と創業年を記したカンパニーIDが刻印されている
本体前面
本体背面
本体右側面には、Thunderbolt 3(最大40Gb/s、USB Power Delivery、DisplayPort 1.2、HPスリープおよび充電機能付き)端子が2つ用意されている
本体左側面には、USB Type-C 3.1 Gen 1(最大5Gb/s、USB Power Delivery、DisplayPort 1.2、HPスリープおよび充電機能付き)端子、ヘッドフォン・マイクコンボジャックが配置されている
ディスプレイ面。ディスプレイ上部にはマイク、カメラランプ、フルHD(200万画素)Webカメラ、IR(赤外線)カメラを搭載。またディスプレイ下部にはWi-Fi用アンテナが内蔵されている
コニャックブラウンは日本語配列キーボードのみを用意。ボルドーバーガンディモデルには英語配列キーボードも用意される
ディスプレイ上部を押すと、ディスプレイ全体がうしろに倒れ、認証情報やプロダクトID、シリアルナンバーなどを確認できる
左上から、本体、USB Type-C to USB A変換アダプター、ペンループ、Spectreアクティブペン2(アッシュブラック)、交換用ペン先、Spectreアクティブペン2のマニュアル、クイックスタート(ガイド)、65W USB Type-C スリムACアダプター、ダックヘッド (コンセント直づけ用)、電源コード、説明書等、速効!HPパソコンナビ特別版
ディスプレイ全体をうしろに倒した状態で、磁力を視覚化する「マグネットビューワー」を金属筐体にあてがうと各モードで固定するための多くの磁石が確認できた
パームレスト部にも多くの磁石が内蔵されている。磁気カードはあまり近づけないほうがよさそうだ
製品は二重箱で出荷される。これは内箱
Spectreアクティブペン2をSpectre Folioに装着するためのペンループ
フィルムをはがすとペンループを本体に貼りつけられる
標準同梱されるSpectreアクティブペン2
クリップ部を少し回転させてからうしろにずらすと、充電用USB Type-C端子が現われる
65W USB Type-C スリムACアダプター、ダックヘッド (コンセント直づけ用)、電源コード。ACアダプタのコード長は約183cm、電源コードの長さは約100cm
65W USB Type-C スリムACアダプターの仕様は、入力100-240V~1.6A、出力5V/3A、9V/3A、12V/5A、15V/4.33A、20V/3.25A、容量は65W
USB Type-C to USB A変換アダプター
Spectre Folioの実測重量は約1,485g
65W USB Type-C スリムACアダプターとダックヘッドの合計重量は実測244g
システム情報
主要なデバイス
Windows 10のバージョン1803適用後、初期状態に戻したさいのCドライブの空き容量は448.84GB(512GBモデルの場合)
「powercfg /batteryreport」コマンドを実行したところ、DESIGN CAPACITYは54,285mWh、FULL CHARGE CAPACITYは55,409mWhと表示された

底面がつねに一枚板で接地しているので安定性が高い

 Spectre Folioは、クラムシェルスタイルの「ノートブックモード」、コンテンツを鑑賞する「メディアモード」、指やペンだけで操作する「タブレットモード」に変形可能。ディスプレイを閉じている状態は「フォリオモード」と名づけられている。

 2in1は、MicrosoftのSurfaceシリーズのキックスタンドを踏襲している製品が多いが、Spectre Folioはディスプレイ中央部にヒンジを設けつつも、ディスプレイ下部を手前にスライドさせて、メディアモード、タブレットモードに変形する構造を採用している。通常のキックスタンドでは本体とスタンドの間に隙間があるので膝上に置きにくいが、Spectre Folioは底面がつねに一枚板で接地しているので安定性が高い。

 またディスプレイ、キーボード以外は本革で覆われており金属筐体が直接ふれることがないので、記事執筆時点のような寒い時期でも極端な冷たさを感じない。360度ディスプレイ回転型2in1のような「テントモード」では利用できないが、2in1の変形機構としては理にかなっていると思う。

 キーボードはキーピッチ約19.7mm、キーストローク約1.3mmが確保されており、打鍵感は良好で、打鍵音も比較的低めに抑えられている。しかし、個人的には右端に「home」、「Page Up」、「Page Down」、「End」ボタンが配置されているのが使いにくかった。これから永遠に本製品を使い続けるわけではないので、変則的なキー配置に慣れたくないというのが正直な感想だ。とはいえHPの複数のノートPCで採用されているキー配列なので、愛用者も多いのだろう。筆者の個人的な好みなのでお許しいただきたい。

 デジタイザペン「Spectreアクティブペン2」は、筆圧検知1,024段階、傾き検知に対応。「Microsoft Pen Protocol(MPP)」が採用されており、「Surface Pro」、「Surface Pro 6」、「Surface Go」と同程度の描線の追従性を確認できた。またペン先は1種類だが適度な摩擦感があり、細かな文字も描きやすい点も好印象だ。もし書き味が気に入らないようであれば、保障外の使い方になるが「Surfaceペン」を購入し、硬さの異なるペン先を試そう。

フォリオモード(左上)、ノートブックモード(右上)、メディアモード(左下)、タブレットモード(右下)に変形できる
キーピッチ約19.7mm、キーストローク約1.3mmが確保されている
個人的には、右端に「home」、「pg up」、「pg dn」、「end」ボタンが配置されているのが苦手だ
バックライトは2段階に調節できる。写真ではわかりにくいが、左から消灯、弱、強に設定した状態で撮影している
「Microsoft Pen Protocol(MPP)」が採用されており、同じ規格を使っている「Surfaceペン」や「デル・プレミアム・アクティブ・ペン(PN579X)」が利用できることを今回確認した。しかし、あくまでも保障外の使い方なので、自己責任で利用してほしい
Spectreアクティブペン2は表面がツルツルしており滑りやすい。Spectre Folio本体の本革の質感に合わせた、マット調の新型ペンの登場に期待したい
機能アイコンの上にペン先を走らせると線が一瞬表示される。描線の追従性を高めるため、CPUを介さずに直接画面に描画している証だ

sRGBカバー率は99.6%と必要十分、サウンドはやや無理を感じる

 今回の借用機には、13.3型IPS液晶ディスプレイ(1,920×1,080ドット、166ppi、400cd平方/m、10点マルチタッチ、光沢)が搭載されている。色域について記載はないが、ディスプレイキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で確認したところ、sRGBカバー率が99.6%、sRGB比が104.8%、Adobe RGBカバー率が76.5%、Adobe RGB比が77.7%という数値が出た。2in1のsRGBカバー率としては平均以上の色域だ。

 サウンドについては、高級オーディオブランド「Bang & Olufsen」と共同チューニングしたクアッドスピーカーが内蔵されており、ボリュームは十分で、音の広がりや躍動感は悪くない。しかし最大ボリュームでは無理に出力を上げているような苦しさが感じられる。また低音も物足りない。筆者が一定以上のボリュームで映像、音楽コンテンツを楽しむさいには、ヘッドフォンやスピーカーなどを別途用意したいと思う。

現在日本で販売されているのはフルHD解像度の13.3型IPS液晶ディスプレイのみ。色域は公表されていないが、発色は自然で癖がない。なおモアレは実際には見えない
ディスプレイキャリブレーション機器「i1Display Pro」と色度図作成ソフト「ColorAC」で確認したsRGBカバー率は99.6%、sRGB比は104.8%
Adobe RGBカバー率は76.5%、Adobe RGB比は77.7%
高級オーディオブランド「Bang & Olufsen」と共同チューニングしたクアッドスピーカーをキーボード奥に上向きに内蔵している
YouTubeで公開されている「前前前世 (movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生したさいの音圧レベルは最大84.1dBA(50cmの距離で測定)

バッテリ残量5%までの条件で17時間29分2秒の連続動作時間を達成

 最後にベンチマークスコアを見てみよう。今回は下記のベンチマークを実施している。

  • 総合ベンチマーク「PCMark 10 v1.1.1739」
  • 3Dベンチマーク「3DMark v2.6.6238」
  • CPU/OpenGLベンチマーク「CINEBENCH R15.0」
  • CPU/OpneCLベンチマーク「Geekbench 4.3.1」
  • ゲーミングPCベンチマーク「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」
  • ゲーミングPCベンチマーク「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」
  • ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 6.0.2」
  • バッテリベンチマーク「BBench」で連続動作時間を計測

 下記が検証機の仕様とその結果だ。

【表2】検証機の仕様
HP Spectre Folio 13-ak0017TU
CPUCore i7-8500Y(1.5~4.20GHz、2コア4スレッド)
GPUIntel UHD Graphics 615(300MHz~1.05GHz)
メモリLPDDR3-1866 SDRAM 8GB
ストレージ512GB PCIe NVMe SSD
ディスプレイ13.3型、1,920×1,080ドット
TDP5W
OSWindows 10 Home 64bit
サイズ約321×236×15.9~17.2mm(幅×奥行き×高さ)
重量約1.48kg
【表3】ベンチマーク結果
HP Spectre Folio 13-ak0017TU
PCMark 10 v1.1.1739
PCMark 10 Score3,116
Essentials7,063
App Start-up Score9,518
Video Conferencing Score5,973
Web Browsing Score6,200
Productivity5,827
Spreadsheets Score7,151
Writing Score4,749
Digital Content Creation1,997
Photo Editing Score2,503
Rendering and Visualization Score1,183
Video Editting Score2,690
3DMark v2.6.6238
Time Spy342
Fire Strike Ultra235
Fire Strike Extreme452
Fire Strike924
Sky Diver3,743
Night Raid3,804
Cloud Gate6,679
Ice Storm Extreme29,959
Ice Storm42,002
CINEBENCH R15.0
OpenGL43.61 fps
CPU302 cb
CPU(Single Core)143 cb
Geekbench 4.3.1
32-bit Single-Core Score4,259
32-bit Multi-Core Score7,653
64-bit Single-Core Score4,807
64-bit Multi-Core Score8,430
OpenCL32,079
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット3735
FINAL FANTASY XV BENCHMARK
1,280×720ドット、標準品質、フルスクリーン707(動作困難)
SSDをCrystalDiskMark 6.0.2で計測
Q32T1 シーケンシャルリード3,102.963 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト1,332.945 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード440.544 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト285.806 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード257.053 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト268.420 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード40.514 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト94.285 MB/s
外付けThunderbolt 3 SSDをCrystalDiskMark 6.0.2で計測(右側奥)
Q32T1 シーケンシャルリード2,810.136 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト2,119.863 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード601.753 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト470.421 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード213.011 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト164.361 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード38.608 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト83.735 MB/s
外付けThunderbolt 3 SSDをCrystalDiskMark 6.0.2で計測(右側手前)
Q32T1 シーケンシャルリード2,808.524 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト2,120.919 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード614.159 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト376.116 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード208.689 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト179.206 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード39.470 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト84.810 MB/s
BBenchにより連続動作時間を計測(ディスプレイの明るさ40%、電源モード:高パフォーマンス)
バッテリ残量5%まで17時間29分2秒
BBenchにより充電時間を計測(ディスプレイの明るさ40%、電源モード:最も高いパフォーマンス)
バッテリ残量5%から100%まで2時間23分38秒
バッテリ残量5%から80%まで1時間15分18秒
バッテリ残量5%から50%まで39分4秒

 低消費電力を重視したYプロセッサを採用しているだけに、Uプロセッサを搭載する最新モバイルノートPCと比較するとCINEBENCH R15のCPUスコアは200以上引き離された302 cbにとどまっている。Spectre Folioの「よくあるご質問」にも性能について「“簡易的”な写真・動画編集も快適にお楽しみいただけます」と記載されているので、本格的にクリエイティブ系アプリを利用するには厳しいということだろう。

 しかし、ストレージ速度はシーケンシャルリードで3,102.963 MB/s、シーケンシャルライトで1,332.945 MB/sと高いスコアを記録した。Web閲覧、コンテンツ鑑賞、オフィスアプリなどを利用するかぎりはストレスを感じることはないはずだ。

 また今回Thunderbolt 3ポータブルSSD「Samsung Portable SSD X5」を接続してストレージ速度を計測してみたが、対応する右側面の2つの端子のどちらでもシーケンシャルリード2,800 MB/s越え、シーケンシャルライト2,100 MB/s越えのスコアを記録した。Samsung Portable SSD X5のスペックどおりの転送速度が出ていることから、PCI Express 3.0 x4レーンで接続されているものと思われる。

 特筆しておきたいのがバッテリ駆動時間。バッテリ残量5%までという条件で、BBenchで17時間29分2秒もの連続動作時間を達成した。わずかにディスプレイの輝度を落として、バッテリ残量0%まで動作させれば、カタログスペックの19時間へ優に到達するはずだ。

 ファンレス仕様ということで発熱について懸念していたが、室温17.7℃の部屋でCINEBENCH R15.0のCPUを連続で5回実行したときの表面の最大温度は43.2℃、裏面の最大温度は44.6℃にとどまった。最大温度を記録しているのは表面、裏面ともにヒンジに近い場所なので、膝上で利用していても熱を不快に感じることはないはずだ。

CINEBENCH R15.0のCPUを連続で5回実行したときの表面の最大温度は43.2℃
裏面の最大温度は44.6℃
65W USB Type-C スリムACアダプターの最大温度は31.8℃

長時間無充電で使い倒せるモバイル特化型の2in1

 HPのプレミアムブランドである「Spectre」シリーズとしてリリースされたHP Spectre Folio 13だが、Yプロセッサを採用しているため突出した処理性能を備えてはいない。しかしシーケンシャルリードで3,100MB/sを超える高速ストレージを搭載したことにより、日常的な用途であれば体感速度にまったくストレスはない。低消費電力プロセッサに大容量54.28Whバッテリを組み合わせた本製品は、長時間無充電でPCワークに使い倒したいという方にとって非常に魅力的な選択肢と言える。