Hothotレビュー
コスパ抜群で高性能な13.3型2in1「HP Spectre x360」
~Core i7-7500U/メモリ16GB/1TB SSD/4K液晶搭載で税別18万円切り
2017年3月9日 06:00
日本HPはディスプレイを360度回転可能な13.3の2in1モバイルノートPC「HP Spectre x360」を2月10日に発表、2月下旬より販売を開始した。
本製品は高性能とデザイン性を追求した日本HP製モバイルノートPCにおけるプレミアムモデル。Core i7-7500U/メモリ16GB/1TB SSD/4K液晶を搭載し、デジタイザペンを同梱した最上位「パフォーマンスモデル」で税別179,800円という破格の価格を実現している。
今回このパフォーマンスモデルを試用する機会を得たので、レビューをお届けしよう。
ベーシックモデルにもメモリ8GB、256GB SSDを搭載
HP Spectre x360には、Core i5-7200U/メモリ8GB/256GB SSD/フルHD液晶を搭載したベーシックモデル(税別139,800円)、Core i7-7500U/メモリ16GB/512GB SSD/フルHD液晶を搭載したスタンダードモデル(税別159,800円)、Core i7-7500U/メモリ16GB/1TB SSD/4K液晶を搭載し、デジタイザペン「Spectreアクティブペン」を同梱したパフォーマンスモデル(税別179,800円)の3モデルが用意されている。
Spectreアクティブペンが同梱されるのはハイパフォーマンスモデルのみ。また、Spectreアクティブペンはオプションとしては販売されない。しかし、Microsoft Penプロトコルが採用されているため、ベーシックモデル、スタンダードモデルでも「Surfaceペン」を別途購入すれば利用可能だ。
ベーシックモデル (13-ac004TU、13-ac005TU) | スタンダードモデル (13-ac006TU、13-ac007TU) | パフォーマンスモデル (13-ac008TU、13-ac009TU) | |
---|---|---|---|
OS | Windows 10 Home 64bit | ||
CPU | Core i5-7200U(2.5~3.1GHz) | Core i7-7500U(2.7~3.5GHz) | |
GPU | Intel HD Graphics 620(300MHz~1GHz) | Intel HD Graphics 620(300MHz~1.05GHz) | |
メモリ | LPDDR3-1866 SDRAM 8GB | LPDDR3-1866 SDRAM 16GB | |
ストレージ | 256GB SSD(PCIe NVMe M.2) | 512GB SSD(PCIe NVMe M.2) | 1TB SSD(PCIe NVMe M.2) |
ディスプレイ | 13.3型フルHD IPS(1,920×1,080ドット) | 13.3型 4K IPS(3,840×2,160ドット) | |
通信 | IEEE 802.11ac/a/b/g/n、Bluetooth 4.2 | ||
インターフェイス | USB 3.1 Type-C×2(Thunderbolt 3対応、電源オフUSBチャージ機能対応)、USB 3.1 Type-A×1(電源オフUSBチャージ機能対応)、1080p Webカメラ、マイクロフォン/ヘッドフォンコンボジャック | ||
バッテリ容量 | 58,027 mWh | ||
バッテリ駆動時間 | 約15時間 | 約9時間 | |
本体サイズ | 約307×219×13.9~14.9mm(幅×奥行き×高さ) | ||
重量 | 約1.31kg | ||
本体色 | アッシュブラック、ナチュラルシルバー | ||
Microsoft Office | 選択可 | ||
ペン | なし | 同梱 | |
税別価格(※価格は3月7日調べ) | 139,800円 | 159,800円 | 179,800円 |
【お詫びと訂正】初出時に、スタンダードモデルのバッテリ駆動時間が9時間となっておりましたが、15時間の誤りです。お詫びして訂正させていただきます。
発表当初、ベーシックモデルとスタンダードモデルは2月下旬から、パフォーマンスモデルは3月下旬から出荷が開始されると発表されていたが、3月7日時点の納品の目安はベーシックモデルが3月中旬以降、スタンダードモデルが3月中旬~4月上旬、パフォーマンスモデルが4月以降順次発送と、直販サイトに記載されている。かなりのバックオーダーを抱えているようだ。
本体サイズは約307×219×13.9~14.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約1.31kg。数値的にはやや重く感じるが、CNC精密加工により削り出されたアルミニウム一体成形の筐体は非常に質感が高い。
また、天面加圧試験300kgfをクリアする剛性感も確保されている。実際、ディスプレイを閉じた状態で両手で握ってよじるように力を入れても、変形してしまうような不安さはほとんど感じない。
カラーはアッシュブラックとナチュラルシルバーの2色が用意されている。ナチュラルシルバーはオフィスにも馴染みやすそうなカラーリングだが、アッシュブラックは側面、ヒンジ部、タッチパッド周囲、ロゴなどに明るいゴールドがあしらわれており、独特な存在感を醸し出している。
今回日本HPから借用したのはそのアッシュブラックだが、ダイヤモンドカットのゴールド部に押し出しが強く感じられた。
端子・ランプ・ボタン類は、左側面にUSB 3.1 Type-A×1(電源オフUSBチャージ機能対応)、マイクロフォン/ヘッドフォンコンボジャック、排気口、電源ボタン。右側面にボリュームボタン、USB 3.1 Type-C×2(Thunderbolt 3対応、電源オフUSBチャージ機能対応)、給電ランプ、ディスプレイ面に1080p Webカメラと赤外線(IR)カメラが配置されている。
SDカードスロット、有線LAN端子、HDMI端子は内蔵されておらず、またそれぞれのアダプタも同梱されていない。純正アダプタまたはサードパーティー製アダプタを別途用意しておいた方がいい。
2in1 PCとしての作り込みを徹底、ベーシックモデルも生体認証ログイン対応
HP Spectre x360には2軸のヒンジ機構が採用されており、ノートブックモード、スタンドモード、テントモード、タブレットモードの4つのスタイルで利用できる。
ヒンジは無段階ギアヒンジが採用されており、ディスプレイの開き始めから2つのギアヒンジが同時に動き、どの角度でもほぼ同じトルクで開閉が可能だ。なお、可動テストは25,000回以上をクリアしているとのこと。
2in1 PCとしての作り込みは徹底しており、ディスプレイを実測約215度開くとキーボードが無効となり、タブレットモード切り替えのメッセージが表示される。
またタブレットモードやスタンドモードで利用する際に、キートップがテーブルなどに直接触れないように樹脂製の突起が4カ所設けられている。4つのどのモードでも快適に利用できそうだ。
全モデルに生体認証用の赤外線(IR)カメラが搭載されているのも嬉しいところ。もちろんWindows Helloに対応しているので、ディスプレイを開いて顔を向けるだけで、パスワードを入力せずに数秒でログイン可能。最廉価モデルであるベーシックモデルにも赤外線(IR)カメラを搭載している点にHPの良心が感じられる。
いまだ720p Webカメラを搭載しているモデルが多い中、1080p Webカメラを搭載している点も評価に値する。最新スマートフォンのインカメラと比較すると解像感はそれなりだが、発色は自然。ビデオ通話の機会が多い方には嬉しい装備だ。
同梱デジタイザペンの書き味は硬め、予備のペン先はなし
パフォーマンスモデルにはデジタイザペンのSpectreアクティブペンが同梱されている。前述の通り、SpectreアクティブペンにはMicrosoft Penプロトコルが採用されているため、ベーシックモデル、スタンダードモデルでも「Surfaceペン」を別途用意すればデジタイザペンを利用可能だ。
Spectreアクティブペンの書き味はやや硬め。筆者がSurfaceペンのペン先と書き比べた感覚では“H”相当だった。ペン先が柔らかく、そして摩擦が多ければそれだけ減りが早いので、耐久性を重視する方には歓迎できるセッティングだ。
パフォーマンスモデルのスペックは高いだけに、ペン先の追従性に不満はない。筆圧感知1,024段階も一般的な用途には十分なレベルだ。Windows Inkワークスペースの各種ツールや、サードパーティー製メモアプリ、ドローイングアプリで快適にペン入力環境を利用できる。
残念なのがSpectreアクティブペンに予備のペン先が用意されていないこと。Spectreアクティブペンはオプションとして販売されておらず、ペン先も日本HPの直販サイトでは販売ページを見付けられなかった。どんなデジタイザペンも摩耗すれば書き味が変化してしまう。補修以外のもっと簡単な入手方法を案内して欲しいところだ。
打鍵感は上質だが配置が独特なキーボード
本製品のキーボードはバックライト付きの日本語配列キーボード。キーピッチが実測約19mm確保されたアイソレーションタイプで、文字キーの幅は一部記号キー(-、^、)を除いて等幅に揃えられている。タイピング音が少々ペタペタした軽い音だが、基本的に上質なキーボードと言える。
個人的にちょっと違和感があったのは、Enterキーの外側にDelete、Home、Page Up、Page Dn、Endキーが配置されていること。Back SpaceとEnterキーの使用頻度が多い筆者はかなり打ちづらく感じた。ファンクションキーとHome、Page Up、Page Dn、Endキーを分離するための仕様のようだが、筆者が本製品を購入したらかなり慣れるのに時間がかかりそうだ。
一方、トラックパッドは実測120×60mm(幅×奥行き)のスペースが確保されている。高精度タッチパッドには対応していないが、「3本指のタップでCortanaで検索」、「4本指のタップでアクションセンターを開く」、「3本指のドラッグとスライドでアプリの切り替え」などWindows 10の標準ジェスチャーのほとんどが実装されている。
ジェスチャーに異なる機能を割り当てることはできないが、高精度タッチパッドに対応したノートPCから買い換えても、ほとんど違和感なくWindows 10のジェスチャーを利用可能だ。
やや派手目な色調のディスプレイ、サウンド面の満足度は高い!
解像感については不満の出ようがない。13.3型ディスプレイの解像度は3,840×2,160ドット(331dpi)。拡大鏡でも使わない限りはどんなに画面に顔を近付けてもドットを視認することはできないだろう。
本製品の色域は公表されていない。DCI-P3の色域をサポートする「MacBook Pro(15インチ、Late 2016)」と見比べた限りでは、標準の色設定ではHP Spectre x360の方が赤色、緑色ともに実際よりも鮮やかに発色される傾向が見られた。
輝度についてはHP Spectre x360が340cd/平方m、MacBook Pro(同)が500cd/平方mという仕様だが、数値ほどの差は感じられない。総合的にはHP Spectre x360の方が派手だがやや強調しすぎな感があるので、写真現像などのプロフェッショナル用途では色を調整すべきだ。
一方、サウンド面は非常に満足度が高い。HP Spectre x360にはBang & Olufsenと共同開発したクアッド・スピーカーとサウンドユーティリティが搭載されており、低、中、高域を広くカバーした力強いサウンドを楽しめる。
筆者の手持ちのノートPCの中で比べると、MacBook Pro(同)には及ばないものの、Surface Pro 4よりは音圧、音域、解像感いずれも断然上だ。外付けスピーカーなどを用意せずとも、映画や音楽鑑賞に十分活躍してくれる。
際だったストレージ速度、BBenchで計測した連続動作時間は軽く10時間オーバー
最後にベンチマークスコアを見てみよう。今回HP Spectre x360の比較対象としては、同じくKaby Lake-Uの「Core i7-7500U(2.7~3.5GHz)」を搭載する東芝の「dynabook V82」、レノボの「YOGA 910 80VF001HJP」のスコアを使用した。
使用したベンチマークプログラムは下記の通り。
- 総合ベンチマーク「PCMark 8 v2.7.613」
- 総合ベンチマーク「PCMark 7 v1.4.0」
- 3Dベンチマーク「3DMark v2.2.3509」
- CPU、OpenCLのベンチマーク「Geekbench 4.0.3」
- CPUのベンチマーク「Geekbench 3.4.1」
- CPU、OpenGLのベンチマーク「CINEBENCH R15」
- ゲーミングPCベンチマーク「モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】」
- ゲーミングPCベンチマーク「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト」
- ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 5.2.1」
- 「Adobe Photoshop Lightroom CC」RAW画像の現像時間を計測
- 「Adobe Premiere Pro CC」フルHD動画の書き出し時間を計測
- 「BBench」連続動作時間を計測
なお、dynabook V82とYOGA 910は一部バージョンの古いベンチマークソフトを利用している。今回の比較はあくまでも参考に留めて欲しい。
下記が検証機の仕様とベンチマークの結果だ。
HP Spectre x360 | dynabook V82 | YOGA 910(80VF001HJP) | |
---|---|---|---|
CPU | Core i7-7500U(2.7~3.5GHz) | ||
GPU | Intel HD Graphics 620(300MHz~1.05GHz) | ||
メモリ | LPDDR3-1866 SDRAM 16GB | LPDDR3-1600 SDRAM 8GB | DDR4-2133 SDRAM 16GB |
ストレージ | 1TB(NVMe対応PCI Express) | 512GB SSD(Serial ATA) | 512GB SSD(NVMe対応PCI Express) |
ディスプレイ | 13.3型、3,840×2,160ドット(331dpi) | 12.5型、1,920×1,080ドット(176dpi) | 13.9型、3,840×2,160ドット(317dpi) |
OS | Windows 10 Home 64bit |
HP Spectre x360 | dynabook V82 | YOGA 910(80VF001HJP) | |
---|---|---|---|
PCMark 8 v2.7.613 | |||
Home Accelarated 3.0 | 3,033 | 3,476 | 3,015 |
Creative Accelarated 3.0 | 4,281 | 4,323 | 4,368 |
Work 2.0 | 3,849 | 4,627 | 3,857 |
PCMark 7 v1.4.0 | |||
PCMark score | 5,638 | 5,523 | 5,480 |
3DMark v2.2.3509 | |||
Time Spy | 378 | - | - |
Fire Strike Ultra | 227 | 220 | 245 |
Fire Strike Extreme | 442 | 400 | 458 |
Fire Strike | 945 | 868 | 953 |
Sky Diver | 4,000 | 3,857 | 3,985 |
Cloud Gate | 6,433 | 6,340 | 6,841 |
Ice Storm Extreme | 41,762 | 42,773 | 42,302 |
Ice Storm | 50,807 | 58,410 | 53,420 |
CINEBENCH R15 | |||
OpenGL | 43.35 fps | 41.47 fps | 42.74 fps |
CPU | 331 cb | 340 cb | 337 cb |
Geekbench 4.0.3 | |||
32-bit Single-Core Score | 3,722 | 3,699 | 3,854 |
32-bit Multi-Core Score | 7,146 | 7,425 | 7,730 |
64-bit Single-Core Score | 4,159 | 4,127 | 4,326 |
64-bit Multi-Core Score | 7,682 | 7,858 | 8,276 |
OpenCL | 20,080 | 19,655 | 20,383 |
Geekbench 3.4.1 Intel(32-bit) | |||
Single-Core Score | 3,525 | 3,271 | 3,549 |
Single-Core Score Integer | 3,528 | 3,407 | 3,527 |
Single-Core Score Floating Point | 3,480 | 3,218 | 3,465 |
Single-Core Score Memory | 3,611 | 3,108 | 3,761 |
Multi-Core Score | 7,409 | 6,172 | 7,744 |
Multi-Core Score Integer | 8,370 | 7,166 | 8,575 |
Multi-Core Score Floating Point | 8,326 | 6,676 | 8,779 |
Multi-Core Score Memory | 3,657 | 3,179 | 4,014 |
Geekbench 3.4.1 Intel(64-bit) | |||
Single-Core Score | 3,689 | 3,615 | 3,747 |
Single-Core Score Integer | 3,771 | 3,736 | 3,797 |
Single-Core Score Floating Point | 3,656 | 3,642 | 3,625 |
Single-Core Score Memory | 3,593 | 3,323 | 3,893 |
Multi-Core Score | 7,732 | 7,816 | 8,002 |
Multi-Core Score Integer | 8,941 | 8,917 | 9,015 |
Multi-Core Score Floating Point | 8,507 | 8,927 | 8,978 |
Multi-Core Score Memory | 3,766 | 3,395 | 4,027 |
モンスターハンターフロンティアベンチマーク【大討伐】 | |||
1,280×720ドット | 4,252 | 4,110 | 4,520 |
ドラゴンクエストX ベンチマークソフト | |||
1,280×720ドット | 7,998 | 7,188 | 9,454 |
SSDをCrystalDiskMark 5.2.1で計測 | |||
Q32T1 シーケンシャルリード | 3,238.547 MB/s | 548.312 MB/s | 1,804.367 MB/s |
Q32T1 シーケンシャルライト | 1,757.382 MB/s | 280.191 MB/s | 597.089 MB/s |
4K Q32TI ランダムリード | 533.286 MB/s | 320.352 MB/s | 518.849 MB/s |
4K Q32TI ランダムライト | 435.885 MB/s | 207.849 MB/s | 450.140 MB/s |
シーケンシャルリード | 1,599.722 MB/s | 452.206 MB/s | 1,387.155 MB/s |
シーケンシャルライト | 1,737.622 MB/s | 275.576 MB/s | 595.817 MB/s |
4K ランダムリード | 47.964 MB/s | 19.603 MB/s | 44.698 MB/s |
4K ランダムライト | 175.261 MB/s | 92.934 MB/s | 151.210 MB/s |
Adobe Photoshop Lightroom CCで50枚のRAW画像を現像 | |||
4,912☓3,264ドット、自動階調 | 3分3秒05 | 2分41秒87 | 2分51秒10 |
Adobe Premiere Pro CCで実時間5分のフルHD動画を書き出し | |||
1,920×1,080ドット、30fps | 6分47秒15 | 6分28秒83 | 7分45秒19 |
BBenchにより連続動作時間を計測(ディスプレイの明るさ40%) | |||
バッテリ残量5%まで | 10時間26分34秒 | 12時間59分42秒 | 10時間25分2秒 |
PCMark 8でdynabook V82が「Home」と「Work」でHP Spectre x360とYOGA 910を上回るスコアを記録しているが、これはディスプレイ解像度の違いが原因。HP Spectre x360のディスプレイ解像度を3,840×2,160ドットから1,920×1,080ドットに変更した場合は、Homeでdynabook V82をわずかながら上回る「3,514」というスコアを記録している。
特筆すべきなのはHP Spectre x360のストレージの好成績。NVMe対応 PCI Express接続のSSD「SAMSUNG MZVLW1T0HMLH-000H1」を搭載するHP Spectre x360は、特にシーケンシャルリードとシーケンシャルライトにおいて圧倒的なアクセススピードを記録している。
いい意味で予想を裏切られたのは連続動作時間。パフォーマンスモデルの連続動作時間はカタログに約9時間と記載されているが、ディスプレイの明るさ40%でBBenchで計測した連続動作時間は大幅に上回る10時間26分34秒を記録した。
HP Spectre x360の連続動作時間は「MobileMark 2014」で計測しているとのことだが、ベーシックモデルとスタンダードモデルの連続動作時間もBBenchで計測すればカタログ値より長くなることは間違いない。
高負荷時の発熱をサーモグラフィーカメラ「FLIR ONE」で見てみよう。今回は室温21℃の部屋で「CINEBENCH R15」の「CPU」を連続で5回実行してみたが、キーボード面の最大温度は43.9℃、底面の最大温度は46.8℃だった。
これまで多くのノートPCの表面温度を計測してきたが、キーボード面より底面の方が熱いのは筆者の経験では初めて。また、熱くなっている場所も膝上に乗せた時にちょうど当たりそうな中央付近に位置している。夏場に膝上で利用する際には不快に感じることもありそうだ。
パフォーマンスモデルの高コスパは魅力だが、スタンダードモデルも堅実な選択
パフォーマンスモデルは、Core i7-7500U/メモリ16GB/1TB SSD/4K液晶を搭載し、Spectreアクティブペンを同梱して179,800円というお買い得な価格設定が魅力。
2万円アップでストレージが倍の1TBに増えて、フルHD液晶が4K液晶にグレードアップし、さらにデジタイザペンまで付いてくるのは破格のプライスだ。
しかし、筆者は159,800円のスタンダードモデルも強く推しておきたい。Core i7-7500U/メモリ16GB/512GB SSD/フルHD液晶は実用上十分なスペックだし、4K液晶をあきらめる代わりに連続動作時間がカタログ値で約9時間から約15時間へと大幅に向上する。デジタイザペンが同梱していないが、お尻のノック部分で消しゴム機能を利用できるSurfaceペンの方が使い勝手は上。ペン先を自由に選べる点もSurfaceペンの大きなメリットだ。
とは言え、HP Spectre x360はストレージもディスプレイも後から交換できない。容量と解像度を選ぶか、連続動作時間の長さを重視するか、自分が必要とするスペックをよく検討した上で最適なモデルを選んで欲しい。