Hothotレビュー

ペン対応で4コアCPU搭載の360度回転式13.3型2in1「HP Spectre x360」

日本HP「HP Spectre x360」直販価格139,800円~

 日本HPは、11月17日にディスプレイ360度回転型の13.3型2in1 PC「HP Spectre x360」を発表、同日より販売を開始した。

 Spectreは同社のコンシューマ向けフラグシップブランド。本製品はマイナーチェンジモデルで、第8世代(Kaby Lake Refresh世代)の4コア8スレッドCPUを搭載したほか、プライバシースクリーン機能「HP Sure View」を一部モデルでオプションとして選択可能になっている。

 今回日本HPより実機を借用したので、詳細スペック、使い勝手、AV機能、性能などについてレビューしていこう。

1,000台限定でローズゴールドのスペシャルエディションを用意

 HP Spectre x360には標準モデルとして、以下の4モデルが用意されている。

  • ベーシックモデル(139,800円~)
    Windows 10 Home/Core i5/メモリ8GB/SSD256GB/フルHD液晶
  • スタンダードモデル(159,800円~)
    Windows 10 Home/Core i7/メモリ16GB/SSD 512GB/フルHD液晶
  • プロフェッショナルモデル(179,800円~)
    Windows 10 Pro/Core i7/メモリ16GB/SSD 1TB/フルHD液晶
  • パフォーマンスモデル(179,800円~)
    Windows 10 Pro/Core i7/メモリ16GB/SSD 1TB/4K液晶

 今回日本HPより借用したのはプロフェッショナルモデルだ。

 従来はアッシュブラックとナチュラルシルバーの2色展開だったが、今回は1,000台限定でローズゴールドを用意。キーボードは英語仕様で、Windows 10 Home/Core i5/メモリ8GB/SSD 256GB/フルHD液晶のベーシックモデル(149,800円~)、Windows 10 Home/Core i7/メモリ16GB/SSD 512GB/フルHD液晶のスタンダードモデル(169,800円~)、Windows 10 Pro/Core i7/メモリ16GB/SSD 512GB/フルHD液晶のプロフェッショナルモデル(177,800円~)をラインナップした。

 この限定カラーモデルは標準モデルよりベーシックモデル、スタンダードモデルは1万円高く、プロフェッショナルモデルは容量が約半分になったSSDが採用されているが、購入時の選択肢が増えていることは素直に喜ぶべきだ。

左からローズゴールド、アッシュブラック、ナチュラルシルバー

 話を標準モデルに戻そう。購入時の注意点は3つだ。

 1つ目は覗き見防止のプライバシースクリーン機能「HP Sure View」を選べるのはフルHD(1,920×1,080ドット)ディスプレイを搭載するベーシック、スタンダード、プロフェショナルモデルのアッシュブラックカラーのみであること。4K(3,840×2,160ドット)ディスプレイを搭載するパフォーマンスモデルではHP Sure Viewを選択できない。HP Sure Viewについては、別記事(個人でも買える、買いたくなる法人向け12.5型2in1「HP EliteBook x360 1020 G2」を試す)の該当部分を参照してほしい。

 2つ目の注意点は4Kディスプレイモデルのバッテリ駆動時間が短いこと。フルHDディスプレイモデルのバッテリ駆動時間は約16時間45分だが、4Kディスプレイモデルは約10時間と6時間45分も短くなっている。

 3つ目はプロフェショナル、パフォーマンスモデルにしかアクティブペンが付属しないこと。アクティブペンがほしいなら、購入時にオプションとして「Spectreアクティブペン」(8,000円)を選択する必要がある。

 なおHP Spectre x360は購入時に低反射タイプの液晶保護フィルム(2,400円)を追加可能だ。もし光沢ディスプレイを好まないのならセット購入をおすすめする。ただし4Kディスプレイに貼るとせっかくの解像感が失われる可能性もあるので、ご留意いただきたい。

【表1】HP Spectre x360標準モデルの主要スペック
ベーシックモデルスタンダードモデルプロフェッショナルモデルパフォーマンスモデル
OSWindows 10 Home 64bitWindows 10 Pro 64bitWindows 10 Home 64bit
CPUCore i5-8250U(1.6~3.4GHz)Core i7-8550U(1.8~4GHz)
GPUIntel UHD Graphics 620(300MHz~1.1GHz)Intel UHD Graphics 620(300MHz~1.15GHz)
メモリLPDDR3-2133 SDRAM 8GBLPDDR3-2133 SDRAM 16GB
ストレージ256GB SSD(PCIe NVMe M.2)512GB SSD(PCIe NVMe M.2)1TB SSD(PCIe NVMe M.2)
ディスプレイ13.3型フルHD液晶(1,920×1.080ドット、166ppi、グレア、タッチ対応、輝度300cd/平方m)※プライバシーモード機能オプション13.3型UHD液晶(3,840×2,160ドット、331ppi、グレア、タッチ対応、輝度340cd/平方m)
通信IEEE 802.11ac、Bluetooth 4.2
インターフェイスUSB 3.1 Type-C(Thunderbolt 3対応、電源オフUSBチャージ機能対応)×2、USB 3.1 Type-A(電源オフUSBチャージ機能対応)、マイクロフォン/ヘッドフォン・コンボ・ジャック、microSDカードスロット、フルHD Webカメラ(約200万画素)
バッテリ容量62,093mWh(powercfg /batteryreportで計測)
バッテリ駆動時間約16時間45分約10時間
バッテリ充電時間30分で50%充電できる「ファストチャージ(急速充電)」に対応
本体サイズ/重量307×218×13.6mm(幅×奥行き×高さ)/約1.29kg
セキュリティWindows Hello対応(IRカメラ&指紋認証)
アクティブペンなし同梱
Microsoft Officeなし(カスタマイズ可能)
カラーアッシュブラック、ナチュラルシルバーアッシュブラック
税別直販価格139,800円~159,800円~177,800円~189,800円~

4コア8スレッドの第8世代(Kaby Lake Refresh世代)CPUを採用

 前述のとおりHP Spectre x360には、4コア8スレッドの第8世代(Kaby Lake Refresh)CPUの「Core i5-8250U(1.6~3.4GHz)」または「Core i7-8550U(1.8~4GHz)」が搭載されている。メモリはLPDDR3-2133 SDRAMで8GBまたは16GB、ストレージは256GB、512GB、1TBのSSD(PCIe NVMe M.2)が搭載されている。

 ディスプレイは13.3型フルHD(1,920×1.080ドット)液晶と13.3型4K(3,840×2,160ドット)液晶を用意。4K液晶は解像度が高いだけでなく、輝度も340cd/平方mとフルHD液晶よりも40cd/平方m向上しているが、消費電力が高いようで、前述のとおりバッテリ駆動時間が約16時間45分→約10時間と大幅に短くなっている。解像度と輝度を取るか、連続動作時間を取るか悩ましいところだ。

 通信機能はIEEE 802.11ac、Bluetooth 4.2に対応。インターフェイスはUSB 3.1 Type-C(Thunderbolt 3対応、電源オフUSBチャージ機能対応)×2、USB 3.1 Type-A(電源オフUSBチャージ機能対応)、マイクロフォン/ヘッドフォンコンボジャック、microSDカードスロットと、スマートな筐体ながら豊富に用意されている。ただ個人的にはフルサイズのSDカードスロットが搭載されていない点が残念だ。

 バッテリ容量は公表されていないが「powercfg /batteryreport」コマンドを実行したところ、DESIGN CAPACITY、FULL CHARGE CAPACITYともに62,093mWhと表示された。

 本体サイズは307×218×13.6mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.29kg。正直持ったときにはそれなりの重量を感じる。しかし剛性感やバッテリ駆動時間を考慮すれば個人的には許容範囲だ。

 アルミニウムをCNC精密加工で削り出したユニボディは、表面の梨地処理や、ダイヤモンドカット加工によりフラグシップモデルにふさわしい質感を備えている。また、360度回転可能な複雑なヒンジ機構を備えているが、ディスプレイを開いた状態で揺さぶっても、不快なキシミ音はほとんど発生しない。剛性はしっかりと確保されている。

本体天面。hpのロゴは鏡面仕上げ。筐体表面には梨地処理が施されており、細かな傷が付いてもあまり目立たない
本体底面。上部左右にはステレオスピーカーが、下部には冷却口が設けられている。ゴム足は一文字に長いパーツが上部、下部に配置されており、テーブルなどに安定して設置できる
本体前面。中央には指をかけるスリットが用意されており、指1本でスムーズにディスプレイを5cmほど開ける
本体背面。あまり目立たないが、本体側に冷却口が設けられている
本体右側面。左からボリュームボタン、指紋リーダ、USB 3.1 Type-C(Thunderbolt 3対応、電源オフUSBチャージ機能対応)×2を配置
本体左側面。左からUSB 3.1 Type-A(電源オフUSBチャージ機能対応)、マイクロフォン/ヘッドフォン・コンボ・ジャック、電源ボタン、microSDカードスロットを用意
ディスプレイ面。上部中央にHP TrueVision フルHD Webcam (約200万画素)とIR カメラが、その両横に内蔵デュアルマイクが配置されている
キーボード面。キーボード奥にはBang & Olufsenスピーカーを搭載
本体パッケージ
本体同梱物一覧。左上から本体、マニュアル(セットアップ手順、HP Service & Support パソコン生活まるごとガイドブック、サービスおよびサポートを受けるには、アンケートご協力へのお願い、製品の仕様に関する注意事項、HP MYステッカーサービス、プレミアムキャッシュバック)、専用スリーブケース、ACアダプタ、電源コード、Spectreアクティブペン、Spectreアクティブペンのマニュアル、単6電池、速効!HPパソコンナビ特別版
ACアダプタ。コード長は実測約175cm
ACアダプタの仕様は、入力100-240V~1.7A、出力5V/3A、9V/3A、10V/5A、12V/5A、15V/4.33A、20V/3.25A、容量は65W
ダックヘッドを取り外して、電源コードを使用可能。電源コードの長さは実測約100cm
本体の実測重量は1237.5g
ACアダプタの実測重量は256.5g
Spectreアクティブペンの実測重量は16.5g
システム情報
主要なデバイス
全アップデート適用後(12月22日時点)のディスク情報。空き容量は897.81GB
「powercfg /batteryreport」コマンドを実行したところ、DESIGN CAPACITY、FULL CHARGE CAPACITYともに62,093mWhと表示された

やや音の大きいキーボード、Spectreアクティブペンの書き味は硬め

 HP Spectre x360は、キーボードをメインに使用するノートブックモード、動画鑑賞に最適なスタンドモード、狭い面積に設置できるテントモード、タブレット端末として利用できるタブレットモード、対面の相手と画面を共有できるフラットモードの5つのスタイルに変形可能だ。

 もちろん、ディスプレイを180度以上回転させればキーボードは無効化されるし、キーボード面にはキー全体を囲むように4隅に樹脂製の足が設けられており、キートップがテーブルに直接接地しないように配慮されている。片手で持つタブレット端末としてはちょっと重すぎるが、それを除けばどのスタイルでも快適に利用できる。

 キーボードは89キーのJIS標準準拠仕様で、キーピッチは約18.7×18.7mm、キーストロークは約1.3mm。打鍵感は良好だが、先日レビューした「HP EliteBook x360 1020 G2」よりも打鍵音を大きく感じた。静かな喫茶店などではあまり大きな音を立てないように、強く底打ちしないなどの配慮が必要そうだ。

キーボードを検証

 基本的には打ちやすいキーボードだが、個人的にはEnterキーの右横に縦に一列キーが並んでいるのは好みではない。テンキーのないノートPC用キーボードではEnterキーの右横にキーがあるのは少数派。今後ほかのノートPCも使うことを考えると、HP Spectre x360のキー配列に慣れたくないというのが率直な感想だ。

 実測120×60mm(幅×奥行き)のタッチパッドはダイビングボード構造が採用されており、クリック感も悪くないが、やや沈み込みが深いこと、また押す場所によって深さに差があるのが気になった。とくに右手前は、体感的に1.3倍ぐらい深いように感じる。

 また、Windows 10の高精度タッチパッドに対応しておらず、ジェスチャーを「Synaptics ClickPad」で設定する点もマイナスポイント。Windows 10の標準的なジェスチャーはサポートされているが、OSアップデートで新しいジェスチャーが追加されてもすぐに利用できない可能性が高い。

 筆圧感知1,024段階のSpectreアクティブペンの書き味はかなり硬めだ。個人的にはペン先の引っかかりが少ないため、細かな文字を書きにくく感じた。SpectreアクティブペンはMicrosoft Pen Protcol(MPP)に対応しているので、もし書き味に不満を感じたら保証はないが「Surfaceペン」を利用するといい。Surfaceペンには異なる硬さのペン先が用意されているので、好みの書き味のペン先が見つかるはずだ。

デジタイザペンで検証

 Windows Hello対応の認証システムとして、IRカメラ(赤外線カメラ)と指紋認証センサーの2つが用意されている点は高く評価できる。利便性はIRカメラのほうが上だが、赤外線を含む太陽光が降り注いでいる屋外では正常に動作しないことが多い。状況に応じて認証システムを使い分けられるのは便利なので、ぜひほかのノートPCでも両対応してほしいものだ。

左上からノートブックモード、スタンドモード、テントモード、タブレットモード
対面の相手と画面を共有できるフラットモード
キーボードの4隅に樹脂製の足が設けられているので、キーボード面を下に向けて設置しても、キートップがテーブル面に接地しない
キーボードは89キーのJIS標準準拠仕様。Enterキーの右横に縦に一列キーが配置されているので、Enterキーを打ちづらい
キーピッチは約18.7×18.7mm、キーストロークは約1.3mm
キーボードにはバックライトが内蔵されているが、明るさは調節できない
タッチパッドはダイビングボード構造で実測120×60mm(幅×奥行き)
筆圧感知1,024段階のSpectreアクティブペンはMicrosoft Pen Protcol(MPP)に対応
Spectreアクティブペンの書き味はかなり硬め。もし筆者がHP Spectre x360を購入したら、保証はないがSurfaceペンを利用する
ディスプレイ上部にIRカメラ(赤外線カメラ)を搭載。ディスプレイに顔を向ければロック解除できる
右側面には指紋認証センサーを搭載。IRカメラが動作しにくい屋外などで、ロック解除のためのバックアップとして重宝する

モバイルノートPCとしては標準的な色域、クラスを超えたサウンド

 今回借用したのはプロフェッショナルモデルなので、ディスプレイは13.3型フルHD液晶(1,920×1.080ドット、166ppi、光沢、タッチ対応、輝度300cd/平方m)が搭載されている。解像度を物足りなく感じる方もいるかもしれないが、個人的には13.3型ならフルHDで十分。ただしスケーリングが標準で150%に設定されているので、デスクトップをもっと広く使うために100%または125%に変更したほうがいい。

 色域は公表されていないが、本製品のICCプロファイルをディスプレイキャリブレーション機器「i1Display Pro」で作成して、色度図を作る「ColorAC」で確認してみたところ、sRGBカバー率が92.3%、sRGB比が100.9%、Adobe RGBカバー率が71.4%、Adobe RGB比が74.8%と、モバイルノートPCとしては標準的な色域を備えていることが確認できた。貸し出し機の色味はやや青みが強く感じられたが、「画面の色調整」で十分補正できるレベルだ。

ディスプレイは13.3型フルHD液晶(1,920×1.080ドット、166ppi、光沢、タッチ対応、輝度300cd/平方m)。標準のスケーリングは150%に設定されている
貸し出し機の色味はやや青みが強く感じられた
実測したsRGBカバー率は92.3%、sRGB比は100.9%
実測したAdobe RGBカバー率は71.4%、Adobe RGB比は74.8%

 HP Spectre x360はBang & Olufsenのスピーカーをキーボード面の上部に2つ、底面に2つ、合計4つ搭載している。そのサウンドは、ボリューム、音の広がり、解像感などモバイルノートPCとしてはかなり高いレベルだ。頭の位置がずれると極端に聞こえ方が変わるようなピーキーさもない。最大ボリュームではさすがに音に無理が感じられるが、80%ぐらいのボリュームであれば十分鑑賞に堪える音質と言える。

Bang & Olufsenのスピーカーをキーボード面の上部に2つ、底面に2つ搭載している
YouTubeで公開されている「前前前世 (movie ver.) RADWIMPS MV」を最大ボリュームで再生したさいの音圧レベルは最大86.3dBA(50cmの距離で測定)

4コア8スレッド化の効果は絶大、ストレージ速度は旧型より劣る

 最後にベンチマークスコアを見てみよう。今回は下記のベンチマークを実施している。

  • 総合ベンチマーク「PCMark 10 v1.0.1403」
  • 総合ベンチマーク「PCMark 8 v2.8.704」
  • 総合ベンチマーク「PCMark 7 v1.4.0」
  • 3Dベンチマーク「3DMark v2.4.4163」
  • CPU、OpenCLのベンチマーク「Geekbench 4.2.0」
  • CPUのベンチマーク「Geekbench 3.4.1」
  • CPU、OpenGLのベンチマーク「CINEBENCH R15」
  • ゲーミングPCベンチマーク「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」
  • ゲーミングPCベンチマーク「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」
  • ゲーミングPCベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」
  • ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 6.0.0」
  • 「Adobe Photoshop Lightroom CC」RAW画像の現像時間を計測
  • 「Adobe Premiere Pro CC」フルHD動画の書き出し時間を計測
  • 「BBench」連続動作時間を計測

 今回は比較用に、HP Spectre x360の旧モデルのスコアを流用している。旧モデルでは13.3型4K液晶(3,840×2,160ドット)を搭載したモデルで計測しているので、その点を考慮して比較する必要がある。しかし解像度に依存しないベンチマークについては第7世代(Kaby Lake世代)の「Core i7-7500U」から第8世代(Kaby Lake Refresh世代)の「Core i7-8550U」にアップグレードしたことにより、どの程度性能が向上したのか参考になるはずだ。

 下記が検証機の仕様と、その結果だ。

【表2】検証機の仕様
HP Spectre x360(新型)HP Spectre x360(旧型)
CPUCore i7-8550U(1.8~4GHz)Core i7-7500U(2.7~3.5GHz)
GPUIntel UHD Graphics 620(300MHz~1.15GHz)Intel HD Graphics 620(300MHz~1.05GHz)
メモリLPDDR3-2133 SDRAM 16GBLPDDR3-1866 SDRAM 16GB
ストレージ1TB SSD(PCIe NVMe M.2)
OSWindows 10 Pro 64bit
ディスプレイ13.3型、1,920×1,080ドット(166ppi)13.3型、3840×2160ドット(331dpi)
【表3】ベンチマーク結果
HP Spectre x360(新型)HP Spectre x360(旧型)
PCMark 10 v1.0.1403
PCMark 10 Score3,761
Essentials7,831
App Start-up Score9,552
Video Conferencing Score7,147
Web Browsing Score7,036
Productivity6,578
Spreadsheets Score7,937
Writing Score5,453
Digital Content Creation2,803
Photo Editing Score3,332
Rendering and Visualization Score1,814
Video Editting Score3,645
PCMark 8 v2.8.704
Home Accelarated 3.03,7963,033
Creative Accelarated 3.04,9824,281
Work Accelarated 2.04,7543,849
Storage4,944
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score5,8775,638
3DMark v2.4.4163
Time Spy382378
Fire Strike Ultra236227
Fire Strike Extreme467442
Fire Strike962945
Sky Diver4,1734,000
Cloud Gate7,9056,433
Ice Storm Extreme50,09041,762
Ice Storm68,82950,807
CINEBENCH R15
OpenGL45.27 fps43.35 fps
CPU468 cb331 cb
CPU(Single Core)105 cb
Geekbench 4.2.0
32-bit Single-Core Score4,0923,722
32-bit Multi-Core Score12,9617,146
64-bit Single-Core Score4,6124,159
64-bit Multi-Core Score14,1507,682
OpenCL22,28920,080
Geekbench 3.4.1 Intel(32-bit)
Single-Core Score3,6183,525
Single-Core Score Integer3,8063,528
Single-Core Score Floating Point3,3753,480
Single-Core Score Memory3,7293,611
Multi-Core Score12,3037,409
Multi-Core Score Integer15,0118,370
Multi-Core Score Floating Point13,6668,326
Multi-Core Score Memory4,1613,657
Geekbench 3.4.1 Intel(64-bit)
Single-Core Score3,7713,689
Single-Core Score Integer4,0803,771
Single-Core Score Floating Point3,4853,656
Single-Core Score Memory3,7263,593
Multi-Core Score13,1047,732
Multi-Core Score Integer15,9788,941
Multi-Core Score Floating Point14,7128,507
Multi-Core Score Memory4,1433,766
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット4,5034,252
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト
1,280×720ドット8,5957,998
ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク
1,280×720ドット 高品質(ノートPC)3,908(快適)
1,920×1,080ドット 高品質(ノートPC)2,112(普通)
1,920×1,080ドット 高品質(デスクトップPC)1,452(設定変更が必要)
ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク
1,280×720ドット 高品質(ノートPC)1,523(設定変更を推奨)
1,920×1,080ドット 高品質(ノートPC)1,418(設定変更が必要)
1,920×1,080ドット 高品質(デスクトップPC)1,110(設定変更が必要)
SSDをCrystalDiskMark 6.0.0で計測
Q32T1 シーケンシャルリード1791.212 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト1047.192 MB/s
4K Q8T8 ランダムリード1037.058 MB/s
4K Q8T8 ランダムライト712.583 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード488.235 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト408.566 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード46.929 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト147.393 MB/s
SSDをCrystalDiskMark 5.2.1で計測
Q32T1 シーケンシャルリード3,238.547 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト1,757.382 MB/s
4K Q32T1 ランダムリード533.286 MB/s
4K Q32T1 ランダムライト435.885 MB/s
シーケンシャルリード1,599.722 MB/s
シーケンシャルライト1,737.622 MB/s
4K Q1T1 ランダムリード47.964 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト175.261 MB/s
Adobe Photoshop Lightroom Classic CCで50枚のRAW画像を現像
4,912☓3,264ドット、自動階調1分56秒583分3秒05
Adobe Premiere Pro CCで実時間5分のフルHD動画を書き出し(H.264)
1,920×1,080ドット、30fps5分2秒016分47秒15
BBenchにより連続動作時間を計測(ディスプレイの明るさ40%)
バッテリー残量5%まで13時間35分11秒10時間26分34秒

 まずはCPUの性能を見ていこう。

 CINEBENCH R15のCPUスコアは新型が468 cb、旧型が331 cbと約1.41倍に向上している。Geekbench 4.2.0の64-bit Multi-Core Scoreでは新型が14,150、旧型が7,682と約1.84倍、Geekbench 3.4.1 Intel(64bit)のMulti-Core Scoreでも新型が13104、旧型が7,732と約1.69倍に向上しているので、新世代CPUの性能は着実に表われていると言える。

 一方、あまり振るわない結果となったのがグラフィックス性能。3DMark、モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】、ドラゴンクエストX ベンチマークソフトのスコアを見たかぎり、あまり大幅なスコア向上は見られない。ゲーム用途では新型に乗り換えても大きな恩恵はなさそうだ。

 少々がっかりさせられたのがストレージベンチマーク。Q32T1 シーケンシャルリードで、新型が1,791.212 MB/s、旧型が3,238.547 MB/sと逆転現象が起きている。同じM.2形状PCIe NVMe接続のSSDを採用しているが、新型は東芝製「THNSN51T02DUK」、旧型はサムスン製「MZVLW1T0HMLH-000H1」を搭載していた。すべての製品で同じパーツが使われているとはかぎらないが、少なくとも前回と今回の借用機で大きな性能差があったのは事実だ。

 一方、実アプリケーションの実効速度は大幅に改善されていた。LightroomのRAW画像現像では新型が1分56秒58、旧型が3分3秒05、PremiereのフルHD動画書き出しでは新型が5分2秒01、旧型が6分47秒15と劇的な処理時間短縮が見られた。

 バッテリ動作時間はディスプレイが異なるので比較できないが、新型はバッテリ残量5%までという条件で13時間35分11秒という長時間駆動を記録した。これだけバッテリがもつなら、ACアダプタは家や会社に置きっぱなしで問題なさそうだ。

室温25℃の部屋で「CINEBENCH R15」の「CPU」を連続で5回実行したさいのキーボード面の最大温度は52.3℃
底面の最大温度は50.6℃。キーボード面、底面ともにかなり温度が高めだ
ACアダプタの最大温度は45.6℃

フルHD液晶と4K液晶のどちらを選ぶべきか?

 悩ましいのはフルHD液晶と4K液晶のどちらを選ぶべきかだろう。なにしろフルHD液晶を搭載するプロフェッショナルモデルと4K液晶を搭載するパフォーマンスモデルには12,000円の価格差しかない。4K液晶搭載モデルはバッテリ駆動時間が短くなるが、それでもカタログスペックで約10時間を実現している。モバイルノートPCとしては十分合格点だ。

 いずれにしても第8世代の4コア8スレッドCPUを搭載した新型HP Spectre x360はコストパフォーマンス抜群だ。とくに今回借用したプロフェッショナルモデルは、Windows 10 Pro/Core i7/メモリ16GB/SSD 1TB/フルHD液晶で177,800円と値ごろ感が高い。ストレージ容量、バッテリ駆動時間、解像度の3つのポイントを秤にかけて、最適な1台を選んでほしい。

 ちなみに筆者が購入するなら、Windows 10 Home/Core i7/メモリ16GB/SSD 512GB/フルHD液晶のスタンダードモデルを選び、ペンはMicrosoft Pen ProtocolとワコムAESテクノロジに両対応した「Bamboo Ink」(直販価格9,698円)を購入する。Bamboo InkはHP Spectre x360での動作が確認されており、またSurfaceペンと同様に硬さの異なるペン先を利用可能だ。