~ お勧めのルータ「MN128-SOHO Slotin」 後編(無線LAN編) ~
「MN128-SOHO Slotin」(52,800円)は、ダイヤルアップルータで定評のあるMN128-SOHOシリーズの最新機種だ。様々な機能を搭載し、非常に魅力的な製品に仕上がっていることは、前回レポートした。 このMN128-SOHO Slotinは、背面に2つのPCカードスロットを装備していることも大きな特徴だ。ここにPCカードを増設することにより、MN128-SOHO Slotinの機能を大幅に強化することができるようになっている。現在のところ、無線LAカード「MN128 SS-LAN Card」(12,800円)がラインナップされているが、前回のレポート時点ではこのカードが間に合わなかった。今回は、このMN128 SS-LAN Cardが届いたので、早速MN128-SOHO Slotinの無線LANについてレポートする。
そういった問題を解決する方法として注目されているのが、無線LANである。現在のところ、無線LANは個人でも購入できる価格帯では、最大2Mbps程度の速度を実現した製品がいくつか登場している。ケーブルを使ったLANでは100Base-TXが当たり前のようになっている現状では、2Mbpsという速度は低速だが、プロバイダに64kbpsや128kbpsで接続するインターネットアクセスという観点では十分過ぎる速度である。個人環境では、それほど大量のデータをやり取りしたり、ネットワークプリントを頻繁に行なうこともないだろうから、ケーブルレスのメリットがある無線LANは非常に魅力的である。 今回とりあげるPCカード型無線LANカードの「MN128 SS-LAN Card」も、昨年あたりから徐々に増えてきている個人向けの無線LAN製品の中の1つである。2.4GHz帯を利用し、送信出力は10mW以下。2.4GHz帯を使っているので無線免許なしで、誰でも利用することができる。また、直接スペクトラム拡散方式(DS-SS)を採用し、耐ノイズ性に優れ、無線LANの標準プロトコルであるIEEE802.11に準拠する。最大データ転送速度は2Mbpsだ。 MN128 SS-LAN Cardは、MN128-SOHO Slotinと同時に発表されたためか、MN128-SOHO Slotinのオプション品というイメージが強いが、MN128 SS-LAN Cardだけでもネットワークを構築可能だ。例えば、複数台のノートPCがあれば、そのPCのそれぞれにMN128 SS-LAN Cardを増設することで、それぞれのPC間でPeer to Peer形式で接続することができる。
MN128 SS-LAN Cardには、無線LANカード、ドライバの入ったFD、マニュアルがパッケージされている。対応OSはWindows 98のみ。インストールは、他のPCカード型のNICと同じで、PCカードスロットに挿し込むと、Windows 98のプラグアンドプレイ機能により認識され、画面のメッセージに従って、ドライバの入ったFDからドライバを組み込むだけである。MN128 SS-LAN Cardが正しく認識されたら、ネットワークのプロパティで、この無線LANカードに各種プロトコルをバインドする。 ネットワーク構築で利用するMN128 SS-LAN Card同士で、共通のESS IDを設定することにより、他のMN128 SS-LAN Cardからの傍受や介入を防ぐことができる。このあたりは、他の無線LANカードと同じである。PCに増設されたMN128 SS-LAN CardのESS IDの設定は、コントロールパネルのMN128 SS-LAN Cardアイコンをダブルクリックして表われるウィンドウ内で行なう。
要するにPC間であれば、各PCにMN128 SS-LAN Cardを増設し、同じESS IDを指定。Ad hocモードに設定して、NetBEUIやTCP/IPをバインドすることで、MN128 SS-LAN Card同士での無線を使ったネットワークを構築できる。
まずMN128-SOHO Slotinの電源を切り、背面のPCカードスロットにMN128 SS-LAN Cardを挿して電源を投入。その後、パソコンのWebブラウザでMN128-SOHO Slotinの設定画面を表示させ、ESS IDを設定し、一度電源を切って電源を入れ直せば、MN128-SOHO Slotin側の設定は終了である。 PC側はMN128 SS-LAN Cardを挿し、ドライバをインストール、その後ESS IDを設定し、同じ画面で通信モードをInfrastructureにすればいいだけだ。後は、他のNIC同様に各種プロトコルをバインドしていく。 ここまでの設定で、もう無線LANでのインターネットアクセス環境は整い、MN128-SOHO Slotinの簡易DHCPサーバー機能により、PCにはIPアドレスなどの情報が自動的に割り当てられ、インターネットアクセスが実現できた。どの無線LANカードからの通信が行なわれているか、どの程度のパケットがエラーを起こしているかなどの情報も、Webブラウザから簡単に見ることができる。これで確認すると、屋内で無線LANを利用している間での通信では、送受信ともエラーパケットは発生していなかった。 インターネットアクセスであれば、筆者宅の環境ではまったくストレスを感じることなく、無線LANのメリットを享受できたが、さすがにファイル転送を行なうと2Mbpsの速度が気になってしまった。しかし、その点を我慢すれば、十分ファイルのやり取りも可能だ。また、この無線LANの通信可能距離は屋外で見通し100mとなっており、筆者自宅から直線距離で50mほどのコンビニエンスストアでも通信を行なうことができた。
さらに家庭以外でも、ちょっとした事務所内であれば、会議室にノートPCを持ちこんだり、応接室でプレゼンテーションを行なうときも、ネットワークの配線を気にすることなく、ネットワークを利用できるというメリットがある。今回は試していないが、同じESS IDを使ったネットワークでは、最大10台となっているため、小規模なネットワークであれば、無線LANだけでネットワークを組むということも考えられる。 元々、高機能なダイヤルアップルータに、PCカードを使って無線LAN機能を追加できるMN128-SOHO Slotinの拡張性は、改めて評価したい。取り合えずはMN128-SOHO Slotinだけでインターネット接続やLANを構築し、必要が出てきたら最小限のコストだけで無線LANを使ったネットワークへの移行が可能であり、追加した無線LANの機能を簡単な手順で、設定できる点も評価に値する。 この無線LANカードで、死角があるとすれば、対応OSがWindows 98だけという点だ。ネットワークを重要視しているのであれば、Windows NTやWindows 2000に対応して欲しいところだ。NTT-MEからはより高速な最大11Mbpsの無線LANカードの発売も予定されており、MN128-SOHO Slotinの拡張性がさらに活用できることも期待される。
□NTT-MEのホームページ(販売元)
[Text by 一ヶ谷兼乃] |
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