特集

【年末特別座談会】後藤、笠原、山田のライター3氏が今年のあれやこれを本音で斬る(下半期編)

 では、後藤弘茂氏、笠原一輝氏、山田祥平氏による座談会2013年下半期編をお送りする。

7月

LenovoがHPを抜いてPCシェア1位に

【笠原】一言だけ言いたいのは、歴史は繰り返すだけということです。まず、Dellが1位で、次にHPが1位になり、今回Lenovoが1位になりました。いずれの企業も、ラインナップを一気に増やして、在庫が積み上がった。そうしないと1位は取れないんですね。しかし、その結果として、DellもHPも会社が傾いた。Lenovoにも当然それが起きます。1位になったことはいいことだけど、それを維持するのは相当大変で、利益率を確保しながら1位に居続けるのはほぼ不可能ではと思います。ただ、Lenovoは「PC+」というPCとスマートデバイスの組み合わせを推進するという他の2社とは違う戦略を採っているので、まだマシかもしれません。

【山田】でもLenovoを支えてるのは、アメリカでもヨーロッパでもなく中国なんで、一概にそうとは言えないのでは?

【笠原】ええ。ただ、米国本社のLenovoと、中国本社のLenovoはほぼ別会社みたいなもんなんですよね。僕らが普段接しているのは、元IBMの人たちがコントロールしているLenovoで、中国のLenovoについては、米国からは関与してないんです。

デバイス&サービスカンパニーを目指すOne Microsoft

【笠原】それはさっきSurface RTの件で僕が言ったことが全てですよ(上半期編参照)。Microsoftを支えていたのは誰か? それは、黙って税金を払い続けるかのごとくついてきたOEMメーカーじゃないですか。そして、Windows業界でのイノベーションでMicrosoftが起こしたものなんで1つもないでしょ? 全部OEMメーカーが起こしたイノベーションにMicrosoftが乗ってただけなんです。ところが今Microsoftは、自分でイノベーションを起こすんだと言い始めた。起こせるわけがないじゃないですか(笑)。根本的に間違った戦略ですよ。

 それからSurfaceの発表会で樋口さん(日本マイクロソフト社長)に、OEMメーカーのPCとの競合について質問したけど、何も答えられてないですよね。Surfaceは当然のごとく、他のPCと競合してます。だから、デバイス&サービスカンパニーの戦略を推し進めるなら、今のOEMビジネスはきっぱり捨てるべきです。「我々は明日からWindowsのライセンスを辞めます」と。

【後藤】Windows Phoneについては、そうなりつつあるよね(笑)。

【笠原】それは顧客がみんな逃げたからでしょう?(笑)

【後藤】Microsoftは、従来のOEMビジネスが崩壊していくことを自認してるからこその方向転換なんだろうけど、そのやり方が間違ってるよね。

【笠原】このまま行くと、デバイスカンパニーとしても花開かず、OEMビジネスも終焉しちゃう。誰にとってもいいことないです。

【後藤】どっか買収しちゃえばいいんじゃないかな?

【笠原】Dell?(笑)

【山田】だからさっきそう言ったじゃん(笑)。

【笠原】Dellを買収しても勝てないと思うなぁ。

3Dプリンタの興隆

【後藤】3Dプリンタは長いスパンで見ると、モノの買い方を変えますよね。今はお店に行って買うわけだけど、このまま行くと最終的には、モノ自体ではなく、データを買って、場合によってはそれを修正して、自宅で出力すると。

【笠原】スタートレックの世界ですね(笑)。

【後藤】工場で作られたものを買うというシステムは過渡期にあって、消費者が製造システムを持てるようになったら、自分用にカスタマイズされたものを、自分の家で作ると言うことになる。

【山田】サンフランシスコにあるMicrosoft Storeにこの間行ったんだけど、小さなMicrosoftロゴを出力するのに1時間もかかるのが現状だけどね。

8月

Micronによるエルピーダ買収が完了

【後藤】端的に言うとDRAM事業がすごく難しいということですね。なぜなら、DRAMが終焉に近づいてるから。2010年代の後半には消えます。焦点は次世代の不揮発性メモリ。エルピーダはReRAMとかに投資をしていたけど、乗り切れなかった。DRAM 1チップが1ドルを切るとビジネスとして話にならないですよねぇ。

【笠原】もうビジネスではなく、政府がどれだけをお金を出すのかの世界じゃないですか。

【後藤】それはまた極端な話だけど。Samsungはそうじゃないし。とにかく、メモリは構造的変化が迫ってきてる。それに従って顔ぶれも変わる。そこで日本メーカーが残れなかったのはすごく残念です。あとは、東芝のReRAMとSTT-MRAMがどうなるかですよね。

スティーブ・バルマー退任

【笠原】そういう時期だったんでしょう。

【後藤】Microsoftは本当に顔となる人物がいなくなりつつある。

【笠原】さっきも言ったけど、Microsoftは戦略が行き詰まってるわけじゃないですか? だからラディカルに行動できる後任が必要ですよね。

山田祥平氏

【山田】でも、全然違う世界から来て、Microsoftが別の会社みたいになったらイヤだなぁ。

【笠原】別の会社みたいになった方が良いですよ。変わらないと。

【後藤】Microsoftは昔からビジョンを示せないっていう難点があるんだよね。バルマーもしかり。

【笠原】ただ、中途半端にビジョンを示せる製品マネージャーを抜擢した結果が、この体たらく(Windows 8)でしょ? 彼のやりたかったこと自体はすごく壮大だったと思う。でも、仕上がりは中途半端になっちゃった。たぶん、それに頭来て辞めちゃったんじゃないかなぁ。

【後藤】ここで言うビジョンってのはもっと大きなモノで、Appleのような、人をその気にさせることを上手くやらないといけない。

【笠原】ともかく、新しいことをやろうとした人が辞めちゃって、その情況を収拾できてない。Windows 8.1のスタートボタンの復活とか、迷走の局地ですよ。これが全てを象徴してる。あんなの、一度辞めた以上、つけたらいけないじゃん。OEMから文句言われたから復活しましたって、あり得ないですよ。

【後藤】それを言うと、Windows VistaでWin32復活させたのだって同じだし。

【笠原】Microsoftには全体像を理解している人がいないんだよね。

【後藤】こういうビジョンがあるから、技術はこうあるべきだと言って、引っ張っていける人がいない。

【笠原】次の新しいトップに期待するしかないですね。

【山田】結局そこなのね(笑)。

【笠原】だって、Microsoftには変わってもらわないと困りますよ(笑)。

【山田】でも、トップでそんなに変わるもんかね?

【笠原】変わるでしょう。

【後藤】そりゃ、変わる。米国の企業はトップ主導だから。

【笠原】Microsoftはこの業界にとって重要な会社だと心の底から思っているので、良い方向に変わって欲しいんですよ。僕はいつもMicrosoftに厳しいこと言ってますけど、それは愛の裏返しなんですよ(笑)。こんな事言っていいかわからないけど、PC業界が低迷している99.9%の原因はMicrosoftにあると思ってます。Microsoftが変われば、この情況も変わります。

【後藤】Microsoftには(この業界を変えるのは)無理だと思うけどなぁ(笑)。

【山田】僕はMicrosoftにはもうちょっとガキになって欲しいんだけどな。

【後藤】根本的な要因はMicrosoftにあるんじゃなくて、外的要因がいっぱいあるわけで。

【笠原】でも、Netscapeが出て、それにIEで対抗していった。その時のような事を僕は期待しているわけです。

【後藤】あの時にもJavaの代わりにC#だ.NETだと、そしてOSをランタイムレベルで再構築するんだってビジョンを打ちだした。でも、それをやらなかったし。

Nexus 7(2013)

【後藤】Nexus 7はねぇ、反乱を起こすNexus 6を鎮圧すべく、派遣されるんだよ。

【笠原】な、何が言いたいんすか?(笑)。

【後藤】だから、Nexus 6は人類に反乱を起こしちゃうのよ。(※編集部注:小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」ネタ)

【笠原】それは置いといて、まじめな話をすると、2013は2012に比べると、魅力はかなり薄くなりましたね。というのも、値段が上がったので。それでも売れてるからすごいんだけど、2012ほどは勢いがない。

【後藤】そうかぁ。それはちょっと驚いた。

【笠原】2012が出たときは、タブレットは全部Nexus 7になるんじゃないかと思ってたけど、2013を見て、そうはならない、まだWindowsもいけるなと思った。やはり、19,800円という価格は衝撃でした。

【後藤】その前に、Kindle Fireも安かったよ。

【笠原】そっちはAmazonのサービスと一心同体だから。日本ではNexus 7 2012がガッと来た。

【後藤】でも、米国だと2012は簡単に買えたけど、2013は量販店に入るそばから売れていって、全然買えなかった。

【笠原】でも、仕様面では2013は液晶が高解像度化した以外は大きく進化してなくて、値段は上がった。今年は去年の余波で行けてるけど、来年はないなと思いました。

iPad Air

iPad Air

【山田】素晴らしいと思った。

【後藤】Airは素晴らしい。

【山田】本当に薄くなってるし。

【後藤】64bitだし。

【笠原】僕は今後AndroidとiOSの10型タブレットは死に絶えると思ってます。

【山田】なんで?

【後藤】そう? だって、うちは子供達に(いろんな製品を)与えて、それで選ばれたのがiOSの10型だよ?

【笠原】10型以上はWindowsだけになると思いますよ。

【後藤】艦これやる人はね。

【笠原】いや、艦これやらなくても、日本はさっきも言ったように(キーボードをセットにした)2-in-1的な使い方がほとんどだから。

【後藤】それは大人だけだよ。

【山田】iPad AirでリモートデスクトップでWindows使うの最高だよ。

【笠原】それはすごい特殊用途ですよ(笑)。

【後藤】その内、口述すると勝手に論文ができるソフトができるわけ。つまり論文は書くものじゃなくなる(からキーボードは不要)。

【山田】それは口が疲れます(笑)。

【笠原】話を元に戻して、カフェなんかで見てるとiPadを使ってる人はみんなロジクールのキーボード使ってるんですよね。それを考えると、日本では10型以上は(キーボードを想定した)Windowsになっていくと思いますよ。

【後藤】それはキーボードという呪縛にとらわれた人の発想だと思う。

【司会】でも、最近は本当にiPhoneで大学の論文を書いてる人もいるんですよね。

【山田】確かに、そうやって使ってる人の操作を見ると、驚くほど速いよね。

【笠原】携帯電話が登場した時も、若い人たちのテンキー入力の速さに驚きましたね。

【後藤】でも、うちの子達は、基本が音声入力だよ。

【笠原】それは普通(の家庭)じゃないと思うよ絶対に(笑)。

【司会】さきほど64bitの話も出ましたが、現時点でその恩恵はあります?

後藤弘茂氏

【後藤】みんなすごい誤解していて、ARMの64bitがほかのCPUの64bitと違うって事を全然考えてない。ARMはともかく32bitの出来がひどい。何がひどいか? RISCなのに汎用レジスタが16本しかない、その内の3本はプログラム関連で使っちゃうので、汎用に使えるのはたった13本。これで、ロード/ストアアーキテクチャのハンドリングをしなきゃならない。そうするとコンパイラが効率的なコードを吐けない。ので、コードステップが非常に長くなる。一方64bitになると汎用レジスタが31本、SIMDメディアレジスタが32本だから、コンパイラがものすごく効率的なコードを吐けるようになる。

【山田】つまり今のARMの32bitはひどいと。

【後藤】ひどい。だって、僕の知り合いでネイティブARM 32bitに触れた人は皆「変態命令セット」って言ってるし(笑)。

【山田】じゃ、なんでここまではやったんだろう?

【後藤】しょうがないから(笑)。そういうひどいことがなくなるのが64bitのARMv8。だから、コーディングも最適化も楽になるし、コンパイラも速くなるし、全体的に高速化できる。

【山田】で、今までのノウハウは活かせると?

【後藤】ただ、デコーダが違う。

【山田】そこはコンパイラが面倒見るんでしょ?

【後藤】そう。だけど、開発者が最適化のために苦労しなくて良くなる。例えばARM 32bitの場合は、シフト・演算と並べると速くなるとか、変な最適化がいっぱいある。後は割り算命令使っちゃダメだとか。だってCortex-A9までは割り算演算器がなかったから。何それ!? 一体いつのCPU? って感じでしょ?(笑)。

 それから(64bitの恩恵は)セキュリティモデル。ARMのセキュリティ特権階層は、すごく変。普通はRing0、1、2、3、セキュアバイザー、ハイパーバイザー、OS、アプリとできるけど、ARMの場合、これができない。一方ARMv8からは4階層で、普通にセキュアなハイパーバイザーを埋め込める。おそらくiPhone 5sはそれを使ってて、指紋データをそこに入れてる。指紋データをメモリに展開する時、セキュアメモリ空間に移すには、そういう仕組みが必要になる。

 だから(よく言われる)アドレス空間(のメリット)は3番目なんですよ。

【笠原】ARMv8Rすごい仕様じゃないですか?

【後藤】v8Rは気にしなくて良いよ(笑)。

【笠原】僕はあれを見て、なんじゃそりゃと思いましたよ(笑)。

9月

MicrosoftによるNokia買収

【後藤】さっきの話で終わりですよね。デバイスカンパニーになるためには買収しなきゃだめだよね。以上。あとは、Dellを買収すれば完了(笑)。

【笠原】まぁ、来年になったらMicrosoftはデバイス&サービスカンパニーを諦めてますよ(笑)。

【後藤】Microsoftのこういう方針って2〜3年で変わるから、あんまり気にしないんだよね。

【山田】Googleみたいなやり方すればいいのにね。

【笠原】今まではやってたんですよ。

【山田】でも、ユーザーからは見えなかったよね。

【笠原】そうなんだけど、Microsoftは、今まで立ち上げのハードウェアパートナーを決めてやってたんですよ。Windows RTの時もそうだったじゃないですか。あの時はCPUによって違って、QualcommがSamsungで、TIが東芝で(笑)、NVIDIAがLenovoとASUS。

【後藤】あとMicrosoft自身。

【笠原】つまりPegatronですね。

Android 4.4

【山田】これどこが変わったんだろう?

【後藤】これは中間ステップなんですよ。来年は大きなステップが2つ待ち構えてて、1つはOSスケジューラが切り替わる。Linux OSのスケジューラって今まで2回しか変わったことないので、これが最大の変更。もう1つは64bit化。つまり、下層のコード周りが完全に変わってくるので、来年の変化はでかいですよ。逆に言うと、今年のAndroidの変化は面白くなかった。

Bay Trail

【山田】素晴らしい。Haswellとセットで素晴らしい。これでドラスティックにハードが変わって、長年PCを見てきたけど、この秋冬シーズン(の製品)はホント好き。

【後藤】やはりSilvermontコアが職人芸的に素晴らしかった。Silverthorneの時は45nmのBonnelコアが40nmのCortex-A9の4倍のダイサイズだった。ところが22nmのSilvermontは28nmのCortex-A15と同じサイズ。ついに追いついた。それはSilvermontがBonnelからほとんどリソースを増やさないで、アウトオブオーダー化に成功したから。なぜこれができたかというと、CISCのままアウトオブオーダー化したから。でも、それって昔あったよね。Cyrix? みたいな話なんだけど。

 結局の所、ロード/エグゼキューション/ストア、この3つは真の依存性があるんで、だったら分解しないでリザベーションして、そのまま突っ込んじゃおうって考え。そうするとスケジューリングの幅はすごく狭まるけど、最大のボトルネックであるメモリロードのレイテンシを隠蔽できるので、高速化できる。これは確かにアリだなと。

笠原一輝氏

【笠原】Bay Trail-Tは2010年代のBaniasですね。そして2016〜2017年頃にMerom的な何かが来る。

【後藤】それは正しい。このまま高速化することはできないので。

【笠原】つまり、今のPCでは(Bay Trailは)、Haswellの下の存在ですが、このアーキテクチャの延長線上にあるものが、今後のメインストリームになる。その可能性はかなり高いと思います。問題はそうなった時に、利益率が全然違うこの2つのCPUを、Intelがどうさばいていくのか。

【後藤】それはまたさっきの話に絡んで、Fabを埋めることができても、ウェハ1枚当たりの価格が下がると、今のビジネスモデルを続けることはできなくなる。

【山田】去年の(Clover Trailの)Iconia W3も触ったけど、今評価してる富士通のARROWS Tab QH55/MとレノボのMiix 2 8は別次元のように速いね。

【笠原】GPUは性能が3倍になってますからね。というか、前の世代のPowerVRがWindows用には力不足過ぎた(笑)。

【後藤】PowerVR5までは、小さな解像度に最適化したアーキテクチャなんだよね。小さな解像度をタイルに区切って、その中のそれぞれのピクセルがあまり同期しないことを前提に作ってる。そういう情況では効率を発揮するけど、解像度が上がるとものすごく効率が悪くなる。PowerVR6は(高解像度でも)効率良いけど。

Intel Quark

【後藤】結局、Intelは長いこと組み込みに本気を示してなかったんで、IoTに併せて、本気だよってところを見せてきた。

【笠原】マーケティングタームだよね。

【後藤】いや、ちゃんとそのためのコアもあるんだけど、ただコアだけじゃだめで、周りを揃えないとしょうがない。でも、Intelはそこをまだ持ってない。それとファウンダリビジネスも始めるけど、まだIPが揃ってないし、組み込みメモリもまだだし、色々足りてない。ただ、Intelの強みとして、近しきい電圧とか省電力技術の蓄積が山ほどあって、本当はそこで力を発揮できるはずなんだけど、そのためにも周辺を揃えないとという情況。

 彼らがFPGAから始めるのはそれが楽だから。FPGAだったらIntelの今のコアは簡単に作れる。でも、モバイル用のカスタムSoCをいきなり作れと言われても作れない。

【笠原】今のSoCってTSMCのプロセスに最適化した物理設計をしておいて、ボンボンボンと嵌めていくわけじゃないですか。でも、IntelのSoCはそうなってない。だから、自社の技術に入れ込むためにすごく時間がかかってる。でも、そうは言ってられないので、ありもので合わせ混んだのがSoFIA。まぁ、その方が速いので、正しいやり方です。ただ、そうするとますます自社の釜を埋めるモノがなくなる。

【後藤】最終的にはIntelは(SoFIAなども)自分たちの所で作りたい。

【笠原】次は、IntelはAMDのCPUを製造すればいいんですよ(笑)。

シャープMebius復活

【笠原】MicrosoftとIntelの人が心の底から喜んでましたよ。シャープがWindowsに戻ってきたと。

【山田】でも、Mebius Padの発売2月とかでしょ? なんでそこまで遅くなるんだろう?

【笠原】(LTEがついてるので)キャリアが絡む製品ってそういうものですよ。キャリアが絡んでなければ、富士通と同タイミングで出してたでしょう。

10月

Windows 8.1発売

【笠原】すごく良い出来だと思いますよ。Windows 8のダメだったところが改善されて、最初からこれだったならなと思います。

【山田】悪いのは設定したアクセスポイントを消せないことくらいだよね。

【笠原】ああ、困りますね(笑)。ただ、コマンドラインでは消せますよね。

【山田】そんなの面倒くさいよ(笑)。

【笠原】8が60点くらいなら、8.1は95点ですね。

【山田】95点まで出しちゃう!? 8.1はいいんだけど、その仕様にハードウェアがまだ追いついてないと思う。

【笠原】8.1はSkyDriveの統合が本当に良い出来だと思います。iOSやAndroidと比べて、ビジネスユーザーにとって最もいい出来だと思います。ただ、これが全然伝わってないんですよね。

【山田】SkyDriveの同期をバックグラウンドでやっといて欲しいなぁ。

【笠原】それは祥平さんだけですよ、きっと(笑)。

WiMAX 2+サービスイン

【山田】これからだよね。

【笠原】ハハハハ(笑)。そうとしか言いようがないよね(笑)。

【山田】ようやく我が家のリビングで繋がるようになったから、後は自分の部屋が繋がれば完璧。

【笠原】それ、UQの人に圧力かけて、祥平さんの家の近くだけアンテナ増やしてんじゃないの?(笑)

【山田】それやってくれるなら、すぐやってくれよって感じ(笑)。

 WiMAX 2+が、TD-LTEになってiPhoneやNexusでも使えるようになる可能性が出たし、今後数年でもう一度PCにWWANが入るだろうから、その頃はWWANチップはTD-LTE互換とFDD-LTE互換と両方サポートで、WiMAX 2+も繋がって、笠原君の望んでた世界が戻ってくるよ。

【笠原】いやもう僕はauのLTE(VAIO Duo 13)でそれが戻ってきてるから、何にも困らないですよ(笑)。

 それは冗談だけど、WiMAX 2+はいいんだけど、既存のWiMAXの良いところを削っちゃってるのは残念ですよね。1アカウントで複数デバイスを登録できるとか。

【山田】SIMモデルになっちゃったからね。

【笠原】SIM 3枚発行してよって思いますよね。1は3台まで使えるわけだから。

【山田】じゃ、1のユーザーでいればいいじゃん。

【笠原】とりあえず1のユーザーのままでいますけど、いつなくなるか分からないですしね。基地局がどんどんWiMAX 2+のものに置き換えられてるので。

【山田】UQは50MHzの内、20MHzは1のために残すって言ってるよ。

【笠原】僕はWiMAXを超応援してるんだけど、1つ言いたいのは、いつの日か容量無制限を止めたら、WiMAXを使い続ける理由はなくなるなと。

【山田】7GBじゃ話にならないと。

【笠原】ならないでしょう。僕はVAIO Duo 13のLTEとは別にWiMAXを持ち歩いてて、これがなくなると生きていけないですよ。

Radeon R9(Hawaii)

Radeon R9 290X

【後藤】これはプロセスルールは28nmのままで、アーキテクチャを変更した大きなチップです。ここには20nmプロセスを前にした苦しさがよく見えてる。なぜ、アーキテクチャが変わらなかったかというと、大きな枠となるアーキテクチャを作って、それを少しずつ拡張していくプロセスに入ったから。NVIDIAもそう。GPUのアーキテクチャを2年毎に変えることは、もうリソース的に無理になってる。

 もう1つ大きなポイントはMantle。このポイントはコンソール的な開発スタイルをPCに持ってくること。ただ問題点として、MicrosoftとSony Computer Entertainmentに採用してもらうことができなかった。つまり(Mantleが加わると)、XboxとPlayStationとOpenGLとDirectXというAPIの混乱に輪をかけちゃった。開発者からすると、地獄のような情況。しかも、Mantleはやっかいで、何も定義されてない。ゲーム機のAPIと似てはいるけど互換じゃない。

【笠原】マーケティング面から見ると、今年GPUは厳しかったですね。特にノートPC向けマーケットが壊滅してしまった。では、GPUメーカーの生き残る道は何かというと、PCゲームしかないという結論にみんな至った。Mantleも、PCゲームでNVIDIAを出し抜くために考え出された側面がある。

【後藤】ゲームコンソールを(APUで)取ったから、それに似たAPIを(PCにも)持ってきたんだよ。じゃないと、これは成り立たない。

【笠原】マーケティング的に対NVIDIAを見た時、より大きな視点では後藤さんの言った通りだけど、MantleによってGPUの売り上げの桁が1つ上がる可能性がある。とは言え、市場がどんどん縮小してて、特に日本はPCゲーム市場がほとんどない。だから、みんなどうやって生き残っていくんだろう。来年どうしたら良いのか、僕には正直よく分からないです。

【後藤】最終的には全部APUになって、単体GPUは消えちゃうね。

インテル日本法人社長交代

【笠原】これも記事に書いた通りですけど、1つだけ追記するなら、アジアパシフィック地域に統合って言うのは、正しい言い方じゃなくて、地域名はアジアパシフィックジャパンになったらしいです。それに日本が属することになる。

Surface 2

【笠原】Surface 2はいいんだけど、取材で使おうとして困るのが、ラップトップ(腿の上で使う)にならないんですよね。

【山田】今度のはかろうじてなるよ(笑)。

【笠原】あれはラップトップで使えるって言えないですよ(笑)。カメラ撮影とかで動く度に床に落ちますよ(笑)。

【後藤】だね(笑)。

【笠原】マジメに評価すると、Surface 2はTegra 4になって性能があがって、良いと思いますよ。

【山田】Pro 2は?

【笠原】あれは側が変わってなくて、中身がHaswellになっただけでしょ?

【山田】でも、Haswellになって電池持つようになって、見違えたよ。

【笠原】それはそうだけど、だから何? って感じですよ(笑)。まぁ、確かにその意味ではSurface 2もTegra 4になっただけなんですが(笑)。

【山田】Surface Pro 2に匹敵するPCがないんだよねぇ。

【笠原】VAIO Tap 11ダメですか?

【山田】僕はクラムシェルがいいわけよ。

11月

各社8型Windowsタブレットを投入

Miix 2 8

【司会】個人的にはDell製品を試用しましたが、よくできていると思います。カジュアルに使って、たまにOfficeなどデスクトップアプリを使うのにすごく適していると。

【笠原】そうですね。日常的にあれでOfficeをバリバリ使いますという向きじゃないですが、ちょっとカバンに入れておいて、仕事のメールが来て、Excelの表のここだけを直さなきゃっていう情況に対応できる。素晴らしいと思います。

【山田】SkyDriveのおかげで64GBとか32GBでも十分だしね。

【笠原】32GBで全然使えます。僕、ASUSのTransBook T100TA買ったんですけど、やはり32GBで使えてます。艦これのおかげという人もいるけど、僕は艦これじゃないと思うなぁ(笑)。あとは、これがどこまで普及するかですよね。今のところ出しているのは4社だけなので。

【山田】このBay Trailタブレットが流行ると10型タブレットも欲しくなると思う。今富士通が出していて、次にシャープが来る。

【笠原】さっきも言ったように、10型以上は2-in-1的な使い方が増えるから、日本ではAndroid/iOSよりWindowsになると思います。

【山田】早く450gの10型タブレットが欲しい。富士通のQH55/Mもいいんだけど、やっぱり650gは重い。

【笠原】あと値段が高いですよね。8型を見て思ったのは、なんで東芝だけ高いんでしょうね? 富士通のも防水とか製品が良いのは分かってるけど、海外製品に比べて高い。やはり値段ありきな面もあるので、価格は合わせていくべきだと思うんですよ。その価格帯の中で、良さを勝負して欲しい。価格で脱落すると、もう買ってもらえないですから。

【山田】東芝もシャープも8割方企業売りしようとしてるんだよね。そうすると、実際には半額くらいで卸されていくわけでしょ。

【笠原】そこは分からないけど、店頭であの価格を見て買う人がいるのかというと、僕だったらやっぱり4万円のやつが欲しいなと思います。

iPad mini Retina

【笠原】僕は興味ないので、祥平さんどうぞ(笑)。

【山田】僕はドコモ版が欲しくてまだ買ってない。あとVerizon版が欲しいので、これはCES 2014で買います。

【笠原】毎年同じ事言ってるじゃないですか(笑)。

【山田】だって、VerizonのSIMをリーズナブルに手に入れる方法がそれしかないんだもん(笑)。

【笠原】これからはAT&TのSIM買えばいいじゃないですか。50ドルで5GBまでのプランができたんですよ。それが11月から出たのでいいですよ。

PlayStation 4とXbox One発売(ただし米国)

【笠原】それは後藤さんでしょ(笑)。

【山田】後藤さんの記事参照でいいでしょ(笑)。

【後藤】ゲーム産業/人口自体は拡大してるけど、コアゲーマーは固定化されてます。PS4は、上の方ではPCゲームに頭打ちされてて、フタをされてるんだけど一所懸命こじ開けようとしている。ので、コンソールゲーム機を買うコアゲーマー層をPS4はつかむことができる。問題は裾野をどうやって広げるか。これはかなり厳しいけど、挑戦している。実際触ると、PCよりもゲームのやりやすさが飛躍していると実感できる。ユーザーが戻ってくるかは未知数だよね。地域によって受け入れられ方は違ってて、日本ではゲームコンソールは終わった、以上。でも、米国ではそうじゃない。コンソールの発売を待っている人がこれだけ膨大にいる。

【笠原】量販店でも日本と米国じゃ扱いが違いますよね。

【山田】日本では行列はできないかな?

【後藤】日本でPS4の予約が始まった時、確か1時間くらい出遅れた人も予約できたでしょ? アメリカでは本当に争奪戦だった。

【笠原】日本だと、コンソールよりスマートフォンやNintendo DSみたいなモバイル機が人気ですよね。

【後藤】考えるべきは、ユーザーはハードじゃなくコンテンツを買ってるということ。動物の森が出るから3DSを買う。任天堂はコンテンツで盛り返すことができるから、ハードウェアの失敗が隠蔽されて、分からなくなるところに問題がある。SCEはPS Vitaが失敗して反省したけど、任天堂はそれができない。

 Xbox Oneは話が違って、ゲームをカジュアル層に売り込むにはもっとTVと融合させなきゃだめだよっていうところから始まっている。それからユーザーインターフェイスを統合するところがPCとの差別化だよと。PS4とは全然違うスタンスから始まっている。そしてKinectの進化はすさまじい。Kinect 2を触ると、Kinect 1がおもちゃに見えるくらい精度が上がってる。

 それはコンピュータサイエンス的に見ると、マシンが知覚を持って、外界を認識し始めるまでに進化したってことなんですよ。マシンが知覚を持つことが初めて標準になったのがXbox One。

【山田】知覚を持った。そこまで言う?(笑)

【後藤】コンピュータの中にしてみると、今までは継続的な知覚を持っていなくて、真っ暗な中に住んでいる。そして、時々、てけてけとテキストが降ってくる。今度は、初めから視覚と聴覚を持ってる。しかもスマートフォンみたいに断続的じゃなく、常に知覚している。これはコンピュータサイエンス的には根本的な違いなんですよ。

 例えばうちの長女は、Kinect 1を最初扱う時、コンピュータをコントローラで起動しない。代わりにKinectの前に立って、自分を認識してもらうのを待つ。そういう風に、人間とコンピュータの関係性が変わってくるんです。

12月

Tegra Note 7

【後藤】遅すぎる。

【山田】うん、遅すぎる。

【後藤】この時期に出してどうするのって(笑)。

【山田】だから、Snapdragonにやられるんだよ(笑)。Snapdragonに勝とうとしたら3月くらいに出しておいてくれないとねぇ。

【笠原】いや、僕はみんなの意見の方がおかしいと思う。遅かろうが早かろうが何も変わらなかった(笑)。

【後藤】そりゃそうだけどさぁ(笑)。

【笠原】まぁ、前向きに捉えるんだったら、NVIDIAの失敗したところは、OEMに対してTegra 4の良さを伝えきれなかった。ただ、ジェン・スン・フアンCEOがデモしたように、ダイレクトタッチとかスタイラスとか、HDRとか機能は良くできてて、ちゃんと実装したら非常に良いアプリが作れると思うんですよ。ただ結局、モデムの問題とかで躓いちゃって、採用が進まなかった。ではと言うことで、自分たちでやってみようと立ち上がったのがこのプロジェクトですよね。製品は荒削りなところもあるけど、機能性は豊かなんで、極めていけば面白いと思いますよ。今回、NVIDIAはオタク向けの仕様にした。そういう意味ではPC Watchの読者には面白い製品です。

締めくくり

皆さんにとっての2013年の最大のニュースは?

【司会】それでは、最後にシメとして、皆さんにとっての2013年の最大のニュースを1つずつ挙げてもらいたいと思います。

【笠原】Bay Trailですね。さっきも言った通り、これは2010年代のBaniasになるかもしれない。数年後に振り返ると、これがターニングポイントだったと言えるようになるんじゃないでしょうか。

【山田】Haswell+Windows 8.1。組み合わせで考えたいので。敢えて1つだけにするならHaswellですね。これで不幸になった人は1人もいないと思う。

【後藤】1つだけなの? 最大って言われるとなくなっちゃうな。ある程度のものがいっぱいあるって感じなので。パラダイムシフトのようなものはなかった。ある程度のものを挙げると、次世代ゲーム機やIoTなどが、いろいろ起こりつつある変革の部分部分なんです。

皆さんが選ぶ2013年一番輝いてたPCは?

【笠原】VAIO Duo 13です。買いましたし、64bitでConnected Standbyをサポートする世界唯一の製品ですし。加えて、モデムも入ってて、キーボードもそこそこ使えるし、スライダー機構も非常に良くできてる。これより速く変形できるマシンもないと思います。

【司会】満足度は何点ですか?

【笠原】98点。

【山田】すごいねぇ。そこまで重いのに?

【笠原】重いので2点削ってます。これで1kg切ったら神ですね(笑)。ただ、今まで僕が持ってたPCはThinkPad T420sですが、同じ時間のバッテリ駆動するには、ベイバッテリ+予備のバッテリを持って2.2kgくらいになるんですよ。それが1.3kgになる。しかも前はタブレットも持って歩いてたのが、いらなくなった。

【山田】4-in-1くらいになってるわけね(笑)。

 僕が選ぶのは、新LaVie Zかな。タッチのないPCは意味ないと思うので、タッチ付きのモデル。

【司会】選んだ理由は軽さですか?

【山田】軽さもあるし、バッテリも十分保つようになった。

【司会】後藤さんは?

【後藤】VAIO Pro 11で。僕の場合、重量が最大の要素なんで。今のところ6時間駆動で、770g、(シートバッテリをつけると)14時間駆動で1,060g。これを超えるものはない。

【笠原】ちょっとWi-Fiに問題ありますけどね(笑)。

【山田】すぐ直るでしょう。

【笠原】それが直んないんですよぉ(笑)。Wilkinson Peakのバグ、本当に直らない(笑)。

そして、2014年に期待すること

【司会】最後に、2014年に期待することをお願いします。

【笠原】AMDとNVIDIAの復権ですね。NVIDIAは特にTegra。AMDは今年大分復活してきたんだけど、まだ完全にIntelに対抗できてないので。来年はIntelが焦るくらいの頑張りを見せて欲しいですね。特にAPUで。

【司会】Athlonの時のような?

【笠原】そうそう。結構良いところまで来てると思うんですよね。RichlandもKabiniもTemashも。あともう1歩頑張って欲しい。その2社が頑張らないと、Intelも頑張ってくれないので(笑)。

【山田】僕はWiMAX 2+。別に広告やってるからじゃなく(笑)。とにかく、さっさとWiMAX 1を絶滅させて欲しい。

【笠原】絶滅させられたら、困るなぁ(笑)

【山田】でも、2+が1と同じ所で同じように繋がるようになればいいでしょう? あとはデータシェアプランか何かでSIMを5枚くらい提供してくれれば。

【笠原】それで容量制限なしを続けてくれるなら。それを続けないなら、2+だろうがなんだろうがサヨナラですね(笑)。だったら、LTEでいいので。UQの唯一最大の価値は制限がないってところですから。

【後藤】確かに。

【山田】今週社長に会うから、「笠原がこう言ってました」と伝えておくよ(笑)。

【笠原】ぜひ言ってくださいよ(笑)。

【後藤】僕は2014年と言われると、実は何も浮かばないんですよね。

【山田】世捨て人になったか?(笑)

【後藤】2014年って近すぎて、何にも思い浮かばないんだよ(笑)。2018年とか2020年とか言われるんなら、いっぱい浮かぶんだけど。

【笠原】ハハハハハ(笑)。

【司会】参考までに、2018年に期待することは何ですか?

【後藤】2018年以降なら、プロセスはFinFETの次の話が出てくる、カーボンナノチューブや、グラフェンとか。そうするとすごい大きな飛躍がやって来る。でも、2014年は僕には関係ないんだもん。

【司会】それでは皆さん、長時間に渡り、そして2013年はいろいろとありがとうございました。2014年も引き続きよろしくお願いします。読者の方々も変わらぬご愛顧をお願いいたします。

〜〜おまけ編に続く〜〜

(若杉 紀彦)