Hothotレビュー

コスパ抜群で高性能な13.3型2in1「HP Spectre x360」

~Core i7-7500U/メモリ16GB/1TB SSD/4K液晶搭載で税別18万円切り

日本HP「HP Spectre x360」
直販価格139,800円~

 日本HPはディスプレイを360度回転可能な13.3の2in1モバイルノートPC「HP Spectre x360」を2月10日に発表、2月下旬より販売を開始した。

 本製品は高性能とデザイン性を追求した日本HP製モバイルノートPCにおけるプレミアムモデル。Core i7-7500U/メモリ16GB/1TB SSD/4K液晶を搭載し、デジタイザペンを同梱した最上位「パフォーマンスモデル」で税別179,800円という破格の価格を実現している。

 今回このパフォーマンスモデルを試用する機会を得たので、レビューをお届けしよう。

ベーシックモデルにもメモリ8GB、256GB SSDを搭載

 HP Spectre x360には、Core i5-7200U/メモリ8GB/256GB SSD/フルHD液晶を搭載したベーシックモデル(税別139,800円)、Core i7-7500U/メモリ16GB/512GB SSD/フルHD液晶を搭載したスタンダードモデル(税別159,800円)、Core i7-7500U/メモリ16GB/1TB SSD/4K液晶を搭載し、デジタイザペン「Spectreアクティブペン」を同梱したパフォーマンスモデル(税別179,800円)の3モデルが用意されている。

 Spectreアクティブペンが同梱されるのはハイパフォーマンスモデルのみ。また、Spectreアクティブペンはオプションとしては販売されない。しかし、Microsoft Penプロトコルが採用されているため、ベーシックモデル、スタンダードモデルでも「Surfaceペン」を別途購入すれば利用可能だ。

【表1】HP Spectre x360の主要スペック
ベーシックモデル
(13-ac004TU、13-ac005TU)
スタンダードモデル
(13-ac006TU、13-ac007TU)
パフォーマンスモデル
(13-ac008TU、13-ac009TU)
OSWindows 10 Home 64bit
CPUCore i5-7200U(2.5~3.1GHz)Core i7-7500U(2.7~3.5GHz)
GPUIntel HD Graphics 620(300MHz~1GHz)Intel HD Graphics 620(300MHz~1.05GHz)
メモリLPDDR3-1866 SDRAM 8GBLPDDR3-1866 SDRAM 16GB
ストレージ256GB SSD(PCIe NVMe M.2)512GB SSD(PCIe NVMe M.2)1TB SSD(PCIe NVMe M.2)
ディスプレイ13.3型フルHD IPS(1,920×1,080ドット)13.3型 4K IPS(3,840×2,160ドット)
通信IEEE 802.11ac/a/b/g/n、Bluetooth 4.2
インターフェイスUSB 3.1 Type-C×2(Thunderbolt 3対応、電源オフUSBチャージ機能対応)、USB 3.1 Type-A×1(電源オフUSBチャージ機能対応)、1080p Webカメラ、マイクロフォン/ヘッドフォンコンボジャック
バッテリ容量58,027 mWh
バッテリ駆動時間約15時間約9時間
本体サイズ約307×219×13.9~14.9mm(幅×奥行き×高さ)
重量約1.31kg
本体色アッシュブラック、ナチュラルシルバー
Microsoft Office選択可
ペンなし同梱
税別価格(※価格は3月7日調べ)139,800円159,800円179,800円

【お詫びと訂正】初出時に、スタンダードモデルのバッテリ駆動時間が9時間となっておりましたが、15時間の誤りです。お詫びして訂正させていただきます。

 発表当初、ベーシックモデルとスタンダードモデルは2月下旬から、パフォーマンスモデルは3月下旬から出荷が開始されると発表されていたが、3月7日時点の納品の目安はベーシックモデルが3月中旬以降、スタンダードモデルが3月中旬~4月上旬、パフォーマンスモデルが4月以降順次発送と、直販サイトに記載されている。かなりのバックオーダーを抱えているようだ。

 本体サイズは約307×219×13.9~14.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.31kg。数値的にはやや重く感じるが、CNC精密加工により削り出されたアルミニウム一体成形の筐体は非常に質感が高い。

 また、天面加圧試験300kgfをクリアする剛性感も確保されている。実際、ディスプレイを閉じた状態で両手で握ってよじるように力を入れても、変形してしまうような不安さはほとんど感じない。

カラーはアッシュブラックとナチュラルシルバーの2色が用意されている。ナチュラルシルバーはオフィスにも馴染みやすそうなカラーリングだが、アッシュブラックは側面、ヒンジ部、タッチパッド周囲、ロゴなどに明るいゴールドがあしらわれており、独特な存在感を醸し出している。

 今回日本HPから借用したのはそのアッシュブラックだが、ダイヤモンドカットのゴールド部に押し出しが強く感じられた。

 端子・ランプ・ボタン類は、左側面にUSB 3.1 Type-A×1(電源オフUSBチャージ機能対応)、マイクロフォン/ヘッドフォンコンボジャック、排気口、電源ボタン。右側面にボリュームボタン、USB 3.1 Type-C×2(Thunderbolt 3対応、電源オフUSBチャージ機能対応)、給電ランプ、ディスプレイ面に1080p Webカメラと赤外線(IR)カメラが配置されている。

 SDカードスロット、有線LAN端子、HDMI端子は内蔵されておらず、またそれぞれのアダプタも同梱されていない。純正アダプタまたはサードパーティー製アダプタを別途用意しておいた方がいい。

本体天面。ロゴにカメラが映り込んでしまっているが、全面ゴールドの鏡面仕上げだ
本体底面。下部中央のメッシュ部分は吸気口。上部両側面には、Bang & Olufsen スピーカーが配置されている
本体前面。中央には指をかける隙間が設けられている
本体背面。ディスプレイを360度開閉させるためヒンジ部は2軸構成となっている
本体右側面。左からボリュームボタン、USB 3.1 Type-C×2(Thunderbolt 3対応、電源オフUSBチャージ機能対応)が配置されている。USB 3.1 Type-C端子の間には給電ランプが設けられており、ACアダプタを接続すると点灯する
本体左側面。左からUSB 3.1 Type-A×1(電源オフUSBチャージ機能対応)、マイクロフォン/ヘッドフォンコンボジャック、排気口、電源ボタン。小型の電源ボタンは少々押しにくいが、ディスプレイを開けばスリープから目覚めるので使用する機会はほとんどない
ディスプレイ面。ディスプレイ上部には、1080p Webカメラ、赤外線(IR)カメラ、デュアルマイクが配置されている
キーボード面。ヒンジ側にBang & Olufsen スピーカーが配置されている
ディスプレイ左右のベゼルは約5.9mmと狭額縁仕様
パフォーマンスモデルの同梱品一覧。左上から本体、Spectreアクティブペン、電源コード、ACアダプタ(コンセント直付け用のダックヘッド付き)、小冊子(セットアップ手順、即効!HPパソコンナビ特別版、保証書、アンケートご協力のお願い、製品の仕様に関する注意事項、サービスおよびサポートを受けるには、HP Service & Support、HPプレミアム下取りサービス概要など)、専用スリーブケース。ベーシックモデル、スタンダードモデルにSpectreアクティブペンは含まれない
専用スリーブケースの重量は実測155.4g。合成革の質感は少々安っぽいが、ジャストサイズで実用性は十分。オプションの「HP Spectre レザークラッチバッグ」 (5980円)をあえて購入する必要はない
ACアダプタのケーブル長は実測約175cm。コンセント直付け用のダックヘッドを取り外せば、実測約100cmの電源コードに付け替えられる
付属のACアダプタは入力100-240V、出力20V、3.25A、容量65W
パフォーマンスモデルにのみ、本体カラーに合わせたSpectreアクティブペンが付属する
本体の実測重量は約1286g
本体、ACアダプタ、Spectreアクティブペンの合計実測重量は約1,559g

2in1 PCとしての作り込みを徹底、ベーシックモデルも生体認証ログイン対応

 HP Spectre x360には2軸のヒンジ機構が採用されており、ノートブックモード、スタンドモード、テントモード、タブレットモードの4つのスタイルで利用できる。

 ヒンジは無段階ギアヒンジが採用されており、ディスプレイの開き始めから2つのギアヒンジが同時に動き、どの角度でもほぼ同じトルクで開閉が可能だ。なお、可動テストは25,000回以上をクリアしているとのこと。

 2in1 PCとしての作り込みは徹底しており、ディスプレイを実測約215度開くとキーボードが無効となり、タブレットモード切り替えのメッセージが表示される。

 またタブレットモードやスタンドモードで利用する際に、キートップがテーブルなどに直接触れないように樹脂製の突起が4カ所設けられている。4つのどのモードでも快適に利用できそうだ。

 全モデルに生体認証用の赤外線(IR)カメラが搭載されているのも嬉しいところ。もちろんWindows Helloに対応しているので、ディスプレイを開いて顔を向けるだけで、パスワードを入力せずに数秒でログイン可能。最廉価モデルであるベーシックモデルにも赤外線(IR)カメラを搭載している点にHPの良心が感じられる。

 いまだ720p Webカメラを搭載しているモデルが多い中、1080p Webカメラを搭載している点も評価に値する。最新スマートフォンのインカメラと比較すると解像感はそれなりだが、発色は自然。ビデオ通話の機会が多い方には嬉しい装備だ。

基本となるノートブックモード
コンテンツ鑑賞やプレゼン時に適したスタンドモード
本体中央がテーブルに直接接地しないテントモード。ベッドの上など吸気口をふさぎやすい状況で重宝する
タブレットモード。ディスプレイの誤操作を避けるため、ベゼルが広いヒンジ側を持つのがオススメ
ディスプレイを実測約215度以上開くと、キーボードが無効となる。キートップを無造作に握っても誤操作の心配はない
キーボードを囲む4カ所に樹脂製の突起物が設けられている。タブレットモード、スタンドモードでキートップを直接テーブルに接触させないための配慮だ
ディスプレイ上部には1080p Webカメラ、赤外線(IR)カメラ、デュアルマイクが配置されている。赤外線(IR)カメラ動作時は赤い光が点滅する
1080p Webカメラで写真を撮影してみた。静止画だとさすがに解像感が乏しいが、動画なら髪の毛の質感も判別可能なレベルだ

同梱デジタイザペンの書き味は硬め、予備のペン先はなし

 パフォーマンスモデルにはデジタイザペンのSpectreアクティブペンが同梱されている。前述の通り、SpectreアクティブペンにはMicrosoft Penプロトコルが採用されているため、ベーシックモデル、スタンダードモデルでも「Surfaceペン」を別途用意すればデジタイザペンを利用可能だ。

 Spectreアクティブペンの書き味はやや硬め。筆者がSurfaceペンのペン先と書き比べた感覚では“H”相当だった。ペン先が柔らかく、そして摩擦が多ければそれだけ減りが早いので、耐久性を重視する方には歓迎できるセッティングだ。

 パフォーマンスモデルのスペックは高いだけに、ペン先の追従性に不満はない。筆圧感知1,024段階も一般的な用途には十分なレベルだ。Windows Inkワークスペースの各種ツールや、サードパーティー製メモアプリ、ドローイングアプリで快適にペン入力環境を利用できる。

 残念なのがSpectreアクティブペンに予備のペン先が用意されていないこと。Spectreアクティブペンはオプションとして販売されておらず、ペン先も日本HPの直販サイトでは販売ページを見付けられなかった。どんなデジタイザペンも摩耗すれば書き味が変化してしまう。補修以外のもっと簡単な入手方法を案内して欲しいところだ。

Spectreアクティブペンの実測重量は約16.3g。Surfaceペンの実測約21.3gよりはるかに軽い
ペン先は交換可能だが、予備のペン先は同梱されていない
Spectreアクティブペンが同梱されるパフォーマンスモデルには、設定用ユーティリティ「HP Pen Control ソフトウェア」がプリインストールされている
SpectreアクティブペンはWindows Ink ワークスペースで利用可能。これはドローイングツール「スケッチパッド」のサンプル画像
拙いながらもネコ様を描いてみた。ペン先の硬さはSurfaceペンの替え芯に例えるとH相当。アナログ筆記用具的な引っかかり感がそれなりにあり、書きやすい
今回ベーシックモデル、スタンダードモデルは試用していないが、Surface Pro 4と同時に発売されたSurfaceペンが全モデルで使用可能なことは、日本HPから確認が取れている
Spectreアクティブペンで筆記する様子を動画で撮影してみた。線の追従性などを確認して欲しい

打鍵感は上質だが配置が独特なキーボード

 本製品のキーボードはバックライト付きの日本語配列キーボード。キーピッチが実測約19mm確保されたアイソレーションタイプで、文字キーの幅は一部記号キー(-、^、)を除いて等幅に揃えられている。タイピング音が少々ペタペタした軽い音だが、基本的に上質なキーボードと言える。

 個人的にちょっと違和感があったのは、Enterキーの外側にDelete、Home、Page Up、Page Dn、Endキーが配置されていること。Back SpaceとEnterキーの使用頻度が多い筆者はかなり打ちづらく感じた。ファンクションキーとHome、Page Up、Page Dn、Endキーを分離するための仕様のようだが、筆者が本製品を購入したらかなり慣れるのに時間がかかりそうだ。

 一方、トラックパッドは実測120×60mm(幅×奥行き)のスペースが確保されている。高精度タッチパッドには対応していないが、「3本指のタップでCortanaで検索」、「4本指のタップでアクションセンターを開く」、「3本指のドラッグとスライドでアプリの切り替え」などWindows 10の標準ジェスチャーのほとんどが実装されている。

 ジェスチャーに異なる機能を割り当てることはできないが、高精度タッチパッドに対応したノートPCから買い換えても、ほとんど違和感なくWindows 10のジェスチャーを利用可能だ。

基本的には素直な配列の日本語キーボード。しかしEnterキーの外側にDelete、Home、Pg Up、Pg Dn、Endキーが配置されている。筆者はこれらのキーをほとんど使用しないので、特等席である一番右側にはBack SpaceとEnterキーが配置されていて欲しい
キーピッチは実測約19mm
トラックパッドは実測120×60mm(幅×奥行き)のスペースが確保されている
左がバックライト消灯、右が点灯の状態。バックライトの消灯/点灯はF5キーで切り替えられる
「設定→デバイス→マウスとタッチパッド→その他のマウスオプション→ClickPad設定→ClickPad設定」と進むと「デバイス設定:Synaptics ClickPad」が開かれる。高精度タッチパッドに対応したWindows 10搭載ノートPCのジェスチャーのほとんどが利用可能だが、異なる機能をジェスチャーに割り当てることはできない
HP Spectre x360のキーボードを3段階の強さでタイピングしてみた。音の大きさは再生環境によって異なるので、音質を参考にして欲しい

やや派手目な色調のディスプレイ、サウンド面の満足度は高い!

 解像感については不満の出ようがない。13.3型ディスプレイの解像度は3,840×2,160ドット(331dpi)。拡大鏡でも使わない限りはどんなに画面に顔を近付けてもドットを視認することはできないだろう。

 本製品の色域は公表されていない。DCI-P3の色域をサポートする「MacBook Pro(15インチ、Late 2016)」と見比べた限りでは、標準の色設定ではHP Spectre x360の方が赤色、緑色ともに実際よりも鮮やかに発色される傾向が見られた。

 輝度についてはHP Spectre x360が340cd/平方m、MacBook Pro(同)が500cd/平方mという仕様だが、数値ほどの差は感じられない。総合的にはHP Spectre x360の方が派手だがやや強調しすぎな感があるので、写真現像などのプロフェッショナル用途では色を調整すべきだ。

 一方、サウンド面は非常に満足度が高い。HP Spectre x360にはBang & Olufsenと共同開発したクアッド・スピーカーとサウンドユーティリティが搭載されており、低、中、高域を広くカバーした力強いサウンドを楽しめる。

 筆者の手持ちのノートPCの中で比べると、MacBook Pro(同)には及ばないものの、Surface Pro 4よりは音圧、音域、解像感いずれも断然上だ。外付けスピーカーなどを用意せずとも、映画や音楽鑑賞に十分活躍してくれる。

13.3型4Kディスプレイの解像度は3,840×2,160ドット(331dpi)。広告バナーの細かな文字までしっかりと読み取れる
左がHP Spectre x360、右がMacBook Pro(15インチ、Late 2016)。HP Spectre x360の方が赤色と緑色が鮮やかに発色されているが、少し誇張気味な印象を受ける
HP Spectre x360はクアッド・スピーカーを搭載。キーボード面ヒンジ側に2つ、底面手前側に2つスピーカーが搭載されている
これは底面のスピーカー。キーボード面と底面にそれぞれ2つのスピーカーを搭載することで、ノートブック、スタンド、テント、タブレットのいずれのモードでも効率のいい音場を得られるように設計されている
これはプリインストールされている「Bang & Olufsenソフトウェア」の設定画面。「入力」ではノイズキャンセリング、出力ではコンテンツに合わせたオーディオ設定を手軽に行なえる

際だったストレージ速度、BBenchで計測した連続動作時間は軽く10時間オーバー

 最後にベンチマークスコアを見てみよう。今回HP Spectre x360の比較対象としては、同じくKaby Lake-Uの「Core i7-7500U(2.7~3.5GHz)」を搭載する東芝の「dynabook V82」、レノボの「YOGA 910 80VF001HJP」のスコアを使用した。

 使用したベンチマークプログラムは下記の通り。

  • 総合ベンチマーク「PCMark 8 v2.7.613」
  • 総合ベンチマーク「PCMark 7 v1.4.0」
  • 3Dベンチマーク「3DMark v2.2.3509」
  • CPU、OpenCLのベンチマーク「Geekbench 4.0.3」
  • CPUのベンチマーク「Geekbench 3.4.1」
  • CPU、OpenGLのベンチマーク「CINEBENCH R15」
  • ゲーミングPCベンチマーク「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」
  • ゲーミングPCベンチマーク「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」
  • ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 5.2.1」
  • 「Adobe Photoshop Lightroom CC」RAW画像の現像時間を計測
  • 「Adobe Premiere Pro CC」フルHD動画の書き出し時間を計測
  • 「BBench」連続動作時間を計測

 なお、dynabook V82とYOGA 910は一部バージョンの古いベンチマークソフトを利用している。今回の比較はあくまでも参考に留めて欲しい。

 下記が検証機の仕様とベンチマークの結果だ。

【表2】検証機の仕様
HP Spectre x360dynabook V82YOGA 910(80VF001HJP)
CPUCore i7-7500U(2.7~3.5GHz)
GPUIntel HD Graphics 620(300MHz~1.05GHz)
メモリLPDDR3-1866 SDRAM 16GBLPDDR3-1600 SDRAM 8GBDDR4-2133 SDRAM 16GB
ストレージ1TB(NVMe対応PCI Express)512GB SSD(Serial ATA)512GB SSD(NVMe対応PCI Express)
ディスプレイ13.3型、3,840×2,160ドット(331dpi)12.5型、1,920×1,080ドット(176dpi)13.9型、3,840×2,160ドット(317dpi)
OSWindows 10 Home 64bit
【表3】ベンチマーク結果
HP Spectre x360dynabook V82YOGA 910(80VF001HJP)
PCMark 8 v2.7.613
Home Accelarated 3.03,0333,4763,015
Creative Accelarated 3.04,2814,3234,368
Work 2.03,8494,6273,857
PCMark 7 v1.4.0
PCMark score5,6385,5235,480
3DMark v2.2.3509
Time Spy378
Fire Strike Ultra227220245
Fire Strike Extreme442400458
Fire Strike945868953
Sky Diver4,0003,8573,985
Cloud Gate6,4336,3406,841
Ice Storm Extreme41,76242,77342,302
Ice Storm50,80758,41053,420
CINEBENCH R15
OpenGL43.35 fps41.47 fps42.74 fps
CPU331 cb340 cb337 cb
Geekbench 4.0.3
32-bit Single-Core Score3,7223,6993,854
32-bit Multi-Core Score7,1467,4257,730
64-bit Single-Core Score4,1594,1274,326
64-bit Multi-Core Score7,6827,8588,276
OpenCL20,08019,65520,383
Geekbench 3.4.1 Intel(32-bit)
Single-Core Score3,5253,2713,549
Single-Core Score Integer3,5283,4073,527
Single-Core Score Floating Point3,4803,2183,465
Single-Core Score Memory3,6113,1083,761
Multi-Core Score7,4096,1727,744
Multi-Core Score Integer8,3707,1668,575
Multi-Core Score Floating Point8,3266,6768,779
Multi-Core Score Memory3,6573,1794,014
Geekbench 3.4.1 Intel(64-bit)
Single-Core Score3,6893,6153,747
Single-Core Score Integer3,7713,7363,797
Single-Core Score Floating Point3,6563,6423,625
Single-Core Score Memory3,5933,3233,893
Multi-Core Score7,7327,8168,002
Multi-Core Score Integer8,9418,9179,015
Multi-Core Score Floating Point8,5078,9278,978
Multi-Core Score Memory3,7663,3954,027
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】
1,280×720ドット4,2524,1104,520
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト
1,280×720ドット7,9987,1889,454
SSDをCrystalDiskMark 5.2.1で計測
Q32T1 シーケンシャルリード3,238.547 MB/s548.312 MB/s1,804.367 MB/s
Q32T1 シーケンシャルライト1,757.382 MB/s280.191 MB/s597.089 MB/s
4K Q32TI ランダムリード533.286 MB/s320.352 MB/s518.849 MB/s
4K Q32TI ランダムライト435.885 MB/s207.849 MB/s450.140 MB/s
シーケンシャルリード1,599.722 MB/s452.206 MB/s1,387.155 MB/s
シーケンシャルライト1,737.622 MB/s275.576 MB/s595.817 MB/s
4K ランダムリード47.964 MB/s19.603 MB/s44.698 MB/s
4K ランダムライト175.261 MB/s92.934 MB/s151.210 MB/s
Adobe Photoshop Lightroom CCで50枚のRAW画像を現像
4,912☓3,264ドット、自動階調3分3秒052分41秒872分51秒10
Adobe Premiere Pro CCで実時間5分のフルHD動画を書き出し
1,920×1,080ドット、30fps6分47秒156分28秒837分45秒19
BBenchにより連続動作時間を計測(ディスプレイの明るさ40%)
バッテリ残量5%まで10時間26分34秒12時間59分42秒10時間25分2秒

 PCMark 8でdynabook V82が「Home」と「Work」でHP Spectre x360とYOGA 910を上回るスコアを記録しているが、これはディスプレイ解像度の違いが原因。HP Spectre x360のディスプレイ解像度を3,840×2,160ドットから1,920×1,080ドットに変更した場合は、Homeでdynabook V82をわずかながら上回る「3,514」というスコアを記録している。

 特筆すべきなのはHP Spectre x360のストレージの好成績。NVMe対応 PCI Express接続のSSD「SAMSUNG MZVLW1T0HMLH-000H1」を搭載するHP Spectre x360は、特にシーケンシャルリードとシーケンシャルライトにおいて圧倒的なアクセススピードを記録している。

 いい意味で予想を裏切られたのは連続動作時間。パフォーマンスモデルの連続動作時間はカタログに約9時間と記載されているが、ディスプレイの明るさ40%でBBenchで計測した連続動作時間は大幅に上回る10時間26分34秒を記録した。

 HP Spectre x360の連続動作時間は「MobileMark 2014」で計測しているとのことだが、ベーシックモデルとスタンダードモデルの連続動作時間もBBenchで計測すればカタログ値より長くなることは間違いない。

 高負荷時の発熱をサーモグラフィーカメラ「FLIR ONE」で見てみよう。今回は室温21℃の部屋で「CINEBENCH R15」の「CPU」を連続で5回実行してみたが、キーボード面の最大温度は43.9℃、底面の最大温度は46.8℃だった。

 これまで多くのノートPCの表面温度を計測してきたが、キーボード面より底面の方が熱いのは筆者の経験では初めて。また、熱くなっている場所も膝上に乗せた時にちょうど当たりそうな中央付近に位置している。夏場に膝上で利用する際には不快に感じることもありそうだ。

キーボード面の最大温度は43.9℃
底面の最大温度は46.5℃
ACアダプタの最大温度は38.2℃
冷却ファンの音を映像で記録してみた。筆者の仕事部屋の環境音が35.5dBA前後。冷却ファンが回ると(動画の49秒ぐらいから)、騒音計が39.3dBA前後を示す

パフォーマンスモデルの高コスパは魅力だが、スタンダードモデルも堅実な選択

 パフォーマンスモデルは、Core i7-7500U/メモリ16GB/1TB SSD/4K液晶を搭載し、Spectreアクティブペンを同梱して179,800円というお買い得な価格設定が魅力。

 2万円アップでストレージが倍の1TBに増えて、フルHD液晶が4K液晶にグレードアップし、さらにデジタイザペンまで付いてくるのは破格のプライスだ。

 しかし、筆者は159,800円のスタンダードモデルも強く推しておきたい。Core i7-7500U/メモリ16GB/512GB SSD/フルHD液晶は実用上十分なスペックだし、4K液晶をあきらめる代わりに連続動作時間がカタログ値で約9時間から約15時間へと大幅に向上する。デジタイザペンが同梱していないが、お尻のノック部分で消しゴム機能を利用できるSurfaceペンの方が使い勝手は上。ペン先を自由に選べる点もSurfaceペンの大きなメリットだ。

 とは言え、HP Spectre x360はストレージもディスプレイも後から交換できない。容量と解像度を選ぶか、連続動作時間の長さを重視するか、自分が必要とするスペックをよく検討した上で最適なモデルを選んで欲しい。