~ 無線LANでもっと“ごろごろ”インターネット ~
現在の住まいは1LDKである。その内のK(キッチン)の部屋には、オーディオセットやTV、家庭用ゲーム機などを置いて普通のリビングとして使っている。ただそれ以外にも、部屋に遊びにきた人に触ってもらえるようにiMacを設置しているほか、サーバーになっているブックタイプのPCとMacintosh LC475、モバイル用のノートPCといったパソコンも置いている。
そこで、“もっと”ごろごろしたインターネットをするために考えたのが、無線LANシステムの導入である。無線LANといえば、数年前までは数十万円もしたり、ゲートウェイ用のPCを用意しなければならないということで、個人が気軽に手を出せないシロモノであった。しかし、現在では安いとはいえないまでも、なんとか個人でも手をだせる価格の製品が登場してきた。
また、現在構築しているEthernetのLAN上に、各パソコンから無線でアクセスするための基地局「AIRCONNECT アクセスポイントWLA-T1(以下アクセスポイント)」を接続するだけで、簡単に無線LANを既存のネットワークに加えることができる。 今回はアクセスポイント1セットと、クライアント側で使用するPCカード型の無線LAN用ネットワークカード「WLI-PCM」2枚がパッケージになっている「AIRCONNECT 簡単導入パック」を使ってみることにした。
アクセスポイントの設置は、ネットワークカードを挿入して、10Base-T用のケーブルで既存LANに接続、後は電源を繋ぐだけと簡単だ。設置が終わると、添付の設定ユーティリティでアクセスポイントのIPアドレスを設定する。この設定ユーティリティは、TCP/IPでなくMACアドレスで管理しているようで、アクセスポイントが既存のネットワーク以外の設定になっていても、この設定ユーティリティでIPアドレスの設定を行なうことができる。
この後の設定は、Webブラウザで簡単にできる。もちろん、パスワードが設定できるので、不用意に設定が変更されることも防ぐことが可能だ。基本的にアクセスポイントは、IPアドレスの設定さえしていれば、とりあえず通信を行なえる。なお、この1つのアクセスポイントで管理できるのは最大253台、推奨で32台の無線端末となっている。
なお、アクセスポイントとクライアントには、それぞれ固有のIPアドレスを設定しなければならない。もちろんDHCPサーバーがネットワーク上に存在すれば、IPアドレスを自動的に取得できるため、設定はいたって簡単に行なうことができる。今回もDHCPサーバーを使ったため、アクセスポイントとクライアント1台の設定は、15分程度で完了した。
これで通信ができることが確認できたので、早速Intenet Explorerを起動して、いくつかのホームページにアクセスしてみた。AIRCONNECTの通信速度は仕様上2Mbpsということになっているが、実効速度は1.3~1.4Mbps。これはインターネットアクセスを行なうのであれば、十分すぎる速度なので、無線LANだからといって通信が遅いと感じることはまったく無い。 これで、完全に無線LAN環境がととのったわけだが、AIRCONNECT 簡単導入パックのパッケージ開梱後、1時間もかからなかった。なお、今回はアクセスポイントを使って既存のLAN環境に無線LANを追加したが、AIRCONNECTはアクセスポイントを使わなくても、2台のクライアントでPeer To Peerネットワークを構築することもできる。
まず建物の表の通りでは、問題なく通信できた。専用ユーティリティでも通信状態は「良好」となる。ここまで電波が届くとなると、つぎの目標はちょっと離れたところにあるコンビニだ。このコンビニは、ミニストップなので、店先で軽食を取れるコーナーが用意されている。このコーナーでインターネットができるだろうか? このコンビニと部屋の位置関係だが、直線距離で約100m、その間には鉄筋コンクリートのビルが1棟存在する。AIRCONNECTのカタログでは戸外での有効通信範囲は150mとなっているので距離的には範囲内だが、遮るようにビルが建っているため、通信できるのかどうかは実際に試してみないとわからない。 早速、ノートPCを抱えてミニストップに向かった。ハンバーガーのセットとコーヒーを注文して、ノートPCを広げて、専用ユーティリティを起動。接続のテストを行なったところ、電波状態は最良とまではいかないが、実際にパケットを使った通信状態は良好となり、あっけなくインターネットにアクセスができた。しばらくすると注文したものが届き、それを食べながらのネットサーフィン。“自前インターネットカフェ”が実現した。 ここまでAIRCONNECTが使えるとは予想していなかったので、多少の驚きを感じた。無線LANだから電波さえ届けば通信できるのは当然ではあるが、既にOCNやDIONなど常時接続サービスを受けていればPHSや携帯電話を使った通信と違い通話料金もかからずに、より高速で快適な通信ができる。
また、AIRCONNECTはクライアントPC側の設定を変更するだけで、複数の基地局を切り替えて通信することができる。まだ試していないが、自宅でAIRCONNECTを使用しているユーザーが、AIRCONNECTを設置している出先で、そこの基地局に一時的に接続して利用するというケースもある。また、企業などで機構改革や席替えが行なわれる時に、AIRCONNECTであれば再配線の費用も手間も抑えることできる。 このようにメリットの多い無線LANも問題がないわけではない。それは価格である。AIRCONNECTシリーズは、確かに無線LANとしては最も価格帯の低い製品ではある。しかし、PCカード型のNICで実売価格25,000円程度。これは通常のPCカード型NICの約5倍近い価格である。なんとか個人でも購入できる価格になってきたとはいえ、有線のLANと比べるとまだまだ高価である。ただ、この程度の価格差であれば、無線LANのメリットの方が魅力的であると感じるユーザーも多いだろう。 筆者自身も一度無線LANの快適さを体験してしまうと、なかなか元に戻れない。部屋のどこでも、思い立ったときにノートPCを持ち運んでネットワークを使うことができる便利さは、“ちょっと”無理をしてでも手に入れる価値は十分あると判断した。
□「AIRCONNECTシリーズ」のページ
[Text by 一ヶ谷兼乃] |
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